雪山救助訓練 2018 (土合)

2018年2月17−18日(前夜発)
【参加者】L:I永さん、メンバー:F浦さん、F川さん、Y田さん、Y原さん、自分(17日のみ)I井さん、S藤さん、(注)18日参加予定の方を除く
 天候悪化のため、18日の訓練は中止となりました。

 16日夜は、土合駅で泊まりました。自分は、コンパクトということで購入した、シーツ―サミットのマットを初使用。色が真っ黄色なため、目立ってしまい。金額や、使用環境などいろいろ聞かれました。持ち歩くサイズの割には暖かいですが、空気を抜くのがちょっと一手間という感じです(慣れもあるでしょう)。

今回の訓練の大まかな位置図(赤丸)

2月17日
天気:雪
【コースタイム】7:40 土合山の家近くの雪原

7:20 出発の準備


7:40 雪原に到着


8:10 テント設営

・ビーコンチエックとV字コンベアベルトメソッド(担当:自分)
 V字は、受けますと返事しましたが、ビーコンチエックは、いつの間にか組み込まれていた感じ。ビーコンチエックと、電池残量を確認することを説明。あと、電波の影響により誤作動があるので、ビーコンを使うときは携帯電話等、電波を発信するものを切る、またはビーコンから50cm離しておくことを説明。
 V字について
  1.掘るのではなくて、切り出し、かき出す。
  2.搬送法まで考えて、先頭はとにかく掘る。後ろは横幅を広げることと、バケツリレー
  3.今回のテーマ、声掛け、リーダーを決める
 3につきまして、F浦さんから、「具体的にどのように」と質問があり、ぶつからないような距離(スコップがぶつからない)、交代のタイミング(諸説あり)などと答えまして、それはそれで事実なのですが、自分の頭の中で声掛けの具体的なイメージができていなかったのか、V字トレーニングとして、すべきことはしましたが、声かけ、リーダーという点では、空回りでした。
 班を二つに分け、自分たちの班は斜面と平地の2ヶ所で実際に確認。平地は、後ろから深く掘らなければいけないし、横も広げなければならないので、斜面に比べて大変でした。
 自分のスコップはいわゆるスコップと、先端を180度変えて鍬のように使えるのですが、調子に乗って、何度もスコップと鍬を入れ替えていたら、最後のほうでは外れなくなっていました。鍬は、最後尾の人が使うのに便利だと思います。
 なお、V字は25度以上の斜面ではヒットしたゾンデの深さから掘り、それ以下ではヒットした距離の2倍から掘り出すのですが、真上から掘らない理由として、「埋没者の上に乗ってはいけない」ということもあることを知りました。なるほど。V字は細部にこだわってわけわからなくなるよりは、基本をおさえ、現場状況を優先し、コミュニケーションをきちんとだと思います。

ビーコン性能の把握

・ビーコンの探知距離の体感(担当:Y田)
 50m先に発信ビーコンを置き、10m間隔で旗を立てて、各人のビーコンにどのように反応が出るか確認です。自分のビーコンでは
 1回目(ビーコンへ向かう):スタート地点から電波をキャッチできた。ラスト10mは、旗の位置と、ビーコンに表示される位置が10mとぴったりあった。
 2回目(発信ビーコンの置き方を変えて、ビーコンから離れる):10m地点で表示される値が13、以下20mで30、30mで45、40mで60、50mで60(表示されたり、されなかったり)
でした。

複数埋没のボタンも確認しました。
下の赤丸旗印を発信ビーコンの地点で押すと
通常出ている人の右に旗が表示されまして、
このビーコンは二台目捜索に影響がありません。


・プロービング、電波誘導法、クロスサーチ(担当:I井)

ゾンデの感触確認 埋没人形でも確認

・ゾンデの感触確認(時間が中途半端に余ったので)
 ゾンデの感触確認は、いつもの通りでした。念のため、埋没人形でも、感触確認を行ったら、人で行った場合とほとんど同じだった。埋没人形の中身は、テントマットで、感触が近いというのは、驚いたけど、ある意味当然でもある。上手くまとまりませんが、感触確認よりは、人体にゾンデを当てることの確認の方が大事かもしれない。もっと強く当てても大丈夫という意見が、「埋没担当の方」から多く聞かれた。とはいえ、当たった場所が顔とかだったら、当然痛みは全く違います。確認しないよりはした方が良いが、もし行うならゾンデが人に当たることの、靴を含めた全身の感触確認(血の流れが悪くなった時は、通常よりも硬い感触となると思います)と、雪面上から(どんな形で埋まっているかわかりませんが)見えない埋没者を想定してゾンデを突き刺す確認、でしょう。その他、ビーコン反応があった場合のゾンデならある意味、説得力があるが、ビーコン反応なしのゾンデは「しないよりした方が良い」という、だけだと思う。

昼食・、この時点でだいぶ寒くなってきたので防寒着を着る。

 
クロス十字 ゾンデー連  V字ベルトによる掘り出し

 今回、訓練をする前は、ゾンデー連は、オロク探しだと思っていた。だけど、今回、改めて、クロス十字で絞り込んだ後、ゾンデー連で捜索するということをして、ゾンデー連も捨てたものではないなと思いました。その一方で、ゾンデー連は全員の行動に一貫性がないと意味がないし、一人でも感触を間違えたら、全員の行為が無駄になる。今回、ゾンデもスコップもセットした状況後に行っているので、これをザックの中から、全員が出してと比較したらどうなるか。一人で捜索するスパイラル・プロービングの方が、少し時間はかかるが誤差が少ないのでは? シュミレーションをしていないので何とも言えませんが、一人がスパイラル・プロービングをし、他の人は掘り出しの準備をした方が、本当は速いのではという気がしてなりません。次回、確認あるのみです。
 二つの班に分かれて、2回ほど埋められた発信ビーコン(一つ)を探して、掘り出すということをしました。最後には、複数埋没(発信ビーコン二つ)も、行いました。最初の2回は、(自分の班は)何もかも順調に行った。ここで調子に乗ってしまったか、最後の複数埋没では、自分がビーコンを早く動かしてしまうという悪い癖を出して、クロス十字を2回するはめになり、その後、ゾンデー連をしたら通り過ぎてしまい、(正直自分のゾンデー連も褒められたものではなかったが)I永さんが、ゾンデの感触を間違えたとしか思えない。なぜ、クロスサーチで悪い癖が出てしまったかというと、自分の理解不足もありますが、クロスサーチをしている際に、つぎの人が来てしまったから、全員がクロスサーチをすることになっていたはずですが、全員がクロスサーチをするというのも妙な話で、班で行うビーコントレーニングも大事ですが、その前に二人でビーコン操作の確認をすべきだったと思う。V字の掘り出しは、埋まっている深さ半分くらいの所から、掘り出してしまった。
 個人でのビーコントレーニングと、班でのビーコントレーニングがごっちゃになっていた気がします。

訓練終了、I井さん、S藤さんは帰宅。

・緊急避難雪洞体験(担当:F川)
 「雪山で仲間とはぐれた場合、一晩生き抜くスキル習得と体験」ということで、「緊急避難雪洞体験」が行われました。緊急避難なので、雪洞に持っていく荷物には制限(例:日帰り装備で帰れなくなったという想定のため、普段日帰り装備で持っていくものしか雪洞内には持っていかない)がありました。

今回の、自分の雪洞の側面図(イメージ) 今回の、自分の雪洞、斜面下から(イメージ)

 雪洞の作り方としては、1.斜面に掘る(雪庇等を利用)、2.平らな場所しかなければ木の周囲のくぼみを利用しての横穴、3.木もなければ縦穴を掘り、横穴を掘る
 ですが、前回、2の方法で雪洞を作成したので、今回は1の方法に挑戦しようと考えていました。雪原に到着したときは、ゾンデを刺すと1mちょっとしか積雪がなく、雪洞どうしようでしたが、その後、雪も降り積もり、斜面に雪のある場所がおおよそわかったので、予定通りの雪洞体験となりました。掘る前に考えたことは
 (1)斜面に掘る。
 (2)移動距離が短いのでbcクロカンで行こうかと思っていたが、クロカンブーツは保温性が低いので、直前で断念。テレマークブーツで
 (3)ヘルメットの方が暖かいので、ヘルメットを着用しよう。
 (4)ザックを下に引こう。
 (5)入り口は、ツェルトでふさごう。
 (6)太めのロウソクを使って見よう。
 それ以外は考えていなかった。奥の雪をかき出すのに苦労するが(後日談:そもそも下に掘り下げない、掘るのなら上側を掘る)、21時まで過ごすだけの空間は、暗くなる前に確保できた。テントに戻って、ザックに、金属製食器、ツエルト、ヘッドランプ、支給されたベビースター、赤布、メタ、スリング、カラビナ、ローソク等を、つめこみ、テント出発。雪洞の前でツエルトを広げようとすると、思うように広がらない。しまったと思うが、ツエルトの両端に、スリングをつけて、スキー板で固定したらツエルト上部を固定できた。ストックに他の人に雪洞の場所がわかりやすいように、赤布を巻きました。雪洞の中に入って、割りばしでツエルトを固定、上手くいかない。スノーソーがあったのでこれで固定。
 ザックは下に引くより背中に接地する方を選び、代わりにお尻部分は、ウエストポーチを下に引くことで対処。なんとかなった。雪洞内が雑然としているので整理用の棚を作る、(雪洞の良い所:雪洞内でちょっとした空間《棚等》雪を掘れば広げることができる)最初、カラビナで掘ったが上手くいかない、何か棚用に掘るものは、金属製食器だ。金属製食器で左右両方に、棚を作る。なんとか、形になってくれたが手袋がずいぶんと濡れてしまった。替えはテントの中に忘れてしまった。さあ、どうしようかという頃。外から声が聞こえた。

18:20 雪洞の中から
 上にある黒いのは、スノーソーのケースです

 「テントが、横転した(Y原さん、今更ですが、竹ペグ使えるのなら、使ったほうが良かったと思う)。天候が悪化してきたので、テントに戻るように」、今回は、自分の場合、ローソクも、メタも使う前に終了でした。ゾンデは翌朝の目印のために残し、それ以外は全て雪洞の中から出して、テントに向かう。雪洞の中では気がつかなかったが、天気はずいぶんと荒れていた。戻ったころは、何事もなかったように、テントがあり、他の方も問題なく、戻ってきた。
 ツエルトの袋が小さすぎて、なかなか入らない。「濡れると入らないのは当然だから、大きめの袋を用意しておけば」、言われてみれば確かにそうです。トイレに行ったY原さんが、なかなか戻ってこず、そろそろテントを出て捜索か、と思った頃、戻ってくる。「荷物置き場・食事用として設営されたI永さんのテント」のポールが折れて、その対応をしていたとのこと。雪が降ることは、わかっていたが、ここまで荒れるとは思っていなかった。
 18日来る予定だったM浦さん、T村夫妻、S野さんに、「この雪では除雪が厳しいので到着が難しく思われ、18日の訓練は中止」の連絡をリーダーがしました。

2月18日
天気:雪
【コースタイム】10:20 土合山の家駐車場発

7:30 埋もれた(無人)I永さんテント

 もし天気が回復すれば、いるメンバーだけでも訓練を、という意見もありましたが、雪は降り続き、車の除雪にてこずるので、訓練等はせずに、テント撤収となりました。

7:30 Y田さんテント


自分の作った雪洞は跡形もなく、
目印として刺しておいたゾンデ(矢印)のみ


Y原さんテント、ありがとうございます。


8:30 駐車場に戻る

 駐車場に戻ると、かろうじて車の形がわかるくらい埋まっていました。3台1度に除雪するより、1台ずつ除雪したほうが、除雪した雪の置き場に困らないとのこと。そうですね、左右両端の車は左に、右に、それぞれ除雪できますが、真ん中の車は除雪した雪をよける場所が前と後ろしかありません。一番左のF川さん車を除雪し、(車の前はバックするのでざっとだけ除雪)、おおよそ除雪したところで、F川さん車バック、真ん中のY原さん車は、雪をF川さん車がいた場所に除雪すれば良いので、1台目の時より楽でした。Y原さん車も無事除雪。最後のY田さん車の時は人も十分におり、どんどんテンポが速くなっていく感じでした。

 
9:00 F川さん車、バック開始 9:20 Y原さん車バック完了  Y田さん車も、時間の問題

 I永さんが赤布を忘れたとかで、訓練した場所に取りに行き、出発は10時20分。

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