冬山レスキュー(鈴蘭山の会・土合)

2010年2月20−21日(前夜発)

L:S野さん(20のみ)、SL:K林さん、自分、メンバー:F川さん、I井さん、K元さん(21のみ)、Ta田さん(20夕より)

 今回でようやく、ビーコン(トラッカーDTS)という機械を使えるようになってきたと思う。その他、大雑把な埋没人形でしたが、ビーコン捜査から掘り出しまで(途中生身の人間に交代がありましたが)作業を体験できたのは、有意義だったと思います。

2月19日
22:35 荻窪発→22:50 練馬IC

2月20日
天気:曇り夕方から雪
0:10 水上IC→0:30 水上の道の駅
7:00 起床
8:00 道の駅出発
8:15 土合山の家駐車場着
 先週に続き今週も土合でレスキュー訓練です。山の家の人に、先週来た時に、「駐車場だけ使わせてください」と声をかけ、今回再度「駐車場使わせてください」と声をかけました。

出発の準備

8:50 出発
5分ほど テン場
 山の家を少し上がったところに小高い丘があります。

テントを設営して

9:35 テン場出発
 先週はつぼ足で膝下くらいまで埋まったのですが、1週間の間にほとんど雪が降っていないようで、くるぶしくらいまでしか埋まりません。
9:55 先週1日目と同じ場
 先週の2日目に訓練した所に行ってみたところ、もう先客がいたのに対し、1日目に使った方は誰もおらず、そこを使うこととなりました。
 ビーコンの特性
 直線状に10m間隔で旗を置き、60mの所に発信ビーコンを置き、どこで反応するか確認です。1回目は発信ビーコンを雪面の上に普通に置き、ビーコンの特性の確認です。自分のトラッカーは32mくらいで初めて反応がありました。で、電波曲線があるので少し左に誘導されながら無事、発信ビーコンへ。今回気がついたことですが、発信ビーコンの上に受信ビーコンを乗せる形にしても距離は0にならず、0.4mでした。
 2回目、今度はビーコンを縦に雪面に突き刺す感じで置きました。今度は34mで初めて反応、乗せても0.5m。次に、雪面に穴を掘って、掘った分だけ値は遠くなります。
 今回の鈴蘭パーティーのビーコン機種は、トラッカー2台(デジタル)、オルトボックス(たぶんF1Focusアナログ)1台、たぶんPIEPS 457(アナログ)2台でした。

ビーコン特性の確認

 積雪断面の観察
 上記、今回はくるぶしくらいまでしか埋まりませんでしたと書きましたが、特に上の層の雪が掘っていて固く、それを過ぎると柔らかくなり、地面の下の方で再度固くなるといった感じでした。F川さんより、雪を掘るときは大きいブロックで掘るようにとのご指摘、おっしゃる通りなのですが、なんで体得できないのだろう。

積雪断面を見るために
積雪断面の出来上がり

 で、積雪断面を作成して、結晶を見てみましたが、これはさっぱりわかりませんでした。自分にはみんなザラメに見えますが、「こしまり雪」と「しまり雪」もあるようです。こことここに層があって、ということはわかるのですが、これは次回への課題としましょう。
 弱層テスト
 続いて、弱層テストとして、ハンドテストとコンプレッションテストを
 (1)ハンドテスト

ハンドテスト

 直径30cm、深さ70cmの雪の円柱を作ります。深さ70cmというのは、雪面の上から乗って、影響が出るのがこれくらいまでの深さとのことです。その他、直径30cmというのがわかりやすいようにシャベルとかに何か目印を付けておくとよいとのことです。円柱が作成できましたら、円柱の上部をかかえて手前に引っ張ります。最初に円柱の上部から引っ張り、それでも崩れないようでしたら徐々に円柱の下部の方で引っ張るようにします。最初は、手首、次にひじ、肩、最後に腰で引きます。手首で崩れたら危険、等々ありますが、そもそもこのハンドテスト自体がちょっと場所を変えたら変わってしまうものなので、手首が「危険の度合いが高く」、ひじ、肩、腰といくうちに「安全の度合いが高くなる」ということは言えますが、手首=危険というような、等式は成り立たないようです。雪崩の危険性を考える上での、重要参考資料のうちの一つですが、こればかりに振り回されても、とのようです。
 (2)コンプレッションテスト

各自がコンプレッションテスト
コンプレッションテスト

 深さはハンドテストと同じ70cm、幅は「各自のシャベル」の幅の四角柱を作ります。四角柱ができたら背面をスノーソーで切ります。スノーソーで切りながら気がついたのですが、ハンドテストでは背面も掘らなければなりませんでしたが、コンプレッションテストはスノーソーで切りこみを入れるだけですから掘る量がその分少ない、すなわち簡単ということだと思います。切り込みを入れたところで、四角柱の上にシャベルを乗せ、手首で10回叩いて壊れなければ、肘から10回、それでも壊れなければ肩から、とやっていくわけですがハンドテストと同じく、手首=危険という等式は成り立たないようです。絶対ではなく、あくまでも参考資料として
ゾンデの感触確認
 積雪断面を見たところをさらに、横穴を掘り、そこに人が入った状態で、雪面からゾンデを突き刺し、人の当たった感触を確認するということをしました。そもそも、ゾンデの刺し方ですが、鉛直に刺すということは知っていましたが、というよりも「両手で持って一度離し、落ちたところで再度突き刺す感じ」のようです。「手から一度離すこと」によって、確実に鉛直になると、いうことです。あとはゾンデは使わない時はきちんと雪面に刺しておく習慣を付ければ、下手に斜面に置いて滑って行って紛失する可能性を無くせる、等あると思います。

ゾンデの感触確認

13:45−14:00 休憩
 ビーコントレーニング
 今回は、デジタルビーコン2名、アナログビーコン3名なので、デジタル班と、アナログ班に分かれました。デジタル班が探すときアナログ班が埋める、アナログ班が探すときデジタル班が埋める、です。自分の結果は、ほとんど問題なく出来ました。ようやくこの機械にも慣れてきたのでしょうか。今まででしたら、右往左往していたところで、そういったことがなく進めました。コツは、自分の中では、たいてい電波曲線でへんな方向を示してしまうのは、実際の距離にして4−5mの時、そこを確実に進めば右往左往することがない、でしょうか。あとは、間違って進んでも、きちんと修正し元に戻れば良い、ということ。わからないことは、まだまだありますが、ようやくビーコンという道具を使えるようになりました。
15:00 レスキュー訓練終了
 この頃から雪降りだす
17時半ころ Ta田さん到着

2月21日
天気:晴れ時々曇り

トレーニングのため一人で設営されたTa田氏テント

8:30頃 すぐ近くの斜面でトレーニング開始
 ビーコントレーニング

ビーコントレーニングの様子
ゾンデー連で絞り込み

 9時頃、K元さん合流、デジタルビーコン(マムート)のK元さんは、デジタル班に加わりました。それで、自分とK元さんは同じスコップを使っていまして、ビーコン捜査に夢中になるあまりスコップを雪面に突き刺したまま自分はビーコン捜査を始めてしまい、掘る段階になって気がつけばいいのですが、何の疑いもなくK元さんのスコップを奪い取って、指摘されて初めて気がつきました。そのことを除けば、今回の、自分のビーコントレーニングは本当に順調に事が進みました。逆に、アナログ班は近くまで来るのですが微妙にずれていて、たいてい20分くらい捜索にかかっていました。「埋めたビーコンは小さいから、実際の人体はもっと大きいから」という言い訳を何度も聞かされ、最後は「ロープと一緒に埋めて体積を増加させる」ということをしたのですが…。昔よく聞いたのは「訓練しなくても扱えるのがデジタルビーコンで、訓練したらアナログビーコンの方が早い。ガイドとかはたいていアナログビーコンを使っている」ということでした。今回、ようやくデジタルビーコンが使えるようになった程度の自分なので、アナログ班に対しての文章はこの程度に。

アナログ隊ビーコン訓練の様子

掘り出し
 ビーコン捜査から掘り出すまで一連の動作を1回はやっておこうということで、リーダーからつなぎを借り胴・足の部分にマットを入れて簡易的な埋没人形を作りました。原理主義になってしまうと、どなたかに全身埋没していただくのが一番なのですが、そこまでするリスクの割には得るのも小さいので(というかリスク高すぎです)、埋没人形を雪の中に埋めて、斜面の上から埋没人形を探し出し、ツエルトをかぶせるまで行ったところで埋没人形の役割終了、実際の人間に交代しまして、掘った穴から安全なところまで運び出すということをしました。

シュミレーションとして、簡易的な埋没人形を雪の中に埋めます。
簡易埋没人形にツエルトをかぶせる

 都学連の講習時には、あまり意識しませんでしたが、体の一部まで掘り出したら、まず、頭を探して呼吸空間を確保する(よくよくテキストを見たら、都学連のテキストにも書いてある)。雪を掘ろうにも、人体(人形だからいいが、実際の人だったらと思うと、だいぶ困難だと思う)を傷つけてはいけないので、とても掘りずらい。それでも、のんびりはしていられない。体の一部を掘りあててから、体をツエルトで包むまでの動作は、埋没者のことを考えるととても重要な部分なので次回教わるときは特にここに、注意して聞きたい。
 ツエルトをかぶせたところで、簡易人形君の役割終了、それ以降はこのメンバーの中でおそらく一番体重が軽いであろう、K林さんに埋没者役を交代してもらい。ヒューマンチェインを使って安全な場所に運び出すということをしました。

K林さんに埋没者役を交代
埋没者(シュミレーションのためK林さん)の全身をツエルトでくるむ。

 ヒューマンチェインですが、まずヒューマンチェインをする前に(膝を折り曲げた状態で膝が雪面と同じくらいの高さになるような深さで)埋没者の谷側を掘っておけば、埋没者を持ち上げる時に、谷側の人間は膝の上に乗せるのに持ち上げる必要はなく、谷側にスライドさせるだけでいいので非常に楽です(ちょっと、K元さんに上手に伝わっていなかったようです)。その他、頭の方が重いので頭の方に持ち上げる人が来るように、足の方は人手はあまり要りません。

11:15 谷川岳

 以上をもちまして、先週自分が教わった内容の伝達は終了です。なんとか、なってくれました。以降は、クラス2で教わる内容です。

 搬送

再度、K林さんに傷病者になっていただきます。
シートの内側(できる限り下の方)にカラビナを入れ、インクノットで結ぶ
シートベンドで、それぞれロープを結束

 傷病者をツエルトで包み、ツエルトの内側にカラビナ(カラビナがなければ雪玉でも可)を入れて、インクノットで結びます。これを左右両側に、間隔をおいて4−5個作ります。作られた、インクノットのロープをそれぞれシートベンドで(忘れていました、復習あるのみです)結びます。ちょっと、ここら辺はあまり分かりません。

搬送可

12:00−12:40 昼食
 雪上でのアンカー・スタンディングアックスビレイ

雪上でのアンカー
 スノーバーを雪面に埋めて
スタンディングアックスビレイ(1)
 カラビナを付けたピッケルを雪面に差し込んで、その上からピッケルを靴で踏みます。
スタンディングアックスビレイ(2)
 カラビナにロープを通し、ロープを肩がらみにし(この時ひざを曲げない)、登ってくる人が落ちた場合、急に制動をかけずに、ロープを少し流すようにして制動をかけます。
ビレイ練習のため、滑る役の人はビニール袋を下に引いて斜面を滑ります

 自分もスタンディングアックスビレイに挑戦です。体制を整えるのは手惑いましたが、滑り役の人が滑った時の制動はうまくいきました。斜面の下より少し外れたところでは別のパーティーがビーコン訓練をしていました。
13:30 訓練終了
14:00 駐車場着
14:20 駐車場出発→14:45 水上IC→17:35 荻窪駅着

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