2012年9月15-17日
「どんなことになるのだろう」そう山行中に考えるのは、ないかあっても1回が普通。今回、そんなことが5−6回、とてつもない山行でした。それでも、行けてよかったですし、以前から「一度は」と思っていた、アルパインクライミングを体験できて本当に良かったです。当初は、1日目南陵〜一ノ倉岳、2日目中央稜〜北陵下降でしたが、2日目の中央稜〜北陵下降は、中止となりました。今の実力からすると、それも当然だと思います。
今回の山行の大まかな位置図 赤:登り、黄:下り(共に手書き) |
L:M井さん、メンバー:N片さん、自分
15日
【コースタイム】13:45 練馬IC−15:50 水上IC−16:00頃/16:45 近くのスーパーで買い出し−17:00/17:10 土合駅近くの駐車場−18:00 一ノ倉沢出合
18:10 一ノ倉沢 |
21時ころ、増水:そもそも、「何かあっても、高台に避難すればよいということで沢から5−6mのところに設営した」のですが、21時ころ沢の音が大きくなって、テントの外を見ると川から水があふれ出し、深さくるぶしくらいまでの水が目の前を流れていました。テントを高台に移動する。その後、雨はすぐに小降りになりました。
16日
【天気】 晴れのち曇り、時々雨
【コースタイム】5:55 一ノ倉沢出合−8:45/9:00 南陵テラス−13:10/13:50 南陵・終了点−18:30 ビバーク地点(5ルンゼ手前?)
5:50 出発前に写真 |
一ノ倉沢出合の高度計の標高(835m)
6:05 |
6:07 雪渓 |
一ノ倉出合〜南陵テラス
前回は渡れた雪渓が崩壊しており、左岸の雪渓脇を登り、(雪渓を渡らないで)右岸に渡り、前回と同じ場所から懸垂で下りました。懸垂は、トップがリーダー、セカンドN片、ラスト:自分でした。
6:50 懸垂で下降 |
南陵テラスまで、登るのにロープが使われたのは1回のみ、なぜここでというくらい簡単な場所でした。その他、確かに暑かったですが、前回ほどは暑くなく、順調に進めました。
8:55 南陵テラスより |
南陵テラスで休憩(高度計の標高1325m)5−6人は休憩できる広さ
【今回の服装】山用半袖、山用長袖、山用ズボン、街用の靴下(もっとちゃんとしたのにしなくては)、クライミング用グローブ。南陵テラス〜終了点:クライミングシューズ、他は運動靴(自分の場合)
9:05 南陵テラスより |
終了点まで、リーダーがトップで、セカンドN片さん、ラスト:自分。2本のロープを使い、赤ロープをセカンドN片さんが登り、N片さん5mくらい登った地点で、青ロープで自分も登りました。でも、N片さんに追いついてしまい、あえて、少し間隔を開けて登ることが多くありました。ATCガイドというのは、手を離してもよいように設定可能なので、二人を同時に登攀させることができるのはとても便利だと思います。でも、テンションをかけた場合、解除が面倒なので、二人同時登攀の場合、基本的には落ちれない(何度も落ちてはいけない)。
1ピッチ目:たいしたことないだろうとグローブをしていったら、かぶっていて思ったより難しかったです。今更、グローブを外すのも時間がかかるし、グローブをつけたまま延々というわけにもいかず、ヌンチャク掴んで突破。
3ピッチ目を登る前、N片さんにロープを出しやすいよう優先して渡したら、最後のところで絡まっていて、リーダーは出発してしまう。簡単な草つきのルートなのでビレイせず、ロープを持って通過。その後、ビレイ役は自分になりました(1、2ピッチは赤ロープN片ビレイ、青ロープ自分ビレイ→4ピッチ目以降自分が赤、青ともにビレイ)。
11:40 N片さんより、いただいた写真(ありがとうございます) (左写真:登るリーダー、右写真:ビレイする自分) |
13:00 登る自分、ビレイするリーダー (N片さん写真、ありがとうございます) |
5ピッチ目のリーダーが登攀中、先ほどまで晴れていたのがウソのように、雨が降ってくる。N片さん、セカンドで登るもあと2−3mで5ピッチの終了点という所が、濡れていて通過できず、ごぼう(ロープをつかんで)で通過。そのあと、自分が挑戦したら、特に問題なくごぼうを使うことなく登れました。
まだ晴れていたころ、中央稜で大きな落石あり、その他雪渓の崩壊でしょうか、ときどきどーんという音。
13:35 南陵・終了点より |
5ピッチ目を通過後、しばらく雨は止み、無事終了点に着く。穏やかに休憩。虹も見れました。終了点は広さはあるものの、南陵テラスほど平らでなかったと記憶してます。
【他のパーティー】一ノ倉沢出合;テント8張りほど
南陵:二人×4パーティー
中央稜:二人×3パーティー
その他2パーティー程度
南陵テラス前でロープを出した場所で二人組に道を譲り、テラスの前で二人組に道を譲り、3ピッチ目で二人組に道を譲る
13:45 南陵・終了点より、虹 |
終了点出発後、再び小雨、登れるところも登れなくなり(おそらく降らなければロープを出さずに通過できたと思います。「一ノ倉出合〜南陵テラス」と同じくらいの難しさだと)ロープを1本出し、基本的にN片さんが、セカンドで、タイブロックで登る。
13:45 |
烏帽子岩手前の凹角でN片さん、進退窮まる、ごぼうでも抜けられず。仕方なく、リーダーより、「ザックを下して」通過するよう言われ、ザックを外したら無事通過。
自分はN片さんザックを自分の1m位前にインクノットでロープにセットし、ザックを上げながら登りました(N片さん、上でロープを引っ張る)。N片さんが進めなかった場所は、N片さんのザックの処理に手間取り、ヌンチャクをつかんで処理したものの、自分の感想としては「それほどのこともないじゃん」、通過。
N片さんが苦労した手前で、リーダーが打ち込んだハーケン(L字型に岩がなっている所に打ち込まれた)を外そうとしましたが、外そうとハンマーを打ち込めば打ち込むほど、奥に入ってしまい、回収をあきらめました。
(悪循環)行動が遅いから、天気が悪くなる前に突破できない→雨が降ったからグレードアップ、時間がさらにかかる→さらに時間がかかったら暗くなりさらに時間がかかる。
17:10頃、大休止。20分ほど息を整える。そこそこ平らな場所で、自分などはこの位置でビバークを勧めましたが、リーダーより「もう少し上がればよい所が」と言われ、ヘッドランプをつけてさらに上がる。
5ルンゼ頭の手前にてビバーク(高度計の標高1765m):5ルンゼをこの暗さで突破するのは危険ということで、その手前でビバーク。今までで一番ビバークと言えるビバークでした。先日行った明神谷の時もビバークでしたが、余裕が多少ありました。ヘッドランプをつけなければ作業が基本的にできない状況で、ツエルトをかぶるというビバーク。周囲はぎりぎり3人分の広さ。すぐ脇にセルフビレイをとれるリングボルトあり。
雨具を着て、防寒具も着て、自分は個人用ツエルトを持ってきていたので、それを足回りにかぶりました。小さいツエルトでしたが、ずいぶん暖かかったです。
イメージ:ビバーク地点 セルフビレイをとれるリングボルトのある岩 寝た1.7m×1.7m程度のスペース |
17日
【天気】 曇り時々雨、風強し
【コースタイム】7:45 ビバーク地点−9:00/9:30 一ノ倉岳山頂−13:30 清水街道に合流−14:25/15:50 一ノ倉沢出合(テント撤収)−16:55/17:35 土合駅近くの駐車場−17:55/19:00 温泉−(スーパーで夕食を買い、すぐ近くの道の駅で夕食)−19:50 水上IC−22:05 練馬IC
夜の12時ごろから、台風の影響か、風が強くなる。5時に起きて、ツエルトの外に出る。ツエルト内で感じたほど、風は強くはないが、リッジの通過は怖く、出発したものの危険なので引き返す。再び、ツエルトをかぶって待機。待つこと、1時間強、リーダーが動く。ビレイするよう言われ、リッジにロープをセットして戻ってくる(この時、途中に結び目あり??、一度引き返す)セットしたロープにカラビナをかけて通過、トップ自分、セカンドN片、ラスト:リーダー。
ビバーク地点の出発前(5:45)の高度計の値:1790m
山頂まで風は強いものの、通行に困難なほどではありませんでした。
9:00 一ノ倉岳山頂 (高度計の標高1940m) |
山頂手前は、笹薮の中、ピークが現れそうで現れませんでしたが、9時少し前に、登山道に出て、山頂が見えて、無事山頂。
風が強いので、避難小屋で休憩。避難小屋は2−3人収容の広さで、(ごみがないという意味で)きれいでした。
9:00 一ノ倉避難小屋 |
下山路は、熟達者向きのコース、笹が刈り払われた後で、道ははっきりしているものの、枯れた笹落ち葉の上は滑りやすく、慎重に歩きました。時折岩場有り。
12:20 もうすぐ下の行程図でE地点 |
芝倉沢出合手前で風がかなり強くなり、藪の中に入り、一時風が収まるのを待つ。
12:45 芝倉沢下降(後ろを振り返る) |
こんな沢の下降あったっけと思いましたが、よくよく地図を見直すと、きちんと沢の下降の部分がありました。
13:30 下の行程図でF地点(蓬峠よりの登山道に無事合流) |
沢を下降して、右岸にわたり、蓬峠よりの登山道に無事合流。ここより樹林帯、風も上の方でガサガサ言っているものの、林内はほぼ影響なし。道も平らで、マウンテンバイクなら走れる(素人でも)広さです。
無事、テン場に着く、先に着いたのでとりあえずお湯を沸かし、一息つく。
暗闇の中移動したので、気がつきませんでしたが、慰霊碑の前に設営してました。
16:00 さようなら一ノ倉 |
今回の山行のおおまかな行程図(一部) A:一ノ倉沢出合→B:南陵テラス→C:南陵・終了点→D:ビバーク地点→ E:芝倉沢出合→F:蓬峠よりの登山道に合流→A |
近くのスーパーで、夕食を買い出し、すぐ隣の道の駅で夕食。
【次回へ】N片さんのミスを多く書いてしまった。でも、今はそれほど怒っていません。というのも、あの姿は昔の自分の姿に他ならないので…、もっとひどかったかもしれない。
ホイッスルコール:リーダーの声届きにくく、N片さん2度、リーダーのOKなしに出発。自分の考えは、ホイッスルコールを再度整理するしかないと思います。私案としては、ホイッスルの使用を極力減らし、ホイッスルコールをできる限り単純にする。人の声とホイッスルの併用、トップの人はビレイ解除のみホイッスル1回、セカンド以降の人は「登ります」のみホイッスル1回。
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