2010年ウォータークライミング講習

2010年6月27日(前夜発)
場所:丹波川本谷(一ノ瀬川本流)下部
講師:深瀬氏、及びN氏、参加者:確か10名

 初めて、ウォーター講習に不安なしで行けました。前々回、前回と、結び方に自信が持てず、「現地で再確認しよう」でしたが、今回は、ダブルフィッシャーマンも(本を見ながら)一発できちんとできて、その他結び方も一通りできて、行く前は「3度目の正直だ!!」でした。実際は、頭で考えるのと実際にやるのはまた別で…、という点もありましたが、ようやく教わるレベルから教えるレベルに入ってきた気がします。

6月26日
16:56 新宿駅発→17:01 池袋駅着
            17:20 池袋駅発→18:00 鶴ヶ島駅
18:00 鶴ヶ島駅発(リーダーの車)
20:00 三条新橋の近くのテン場

恒例の宴会

 相変わらず、豪華な宴会で、自分は今回で3度目だというのにカルチャーショックを受けてました。宴会の最中、半マストの結び方を確認する場面があり、「半マスト」できます。でしたが、ハーネスにカラビナをつけた状態からの半マストを要求されて、そっちの方はできませんで、悪夢が再び…。ですが、詳しい方法を聞き出し、なんとか修正。

6月27日
天気:曇り時々雨

さあ、出発

8:35 講習開始
 ストックの使い方

ストックを使って(下降)

 ストックを使った歩き方(通常の山でも)
 ウォータークライミングの講習ですが、ストックのみ(2本でなく1本)、通常の場面でも使い方の講習がありました。
 (1)登る時:ストックを山側につく。
 (2)トラバースの時:山側の足はかかとを谷側に持っていきつま先を山側にする(と記憶)、ストックを山側に(谷側の手でストックのグリップの方を持ち、山側の手は真ん中のシャフトを持つ)つく。
 (3)下る時:つま先に力を入れてスキーで滑る時のような姿勢を取り、ストックは上の写真のように、山側につく。
 使用しない時は、ピッケルのようにアルペンザシにする。
 ストックは普段1本で使う経験がほとんどなく、自分が使い方に慣れておらず、(伸ばしたり縮めたりする時伸ばし過ぎてしまったり等)扱い方に手間どってしまいましたが、上手に使えた時など、とても安定します。いろんな場面に使用可なので、水量の少ない沢でもパーティーに1本持っていっても悪くないと思います。

9:00 ウォータークライミング講習開始
・ラッコ泳ぎ
 ウエストベルトを締め、ザックを背負った状態で仰向けになり、ザックの浮力を利用して浮かびあがり、手はバランスをとるために使用し、足は(バタ足でなく)自転車をこぐようにぐるぐる回転させる。ここで注意しなければならないのは、そもそも背負うザックのベルトが少しでも緩んでいると、ザックのみが浮き上がってしまいザックの上にうまく乗れません、面倒でも、ウエストベルトだけでなく、全部のベルトを再度チエックです。ザックの上にうまく乗れれば手足の動作は補助程度だと思います。この泳ぎは、流れに沿って泳ぐ、または緩流帯では使えますが、流れに逆らって泳ぐには不向きです。

ラッコ泳ぎ

・ストック渡渉
 左右の足とストックを突いた位置が三角形になるように上流に突き、渡渉していきます。水面が腰より高くなると進みづらくなりますが、そういう時は進行方向を向くように腰をひねっ流れを逃がしてやると楽になります。カニ歩き、ストック移動、腰をひねる、の繰り返しです。ストックで突くことによって、深さがどうなっているか調べながら進めます。

ストック渡渉

・スクラム渡渉(相対、横列、縦列)
 (1)相対:急流を一人で渡るよりは、二人以上で渡った方が楽です。二人が向き合って、お互いのショルダーベルトを持ちながら進むのが「相対のスクラム渡渉」で、二人のうちの、一人が上流からの流れを受ける役、もう一人は流れを受けず、楽なので上流にいる人をしっかり押さえ進みやすくする役です。

相対、スクラム渡渉

 (2)横列:相対のスクラム渡渉では、ストックが使えませんが、3人以上いる時は、川の流れに対して横一列になって、一番先頭に行く人がストックを出し、進行方向の手で突きながら、もう片方の手は隣の人のザックのショルダーベルトを持ってカニ歩きで渡渉です。トップ以降の人は左右の手で、隣の人のザックのショルダーベルトをつかみます。ラストの人は進行方向の手のみ、隣の人のザックのショルダーベルトを持ち、もう片方の手はフリーになります。

横列、スクラム渡渉

 (3)縦列:さらに、流れに対して縦一列になり、トップのみ進行方向の手にストックを持ち、それより後ろの人は前の人のザックのショルダーベルトを持ちながら、カニ歩きで移動、という方法もあります。横列と違い、川の流れを受けるのはトップの人のみなので、縦列の方が横列よりも楽に進めます。

縦列、スクラム渡渉

・ザイルを使った渡渉法

まず、初めに沢が流れていて
黄色の線を渡るのが一番良いと仮定します。
Aが黄色のラインで、沢を渡ります。
Aより上流にB(AB間は沢の幅くらい、Bはできる限り沢に近づく)が位置します。

 (1)トップが渡る:A、Bがロープを自分のハーネスに半マストで結びます。この時、Bは基本的にロープを送りだしたりしません。ですが、何かあった時のために、末端から5−6mくらいのロープの部分で半マストをするようにします。Aが自分の半マストを操作することによって、川を渡ります。Cはロープを送り出します。Cは特に、ロープを固定するようなことはせず、ロープを持ち、Aに何かあった場合、ロープを引っ張りAが安全に渡渉しやすくします。

川を渡るA
これは渡る向きが(右から左)と逆ですが、
ビレイするB
この写真も渡る向きが逆ですが
川を渡るA
Aが川を渡り切りました。

 (2)セカンド以降が渡る:Aが川を渡り切りましたら、Bは黄のラインよりも1mほど上流の位置で安定する位置を探します。同様にAも黄のラインより1mほど上流で安定する位置を探します。見つかったら、AC側のロープは使わないので、Aが回収します(と記憶)。

A、Bは黄のラインよりも1mほど上流の安定する位置を探す。
A、Bの準備が整いましたら、Cがロープにヌンチャクをつけて沢を渡ります。ロープが伸びるので、A,Bは1mくらい上流でちょうど良いのです。
ロープにヌンチャクをかけて、川を渡る
Cが沢を渡り切りました

疑問1:セカンド以降の渡渉の時、AとBは、下手にロープを持っているよりは仮固定してしまった方が良い?

 (3)ラストの渡渉:末端まで2−3m程度(だと思います)の位置でBは半マストでロープをハーネスにセットします。Bの準備ができたら、Aは安定した場所で腰を下ろし、ロープを張るまで引き、半マストでハーネスにセットし、最後にBが末端を8の字で結び、結び目を自分のハーネスに掛けます。

Aは先ほどBがいたくらいに、黄のラインより、上流に行き、安定した場所を探し腰を下ろします。
Bが沢を渡ります
沢を渡るB(この写真も渡る向き逆)
Bが沢を渡り切る

 トップとラストで、沢を(半マストで)渡る時は、懸垂下降の時もそうですが、張ってない側のロープの手は離さないこと、離すような場合は、手を持ち替えてから離すこと。上のイラストの例で、トップで渡る時は右手側、ラストで渡る時は左手側を離さないようにする。

・そもそも半マスト(ムンターヒッチ)
 ロープが右側から来る(例上の概念図でラスト)時(管付のゲートは右)(家で思い出しながら、やったので微妙に違っているかもしれませんが…)、ロープの来る向きによってカラビナの向きが違うのは、ロープが管付カラビナの管にあたって滑りが悪くなるのをふせぐためです。

(1)ロープをカラビナのゲートのない方に掛ける
(2)右からロープを押してゲートの中に入れる (3)ロープを逆手で持って
(4)時計回りにひねります (5)さらに時計回りにひねって
ゲートの中に入れます
(6)出来上がり

 ロープが左側から来る(例上の概念図でトップの時(管付のゲートは左)(基本的な動きは同上)

出来上がり


上流へ移動
・ザックピストン法
 1.ザックの準備:前面の雨ブタより下にシュリンゲをセットします(事前にセット可)。次に、背面を、ショルダーベルトにシュリンゲをクレムヘイストの要領でぐるぐる巻きにします。シュリンゲが左右にずれないように、左右ショルダーベルトの間から、シュリンゲが出るようにします。前面のシュリンゲと背面のシュリンゲをシートベンドで結びます。飛び出た末端にカラビナ(※)をかけます。

(1)ザックの前面にシュリンゲをかけておきます (2)ショルダーベルトにクレムヘイストの要領で
ぐるぐる巻きにして
(3)前面のシュリンゲと背面のシュリンゲを
シートベンドで結びます
以上、「ザックピストンの準備」は、家に帰ってからの、思いだしながら作ったため、講習内容と微妙にずれているかもしれません。
(4)飛び出た末端にカラビナをかけて、準備完了

 2.ロープとの連結:先行した人から、ロープを受け取り、ロープに2ヶ所、インラインフィギュアエイトノットで結び目を作ります。前の方の結び目に(※)のカラビナをかけ、後ろの方の結び目に自分のハーネスについている管付カラビナにかけます。
 3.笛を吹くもしくは手を上げる等、先行者に合図をして、ザックの両サイドのポケットを握って、腕は伸ばした状態でバタ足で進みます。泳ぎ手が出発したと同時に、先行者はロープを引っ張って、泳ぎ手をフォローします。

ザックの両サイドのポケットを握って、腕は伸ばした状態でバタ足で進みます
先行者はロープを引いて、泳いでる人が少しでも進みやすくなるようにします。
泳ぎに慣れていない人にも、通過できる方法です
一人では難しい所も

12:00 昼食
 これだけ水につかっていると、泳ぎ装備をしても、震える。濡れても、寒くない服装はもちろんのこと、重ね着をして、空気の層をそこに作れば、かなり暖かくなるとのことです。ミニサイズのカップラーメンでも、あると落ち着きます。さらに、あると落ち着くのがたき火で、この時小雨混じりでしたが、ガスカートリッジからガスを噴出させるという荒業で、焚き火の火をつけていただきました。

焚き火があると落ち着く
良い子はまねしないように
 ガスコンロからガス噴射


13:15 午後の部
・押しくら饅頭式激流突破+鷹の爪
 押しくら饅頭式激流突破というのは、縦列渡渉と似ていて、縦列渡渉が川を横に渡るのに対し、押しくら饅頭は流れに逆らって、後ろの人が前の人を押すことによって進みます。後ろの人は前の人ほど流れによる圧力を受けなないので、前の人を押すことができるという方法です。今回は、トップの人が鷹の爪(1本、畳返しをさらに、鋭くさせたもの、非売品で自前で作るしかないようです)を使って(片方の手で)進むということをしました。鷹の爪で岩を引っ掛けた方が、楽に通過できます。押しくら饅頭式は、深くて流れのある場所を通過する場合、背が低い人がいるパーティーにはあまり不向きのようです(両手がふさがっていて、足がつかないと前の人も押せないので)。

流れに逆らって、後ろの人が前の人を押すことによって
トップの人が右手に持っているのが鷹の爪です


・カワセミ泳法

カワセミ泳法(1)

 急流帯を通過する方法。(ラッコ泳ぎと同じく)ウエストベルトを締め、背負ったザックの浮力を利用して浮かび、片方の手で岩をつかみながら進み、もう片方の手は背泳ぎの要領で回転させる。足は基本的にバタ足ですが、岩を蹴って進んでも良いです。そして、沢の流れが岩にぶつかって、泡になっている所では、泡は水と違い浮力が効かないので、浮かびづらいとのことです。最初、挑戦した時は何が何だか分からないうちに終わってしまいました。今回は普段より流れが強く、普段なら突破できる所を行けたのは一人の講習生だけでした。流れに逆らっていくので思うように進みません。再度、挑戦した時は4、5手進めました。岩をつかむ手に意識を集中させ、他の3点は補助程度でもどうにか形になるようです。急流に流されないようにするには、岩をつかみながら進むのが一番です。

カワセミ泳法(2)

飛び込み+ラッコ
 沢登りの本にも載っておらず、知らないよりは知っていた方がよいと思いますが、必要な状況をうまく描けません。岩場から沢に飛び込みます。ヘルメットはつけたまま飛び込むと、ずれて前が見えなくなってしまうので外してから飛び込みます。眼鏡なども外してからにしましょう。飛び込む時は、腕をクロスにして、着水するときに膝を曲げて深く潜らないようにします。ザックの浮力で水面に出た所で、ラッコ泳ぎです。勇気がいりますが、やってみるとそれほど難しくはないです。

この位置から、沢に向かって
飛び込んだところ
せっかくの瞬間を撮れた時に限って、手ぶれ

・ザックピストン(急流)
 今度は、上流から引っ張る人がセルフビレイを取らねばならないような状況で、先ほどは流れが緩い場所に対して、今度は急流でザックピストンです。

今度は、急流でザックピストン
こんな急流の中でも、対岸から引っ張ってくれるので進めます
ザックピストンの遠景
こんな急流の中でも

15:20 下山開始
 淵の場所では、ラッコ泳ぎをしながら、元来た場所に戻ります。

下山開始

15:35 三条新橋の近くのテン場着
16:30 反省会
16:45 三条新橋発
18:30 鶴ヶ島駅着
18:45 鶴ヶ島駅発→19:25 池袋駅着
              19:35 池袋駅発→19:40 新宿駅着

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