大井川 明神谷(アザミ沢−大根沢山−西河内下降)

 当初は、15−19日「明神谷〜西河内下降〜信濃俣河内遡行〜仁田岳」の予定でした。ところが、S野さんの体調が不調のようで、「信濃俣河内遡行〜仁田岳」の部分は中止となりました。個人的には、当初の予定通り行くと19日の行程がきついうえに翌日出勤なので、行きたかったものの、少しほっとした部分もありました。その他、現実問題として、18日の天気が予報より悪化して、雷雨になり、あきらめていて良かった、というのもあります。

【山域】南アルプス南部
日付:2012年8月15−18日

L:F川さん、メンバー:S野さん、自分

【今回の事前調査】前回同様、尾根と沢を描くということをしましたが、中途半端なせいか、それほど効果はありませんでした。
 過去の記録をネットで探しました。下の行程図においてA→F:記録多し(最も一般的な記録であることが予測される「関東周辺の沢」を利用)。一部違いますが「アザミ沢−大根沢山−西河内下降」につきまして、自分の会の記録に、2000年7月に行った記録がありました。特に、F→M間はそれ以外記録が見当たらず、お世話になりました(遡行図の文字が小さくて読みずらいかも)。当初予定していた、信濃俣河内遡行〜仁田岳の部分は、記録はあるものの遡行図が見当たらず、記録にある支沢が地図上のどこの沢のことか理解できませんでしたので、明神谷に向かう車の中でリーダーに聞くと、ネットには出ていませんが、書籍の中に資料があったとのこと、空き時間にそれを写させていただきました。

8月15日
天気:曇り時々雷雨
【コースタイム】9:10 東名川崎IC−11:10 新静岡IC−11:20/12:10 コンビニで買い物+近くの「道の駅」のようなところで昼食−15:00 畑薙第1ダム
 畑薙第1ダムのバス停(屋根付き)は、夕方よりバスは来ないので、朝早くバス停を出れば一晩、すごせます。

今回の山行の大まかな位置図
 A:駐車場→B:C1→C:C2
 赤:沢登り(下降)、黄:登山道(藪漕ぎ)・車道

畑薙第1ダム

16時の気象通報を取る時間があり、リーダーもこのために高価なラジオを購入しまして
自分が天気図を取りました(15日12時発表の天気図です)久しぶりにとったので足らないところがあると思います


8月16日
天気:晴れ
【コースタイム】4:25 畑薙第1ダム−4:30/5:30 夏季臨時駐車場−6:25 明神橋−6:50/7:30 入渓点(取水口)−10:45 オウダ沢との二俣−13:30 西魚岳沢との二俣−13:50 魚無沢とアザミ沢との二俣(C1)

5:00 朝焼け

駐車場は7分くらい入っていました

 明神橋よりの登山道は、ヒルがいるという噂でした。自分は先頭を行っていたので、2番手、3番手の人に比べてヒルに食いつかれずらいのでしたが、入渓地点でヒルチエックをしたら、自分の左ふくらはぎに1匹おりました。2cm弱の小さなヒルで、少し抵抗されましたが無事、取り除けました。2番手、3番手の方はもちろん食いつかれていました。これ以降は、最後の吊り橋の地点(そうでなく高巻きした時?)で1匹現れただけで、沢沿いにはあまりおらず、獣道のような所にいるのでは、ということでした。

6:55 入渓地点(高度計860m)
 左から入りました

【今回の水量】普段水がなく、苔が生えている位置より5cmほど上まで水位があり、平水時より、少し多いようでした。
 沢装備になっていると、あるものを忘れたことに気がつく、それは「管付カラビナ」、装備表に書いているわけではないですが、やはり常識です。リーダーに申告して、自分の(単なる)カラビナを渡し、リーダーの管付カラビナを借りました。

右の写真を拡大 7:55 前方にカモシカ

 出発して、少し進んだ頃、前方にカモシカが現れました。しばらく、逃げずにこちらを見ていましたが、10秒後ほどでいなくなりました。

8:10 950m二俣(左より)


8:22

8:42

【今回の服装】沢の中では、自分のいつもの格好(ファイントラック下着に、沢用ズボン、薄めの渓流ソックス、スパッツ、リストバンド、指空きグローブ)。山用長袖を、今回は、泳ぎ用長袖にしました(「信濃俣河内遡行〜仁田岳」で泳ぐという情報でしたので)。16日の夕食前、一時雨具(上)を追加しましたがその後暑くなったので脱ぎました。就寝時はシュラフカバーでちょうど良かったです(自分の場合)。

8:45

【今回のロープワーク】行動中、懸垂を2度ほどし、40mの滝でロープを使いましたが、大無間へのルートをとる「関東周辺の沢(書籍)」などは「ザイルも不要」とあり、そういう沢なのでしょう。

9:08 近くに行くとそうでもないですが、遠くから見ると矢印の岩は雪のように白く見えます。


9:22 支沢の高い滝
 この滝は脇を通過しただけです。

9:32 この岩はいつまで転がらずにいられるか


9:55 左を行ったと思います

10:00 右を大きく高巻いた巨岩
10:00 近づいてみましたが、登れそうにないです

10:40 高巻き終了
 右を尾根まで高巻きました。下降の際、最後の10mほど、懸垂で下りました。

10:45 オウダ沢との二俣(右奥)

 高度計の標高は1040mでした。入口は小さいですが、奥を覗くとやはり大きな沢でした。

10:45 奥をのぞくと、小さいのは入口だけのようです


11:05 岩の間から光
 今回自分が撮った写真の、全般に言えますが実際はもっと薄暗いです。

 ここにアップされた写真は全て変に明るくなってます。実際は、もっと暗く、幽玄な沢といった感じです。写真は、真実ではありません。極端な話、今回の写真設定は適切なものではありませんでした。写真を撮るなら、事前に明るい沢の場合、幽玄な沢の場合、と行く前にきちんと設定を変えるべきかもしれません。

11:12


11:25 左を行ったと


11:38

 ここの箇所は、登れず、手前の滝右を、尾根まで高巻きました。下り口を探しながら、トラバースし、4、5本の滝をついでに通過。

11:55 高巻き終了


12:00 休憩(高度計の標高1125m)

12:33 倒れた木

 ネットなどを見ると、イワナなどいるようですが、今回自分だけでなく、他のメンバーも含めて、魚影は見られませんでした。もっとも、3人とも釣り師ではなく、本格的に釣りをしている人が見れば、違う結果になったかもしれません。少なくとも、うようよいる沢ではないです。

13:14

13:25 崩壊地を通過
 こういった場所は多く見られました。


13:28 西魚岳沢との二俣(高度計の標高1240m)

13:29 一段高いところを歩く


13:55 大岩

13:55 魚無沢とアザミ沢との二俣
 (高度計の標高1300m)

 ここより、ほんの少しアザミ沢に入ったところをテン場(C1)としました。

16日の行程図
A:明神橋→B:入渓点→C:950m二俣→D:オウダ沢との二俣→E:西魚岳沢との二俣→F:魚無沢とアザミ沢との二俣(C1)
沢を水色で手書き、尾根を灰色で手書き

薪は豊富にありました


本日のテン場

自分が天気図を取りました(16日12時発表の天気図です)久しぶりにとったので足らないところがあると思います
焚火
 点けるときは風上から


8月17日
天気曇りのち雨、時々雷雨
【コースタイム】6:30 C1−7:15 標高1430m二俣−7:50/8:45 40mの滝−11:00 稜線−12:30 大根沢岳−(途中道に迷う)−16:00 西河内沢下降点−17:00 ビバーク地点(C2)

【他のパーティー】山行中(入渓〜駐車場手前まで)、一人の人にも出会いませんでした。

6:50 小滝の連続


6:55 左を巻き気味に通過した記憶があります


7:05 1430m二俣はもう少し先


7:30 1430二俣
 左の方に進みました

7:45 40m大滝が見えてきました。


40mの滝


40mの滝をトップで登るF川さん(1) 40mの滝をトップで登るF川さん(2)

 40mの滝は、下部のみ直登し、それより上は右を巻き気味に登りました。4ピッチ切り、最後のピッチはそれほどでもないのでロープはつけるだけで登りました。F川さんより、登っているところを撮ってほしいといわれ、自分はセカンドで登り、S野さんと、F川さんで、トップとラストを交代しました。
 F川さんがまず、空身で登り、次にザックの荷揚げにスリングを使い、自分がセカンドで登ろうとすると、スリングが足りないのに、こんな時に限ってタイブロックを持ってきていない。スリングはS野さんに借りました。クレムヘイストにつきまして、結び目をどう処理するかあやふやで、家へ帰って、再確認、自分のものになっていませんでした。
 再び沢に下りたのが、8:45、高度計の標高1555m、登るのに1時間かかりました。水を浴びて、躊躇する部分はあったものの、落ち着けば問題なく行けました。

9:20

9:45 1615m二俣
 左へ行きました。右はほぼ枯れていました。


9:50 1660m二俣 左へ行きました


10:10 1745m二俣 右を行きました

10:25 高度計の標高1800mの地点で水をくみ、それから少し進んだところで水は枯れました。
 この頃、S野さんの調子が上がらないので、「信濃俣河内遡行〜仁田岳」はあきらめることが、決定しました。
11:00 高度計の標高1900mの地点にて、稜線に出ました。
11:45 2127mにて休憩(高度計の標高2090m)

11:55 大根沢山の山頂まであと少し

12:30 大根沢山山頂  

 大根沢山山頂は地味なピークでした。

【今回の読図】今回の山行において、地図読みミスを3回してしまいました。1回目は大根沢山山頂からでした、大根沢山から北西1849mピークに向かうのが正しいのですが、当初、北東2137mのピークに向かってしまっていました。理由としては、(1)2137mに向かう赤テープがずいぶん明瞭だったことと、(2)自分がおかしいことに気が付き、S野さんに声をかけたのですが、S野さんいわく「北北西に向かっている」で、自分もS野さんに反論するほど、疑いを持ちませんでした。コンパスは現在地を当てる位置が適当だと、結果も適当になります。引き返して、元の位置に戻り、改めて、探すと、北西へのルートの赤テープはありました。(3)「疑問を持った時には、リーダーに伝える」重要なことはリーダーに伝える。
13:40 引き返して元の位置に戻る(高度計の標高2200m)
 2回目、大根沢山から正しい道を1849mに向かって下りていくと、赤テープがぽつんと消えてしまいました。実際は、東側に少しトラバースすると再び、赤テープが出てくるのですが、赤テープがなくなったうえに、それまでずっと斜面を下っていたので、トラバースは受け入れ難く、赤テープを探しに下ってしまいました。この辺りから天気および視界が悪くなり、向かっている方向を特定するのに手こずったというのもあります。赤テープを探しに、急な斜面を2往復しました。今回、リーダーがメガネを忘れ、細かい、地形を読むのに手間どったというのもありますが、そもそも自分がリーダーに細かい地図読みを依存し過ぎていました。確かに、読もうとしていて、読んでましたが、「リーダーの言っていることを確認するための地図読みしかしておらず、実際ミスすると指摘できなかった」というのは、あるかもしれません。
 3回目は、最終日なので、翌日の部分に書きます。

15:40 ここから下降?
 正面にあるはずのない小さな岩稜が、ここじゃない

16:00 ここから下降

 「1849m手前の小さなコル」からの西河内沢は、傾斜は穏やかですが、ガレガレの沢でした。時間も遅くなってしまったし、とりあえず水と平らな場所があるまで行こうということですが、水がなかなか現れませんでした。水が現れ、リーダーは、より平らな場所まで行きたかったようですが、S野さんもだいぶ遅れてましたし、自分も一息つきたかったので、「今日はこれくらいにしておきましょう」

17:00 ビバーク地点(C2)
 ツエルトの上にタープを張りました。タープがあるので、雨が降っていても、ツエルトの外に荷物を置いても大丈夫です。ツエルトを設営の際、支柱が必要でしたが、手ごろな木が見当たりません。渡渉があるというので今回、ストックを持ってきていましたので、「これを使ってください」と自分のストックを出しましたが、前回使用した時と違いその伸縮式のストックは上の部分が調節が効かず、いくらやっても固定することはできませんでした。仕方なく、2段あるうちの下の段のみ伸ばして、支柱にしました。家に帰って改めて確認したら、固定できましたが、要は少しでも濡れたりすると、とたんに使えなくなるようです。ストックを使うこと自体はあきらめないですが、このストックはもう廃棄です。
 雨も降っていましたし、時間的に遅くもあり、明日下山することもあり、焚火はしませんでした。天気図も、もう放送が終わっていました。
 ビバークということで、それほど平らな所ではありませんでしたが、ザックを下に敷いたり、衣類等を敷いたりで、ずいぶん平らになりました。

17日の行程図
F:魚無沢とアザミ沢との二俣(C1)→G:1430m二俣→H:1920m小ピーク→
I:大根沢山→J:1849m手前のコル→K:ビバーク地点
沢を水色で手書き、尾根を灰色で手書き

 今回、久しぶりに食当を担当しましたが、量・質とともに多すぎました。夕食は、キムチに、野菜スープ、FD卵丼の具(親子丼?)、肉団子。朝食が味噌汁に、魚の煮たの(5−6cm)を一人3匹程度、もやしの漬物のようなの一袋。それに出しはしませんでしたが、ふりかけ、ミニカレー、乾燥サラダ、ありました。家で実際に作ってみて、分量を確かめるといい、など言われました。食べられないようなものを出すのは論外として、不安なのでついつい買ってしまった。1泊2日なら、少しは許せるが、それを超えるときはきちんと軽量化を考えないと

8月18日
天気:曇りのち雨、時々雷雨
【コースタイム】7:40 C2−9:10 1060m 二俣−11:00 畑薙湖−11:30/12:05 吊り橋−12:15 林道−13:10/13:35 夏季臨時駐車場−13:45/14:20 温泉−16:15 新静岡IC−18:55 東名川崎IC

6:15 ビバークした地点

 朝になると、天気は回復していました。前日の晩は「雨による増水で、信濃俣河内の渡渉は大変だろうか」等考えましたが、とりあえず回復したので問題の一つがクリアー。
7:40 ビバーク地点(高度計の標高1425m)出発

7:50 実際は、もっと薄暗かったですが、こんな場所を通過もしました

8:00 二俣(高度計の標高1280m)
8:25 二俣(高度計の標高1165m)休憩
 右岸より小さな支沢、5分ほど前までずっと左岸を歩いていましたが、ここで右岸へ、それから後は右岸、左岸と行ったり来たり、でしたが左岸を歩くことの方が多かったです。

8:45 タバ沢との二俣(高度計の標高1145m)


9:00 河岸段丘ではないですが、川が2段になっているところが多かったです

 昨日は、疲れていたこともあり、リーダーに「このくらいの場所で設営を…」でしたが、沢が河岸段丘のように2段の地形になっていて、簡単に上がれる高台が多くあり、ビバーク適地は多いと思います。

9:10 二俣(高度計の標高1055m)

 ここが信濃俣河内本流との出合だと思います。でも、遡行しているときはこれが1本手前のカバ沢との二俣と思い込んでいて、その後は「いくら進んでも本流に合流しない」と嘆いていました。確かに「下降の際、沢を正確に読まなくても、下降していけば集約されていく」のですが、(登っているときに比べたら、手を抜いても大丈夫ですが)、大雑把な位置くらいは把握しないと、やはりダメということです。

9:20 川の中に島のように大岩

それほど深い渡渉はありませんでした

 この時点で本流に入っていましたが、この時は確信が持てなくて、「本流と合流したら、この倍に水量がなるどうしよう」等思っていましたが、それも杞憂に終わりました。昨日、2段あるうちの一段が固定できなかったストックは、下の段を伸ばすことで長さがちょうどよくなり、ストック渡渉に使えました。

10:30 川の流れが変わって不思議な風景が

 途中右岸に、赤テープが点々と現れましたが、何かを調査するための目印のための赤テープでした。

10:45

 「これほど大きな沢は他に考えられない、別の沢でなくきちんと信濃俣河内にいる」といういことで進んでいたら、向こうに見えるのは湖、畑薙湖でした。目的地、無事到着。

11:00 畑薙湖が見えてきました

11:02 以前は林道が通っていたそうですが、すっかり崩壊してしまいました(右岸)

 右岸には、以前、林道が通っていましたが、痕跡のように見えるだけでとても通過できそうにありません。それより下流も、右岸には上がれるところはなさそうです。となると、左岸より巻いて、吊り橋に上がるしかなさそうです。F川さんが探すと、篤志家向き(いわゆる登山道ではないという意味で)ですが、ルートが見つかりました。

11:30 リーダー出発

噂よりは、立派な橋でした

 事前の情報では、この橋がかなり怖いとのこと。確かに怖いことは怖かったですが、補修等されているようで落ち着いて足を運べば危険な橋ではないようです。まず、リーダーが行き、次に自分、最後にS野さん。念のため、カラビナ+スリングを手すりに付けながら進みました。自分の場合、少しスリングが長すぎて1度引っかかりそうになりました。リーダーより、こういうスリングの適切な長さのような「瞬時の判断に弱い」ことを指摘される。自分が渡る途中で、小雨がぱらつき、遠くで雷鳴が聞こえました。「あせらず、あせらず」で無事、渡り切りましたが、他の二方からは危険な橋ではないのですから、もう少し速く行ってほしかったとのことです。

12:00 S野さんも、渡り切って

来た道を振り返って
 先ほどまでは、川べりを歩いていました

【使わなかった装備】共同装備:ライフジャケット(S野さん)、個人装備:(結果論として)防寒着、雨具(下)、細引、メタ、巻紙、応急パックとテーピング、医薬品、防虫ネット(使うほど虫はいませんでした)、釣り道具

17日の行程図
K:ビバーク地点(C2)→L:カバ沢との二俣→M:本流との二俣→N:屈曲点→O:吊り橋
沢を水色で手書き、尾根を灰色で手書き

12:40 畑薙湖第1ダム

帰りの車の中では、ずいぶんと雷雨、この雨の中、山中にいたらずいぶんきつかったです。新東名は、走っている位置が高く、車よりの眺めが良かったです。

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