黒部・上の廊下+赤木沢

日付:2011年8月13−17日(前夜発)

L:F川さん、メンバー:S野さん、F浦さん、自分

 今回、お盆の沢登りとして、黒部・上の廊下が計画されましたが、ずっと前から「上の廊下」をとてつもなく恐ろしい所だと思い込んでいて、不安でした。ずっと先の、将来のお話だと思っていました。調べてみると、自分でもなんとか行けそうで、実際に行ってみると、確かに今回、前日等にそれほど雨が降っておらず水量が少なかったのですが、かなりの部分が平らな川原歩きで、「あれ?」という感じも確かにありました。
 そんなこんなで、今月発売の2011年9月号の山と渓谷を読む、特集は谷川岳、「魔の山」であります。確かに、気象条件が悪い時は「魔の山」ですが、そればかりしか頭にないと「え?」という感じです。「近くて良い山 谷川岳」というのもまた事実です。
 確かに簡単な所ではないですが、(水量、天気)条件が良い時を選び、ある程度のトレーニングさえつんで、上級(中級)者の人と行けば可能な場所かもしれません。
 今回は、天候的には非常にラッキーでした。あくまでも、今回のみの感想ですが

今回の山行の概念図(赤:沢登り、黄:登山道)(手書き)(S:スタート、G:ゴール)

12日
 松本駅に24時頃到着、改札口を出ると山ヤさんがたくさんいました。自分も、朝4時32分の電車が来るまで一休みですが、アナウンスが延々と鳴っていてうるさかったです。近づいて覗き込むように見るような人(酔っ払い?)もいましたが、赤の他人でした。

13日
天気:晴れ時々曇り、夕方小雨
【コースタイム】4:32 松本駅−5:11/5:23信濃大町駅−5:47/6:32 扇沢−6:44 黒部ダム−6:50/7:20 黒部ダムレストハウス−7:50 ロッジくろよん−11:00/12:00 平の小屋−12:15 平ノ渡場−14:05 奥黒部ヒュッテ−14:15/14:50 入渓点−15:00 熊ノ沢との出合C1

5:50 扇沢にて(バスの出発待ち)
6:50 トンネルを通って、黒部ダムへ
6:51 黒部ダム
6:51 観光客の方が多いようです

 出発する頃は、半そで山シャツ+泳ぎ用長袖+山用ベスト、下は山ズボンでは、ちょっと寒いくらいでした。雨具を着ようかと迷いましたが、出発して動いたら、すぐ暖かくなりました。

7:00 黒部ダムレストハウス

7:20 出発

7:20 黒部ダム・放水
 ド迫力

 ダムの放水は、ド迫力だし、眺めていたかったのですが、他の3人がどんどん行ってしまい、とりあえず写真だけは撮っておきました。

7:35 かんば谷橋
7:50 ロッジくろよん ここら辺から登山客だけになったか
7:53 タンボ沢にかかった小橋を渡る
8:11 小橋を渡る

 7時53分の小橋と8時11分の小橋の間に、もう1本さらに小さな小橋(8時3分)がありました。前からそうですが、小橋を撮るのが好きです。小橋は、趣のあるのが多いし、川を渡るので現在地も特定しやすいので。

8:32 御山谷にかかった小橋を渡る
9:20
 黒部湖を観光船が行く 
9:20 
10:25 中ノ谷にかかった小橋を渡る
11:00 平の小屋

 前日、あまり眠れなかったこともあり、この頃だいぶ疲れていた記憶があります、船が出発するまで1時間、休めて良かったです。

11:50 このルートを先に進むには、湖をボートで渡らなければならないのです。

大きい方のボートにのります
12:01 ボートに乗って

 山登り(沢登り)に来て、ボートに乗るなど初めてだと思います。ゆっくりとボートは進んでいく。乗車は10名程度。この時の風の強さにもよりますが、それほど揺れませんでした。

出港です
黒部湖を渡る
 (あまり意味のない動画ですが…)

12:15 平ノ渡場、船を下ります。乗る時は乗り場がありましたが、下りる場所はとてもシンプル、うまく下りれるだろうかと思いましたが、特に何の問題もなく下りれました。

12:27 余裕のF川さん
12:50 小さな小橋
13:03 この近辺で、梯子多数、登っては下りて
13:25 ここで休憩

 ここまでずっと休憩するような場所がなく、ようやく休憩です。

13:45 ここにも小橋
13:50 道が平らになって
13:57 東沢谷にかかった小橋(矢印)を渡れば

東沢出合キャンプ地です。

14:03 東沢出合キャンプ地
14:05 奥黒部ヒュッテ

奥黒部ヒュッテから東沢出合キャンプ地に戻り、黒部川に向かって踏み跡をたどっていけば入渓点です。

14:45 入渓点を出発
14:51 2−3回渡渉をして
18:15 本日の寝床
焚き火

 薪はそこそこありました。

14日
天気:晴れ
【コースタイム】6:55 C1−8:45/9:15 口元ノタル沢先のゴルジュ−12:50 金作谷との出合−15:10 標高1692mの二俣C2
 14日朝、生まれて初めて自分一人で焚き火をつけました(前日の残り火ありましたが)、着火剤を借りたものの無事着火、特に新しいことはしていません。焚き火の床を大きい木で作り、その上に小枝(前日のうちに乾いたものを集めておく)を置き、まず小枝を燃やして、中くらいの木をどんどん追加していくことで安定した火にさせる。前日等に、雨が降っていないので、逆につかない方がおかしいのですが、それでもきちんと行程をこなし、無事焚き火ができました。F浦さんはもう起きてましたが、他の人に、「焚き火ができたよー♪」声をかける。 

6:52 さあ、出発

 「泳ぐ」→寒いことが予想されるので、防寒具を除き、着れるものを着こむ。
 上:ファイントラック下着半そで+山用下着長袖+泳ぎ用長袖+釣り師がよく着るポケットの多くついたベスト、リストバンド+指先の空いたグローブ
 下:ファイントラックのトランクス+山用下着くるぶしまで+沢用ズボン+泳ぎ用タイツ、厚めのネオプレーン靴下、スパッツ
これで行動中はちょうど良かったです。暑いなと思う頃、また渡渉があって

泳ぎ用長袖 泳ぎ用タイツ
7:43 しばらくは川原歩き
 
7:55 8:00
下の黒ビンガ

【今回の水量】昨年、上の廊下に来たS野さんからは、「昨年よりはだいぶ少ない」(とのような)ことを聞きました。
「下の黒ビンガが左岸に現れ、ゴルジュになる。平水なら少し深い腹程度の渡渉ですむが、ここから泳ぎか高巻きになる場合は遡行はかなり困難なものとなるだろう」(実践! オールラウンドクライミング 東京新聞出版局)
 今回は平水か、それ以下で、以上ということはないです。

8:15 休憩

 この休憩まで、スクラム渡渉を4回ほどしました。当初は渡渉を何回したか数えるつもりでしたが、数が多くなったので早々にあきらめました。

右に支沢 左写真の奥の風景
8:30

8:32 スクラム渡渉

 上のスクラム渡渉の写真は3人でしていますが、これは自分が通過できそうだったので先に行ってしまっただけで、その後、念のため3人でスクラム渡渉をしたというものです。これ以外は自分が右手にストックを持っていたので右端になり(ストックに流れ止めをつけるので基本的に右手と決めたら右手のみ)、F川さんが木の棒を持っていたので左端になり横一列でスクラムをしました。4人でのスクラムは非常に強力で、たいていの場所は4人でのスクラム渡渉で通過できました。一度のみ、腰より深くなる渡渉で、一瞬、両端の自分とリーダーの足がつかない場面もありましが、真ん中の二人のおかげで特に問題なく通過できました。
 その他、スクラム渡渉をする時はザックのウエストベルトを外すこと、外せば腰以上の深さの時でも、体は浮き上がらず、ザックが浮き上がるのみ。

スクラム渡渉・概念図(左タイプというよりは、右のタイプで) ストックをひもでザックと結わえつけておく

 スクラム渡渉ですが、最初、上の概念図のように、4人が川の流れに対して向き合う形(左タイプ)で進むと思っていましたが、リーダーは対岸に向き合う形(右タイプ)で進むことを考えていたようで、ズレが生じてしまい、話し合った結果、右タイプに落ち着きました。右タイプの方が流れを受けずらいという利点があります。逆に、左タイプのよい所は、メンバーに渡渉に慣れていない人がいる場合、その人を中央に配置し、進む場所を指示しながら渡れるという点でしょうか。今回は渡渉に慣れていない人はいないので、右タイプで。
 その他、縦に一列になって進む(押しくら饅頭式)も一度試しました。

 深瀬教室でストックの使い方を教わったのものの、これまで沢にストック(2本でなくて1本です)は持っていても、さほど役に立ちませんでした。でも、今回は別でした。上の廊下のように渡渉が多く、藪こぎの少ない沢にはストックを持っていくべきです。F川さんのように、木の棒を使うという手もありますが、木の棒よりも断然、力強く握れます。長さも調節できます、お勧めです。とりあえず、パーティーに1本用意しましょう、でも、全員には必要ないかもしれません。
 逆に、渡渉が多く、藪こぎも多い沢ではどうするか、課題です。ストックが藪こぎの際、邪魔になるかと思います。

8:40 右に雪渓
8:41 左は口元ノタル沢
8:41 口元ノタル沢先の、15mゴルジュの遠景
8:43 いよいよ15mゴルジュが近づいてきました
右写真の矢印のように突破しました

 いよいよ今回の山行の中でも、難しいとされる15mゴルジュです。リーダーよりゴルジュの右をへつり、流れが急になる手前から泳いで左に渡るとのことです。自分が挑戦しました。ザックは置いて、ライフジャケットをつけて(必要かどうかは議論が分かれますが今回念のため持って行きました)空身で、あとヘルメットも邪魔になるので外して、ハーネスにロープをつけて行きました。右をへつりながら進む、だいぶ深い所はありましたが、当初の予定の流れが急になる手前まで到達。その奥も進めないことはないですが、この部分は流れが急なので左に渡った方が安全だと思います。で、平泳ぎで泳いで左に進むも岩をうまくつかめず、ゆっくりと元の位置に戻されてしまいました(おやおや)。再度挑戦、2度目は1回目の失敗を活かし、少し上流気味に泳いだら今度は岩をつかむことができ、突破。その後ロープで自分のザックを引き寄せて、ザックピストンでリーダー、S野さん、F浦さんと無事突破。

購入したライフジャケット
救命胴衣TK-24A 船舶検査品 2,520円(送料が1000円かかりました)
対岸に向かって泳ぐ自分
 F浦さんよりいただきました写真です。
 ありがとうございます。以下(F)
9:12 F浦さんをザックピストンで

 15mゴルジュを突破できたものの、「さあ休憩」というわけにはいかず、すぐ上も突破が厄介でした。
 泳いでいる姿を自分では撮れないので、F浦さんより写真をいただいて、非常にありがたいです。自分より良い写真はたくさんありましたが、自分の個人ホームページなので、どうしても必要な以外は自分のを使いました。申し訳ないです。

9:42 ようやく休憩、暖かいものでも飲んで

 泳いだしばらく後は、着こんでいたというのに、寒くてふるえていました。陽の当る場所に来て、リーダーのテルモスのお湯を飲むと、寒さはなくなりました。上記ゴルジュを突破するまでは、二人の夫婦、二人の男性、4−5人くらいのパーティー?と抜きつ抜かれつを繰り返していましたが、ここで引き離しました。

9:55 再び川原歩き
10:10 左に支沢
10:17 崩壊地
10:26 廊下沢との二俣
10:32 再びゴルジュかと思ったものの
10:35 すぐ川原歩きに
10:37 川原歩きも上の廊下
10:52 正面に見えるのは薬師岳
11:00 休憩
11:21 右にスゴ沢
11:26 もうすぐ、上の黒ビンガ
11:30 上の黒ビンガ(入口)をバックに
11:36 上の黒ビンガ
11:36 後ろを振り返っても絶景

 この頃、「カメラの撮影」が止まりませんでした。数歩、歩くとまた撮りたくなってしまって、天気もいいし、ロケーションも最高。来て良かったというものです。進行方向を撮るだけでなく、後ろを振り返ると、またすごい風景でした。

11:36 
11:40
11:41
11:43
11:47 遠近法
11:47 後ろを振り返ると、またすごい風景
11:49 素晴らしい風景をありがとう、上の黒ビンガ
この風景は気がつきませんでした(F) 11:52 右の支沢をバックに
11:53 振り返ると、まだまだすごい風景
11:57 さようなら、上の黒ビンガ
11:57 これはまたこれで、いい風景だと思います
11:58 右に支沢
11:58 日本にもこんなすごい所があった
11:58 1分前、さようならをしたはずなのに
12:13 へつれる場合はへつって
正面の風景 S野さんと、右に支沢 左にも支沢
12:15
12:25 右に支沢のある場所で休憩 12:29 その支沢で水を汲む
12:41

 金作谷出合です。当初は、ここで泊る予定でしたが、ここで泊ると朝早くから「金作谷先のゴルジュ」で泳ぐことになるので(寒い)、時間もあるので、先に進みました。翌日の天気予報があまり良くないというのも理由にあります。

12:46 右から金作谷が合流
12:48 金作谷

 リーダーからすると、雪渓など珍しくもないものなのですが、自分は雪渓を見るだけで撮りたくなってしまいます。

12:51 今回の山行きの2番目の難所である金作谷先のゴルジュが近づいてきました
12:56 左に渡渉して

ここから、左に渡渉して、左をへつるように進みました。

13:05 ここはF浦さんがトップで
13:05
13:17 全員無事突破

 ここで、自分もザックピストンで引いてもらったのですが、何を考えたのか、自分はロープをザックの方にしかつけなくて、ハーネスの方にもつけましょう。それが基本ですし、ふらふらして仕方がなかったです。それでも難なく突破し、「口元の時より簡単だったね」等思っていましたが、実はこれより先にまだまだあるのでした。

13:17 これを少し進んだところで泳いだと
13:29 泳ぐ自分(F) 
13:37 F浦さん、ありがとうございます(F)
 ハーケンにセルフビレイをとって

 自分が先に泳いで、ザックピストンをする際に踏ん張りがききそうになかったので、辺りを見回したところ、下の「13時32分の写真」が示すように、ハーケンが打たれてあったので、それにセルフビレイをとって、ザックピストンで他の方を引っ張りました。
 この場面だったでしょうか。一度自分が先頭で泳いだ時、ロープが足に絡まることがありました。平泳ぎで右に泳いでいて、右足に絡まりました。特に問題なく、外せましたが、その後すぐに繰り出す方のロープが絡み、一瞬立ち泳ぎとなりました。それもすぐに治り、無事渡れました。他の場面では足に絡まることはなかったです。

13:32 13:39

13:43
13:44
13:58 へつる自分(F)
13:58 ザックピストンで
14:02

 この時でしたか、ザックピストンの写真などこれまであまりなく、できればカメラに収めたい。でも、ザックピストンの作業が先決で、撮影は私事です。F浦さんも、突破して、S野さんも突破して、「これなら撮れるかな」カメラの方に夢中になっていたら、F浦さんがリーダーを引っ張る際に、バランスを崩して前につんのめりそうに、S野さんはロープを回収していて、特に問題なく収まりましたが、微妙な判断が難しいです。

15:10 左に小さな支沢
15:10 右に大きな支沢

15:10 標高1692mの二俣(C2)

テン場周辺には、燃えカスのように雪渓が
高台にタ―プを張る
 高台でしたが、石がごろごろしていて(仕方ないです)

14日の行程の大まかな位置図(泳いだ地点は「泳」の字を黄で入れました)

 薪は豊富にありました。ただ単にここがテン場として使われていないだけかもしれません。
 夜は、上はリストバンド、指先の空いたグローブは外し、下はスパッツ、ネオプレーン靴下を脱ぎ、沢用の厚めの靴下に履き替え、防寒着以外は雨具も含めて着こめるものを着こみました。虫はそこそこいましたので防虫ネットがあった方が安心です。その他、ライフジャケットも着こんで寝ました。シュラフは持っていかず、シュラフカバーのみでしたが、これでちょうど良かったです。
 その他、水浸しになるとエアーマットだけでは足りないので、薄くてもいいのでテントマットを持ってくるように、とのことです。

15日
天気:曇り時々晴れ、夕方雨
【コースタイム】7:00 C2−8:56 立石−10:35 立石奇岩−13:00 登山道と合流−14:30 薬師沢小屋

 15日朝はお湯を沸かす所まで一人でできました。前日の残り火を使ったのですが、ライターのビニール袋一重だったのでつかなくなっていました。大物の防水対策はしていましたが、ライターのような小物にまで気が回っていませんでした。

水が入ってこないように
スタッフバッグの入り口をさらにゴムひもで留める

 今回の自分の防水対策ですが、70点といった所でしょうか。確かに、スタッフバッグの中は濡れておらず、快適でした。ですが、ゴムひもで留める所のおさらいが適当で、ほどくのに時間がかかってしまったり、実際にはスタッフバッグだけではたらず、さらにゴミ袋で覆うのですが、そのごみ袋で覆うのを忘れていました。今回水量が少なかったから良かったですが、多かったら徐々に浸水していったかもしれません。あとは、スタッフバッグの中に、パッキングするのは慣れておらず、というよりは普段からきれいにパッキングしていればスタッフバッグの中にパッキングしようとうまく行くと思いますが、最近の自分は大雑把なパッキングが多く、スタッフバッグを使うことでそれが如実に現れたようです。パッキングをきれいにするには押し込むだけではダメで、きれいにたたんだ方がパッキングもきれいになる。
 地図はジップロックを2重にしていたので平気でしたが、計画書とガイドをコピーしたものはマップケースに入れていただけだったので、だいぶ濡れていました。メタはプラスチックのケースに入れるだけでは不十分で、濡れる。ビニールの中に入れる。

5:30 朝、焚き火
7:00 出発
7:07 出だしから渡渉(F)

 上の廊下の2大難所(口元ノタル沢先の15mゴルジュ、金作谷先のゴルジュ)は通過したので、下の「沢用ウエット」を着るかどうか迷いましたが、まだまだ先にも泳ぐ所はあるというので、着こんで出発しました。実際、その先にも泳ぐ個所はあり、沢用ウエットを着ていてちょうど良かったです。行動中の服装は前日と同じです。

7:18 左から支沢
7:23
7:24
自分が戸惑っているのに対し、対岸をスタスタ(F)

 ここは、左をへつって、泳いでということで自分が挑みました。中間地点までへつり、泳がなくてもなんとかなりそうです、でも微妙なホールドで、ああでもないこうでもないと格闘していると、後から来た二人組が右をすたすたと進んでしまいました。仕方がないので左はあきらめ、右を進みました。今回、上の廊下では唯一抜かされました。

7:43 右を行く、途中、支点にロープをかけて
下の自分の写真よりもはるかに記録になります(F)

 二人組は、すたすたと行ってしまいましたが、一か所、ロープを使った方が安全な所(上写真・途中、支点にロープをかけて)があり、ロープを使って進みました。2日目よりストックを出していましたが、これ以降しまってザックの脇にとりつけました。

7:53 無事通過し、振り返る
8:00 赤牛沢?との二俣
8:47 右に支沢
8:56 立石・岩苔小谷との二俣
9:00

 それにしても、これだけ上流に来ているのですから水量が減ってもいいものですが、大きな変化はありません。確かに、川幅が短くなっているかなとか、へつれることができるようになってきたかな、とは思いましたが、その程度です。流れ込む支流の総数が上流に行けば行くほど減るはずなのに、支流の水量はそこそこあるというのにどうなっているのでしょうか。見る人が見れば違う事実が見えてくるかもしれませんが、支流の水量の分、減ってはいないです。

9:02 淵は左を上がることで通過
9:04 左をへつる
9:16 振り返って

 確証はないですが、ここも突破するのに泳いだと思います。

10:01 大雑把な末端交換法、失敗の図
 (手前に踏ん張れる場所なし)
良い支点となる場所が(F)
下記は、他の3方とは違う意見かもしれません

 この場面は末端交換法を使って対処しようとしたのですが、末端を交換したものの、トップで渡った自分がハーケン等を持っておらず(持っていてもうまく打ちつける所がなかったか)、斜めにロープを張ろうとすると、踏ん張れる場所がなかったので、末端交換法はあきらめ、これまで通りザックピストンの形で対処いたしました。

10:07 この頃になると岩の上に上がり、通過というパターンが増えました。

10:21 07分の写真を拡大、ちなみに左の写真は振り返って撮っているため向きが逆になっています。

 10時21分の写真の場面ではまず自分が、ロープをつけて、トップで飛び込むようにして対岸へ向かい、1、2手まごつきましたが、きちんと対岸の岩をつかむことができました。続いたリーダーは、2番目の挑戦だと浅い部分がわかるのか、自分よりも上流を簡単に通過していました。

10:28

 泳がなければならない場所は通過いたしました。

10:31 右から支沢
10:37 立石奇岩・休憩
10:54 この方向からも撮っておいた方が良いかもしれません(立岩奇岩)

 この間も、写真をとりましたが、単なる川原だったり、特に良い写真でもないので割愛。

 今回、高度計を持ってきましたが、特に1日目はスタートの標高が1454mで、アップダウンが多かったものの幕営地1474mで、これだと気圧の変化の方が大きいと思います。2日目幕営地1692m、3日目薬師沢小屋1924mで標高からすると大したことない山行なのです。その他、黒部川本流には大きな滝はありません。1−3日目は大きな滝を登っていません。
 さすがに4日目は最高地点が2661mとずいぶん上がってますが、1日目に高度の変化が、あまりにも小さかったので、高度計を見るのがおろそかになってしまいました(自分の場合です)。

今回の山行の大まかな断面図(入力:手書き)
(区間1:13日、区間2:14日、区間3:15日、区間4:16日)縦軸:標高、横軸:移動距離
11:30 右に支沢
12:23 左に支沢、沢は右にカーブ
12:31 左に支沢の所で、渡渉
12:33 小滝(大したことない小滝ですが、黒部川に滝はほとんどないので)
12:42 目印になりそうな大岩
12:45
12:51 渡渉(F)
12:57 右の岩を上がり、通常は懸垂で下りる個所のようです(3分のずれはありますが、対岸に登山道の場所です)

 通常は懸垂で下りる個所のようですが、今回は水量も少なく手前の部分で下りれたので


高天原、B沢●と岩に記入有
13:00 対岸に登山道 左写真の中央石を拡大

 ようやく登山道が見えてきました。疲れが出だした頃だったのでありがたいです。基本的に今回は、午前中は元気があるものの、午後になって荷物の重さで肩がだんだん痛くなり、テン場手前では先頭を歩けなくなっているというパターンでした。登山道を使わず、沢のみで黒部川完全遡行という案もリーダーにあったようですが、自分にそこまでする気力はなく、使える所は登山道を使いました。

13:14 A沢?

 この頃から雨が降ってきました。17時くらいまで降り続いたようです。

14:24 薬師沢小屋が見えてきました
14:30 無事到着

 薬師沢小屋に食事つきで泊りました。基本的に、山小屋に食事つきで泊るなどあり得ないのですが、なぜこうなったかというと、現会員のY和さんが、毎年ここで働いていて、その縁です。山小屋に泊まるという経験をほとんどしていないリーダーは、事前に連絡していなかったので(行けない可能性があっても連絡はしておいた方が良いとのこと)、Y和さんは突然の来訪にびっくりしていたようです。小屋の2階をあてがわれ、少し空きがありましたが、7−8割泊り客がいたと思います。ありがたかったのは、食事、寝場所はもちろんのこと、乾燥室が使えたこと。濡れた荷物がだいぶ乾かせました。自分もたまに山小屋は利用しますが、ほぼ素泊まりで食事つきで利用するなど、初めて、いや父と行った富士山は食事付き小屋でした。それでも久しぶりです。Y和さんよりビールと、つまみをいただきました。
 着替えを持ってきていたので、きちんと着替えました。薬師沢小屋内で、すれ違う際に右足薬指を、壁にぶつけ軽い出血、程度の話なのですが、打ち所が悪かったか後々まで、痛みがとれませんでした。

15日の行程の大まかな位置図(A地点:登山道と合流)(泳いだ地点は「泳」の字を黄で入れました)


16日
天気:曇り一時雨

朝、出発前に
 今回の山行メンバーとY和さん
 (F浦さんよりいただきました)ありがとうございます

 自分の姿は何かが間違っているとしか言えない怪しい姿ですが、コーディネイトを変えるようなお金もなく、仕方ないのです。とりあえず今シーズンはこのスタイルで行くと思います。

【コースタイム】5:00 朝食、5:45 薬師沢小屋出発−6:45 赤木沢との二俣−7:10 ウマ沢との二俣−8:20 大滝−9:00/9:25 一度は右に行ってしまった二俣(2237m地点)−9:40 水枯れる−10:00/10:25 登山道−11:25 赤木岳−11:45 北ノ俣岳−13:10/13:45 太郎小屋−17:00 折立
 (ちなみに出発地点が違いますが、昨年の記録は7:55 赤木沢との二俣−9:32 大滝−10:55 登山道)

6:30 赤木沢への出合までは、険しくてもこの程度で

 昨年も行った赤木沢です。泳ぐことなく突破できるので、昨日の服装から下の「沢用ウエット」を外しました。他は前日と同じです。
 リーダーより「沢歩きは、できる限りルートを直線的に取る。そのためには目標となる対象物を決め、それに向かって歩くようにする。できる限り水面際を歩くようにする。高く上がらない。」言われたことを、自分なりにやってみたら、やみくもに歩いていたのが目標を捕らえるようになってかなり面白かったです。

6:35 深いところもありましたが、遡行には差し支えず

 確か、この辺りで3−4分ほど巻いた記憶があります。

6:44 赤木沢入口である、岩魚止の滝が見えてきました 数分後(F)
6:46 岩魚止の滝

滝に到達する前は、右をへつりました。ここら辺は昨年来た時は、非常に苦労した記憶があったのですが、難なく突破。

6:57 今年の写真 これは1年前来た時の写真

1年前と水量はあまり変わらないようです。天気も昨年と同じく、赤木沢に入ったころから、悪くなり始めました。

7:05 2段20mの滝 この滝は登り口から、右→左というふうに登ったと思います。
7:10 左を進んだようです(F)
7:15 4段の滝が見えてきました

 この滝は右を巻きました。左からでも行けます(前回は左から)が、右のほうが簡単です。

7:22 
7:30 右を行ったと こっちの写真のほうがはるかにいいです(F)
7:45 左を行ったと

8:04 ナメ滝の連続 Fさん写真(F) こっちのほうが断然良いです
8:12 ナメ滝の連続 Fさん写真(F) こっちのほうが断然良いです
8:20 大滝手前にて 大滝

 大滝が登れないことはわかってましたが、とりあえず姿だけでも確認ということで、空身で撮影をしに行き、荷物を置いた場所に戻り、右を巻きました。大滝の下から8分目ぐらいのところに出て、(ちょっと高度感がありましたが)そこから上は難なく登れました。

大滝の下から8分目ぐらいのところに出て(F)
8:40 
8:42 右に支沢
2237m地点の二俣

9:00 二万五千図の2237m地点の二俣
 当初はこの二俣がもっと上ではないかということで、ここから右を登ってみましたが、そのようなものは出てこず、やはり左が正しいということで
9:25 元の位置に戻って出発
 こちらの沢に入ってすぐに、前回も見た小さな噴水が現れました。
9:32 二俣 右を行きました(前回は左ということです)。
9:40 水枯れる
 この時だいぶバテそうでしたが、リストバンドを外したら楽になり、英気を取り戻しました。

9:54 稜線が見えてきました
9:56 雪渓と、登山道は間近
9:59 ハクサンイチゲ
9:59 今年も会えました、チングルマ

 チングルマは多くの場所で咲き終えていましたが、いくつか咲き残っていました。ここ数年毎年会っているので、「夏はチングルマが咲いているようなところに行く」というのも、自分の中の目標にあるので、今年も会えてよかったです。

10:01 登山道

 少し登った所で荷物の整理、出発は10時25分
 当初はここで沢靴を脱ぐ予定でしたが、下山する折立の付近がかなりぬかるんでいるというので、ハーネスを外し、スパッツを外し、ヘルメットを帽子に変えて出発しました(自分の場合、F川さん靴を履き替える)。

16日午前の行程の大まかな位置図(A地点:赤木沢との二俣、B:2237m地点の二俣、C:登山道と合流)
10:40
グェッ、みたいな声がして、そっちを向くとそこには雷鳥
10:55 昨年は見落とした赤木岳ピーク 左写真を拡大
11:27 再び雷鳥 左写真中央を拡大

11:45 北ノ俣岳山頂(標高2661m)

11:45 北ノ俣岳ピーク写真(自分は左写真より合成)

 この頃、風が吹き、寒かったです。今回山行の最高地点ですが、風もあるので、写真だけ撮ってすぐ出発です。

11:58 視界が少し良くなってきました

少し進むと、風も穏やかになりました。

右写真を拡大 12:30 太郎平小屋が見えてきました
12:36 えぐられた登山道
12:46 薬師岳も顔を出してくれました
12:52 家に帰ってからカシミールで調べました、水晶岳と鷲羽岳

 このころは、自分でも信じられないくらい、快調に足が前に出てきてどんどん進めました。

12:52 太郎山
13:04 太郎平小屋と薬師岳
13:10 太郎平小屋

 暑いので、「山用長袖下着」と「山用のくるぶしまである下着」をここで脱ぎました。昨晩、壁にぶつけた右足薬指が痛むので、沢靴を脱ぎ、アプローチシューズに変えました。

現在、薬師沢小屋で働いているY和さんより
 おごってもらったラーメン
(太郎平小屋と薬師沢小屋は近い関係とのこと)
13:43 太郎平小屋からのパノラマ(カシミールで調べました)

出発後、急に黒雲が出てきて、雨となりました。

15:15 この頃雨が上がりました

 折立への道ですが、(今回は)想像していたほどぬかるんではいませんでした。降雨量にもよりますが…

17:00 折立、ゴールです


17日
天気:曇り
【コースタイム】7:00 折立を出発(タクシー)−7:30/7:49 有峰口駅−8:47/8:56 富山駅−10:55 越後湯沢駅

雨宿り

 折立は公衆電話(非常電話を除く)もなく、携帯もあまりつながらない場所なので、当初は9時のバスで帰る予定でした。でも、運よく下からタクシーが上がってきて、タクシーの人も通常、手ぶらで帰るより、客を乗せてから帰った方がということで、人数も4名なので、タクシーで帰りました。

有峰口駅:古い酒屋みたいな駅です
電車が到着、沢旅も終りが近づいてきました


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