奥秩父 水晶谷(沢集中)

2014年8月30-31日(前夜発)
 久しく、鈴蘭山の会で行われていなかった沢集中ですが、今年の親睦沢登りは、2007年度以来久しぶりの集中となり、自分にとって初でした。感想としては、車を手配していただいた大荒川谷パーティーの皆様ありがとうございます。同乗が許されたので今回の山行は大いに時間短縮となりました。3パーティーの時間調整など、手間のかかる点も多いですが、自分は再び沢集中をしてみたいと思いました。そのためには、会の活動をもっと盛り立てていかねばなりませんね。
 山行の1〜2日前、天気が悪いからといって、弱気になっている場合ではありませんでした。仮に弱気になったとしても、電話で個人的に相談すべきでした。

集中3コースの図
水晶谷P L:自分、メンバー:S野さん、S木2さん
大荒川谷P L:N片さん、Y田さん、I井さん、F浦さん、N井さん、S林さん
ナメラ沢P(31日のみ) L:F川さん、M井さん、I崎さん
(右図は登りのみ)

8月29日(金)
 N片さんの車に乗ったときは雨が降っていませんでしたが、23時頃からか本降りとなりました。

今回の山行の大まかなルート図(沢:赤、登山道:黄) 今回の山行の大まかな位置図(赤丸)


8月30日
【天気】雨のち曇り(夜21時頃、再度まとまった雨、1時間程度でやむ)
【コースタイム】7:20 道の駅大滝−7:45/9:00 出合の丘−9:35 林道終点−10:25 アプローチルート−12:10/13:00 入渓点−14:00 熊穴沢との二俣−16:05 ブドウ沢との二俣−16:55 古礼沢との二俣(C1)
 当初の天気予報ですと、「土曜日の予報は、曇のち雨、日曜日は曇り時々晴れ」でしたが、朝のうち雨が降りやまず、9時になって進退を決めようとS野さんと話していたところ、雨がちょうど止みました。

9:45 クモの巣だらけ


【今回の水量】事前に雨こそ降りましたが、水量に大きな影響はなかったようです。

10:25 アプローチルートへの分岐点

 計画の最初では、「天狗岩トンネル(2時間)−曲沢出合(2時間30分)−釣橋小屋(3時間)」の正規ルートを行く予定でしたが、S野さんより「アプローチルートがあり、時間的にそちらがお勧め」と聞き、迷いましたが、正規ルートだと疲労のピークに達した頃、ブドウ沢の事故現場を通過しなければならないこともあり、アプローチルートを行くことにしました。アプローチルートは途中から2万5千図には載っておらず、自分の持っていたエアリアしかルートは見つからず(下:アプローチルート)、ネットで探すも、水晶谷の報告は一番新しいのが「2010年の5月」で最近のがなく、仕方がないので、ルートが途中まで同じな古礼沢まで含めて探したら、アプローチルートの報告(2013年8月)がありました。実際に行ってみたら、自分のエアリア(2000年版)は古かったようで、現場は微妙に違っていました。そのためもあり、現実のアプローチルートを林道終点から近すぎるということで通り過ぎてしまい、10時10分に引き返すことを決定し、10時25分に正しいルートに入りました。
 トップをお願いしたS木2さんに、「アプローチルートが現れるのでゆっくり進んで欲しい」と声をかけるのも、ワンテンポ遅れていました。帰ってから改めて、2013年の報告を読み返すと「林道終了後10分程で左へ分岐」の文面が有り、アプローチルートというのは、確かに楽ですが、ルートが変わることもあり、自分も注意が必要なのはわかっていましたが、最後のツメを誤ったようで、大きな時間のロスにはならなかったものの、情報の取捨選択が下手すぎました。後日談:さらに不覚なことに、今年の8月2日古礼沢に、うちの会の方が行っていました。視野が狭くなっていたとしか思えません。

アプローチルート(エアリア2000年版)
 通ったルートを赤実線で示しました

【今回の寒さ(自分の場合)】沢の中では、自分のいつもの格好(ファイントラック下着に、泳ぎ用長袖(水量の多い沢と聞いていたので)、沢用ズボン、厚めのネオプレーン渓流ソックス、スパッツ、リストバンド、軍手)。夜は、タープに、シュラフカバー(シュラフなし)、沢装備から、渓流ソックス、スパッツ、リストバンド、軍手を外し、防寒着のライトダウン(上)、山用のタイツ(下)、山用靴下、をさらに追加し、でちょうど良かったです。

11:12 渡渉


11:35 沢に下りるルート

 アプローチルートを進む途中、左側に赤テープがあり、ルートからして沢へ下りるルートのようです。今回は、左には進まず(沢には下りず)、当初予定のルートを進みました。それまでずっとトラバースでしたが、ここを過ぎたあたりから、登りが始まり、左側のルートは、登ることなしに、沢へ下りるルートだと思います。道は、「獣道<今回のアプローチルート<登山道」で、ロープが必要な箇所(残置のトラロープがないと怖い場所はあり)や、踏み跡が見られないような地点はありませんでした。1217m小ピーク付近で、尾根に上がるまで登って、そこから一気に下って入渓地点です。釣橋小屋のある地点に下りるかと思っていたら、釣橋小屋はもう少し先でした。

 
入渓点(上から) 入渓点(下流の大きな岩)  

12:10/13:00 入渓点(下のルート図でE地点)
 入渓点で、沢装備になりました(渓流シューズ、ハーネス、ヘルメット)。

13:07 ショルダーで突破 左岸に上がる

 おそらく箱淵だと思いますが、フリーでは通過できそうになく、かといって簡単に巻けそうもなく、S木2さん、S野さんとも、ショルダーで突破、ラストの自分は借りる肩もなく、引き上げてもらいました。出だしさえ通過できれば、特に問題ない場所です。

13:24


13:36 崩壊した釣橋 釣橋小屋(廃屋)

14:00 熊穴沢との二俣(下のルート図でF地点)

15:11

15:13 ゴルジュ

15:15 トラロープ頼りに

 基本的に淵が多く、腰までつかる箇所は何カ所かありましたが、それより深い箇所には会いませんでした。

15:23

 この頃、少しバテ気味になりましたが、マヨネーズを行動食代わりに摂取したら、無事回復。マヨネーズ、ありがとう。双六の経験が生かせて良かったです。

15:57 8mの滝


16:01 4mの滝


16:05 悪場 足場は支える程度で、残置ロープを伝っていきました

 4mの滝を登って、すぐに悪場(立ち止まる場所はナシ)で、感慨にふけっている時間も場所もなく、取り急ぎ写真だけ撮って、「いざ」です。今回、多くの場面でS木2さんにトップをつとめてもらいましたが、この個所周辺は、自分がトップで行きました。悪場の通過は、足場がほとんどなく、残置ロープが頼りでした。
16:05 ブドウ沢との二俣(下のルート図でG地点)

16:08

16:28


16:32 2m滝 残置ロープを用いて突破

 「悪場」ほどではないですが、この滝も、残置ロープがないと、突破できなかったと思います。

16:44 自分がドボンしたのはここだったか

 通過に手間取り(自分の場合)、下のルートから行こうとするも微妙に難しく、戻る。だいぶ戻ってそろそろ水の中へ飛び込んでも大丈夫だと思って、そうしたら別に危険ではありませんでしたが思ったより深かった。お助けにしたS木2さんのシュリンゲをきちんと回収したら、「捨てても良いシュリンゲ」とのことでした。

 16:55 古礼沢との二俣
 この日のテン場
 テン場(写真は翌日朝)

 S野さんより指摘、「タープの4隅だけでなく、中間部分にも、シュリンゲをつけるように」と、山行後、次回のために付けておきました。
 夕飯:ポトフ、おいしかったです。でも、量が多かった上に、S野さんが連絡なく「大ビリー缶」を持ってこなかったため、調理に時間がかかりました。


今回の山行のルート図(30日)
(A:出合の丘→B→C:林道終点→D:アプローチルートとの分岐点→E:入渓点→F:熊穴沢との二俣→G:ブドウ沢との二俣→H:古礼沢との二俣)


8月31日
【天気】曇り、朝のうち一時晴れ
【コースタイム】7:50 C1→9:05 トンネル通風口→13:30 登山道に合流−13:50/14:45 雁坂峠−14:52 雁坂小屋−17:15 林道−17:45 出合の丘

5:00 起床

 なんとか着火  

 前日夕方、およびこの日の朝とも小枝に火はつくものの、燃え広がる段階にはなかなか行かず、だいぶ時間をロスする。前日の朝雨だったことを考えれば、(理想は着火剤を使わずですが、前日の雨もあったしメタ2本投入)、とりあえずついて良かったです。左上写真「なんとか着火」のように、炎が薪の中から出てくれば、落ち着けるのですが、薪の下で火がなかなか燃え広がらず、F川さんらと、焚き火の力の差を痛感。S野さんからは「薪を重ねて熱がこもるようにする」とのこと、なるほど。上に薪ばかり重なって、薪と火の間に空間ができてしまい、燃え広がらない、火はついているものの、薪の中から目を覚まさない。つかないときの典型例だと思った、重なった薪をどけて再度やり直し、根気よく扇いでいたら、なんとか燃え広がる。扇ぐという行為も、捨てたモノではないな、と思う。扇げば良いというモノではないですが…

7:55 朝は晴れていました

古礼沢と水晶谷の二俣の上流には、良いビバークポイントがたくさんありました。

8:05 奥秩父という感じ


8:30

【今回の読図】遡行図を見ても良いですが、やはり読むべきは2万5千図で、パーティー内でも統一が取れていない感じでした。遡行図は休憩の際などに見るべきで、行動中は2万5千分の1地形図だと思います。遡行図はしょせんは個人の体験記です。わからなくなったら2万5千図に帰る。遡行図は見ても良いけど、あくまでも参考まで。
 面蔵滝に着いたとき、完全に別の滝と読み間違えていました。

 
8:45 面蔵滝(15m)  左から巻けます(上から見た面蔵滝)

 ゴルジュの奥に豪快な滝、高さ(15m)的にはこれまでもあった高さですが、ゴルジュの奥にあるというのがかっこよく、今回来た甲斐がありました。「こんな滝あるんだ」でした。写真は、現物をほとんど伝えていません。もっとずっと格好良かったです。

9:05  トンネル通風口  10mフェース滝

 面蔵滝の左を巻いて、上を見上げたら、信じられない建物がある。3人で議論した結果、9時5分の建物は、トンネル通風口、でした。
 (後日談)「東京周辺の沢・白山書房の遡行図」から一度は、トンネル通風口の位置を標高1450m(下のルート図で×印)の位置かと思っていました(注)が、どう考えても時間的に変で改めて報告を読んでいたら、この報告よりトンネル通風口の位置は1350mあたりとあり、かかった時間などから、1350mの方が正しいと思います。自分には、別の可能性を考えるのが下手かもしれません(というか一般的には苦手な人が多いと思います)、勇気がいりますが、今自分が現在地と考える理由を説明することばかりに夢中にならずに、「別の場所にいる場合」もきちんと考えましょう。
(注)「東京周辺の沢の遡行図」からすると、通風口の手前の枝沢の地点が右に曲がっており、それを考えると1450mの方がしっくりきたというのが理由です。
 事前に標高などをメモしましたが、自分のメモした標高はピントがずれていて、必要ないところばかりメモがあった。わかりやすい目印であるトンネル通風口の位置を間違えたため、その後、地図読みは混乱してしまった。遡行図に書いてある記録を、2万5千図に、付け加えるときは要注意でした。10mフェース滝は滝手前の右岸を巻きました。

9:27 沢を巻き終わり、再び沢遡行


10:04 2段8m 10:17 セカンドS野さん

【今回のロープワーク】この時は、時間がたっぷりあると思っていたので、「練習のためにもロープ出して登ろう」でした。S木2さんが、トップで登り、セカンドS野さん(Fix)、ラスト自分(確保)で登り、さらに上がったところにある滝を自分がトップで登る(自分以外の二名の遡行図はそのように記載があったとのこと)という設定にしました。

10:37 7m
 最後の部分が少し難しかったです

 10時04分の滝を上がったすぐ上に、確かに滝はありました。最後の部分が難しく感じられたものの、途中まではとても簡単でした。落ち口に良い支点がないので、これは「セカンドが見える位置での確保」ということで、少し奥にある太めの木に支点をセット、セカンドはFixなのでロープをFix、ここで「あれ?」と思う。自分に結んであるロープはどうするのだろう。Fixでは付けている意味もないので、とりあえず外す。S野さん、無事通過で、さて、「セカンドが見える位置での確保」です。支点に半マストをセットし、再度ロープを結んで、2度手間でした。「セカンドが見える位置での確保」において、FIxの時は自分につけているロープはそのままになるのでしょうか。再度、確認です。(後日談・Fixのことを考えると、M井さん方式の方が良いかもしれません。)少し奥にある太めの木から滝の落ち口まで、ゆっくり下りてゆくと、ラストのS木2さんが、難しいところの手前まで来てしまっていた。気持ちはわかるけど「合図があるまで登らないで」でした。取り急ぎ、ビレイをするも、8の字結びをする支点を1歩手前にとらなかったので、上手くないビレイでした。S木2さんへ、「合図があるまで登らない」でお願いします。自分のセットが遅かったというのも確かにありました。

10:48 10m
 これが三段25mかと思っていました

11:05 水枯れる
11:50 水流再び現れる

12:20 三段25m

 三段25mの滝を見たときは、一番上の段の滝が登れそうにない滝なので、完全にルートを間違えたと思いました(でも、後になって他の報告を見てみると、この滝の写真が出ていました)。左に来すぎたと思い、すぐ右の尾根に簡単に上がれそうだったので、三段25mは登らずに、右の尾根を登りました。
12:30 尾根にのる
 藪はほとんど濃くなく、あっても膝下程度で、傾斜もツメの割にはきつくなく、獣道のような感じのルートでした。ルートを間違えたと思っていた割には、大きなストレスなく登山道に合流でした。下のルート図で、J地点付近です。

a点か、b点の尾根にのってしまったのだと思います。

【他のパーティー】天気が良くなかったこともありますが、沢の中では、一人の人にも会わず、下りの雁坂小屋〜豆焼橋間も一人の人にも会わず、雁坂峠で4〜5人のハイカーに会ったと記憶。

13:36 下のルート図でK地点

 今回、集中ということで、トランシーバー交信をし(集中山行の楽しみの一つが、シーバー交信です)、13時手前の交信で、大荒川谷Pはもう集合地点に着いていることがわかる。ナメラ沢Pも近づいていて、ビリになってしまうかもしれない。
 「S林さん(大荒川谷P)、あの足で予定通りに着いたか」申し訳ない気持ちでいっぱいです。S林さんの帰りの下山に迷惑がかからないよう、少しでも早く着かねばということで、遅れがちなS野さんの荷物を一部(コッヘル類)自分が持ち、S木2さん(ザックが小さめのためS野さんの荷物入らず)に登山道に着いたところで先に行ってもらう。
13:50/14:45 雁坂峠
 無事、雁坂峠到着、大荒川谷Pとも合流。「え? ナメラ沢Pはまだ時間がかかる?」。S木2さんに、先行してもらいましたが、そこまで急ぐことはなかったです。大荒川谷パーティーの方から、暖かい飲み物などいただく。その後(14時30分)、ナメラ沢Pとも、無事合流し、無事、集中ができました。ナメラ沢Pは、雁坂トンネルの方に下りるので、ここでお別れでした。

雁坂峠

【今回のルート(下り)】黒岩尾根は、通行可能ですが、木の橋など滑りました。経験者向きといった感じで、山が年に1度くらいのハイカーさんは、通行しない方が良いと思います。
 

17:15 昨日通ったときには出ていたなかったキノコ

【使わなかった装備(結果論として)】共同装備:ツエルト(1〜2人用)、コンロ、燃料、個人装備:雨具、替え下着、タオル、ホイッスル、細引、医薬品、ハンマー、ハーケン
持って行った方が良かった装備:6mm×10m補助ロープ

今回の山行のルート図(31日)
(H:古礼沢との二俣→I:トンネル通風口→J:登山道→K:水晶山との分岐→L:雁坂峠→M:雁坂小屋→C:林道終点→B→A:出合の丘)


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