沢の救助訓練

2013年6月8−9日
総合L:M・Hさん、総合講師:U村さん、メンバー:(1班)L:N井さん、F川さん、Y和2さん、S田さん、自分、(他の班)N片さん、F浦さん、M井さん、I井さん、M浦さん、S野さん、S林さん、
(8日のみ)S藤さん、S木さん、(9日のみ)M上さん、M谷さん

 冬の救助訓練の際は、別のことを書いたかもしれませんが、今回の自分の個人的テーマは、議論空間(お前が言うなと言われそうですが)、巳ノ戸の件もあり、「話せばわかる」という空間を作ることが先ず先決で、きちんとした救助作業が必要なのはもちろんのこと、意見交換の場を作るのもそれと同じくらい必要。ぴりぴりせず、でも言うべきことはきちんと。最近、ダブルスタンダードというのはある意味、大切なことではないかと思います。

今回の訓練の大まかな位置(赤丸)

6月8日
【天気】 曇り時々晴れ、一時雨
【コースタイム】8:35 奥多摩駅−9:02/9:10 東日原(バス停)−9:45 岳稜岩、10:00−16:00 救助訓練 

9:15 水を汲む

10:00 それでは訓練開始

10:20 M・Hさんによる自己脱出のデモ

講師:M・Hさんが最初に、デモンストレーションをし、その後、各自挑戦しました。
 自分も挑戦、感想として、「基本的なことは問題なくできました。ただ、カラビナを支点作成に使ってしまい、カラビナを探してしまったり、カラビナをかける場所でちょっと躊躇してしまったり」

各自挑戦

 今回なるほどと思ったのは、荷重の移動の際、仮固定を解く前に「少し歩いて動くこと」これをすることによって、スムーズに荷重の移動ができるようです。

各自挑戦

 あと再確認したのが、仮固定の際、ビレイデバイスの前にぐるぐる巻きにする時、下写真のようにビレイデバイスの前のロープを(グリップビレイのように)握ってからぐるぐる巻きにするとかなり巻きやすいということ。その他、基本的なことですが巻くときは丁寧に。
 「ぐるぐる巻き」を解除するときは、最後の1本を外すときは慎重に、その他はどんどん外していっても大丈夫。

 F川さんより「ラビット結び(ダブルフィギュアエイトループのことだと)」が、荷重が強くかかった時、ほどきやすいといわれる。

ビレイデバイスの前を握る

 本を読むと、ぐるぐる巻きにするのはビレイデバイスの前ですが、ビレイデバイスに巻いてしまった方が簡単に巻ける気がします(エイト環の場合、ビレイデバイスに巻くことは分かってますが、ATCガイドの場合、ぐるぐる巻きは直接ビレイデバイスに巻いてはいけないのでしょうか。)

12:00 回収

昼食

12:50 ヒューマンチェイン

ドラッグ法、ヒューマンチェイン(講師:S木、Y和2):短い距離を一時的に移動する方法、道具は使わない。
 ドラッグ法は一人の場合、及び二人でする場合、共に実演。背負い法、実演。以上、自分が負傷者役をしました。(各自行わず)

13:00 スリングを使った搬送(1)

背負い搬送(スリングを使った搬送、雨具(上・下)を使った搬送)講師(I井、M浦)(各自行わず、実演のみ)
・スリングを使った搬送:長いスリングを1本使う、負傷者の背中と腿にスリングをかけ、搬送者はそのスリングを肩にかけた状態で背負う。長時間の歩行には、搬送者の肩にスパッツ等当てておくこと必要。スリングに余裕がある場合は肩に掛けたスリングにさらにもう1本通すと安定度が増す。

スリングを使った搬送(2)


太くて、長い(10m程)スリングを持ってくると何かと便利(M井さん)

・雨具(上・下)を使った搬送

13:10 雨具を使った搬送(1)

(ア)雨具上のポケット部分に、(すっぽ抜け防止のために)スリング等の柔らかい布(要は負傷者が上に載っても痛くない)を詰めておく

雨具を使った搬送(2)

(イ)雨具上を、雨具下の中に入れ、シートベンドで固定。
(ウ)雨具左手と雨具左足、雨具右手と右足をそれぞれ結ぶ。

雨具を使った搬送(3)

(エ)(ウ)を作ったら、「写真・雨具を使った搬送(3)」のように負傷者の足を入れる
(オ)(エ)まで来たら、負傷者が足を入れたところに、搬送者は腕を入れて持ち上げる(写真・雨具を使った搬送(4))。

雨具を使った搬送(4)

雨具を使った搬送(5)

ザック搬送:講師(F浦、N井)

13:20 雨具(上)とザックを使った搬送(1)

(ア)雨具(上)のフードの部分に、これもまた柔らかい布等を入れて、インクノット(シートベンド)で固定。

雨具(上)とザックを使った搬送(2)

(イ)雨具の手の部分と、ザックのショルダーベルト(下の部分)を縛る。
(ウ)雨具(上)のポケットの部分に、これもまた柔らかい布等を入れて、スリングをインクノットで固定

雨具(上)とザックを使った搬送(3)

(エ)ザックと雨具の間に負傷者が入る。
(オ)(ウ)のスリングを、負傷者の脇の下から持ってきて、救助者の胸元で、左右2本を固定。

雨具(上)とザックを使った搬送(4)

14:00 ライジング(1/3) 左写真、赤丸部分を拡大


ライジング(講師:S藤)

ライジング(1/3)
 引いている様子



 
ライジング(1/3) 左写真、赤丸部分を拡大(タイブロックに重り)

 タイブロックが効いているかきちんと確認。変に向きを覚えることよりも、確認することの方が大事。タイブロックをきちんと効かせるには、タイブロックに重り(ヌンチャク等でも可のようです)をかけて向きが戻らないようにする。単純に、普段タイブロックのカラビナにつけている小さなスリングに重りをかければよい。今回、ようやく自分の手でライジングができるようになりました。

滑車には、バックアップをした方が良いタイプあり

 滑車には、ローラー部分が破断すると抜けてしまうタイプがあり、そのタイプには上の写真のようにカラビナでバックアップを取ることが必要となります。

14:45 ディスタンスブレーキ(エイト環+半マスト)

 ディスタンスブレーキ(手を負傷)
 自分が講師を担当、上手く話せないだろうなと思って、プリントを用意していきました。プリントを用意しても上手く話せない自分がいた。それはディスタンスブレーキについての理解が足らないから? 口下手だから? 1:2くらいだと思います。
 救助者が負傷者に向かう場合なら、エイト環のみで大丈夫ですが、救助者が負傷者をキャッチし、救助者+負傷者となった後、二人分の体重がロープに加わるので、上の写真のように「エイト環+半マスト」のように2重にしておかないと、制動が効かない。半マストの支点はエイト環よりも明白に高い支点にとる。
 コントローラーの感想:スローとストップが聞きづらかった。

ディスタンスブレーキ(負傷者キャッチ)

 救助者はロープにぶら下がる形で下降、負傷者をキャッチした後もロープにぶら下がる形で下降。救助者は足の横幅をきちんと広げて、懸垂。
 救助者の役の時の感想:基本的には、負傷者をキャッチするまではダウンで良いですが、キャッチ後はとてもダウンなどかけられず、ずっとスローとしか声をかけられなかった。

ディスタンスブレーキ(上でコントローラー操作)

 ディスタンスブレーキ(足を負傷)(講師:S野)
 足を負傷していて歩けない設定です。背負うというより、横になった人の下に回り(抱きかかえる)、下降を補助する感じでした。「エイト環+半マスト」で、基本的に大丈夫ですが少し余裕がない感じ、どうにもならない場合には、さらにボディビレイをするように、コントローラがロープをワンターンさせると操作がしやすいようです。

16:00 本日の、救助訓練終了

16:15 タープ設営

【他のパーティー】今回、訓練や、クライミングに来る人には会いませんでした。2日目の朝、釣り師が、2名ほど、釣りをしながら通過していきました。

焚火の準備

 今回、薪は豊富にありました。

焚火の準備


大量の薪集まる

17:00 早速着火


それぞれ夕食の準備等

本年も、無事、焚火第1号を迎えられました。


いろいろなことがあっても


6月9日
【天気】 曇り時々晴れ
【コースタイム】8:00−11:00 シュミレーション、11:30−13:30 渡渉訓練−14:00 岳稜岩出発−14:27/14:50 東日原 

5:10 朝の風景

 4時に起きて、焚火の所に向かう、まだ燃えカスが少し残っていて、大きな木で焚火床を作り、細い木を載せたら、もう着火。同じく早起きしたU村さんにも手伝っていただきましたが、無事消えることなく燃え続けました。このところ雨が降っていなかったので、難易度は非常に低く、付かない方がおかしいという感じですが、それでもシーズン初はうれしいです。
 この日の朝、食当でしたので、ご飯を炊く、焚火に掛けるときは少し水を多めに、実践したら、焦げ一つないご飯が(おいしく? おいしかったかどうかは個人の味覚。少なくとも不味くはなかった)できました。でも、逆に早くご飯を作りすぎたみたいでした。

沢の一日は、焚火で終わり、焚火で始まる


炊煙

 ご飯を早く作りすぎて、予定時刻の8時まで(15分ほど)時間があったので、昨日ほとんどできなかった「ディスタンスブレーキ(足を負傷)」を復習。

9:40 シュミレーション(1)

・シュミレーション(1)(要約)
 パーティーで滝を登攀中、3人目が手を負傷、一人(救助者)が事故者まで下りて、傷の様子を見る。(滝の下には安定した場所がないので)救助者と、事故者をライジング(1/3)で上まで引き上げる
 全員で役割を交代しながら、それぞれ挑戦したのですが、一番最初は、自分がコントローラーの役をし、Y和2さんが救助者の役でした。Y和2さんが、負傷者役のF川さんまで、ディスタンスブレーキで下したところで、N井さんより、「仮固定」の指示、確かにおっしゃることはわかるけど自分には全く予想外の指示で、右往左往してしまいました。確かに、仰ることももっともなので自分の仮固定、Y和2さんと、F川さんにセルフビレイを取ってもらいました。
 ようやく個々の作業はできるようになってきましたが、現実の場合なら当然ある「ディスタンスブレーキ+ライジング」となると、自分の理解の甘さが出た形です。

 さらにディスタンスで下りる際にも、F川さんより「落石等あるので、負傷者に向かって直線に向かわないように」言われてみて、ごもっともですが、現実にはありえない「理想化された、試験管の中」での救助訓練を行うのに精いっぱいな自分がいて、こういった現場を想定してのシュミレーションはとても必要だと思いました。

・シュミレーション(2)(要約)
 パーティーで滝を登攀中、3人目が足を負傷、一人(救助者)が事故者まで下りて、傷の様子を見る。(滝の上には安定した場所がないので)、全員事故者まで懸垂で下りる、交代しながら河原まで下す。

12:10 スクラム渡渉

 渡渉には自信があったものの、ことごとく空回りでした。スクラム渡渉は、川の流れに対し、右図で、Aのように渡るのがスズラン流とのこと、そういえばそうだ。当初、うっかり、深瀬教室(B)で教わった方法で渡ってしまった。以前も指摘されていたが、忘れていました。深い理由はありません。単純に忘れていたのです。事前に説明があったのですが、ドタバタしていて聞きそびれました。すみません。

12:30 末端交換法(トップ)

 これも事前に復習していったものの、復習の資料にたまたまグリップビレイのように持つ写真を載せてしまい、そっちを復習してしまいました。実演の後、そんなもち方をする必要はなく、ロープに体を預け、(ごぼうの逆のように)片手ずつロープを持って渡って行けば良いとのこと。そういえば、そんな写真もあったと、そんなこともしたと、しばらくして後、気がつく。

末端交換法(二番手以降)

 これも、なぜか自分は「深瀬教室のロープを両手で持って、渡る記憶」がこびりついていて、そっちをしてしまい、渡った後、トップの時と同じくロープに体を預けてよいとのこと。
 
 記憶違い3連発、唯一良かったのは、逃げずに挑戦したこと? 昨年の救助訓練が雨で流れて、久しぶりだったという逃げもありますが…

13:15 末端交換法(ラスト)


【最後に】事前に確認しておいた、半マストが無事、差し障りなくできたのは良かった。忘れたころにやってくる、シートベンドは事前に復習が必要でした。必要不可欠なことはしたし、行っただけのことはしましたが、今回も反省点はそこそこありました。

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