(参:ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書 C沢登り)
場所:丹波川本谷
2009年7月12日(前夜発)
2年前、「泳ぐことによって、突破できなかったところが簡単に突破できる」ということを聞き、本講座ウォータークライミングに初めて参加しました。6月の天気の悪い日で、寒くてしょうがなかった。体験はしたものの、体得できず、次回への雪辱を考えるしかなった。昨年は諸々の事情により、参加できませんでしたが、今年の7月ようやく参加です。1度体験しただけあって前回よりはましでしたが、体得できているとは言えない所もあります。ご参考までに。
7月7日(火) 秋葉原のルノアールにて机上講習(19:00−21:00) 持ってくる装備、必要なロープ結び、集合時間の確認、参加者の顔合わせ等:一般的に、定刻通りに始まる机上講習は少ないですが、ここは定刻通り始まるようです。当然と言えば、当然なのですが、秋葉原駅には10分前に下りたものの、ルノアールが見つからなくって…
7月10日(金曜の夜) シュリンゲは(1)5mmのロープを1.4m、1.6mを1本、(2)6mmのロープを4m1本、3m1本、2m2本購入し、ダブルフィッシャーマンでシュリンゲにします。自分の基本的態度として、「前回よりはましに、前のシーズンよりはましに」というのがある。それはそれで実行できているのだが、そのせいか何か1回でものを覚えられない傾向がある。最初の挑戦はいつもとんでもないものだ。何回も丁寧に教えてくれる所ならいいが、それが当たり前と思うと良くない。結び方などはきちんと覚えないと、事故につながる。前回、自分の作ったダブルフィッシャーマンは話にならないものだった(最近、ミスはしても話にならないミスはしないよう心がけているが、2年前とはいえ何をやっていたのだろう、結び目がちょっと汚いぐらいではない)。今回、ダブルフィッシャーマンを改めて挑戦してそう思う。上記ロープを(ロープ結びの解説書を見ながら)ダブルフィッシャーマンでシュリンゲを作っていたら、あっというまに3時間。
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何、この結び目、これはお話にならない
Yさんに注意されて使用するのをやめといて良かった |
ダブルフィッシャーマンはこうだろう |
以下、実技講習
講師 CL:深瀬さん、SL:M尾さん、参加者:10名
7月11日(土)
午前中は買い物をしているうちに終わってしまった。午後はそれを整理して、パッキングしているうちに
16:56 新宿駅発→17:01 池袋駅着
17:09 池袋駅発→17:47 鶴ヶ島駅着
18:10 鶴ヶ島駅出発→20:00 三条新橋付近のテン場
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今回もすごかったです、恒例の宴会 |
深瀬さんの梁山泊と合同の宴会、「美味しい手作りの料理が次から次へと出てくる」、自分が所属している鈴蘭山の会は、頑固なN・Fさんを除き、好意的に受けいられていただきました。
7月12日
天気:曇り
服装:夏というのに、下着(アクリルかウール、カシミヤ)の上に、ファイントラック上下(薄目のウェットスーツ)を着て、その上に雨具です。その他、スパッツもきちんと、袖口から水が入ってくるのを防ぐためにリストバンドもきちんと、ですが、ここまでしても講習中はちょっと寒かったことが何回もありました。
出発前に、パッキングですが、入り口を3重くらいに折り返す防水袋(ザックの容量+20リットルの大きさ)に荷物を入れ、さらに水が入ってこないように入り口をさらにゴムひもで留めるのですが、その留め方が、机上講習の時に教わってメモしたものを実践すると、どうもよくわかりません。ゴムひもを交差して、上に巻いていくのですが、悩んでいると、ちょうどライターの火を欲しがっている人かいました。「貸すから教えてー」ということで、教えてもらいました。
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1.この位置でゴムひもを交差 |
2.上に向かってぐるぐる巻いていきます |
3.完成形(輪っかが出るように、上の輪に巻いていった輪を入れて、下のゴムひもを引きます) |
ゴムひもなのは、ゴムなのでよく縛れるからです。前回はうやむやな理解でしたが、今回はこれでマスターです。さらに、防水袋をゴミ袋で覆って縛れば防水OK
(後日談)防水袋+ゴミ袋を処理したものは、大丈夫でしたが、アマブタに入れていたヘッドランプ、救急用具、巻紙などは、使えない状態に。こっちのパッキングは油断していました。
そしてリーダーによる、講習生の装備チエック、自分のシュリンゲの束ね方が甘く、鎖結びを再度教わる。
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これでいいはず鎖結び(1)輪を作って |
これでいいはず鎖結び(2)輪にロープを通す |
これでいいはず鎖結び(3)(2)を繰り返す |
これでいいはず鎖結び(4)最後、末端処理して完了 |
8:10 講習開始
すぐ近くの斜面で(支点の取り方、半マストを使った懸垂、ごぼうで登る、ストックを使って登る)
いきなり沢には向かわず、近くの斜面でザイルワークとストックワークの確認です。まず、ザイルワークとして、木に支点を取り(木の幹が細い場合はシュリンゲで、太い場合はインクノットで)、半マストを使った懸垂下降で斜面を下りて、ごぼうで登るということをしました。
1.木に支点をとる
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インクノットで幹に結んで、短い末端の方のロープ(長いロープは無視して)で長いロープに、かた結び |
幹が細い場合はシュリンゲで
この場合、結び目が荷重の方向と一致するように |
2.半マストを使った懸垂下降
半マスト自体は習得していましたが、カラビナにロープがかかった状態で半マスト結びをすることは習得していませんでした。で、それがこの講習では何度も出てきます。
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カラビナにロープがかかった状態で輪を作って |
ひねってカラビナに入れる
(あまりわかりやすい写真ではなかったですね |
結び方を覚えることも大事ですが、完成形を覚えることも大事です(と、SLさんから教わる)(実はこの写真はカラビナの向きが左とは逆ですが) |
3.ごぼうで登る
ロープをつかんで登ることを「ごぼうで登る」といいます。ただ単にロープをつかむだけでなく、
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単にロープをつかむだけでなく |
講習の様子 |
ロープを逆手でつかんで、ひねり、下のロープを、親指にかけると保持力が増します。
次に、ストックワークの確認です、そもそもストックですが2本でなく、1本あればよく、伸縮式の(できればスプリング付きの)がよいそうです。で、ストックを落としたり流したりするとよくないので、ストックを太さ3mmくらいのひもでザックと結わえつけておきます(右下写真)。ひもの長さは腕を伸ばして届かないくらいの長さです(ですから個人差あり)。実際に使う時の、ストックの長さはストックを地面に突いて肘の高さぐらいです。山スキーもそうですが、ストックにガムテープなど巻いておけば、さらに短く持ちたい時、「ガムテで巻いた部分」を持ちます。その他、ストックのリングは必要ないので、事前に外しておきます。
ストックを使って登る時は斜面の上に置きます、トラバースするときは谷側の手がストックの上部を持ち、山側の手がストックの下の方を持ちます。この時谷側の手はバランスをとる程度で山側の手でしっかり押さえるようにします。下りる時は山側に突いて足のつま先に力を入れて下りていきます。
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ストックを使っての下降 |
ストックをひもでザックと結わえつけておく |
ストックを使わない時は、ザックと背中の間に首から斜めに入れておきます(下の「スクラム徒渉(相対)」の写真参照)。
(後日談)自分の伸縮式のストックの一段目は、穴とボッチをかみ合わせるタイプ、そのボッチの隙間から水が入り、1週間経った今でもストックの中の水が抜けてない。これを中が乾かないで冬に持って行って中の水が凍って体積が膨張して、などと考えると、沢用のストック、スキー用のストックと分けたほうが良いかもしれない。
9:30 テン場を出発、沢に入る
9:40 ウォータークライミング講習開始
1.ラッコ泳ぎ
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ラッコ泳ぎ |
いよいよ、本格的なウォーター講習です。まずはラッコ泳ぎから、ザックの上に仰向けになって足を小刻みに自転車を乗る時のように回転します。2年前は両手は横に広げていた記憶がありますが、今回ストックを握った状態で行われました。実際、ラッコを泳ぐ前、ストックを使いながら進むと楽に進めましたし、しまったりするのも面倒ですし、浅くなった所でラッコ泳ぎを終えて立ち上がるのですがその時もストックを突いたほうが立ち上がりやすいです。10m程度を泳ぐというのを、各自4,5回行ったでしょうか。その中で納得がいったのは1度くらい。案外、流れのある中でザックの上にうまく乗れませんでした。ストックを両手に握ることにより岩にぶつかりそうになった時、ストックを岩にあて、対処するという手もあります。でも、バランスをとるという点からは両手を横に広げたほうが取りやすかったか。それにしても、ストックを使うことで行為の範囲がずいぶん広がる。深さがわからない時でも、ストックを突いておおよその深さが測れる、前に進みやすいです。その他、ラッコをするときはウエストベルトを締める。
2.ストックを使った徒渉、スクラム徒渉(相対、横列)
ストックを使った徒渉 |
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その、ストックを使った徒渉です。ストックは上流に突きます。ストックは使えると思います、ただ藪こぎの時、邪魔になるのではないかという不安があります。後は、ストックを使わずに歩くことができる人がストックを使うことに問題はないかもしれないが、「沢の歩き方を知らないレベルでストックを使用し、ストックに頼ってしまっては歩き方が永遠にうまくならないのでは?」とも思います(よくある文明の利器を使用する際の問題です)。それさえ、うまく行けばすごい戦力だと思います。
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スクラム徒渉(相対)
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お互い向き合って、ザックのショルダーベルトを持ち合ってカニ歩きで横に進みます。上流の人の方が流れが直接当たり大変です、逆に下流の人は上流の人に流れがぶつかった弱い流れしか来ないので楽です。ということで、下流の人は上流の人を支えるのが役目でもあります。自分も2、3度徒渉しました。組んだ人が上手かったせいもあるかもしれませんが、楽に渡れました。
スクラム徒渉(横列) |
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3−4人で、横一列になって互いのショルダーベルトを持って、カニ歩きで横に進んで徒渉していきます。左右両端の人は、ストックを出して空いている手に持ち、バランスをとりながら進みます。コツは声を掛け合うこと、「進路に大きな石があり進みずらい場合など」互いに理解しあう場合とそうでない場合は全く違います。
3.ザイルをつかった徒渉法
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左の模式図のように、川が流れていて、A地点からB地点へと渡るのが最も良さそうだ、という場合、川の流れが強く、スクラム徒渉で進むには危険な場合ザイルを使った徒渉法となります。 |
まず、地点Aよりさらに上流の地点C辺りに、良いビレイポイントを探します。AからCの距離は、川幅より長い距離です(短いとロープにテンションがかかりずらいです)。ビレイヤーはロープの末端から5mぐらいのところに、半マストで自分のカラビナにロープを固定します。 |
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C点でビレイ
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「あ」が、ロープを半マストで自分のカラビナに固定し、トップで川を渡ります(緑線はロープ)
この時、Cにいるビレイヤーは基本的にロープを送り出したりしません。「あ」が、自分でロープを送り出すことにより、川を渡ります。
何かあった場合、D地点にいるサブビレイヤーがロープを引いて「あ」を岸へ引き寄せます。それでも無理な場合のみ、ビレイヤーは半マストを緩めて「あ」を下流に流します。 |
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トップが川を渡る、この時ロープに体重をあずけた方が楽 |
トップが川を渡り切りましたら、トップとビレイヤーは、A地点、B地点の1mほど上流のE、F地点にロープを張ります。下の「セカンド以降の渡渉(1)」写真が示すように、実際に人が渡るのはロープの張っている所よりも多少下流になるので、わざと少し上流にします。 |
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セカンド以降の渡渉(1)
ロープにテンションがかかった状態で、セカンド以降はロープにヌンチャクをかけて川を渡ります
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セカンド以降の渡渉(2)
渡っている人は、滑って手を離しても、ヌンチャクで固定されているので流されません。渡っている人が滑った場合、ロープをつかんで再度、体勢を立て直します。(この写真は「セカンド以降の渡渉(1)」と進む方向が逆) |
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ビレイヤーを除いて、全員が渡り切りましたら、今度は最後にビレイヤーが川を渡ります。トップ(別の人でも構いませんが、交代するのも時間がかかります)は、Gに移動して、腰を落ち着かせ、ビレイします。Gの人は先ほどと同様、基本的にロープを送り出したりしません。特にセルフビレイはとりません。 |
最後に、ビレイヤーが川を渡る。トップが渡った時と同様、半マストで(この写真は上のと進む方向が逆ですが) |
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こんな流れの中も、渡れる |
5人の班を作り、各自、トップ、とラストを1回ずつ、セカンド以降は何度も訓練しました。
11:45 昼食
激流に入ることが多いせいか、(前回のように震えが止まらないというほどではなかったですが)こんなに着こんでいるのに寒い。お湯を沸かしてカップラーメンを、暖かいものがあると気持ちも落ち着きます。
12:30 講習再開
4.ザックピストン法
午前中より、少し上流へ進んでそこでザックピストンです。
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ザックの前 |
ザックの後ろ |
ザックの前、ザックの後ろと、それぞれシュリンゲを通しておき、さらにもう一本のシュリンゲで前と後ろのシュリンゲを連結させます。メインロープにインラインフィギュアエイトノットで2つ結び目を作ります。一つはザック(先ほど作った前と後ろのシュリンゲを連結させた部分)にかけ、もう一つは泳ぐ人のハーネスにかけます。その他、ザックピストンで泳ぐには上の写真のように中身の少ない状態では泳ぎづらく、なんでもいいから「ザックをパンパンにすること」です。自分はゴリポリ(5リットルポリタン)を持っていき、膨らませてパンパンになるようにしました。
泳ぐ人は、ザックの下のポケットを持ち、腕をまっすぐに伸ばしながらバタ足をします、そして先に渡った人がロープを同時に引っ張ります。出発するとき、合図として、笛を1回吹きます。引っ張ってもらうので、急流でもとても楽で、速いです。
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ザックピストン法(1) |
ザックピストン法(2) |
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ザックピストン法(3) |
「ザックピストンで泳ぎ、その後『泳いでいる人を引っ張る』を2回ほどして、ラッコ泳ぎで、スタート地点に戻る」を2回しました。引っ張る方も、特に疲れるというほどでもなく、一生懸命やれば成果は付いてきました。
5.押しくら饅頭式激流突破
押しくら饅頭式激流突破 |
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縦に並んだスクラム徒渉、上流に進むスクラム徒渉だと思います。後ろにいる人が前にいる人を押す。5にんほどで写真のような場所を10m?ほど進むというのを1回、その時は前から3番手でした。1回しかやらなかったのでそれほど詳しいことは書けません。
6.飛び込み+ラッコ泳ぎ
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この位置から、水の中へダイブです。 |
ダイブ |
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ダイブ後 |
2mくらいの高さから、流れの中へ飛び込み、ラッコ泳ぎ。これは、自分の知っている沢の本には出ていません。知らなければ沢を突破できないというより、知っていたほうが沢を楽しく安全に行けるというものだと思います。腕を十字にクロスした状態で飛び込み、着水地点で膝を曲げます。メガネは、ふっとんでしまうので(メガネバンドをしていてもダメ)外します。ヘルメットもつけていると、入水した時の衝撃でズレて前が見えなくなるなどあるので外して飛び込みます。
7.カワセミ泳法
カワセミ泳法 |
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ラッコ泳ぎの変形で、ザックを背負って仰向けになるところは同じ。違うのは、片方の手で岩をつかみ、片方の手で背泳ぎの手の動作をしながら進むこと、足はバタ足。コツは、自分の体とつかんでいる岩との間に水流をいれないとのことなのですが、自分は片方の手で岩をつかむところが上手く行かず、流れに戻されて、なんとかかんとか無事終了したものの、体得とはとても言えず、わけがわからないまま終わってしまった。1回のみの挑戦。これは前回2年前は、体験できず、今回初めてだったからある意味仕方がない。なんだかんだ言って本で読むのと、実際に経験するのとではまるで違うから、次にはつながるとは思いますが…
再度、ザックピストン法、飛び込み+ラッコ泳ぎ
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ザックピストン法(4) |
ザックピストン法(5) |
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先ほどのザックピストンが、引っ張る人が平らな所でやったのに対し、こんどはきちんとセルフビレイをとらねばならない所でザックピストンです。「ザックピストン法、飛び込み+ラッコ泳ぎ」を1セットしたところで、講習終了です。
15:25 講習終了、来た沢を戻る
15:40 テン場
16:15 三条新橋付近のテン場、出発
16:25 のめこい湯(温泉)着
17:30 のめこい湯出発
18:00 奥多摩駅着
最後に深瀬さんとは握手をして別れることができました。
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