飯豊 大日杉-石転沢

2010年5月1−4日(前夜発)

 今回の山行では、山の中にいたのは3日で、いろいろな所で改善点もありますが、昨年の火打(ゴールデンウィーク山スキー)よりは、はるかに進歩していると思います。今回、暑かった前回の反省を生かして、厚いウエアでなく普通のゴアカッパで行きました、ちょうど良かったです。今シーズン最後の山スキー(雪山)です。飯豊は学生の時、秋に一度行ってそれ以来です。冬の飯豊は初めてです。

L:F川さん、メンバー:F浦さん、S野さん、自分

4月30日
20:36 東京駅発→22:47 米沢駅着
 20時36分発の山形行きがこの日の最終列車、30日は末日で、普段なら最後の締め作業がある。そこを会社の人が、上手に自分を送り出してくれて、無事定時で退社。心配していた人身事故もなく、東京駅に20時に着く、予想外だった切符の購入の列も、なんとかなり無事プラットフォームへ。自由席のある方へ向かうが、いる予定の他のメンバー達はいない。「指定席に乗ったのだろうか」等、考えて車両に入る。無事座れて、東京駅を出発したのも束の間、「前側の車両は山形行き、後ろ側の車両は仙台行き」とのこと。宇都宮で、車両移動を開始して、郡山駅で前側の車両に移る。乗ることばかりで頭がいっぱいでとても、「前が山形で、後ろが仙台」など考える余裕はなかったが、とりあえず、無事予定時刻に間に合いました。
 米沢駅では、コンビニはなかったものの大きな24時間営業のスーパーが駅近くにあり、そこで行動食やアルコール類を購入できました。駅の通路脇で仮眠、眩しくて眠れない(仕方ない、仕方ない)。

御西小屋からの滑降を除く、今回の行程の大まかな図(トラックログのない所は黄)


5月1日
天気:朝のうち雨、後曇り、夕方より風強し
6:04 米沢駅発→6:56 手ノ子駅着

車窓からの風景
 この後、天気は急に雨へと

7:00 手ノ子駅発(タクシー)→7:35 大日杉小屋着
 タクシーでは今回の人員は入りきらないということで、リーダーが予約済みの7−8名(乗れるほどの)大型タクシー登場。手ノ子駅周辺にはなかった雪も、山に登るうちに出始めました。小屋の軒下で、準備をしながら天気が回復するのを待つ。
8:35 大日杉小屋出発
 下のトラックログには出てませんが、雪がないため、9時半から30分ほど、板をザックに括り付けツボ足で歩いています。下のトラックログで、大日杉から出て登山道に合流するあたりからです。

板をザックに括り付けツボ足で
10:20 休憩

 数分背負うくらいでは何ともないのですが、自分は3泊のテント装備を持つのに慣れていないようで、できていたはずのキックターンもどこかきこちなくなります。その他、このあたりを通過するとき、この雪はどうもシールが効きずらいようで、効かないことはないのですがズルッとなることが自分には何度かありました。写真の着ている服装が示すように、最初のうちは暑かったですが、春山にしては着こんだ格好となりました。一時、小雪もちらつきました。
 読図に失敗することが多かったので、少しでも現在地がわかるようにと、高度計付きの時計(スントのベクター)を購入してみた所、一方的な登りの場所などは、自分の現在地が手に取るようにわかり、高度計の表示を見ると(当然ですが)登れば登るほど標高が高くなっていくので励みにもなり、つらい登りも少しは楽に登れました。この点では作戦大成功です。1409mの偽ピークを過ぎた後は傾斜も緩やかになったと。

もう少しで山頂です
地蔵岳山頂

12:40 地蔵岳着
13:00 地蔵岳発

13:20 この辺りから沢に入ったと(1)
13:20 この辺りから沢に入ったと(2)
13:20 この辺りから沢に入ったと(3)

 最近、山スキーに行っている割には、滑っている所の写真がないので、今回は滑っている所もできるだけ撮るようにしました。自分の滑りはここでは、テレマークターンが半分くらいはできたでしょうか。

先ほどの写真から4分後(1)
先ほどの写真から4分後(2)
大又沢二股の手前

13:30 大又沢二股
 沢に沿って滑っている最中、リーダーより、周囲の状況をよく観察しながら注意して滑るよう(例:同じ沢の中でも右(左)側を滑るより、左(右)側を滑った方が安全等)言われる。大又沢二股の手前あたりで大きなクマの足跡が、「こんな所にクマがいるんだ」と思う。で、大又沢二股に着きシールなどを装着していると、S野さんが、声をあげたので、自分はてっきり雪崩かと思ったら、7−8m(と記憶)くらいのところになんと(大きさは中型犬より大きくて、大型犬より小さいくらいの)クマがいました。こっちは4人いるし、S野さんが声をあげたら、すぐさまクマは自分らが行動する予定の進行方向とは別の方向に逃げて行きました。クマが逃げたことに、予定進行方向とは別の方向に逃げてくれたことにホッとする。雪の中をあっという間に、クマは駆け抜けて行った、あんなに足が速い動物だとは

カメラ、カメラ、右の写真で黒い点のように見えるのがクマでないかと思うのですが…

下の赤矢印の所までクマは来ていた。
F浦さんよりいただいたクマ写真(一部補正)ありがとうございます

 しばらくは沢沿いを緩やかに登り、尾根に上がれそうな所を見つけて(でも思ったより急でした)、無事尾根上に上がり、予定の頂上小屋には程遠いですが、とりあえず半雪洞を作れる所まで来ました。
14:55 本日のテン場(標高1382m)(C1)

1日のトラックログ(登り:赤、下り:黄、トラックログなし:緑)

 休む暇もなく、半雪洞の作成です。

半雪洞作成開始
地面からスノーソーを使って、
雪のブロックを切りだして
切り出した雪のブロックを周囲に積み上げて行きます
上からツエルトをかぶして

 半雪洞を作るうちに、予備手袋を使うほど寒くなかったので使いませんでしたが、ずいぶん手袋が濡れてしまいました。ザックの中には厚めの手袋がありますが、この時期ということもあり、行動中は薄めの手袋でした。スノーソーで雪を切りだしているとすぐに手が冷たくなる。そのたびに他の方に変わってもらう、疲れもあり半雪洞作成にはあまり力になれませんでした。60cmほど掘った所で木の枝が出てくる。ある程度、掘った所で作成中の半雪洞の中で横になる、案外狭い。積んだブロックの位置はそのままで、さらに地面を横に掘り下げることで半雪洞を広くする。積んだブロックの隙間を埋めて、上からツエルトをかぶして支柱としてゾンデを使って、雪面が直に触れては寒いのでブルーシートを引いて、16時15分に半雪洞完成です。

半雪洞完成と、鯉のぼり

半雪洞作成も一段落して、半雪洞の中に入り、水を作っていた所、突然突風が吹き、上のツエルトが外れてしまいました。積んだ雪のブロックを補強したり、ツエルトの支持シュリンゲを再度きちんと埋めたりした所、それ以降、半雪洞は無事でしたが、この後から風が強くなり、ごうごう言いっぱなしでほとんど眠れなかったです。入り口をビニールシートでふさぎ、割りばしで固定したのですが夜中に2、3度外れ、自分が半雪洞作成にまだ不慣れな所もありますが、入り口がもう少し何とかならないかという気はします。


5月2日
天気:晴れ
5:00 起床
 5時に起きた時も、まだ風は強かったのですが、いつまでも寝ていられないので出発の準備をしながら風がおさまるのを待ちます。

あれが飯豊山山頂、あそこまで行きたいな

7:30 出発
 6時半ころからかだいぶ風はおさまり、問題なく出発できそうなので、出発です。

稜線を行く

9:00 アイゼンをつける
 標高1700m地点の登りで、少し急で点々とアイスバーンになっている個所があり、登るのに少し苦労しました。ここでの反省もあり、これより上に登るのにアイゼンをつけなければならないというよりは、にっちもさっちも行かなくなってから付けるよりは少し早目に付けておこうということで、スキー板を外してアイゼン装着です。自分などはアイゼン歩行にあまり慣れていないので、早めに装着できたのはありがたかったです。

10:00 標高1940m付近
山頂避難小屋は目の前です

10:35 山頂避難小屋着

山頂避難小屋

11:00 山頂避難小屋発
 下のトラックログ、速度のグラフの表記では、頂上避難小屋ー飯豊山頂もアイゼンをつけていることになってますが、すいません。アイゼンでなくツボ足です。頂上小屋から山頂は雪がないのでスキーでは歩けませんが、アイゼンをつける必要はありません。

山頂への道は雪が少ないです

 山頂手前で、リーダーは「急に動き出したら…」とかで、山頂には行かず、10分ほどで山頂に行ける場所で待機。
11:25 飯豊山山頂(2105m)
 他の誰もおらず、静かな山頂でした。長居をする理由もないので、ピーク写真だけ撮って、すぐ出発です。

飯豊山頂
F浦さんよりいただいた山頂写真
空の青さと、雪の白さと
 山頂から滑るF浦さん
こういう所を進むのにスキーは楽だ

12:18 御西岳手前からシールをつける

御西岳手前からシールをつけて

 昨日眠れなかったこともあり、この頃だいぶ疲れが出てくる。今度は小屋だから楽できるかな。
12:40 御西小屋着

これは翌日の朝の写真ですが
御西小屋です。
この時期小屋に入るには、1階から入れず梯子を上って2階窓から入ります。
装備が重いと窓から入るのが大変です。
2日の12時40分までのトラックログ(シール登行:赤、アイゼンで:紫、シールを外して:黄)
2日12時40分までの時刻/スピードのグラフ(区間1、4:シール登降、区間2:アイゼンで、区間3:シールを外してスキーで)

 小屋に着いたら、外には出ずに小屋番をしていようと思っていましたが、休憩をして行動食などを食べているうちに「行けるかも」という状態になってきました。
14:00 御西小屋に荷物の大半を置き、周囲を空身で滑り登る
 御西小屋の南側を、200mくらい下って、また元に戻る。下るのは本当にあっという間でした。荷物を小屋に置いておけるというのはありがたく、空身だと楽です。

南斜面を滑る(1)
南斜面を滑る(2)
南斜面を滑る(3)
南斜面を登る
 光の加減のせいか、登っている二方が紙のように見えます。

14:55 こんどは北斜面を、決定
 「思ったよりも短かったな、でもなんとかなった、さて小屋に戻るか」と思っていた所、他の方はシールを外しています。今度は北斜面を200mほど滑るとのことです。予想していませんでしたが、余力もまだ残っていたので、なんとかついて行きました。北斜面の方が急でした。南斜面の方は、落ち着いてシールをつける場所がありましたが、北斜面の方はひやひやしながらシール装着でした。
15:40 御西小屋(C2)に戻る
 12時に御西小屋に着いた時は、前日までいた人がちょうど出発する所でほぼ貸し切り状態でしたが、その後ぞくぞくと泊る人が来て、どこから集まってくるのかこの日は満員でした。本日は、小屋だから安眠できるはずでしたが、これだけ人がいると中には「いびき」をかく人(注:S野さんではありません、念のため。S野さんもいびきをかきますが今回の人ほどではありません)がいるわけで、「大きくなったり、静かになったり」のいびきで、他に何も音がないだけに神経がいびきに集中してしまい11時半頃からは、うとうとくらいはしたものの一睡もできず。

5月3日
天気:晴れ(梅花皮小屋まで風強し)
5:50 御西小屋に荷物を置き、大日岳に向かう
 小屋の中にいてあまり気がつかなかったのですが、風が強いようで、スキー装備を小屋に置き、より確実にアイゼンを履いて出発したものの、どうにもこうにも風が強く、山頂少し手前の「これから傾斜が急になる1930m」まで来た辺りで、下手したら体が飛ばされてしまい、ピッケルも各自が持っていないので飛ばされた時対処できないということで、登頂を断念しました。

大日岳(右奥)
 引き返すことを決定した場所では、とても写真どころではなく、ある程度落ち着いた場所で撮りました。

 リーダーより、ストックを持った手をもっと広げた方が逆に安定することを指摘される。
6:45 御西小屋に戻る
8:05 御西小屋出発
 基本的に下りですが、登りもあるのでシールをつけての行動です。出発してしばらくは、風も弱かったですが、梅花皮小屋までは基本的に風は強かったです。ですが、朝ほど強い風はありませんでした。

御西小屋出発

登っては下って、の繰り返しでした。

大日岳をバックに
これから進むであろう
 烏帽子岳方面をバックに
烏帽子岳へ、登っては下って
さようなら大日岳
来た道を振り返る
9:15

10:10 烏帽子岳
 山頂で休憩ですが、一番上は風をさえぎる場所がないので、少し下りた所で(風の穏やかな所で)休憩です。

烏帽子岳山頂
烏帽子山頂から飯豊山
右手前が梅花皮岳

 烏帽子岳から梅花皮小屋へは途中にある梅花皮岳に登ってもいいですが、登らずに巻いた方が楽ということで、右側は斜面が急そうなので左側から巻くことにしました。梅花皮小屋まであと少しの所で雪がなくなり、ツボ足で歩くことになりましたが(10時45分より)、右側に比べて左側はだいぶ楽だったと思います。

梅花皮小屋まであと少し
F浦さんよりいただきました自分と北股岳
(ツボ足で進むことになった場所より)

 小屋手前に水場があります。
11:10 梅花皮小屋着
 小屋に入って一休みです。急な石転び沢を滑る前に体調を整えます。
12:10 梅花皮小屋発
 いよいよ、石転び沢です。「無理してターンしようとしない、斜滑降+キックターン+横滑り」ですが、あれ? 思っていたよりは簡単でした。確かに、「午前中で雪がアイスバーン」になっているとよくないのでこの時間帯にしたのですが、滑りやすい状態を選んだのですが、もっと怖い所かと思ってました。尚、梅花皮小屋を過ぎた後は風はほとんど収まりました。「これなら、トップで滑って上から滑ってくる人を撮れるかもしれない」と思い、リーダーに一言言って、先に滑り下りました。下ではギャラリーがいて、滑ってくる自分らに声をかけてくれました。

F浦さんよりいただきました・石転び沢
これなら自分でも滑れる
 中央に点のように人が見えます。
逆光で、ファインダーの先にあまりよく見えません。
数打ちゃ、当たるだろうと、適当にシャッターを押す。
滑ってくる人を撮るのは、相変わらず苦手です。

 もう一回、自分が先に下りて、写真を撮りました。

再度、撮影に挑戦
ズームを使えば良かったか?
滑ってくるリーダー
 数打ちゃ、当たる。
もう少し、早いタイミングで撮っていれば…
滑ってくるS野さん
滑ってくるF浦さん
たまには上から滑るところを
13:00 平らな所で休憩
動画も撮ってみました。ズームを使えば良かったと、基本的な所から反省。雪崩の音がして、ひやっとして、動画を撮るのをやめてしまいましたが音だけで、何も見えませんでした。

13:15 門内沢との二俣
 二俣を過ぎた後は、なだらかな個所が続きました。

13:40
所々、雪が少ない場所があり、ツボ足で通過しました。

 14時頃から、再度シールをつけての道のりとなりました。基本的になだらかなのですが、点々と小さな登り下り(2−3m程)がありました。
14:30 堰堤(標高510m)

虹のかかった堰堤、階段がありました。
休憩
雪にコンデンスミルク
 もう少し標高の高い所で食べれば良かったでしょうか。ちょっと土の味がしました。
この頃は、風も強くなく暑かったので、帽子を脱いで頭にタオルを巻きました。

 堰堤を過ぎた後、シールを外して進む方もいましたが、自分はシールをつけたまま進みました(シールを外した方が多少早い程度の傾斜の道)。雪はぎりぎり間に合ったという感じで、1週間後に通過するとなるとずいぶん面倒になると思います。
 15時半頃、橋が現れ、それから先は除雪された道路でした。除雪はされていますが、まだ車は進入禁止です。

除雪はされていますが
飯豊山荘

15:40 飯豊山荘(C3)
 飯豊山荘の周囲にはフキノトウが顔を出していて、それをF浦さんが採集して、でもそれをどう調理するかわからなくて、S野さんが料理方法を知っていると…、「S野さんだから」ということでみんな期待していなかったら、多少固い部分はあったにせよ美味しかったです。

5月3日(8時05−15:05までのトラックログ)(赤:シールを付けて、黄:シールを外して)
15時05以降は理由はわからないですが、トラックログのデータがありませんでした
5月3日(8時05−15:05までの時刻・速度の図)(区間1:シールをつけて、区間2:シールを外して)


5月4日
天気:晴れ
4:15 起床
6:30 出発

出発
雪解けの沢
6:50
どおりで車が通れないわけです

 「車道歩きだから、もう後は楽チン」など思っていたら、2ヶ所道路が、上から着た土砂(雪)に覆われていました。除雪はされているのに、車は通れないというのは、こういうことのようです。

思ったより通過は難しかったです
たまに、脇に目を向けると雪が面白い形で融けてたりしました。
ふきのとうを採集しながら
ふきのとう
雪解けの沢
7:15 2ヶ所目の崩壊地点
 ここの通過は楽でした
きれいな花が咲いていたので撮りました。
 キクザキイチゲだと思います。
芽吹きと雪解けの沢
7:50
 バス停でもある、飯豊梅花皮荘が見えます。
 飯豊梅花皮荘は桜が満開でした。
 ゴールは近い
鯉のぼりが見えました
 いよいよ里に下りてきたという感じです。
上の写真の拡大
道路から見えたミズバショウの群落
つり橋を渡り終えたら、飯豊梅花皮荘です
桜が満開の、飯豊梅花皮荘バス停

8:00 飯豊梅花皮荘(バス停)
 近くの温泉に入りましたが、露天風呂な所は良かったですけど、400円だったか取られて洗い場なし、山から帰ったあとは体を洗いたいです。また、すぐ近くで「熊まつり」というのが行われていました。午前10時から開始とのことですが、熊の皮などが展示されてありました。

熊まつり
ありがとう、飯豊

9:15 バス停出発→9:55 小国駅着
             10:14 小国駅発→11:32 米沢駅着

戻る