都岳連・岩場のセルフレスキュー

 いわゆる「山」を始めたのは高校の頃から、あの頃は、一番すごいイベントが夏合宿(南アルプスに2泊3日縦走くらい)でレスキューというものに全く縁がなかった。もしあってもそれは顧問の先生の領域と考えていたかもしれない。大学に入って、沢や山スキーもするようになり、顧問の先生もはんこを押すだけなので、救急法や搬送法などは勉強するようになった。ですが、岩場のセルフレスキューというものに初めて触れたのは2006年の10月のこと、「見る」ことだけでせいいっぱいで、「する」ことはほとんどできなかった。「こういうことをやっているのか」ということだけだった。あれから岩場のレスキューというものに触れるのは大きく4度目(細かいのを入れるともう少し経験している)、ようやく「する」ことができるようになってきたか。できるようになってきただけで、まだできない部分もあるのですが…

2009年5月21日(机上講習)、23―24日(実技講習)

スタッフ13名、受講生14名(クラス1と2に分かれる、自分はクラス1に)
 (クラス1:大勢でレスキュー、クラス2:一人の力でレスキュー、クラス1の方が基礎的)

5月21日(机上講習)
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター
 (新宿駅より小田急線各停電車で2つ目、参宮橋駅下車徒歩10分くらい・都岳連の募集要項より)
19:00 集合
19:15 講習開始
 講習中、デジカメで一つ一つ記録する人が大勢いました。自分も持っていけばよかった。
 スタッフが実演してくれたのは(1)レスキューのアンカーポイント、(2)ロープの仮固定(ATCの場合、エイト管の場合)、(3)介助懸垂、(4)ディスタンスブレーキ
 (実技講習の際には)1.管付カラビナの方がミスが少ないので、できるだけ管付にするように。2.スリングとカラビナにはマーキングや名前を書いてくるように
21:00 講習終了

5月23日(丹沢・モミソ岩)
天気:曇り
7:11 新宿駅発→8:29 渋沢駅着
8:30 集合(スタッフの車で出発)
8:55 新茅荘の駐車場着

駐車場です。
(自分から見ると)皆さん、装備が立派です。がんばらねば、がんばらねば。

9:05 新茅荘の駐車場出発
 モミソ岩に到着するには川を渡らなければいけません。水量が少ない時は楽なのですが、嗚呼、モミソ岩に来るのは今回が初めてではないので、川を渡ることは分っていたのに。替え靴下を持ってくればよかった。渡渉に失敗したのは自分だけではないです(くるぶしから下が濡れただけなんですけけど)
9:30 モミソ岩到着・講習開始
 もう別のパーティ(学生がほとんど7−8人くらい)が来ていました。
 午前(支点の作成、フリックションノットというもの、懸垂下降、ターンを2回)

支点の作成

(1)支点の作成
 (ア)支点にカラビナをかけて(カラビナのゲートを人差指で開いて支点にかける。そしてカラビナを反転させる。そうしたほうがスリングをかけやすい)(イ)セットしたカラビナにスリングをかける。なお、管付カラビナを使った方が良いが、管付がない場合、上の「支点の作成」左上の支点についているカラビナのように、カラビナを2枚使い、左右向きを逆にする。(ウ)スリングは流動分散を作り(スリング角度は60度以内)、荷重がかかる方向にフリクションノットで固定(上の写真で左手で持っているカラビナのすぐ上に)。ちなみに、フリクションノットで固定するのでなく、スリングをそのまま縛ってしまう手もありますが、そうすると荷重の向きが変わった場合、修正するのが大変です。また、固定するのは、支点が外れてしまった時など衝撃を最小限にできるからです。
 自分も挑戦してみました。支点をかけるところから注意されましたがその他は問題なし。とりあえず、一つクリアー。一つもできないという事態から逃れられ、とりあえず一安心です。
 続いて、正面は混んでいるので、モミソ岩の裏に回って、いよいよ登りながらの訓練開始です。モミソ岩裏は年々、苔が生えて滑りやすくなっているとのことです。

フリックションノットというもの

(2)フリクションノットというもの
 フリクションノットについて、クレムヘイストと、バッチマンと、プルージックの説明。プルージックは片手でできるという便利さはあるものの、効きが悪い。その他、結ぶスリングと、メインロープに相性があるので、登る前に荷重をかけてみてきちんと効くかどうか確認するように。荷重をかけるために1mくらい登る。
(3)懸垂下降
 フリクションノットで岩場を登り、4−5m上のテラスから懸垂下降です。(危険を防ぐため、テラスから下降するときは今回全てバックアップとしてもう1本ロープをつけた状態で講習が行われました。以下同)懸垂下降の説明として、(ア)そもそも懸垂下降をセットする前に支点がきちんとなっているか確認、(イ)エイト管を「ハーネスにセットした管付カラビナ」にセットしておく(輪が大きいほうに掛ける)。この状態でメインロープをエイト管にセットし、エイト管を管付カラビナから外して小さい輪にかければ、管付カラビナを落とす可能性がない。

管付カラビナを使ったクイックドロー(ヌンチャク)
これだと少しスリンゲの部分が長いので後ほど短くしました。

(4)仮固定を楽にするために(管付カラビナを使ったクイックドロー(ヌンチャク)、及びターンを2回)
 懸垂下降の仮固定に入る前に、救助訓練では確保器の周囲で様々な作業をします。そうしたとき、「確保器とハーネスの間に」距離がある程度あったほうが作業しやすいです。そこで長さを増すためにクイックドローの出番となるのですが、普通のクイックドローでは管付カラビナでないので、(上写真のように)救助訓練ではスリンゲに管付カラビナをセットしたクイックドローを使います(自分はクイックドローの片側がきっちり固定されているものしかもっていないため、このようにしましたが、クイックドローからカラビナを抜いたものも売られていてそっちを使った方が良いかもしれません(下写真・「確保器とハーネスの距離がある程度あったほうが作業しやすい」))。
 救助訓練では救助者だけでなく、事故者の体重までロープにかかります。そうすると、普通の状態で仮固定などすると、荷重を抜いたとき等、一つ一つの作業にとても力がいり、少しのミスでも大きなミスになってしまいます。そのような状況を防ぐためにも、救助訓練では必ずハーネスにカラビナをセットし、そこでロープをターンさせた方が問題なく作業ができます。通常は1回ターンですが、この時だけ2回ターンをして懸垂下降をしたら非常に楽でした。ただし、2回ターンをする場合、1回ターンをして荷重をかけてから2回目のターンを作ります。2回ターンを最初から作った状態で懸垂下降をしようとすると、エイト管に荷重がかからず無意味でした。

確保器とハーネスの距離がある程度あったほうが作業しやすい
(この人はスリンゲでないタイプの管付クイックドローです)
ターンを2回して、岩場を懸垂下降

 食いつかれたわけではありませんが、岩場の近くに小さなヒル発見。また会ってしまった、今年もか…
11:45―12:15 昼食、とりあえず午前中難なくついて行けたことに、ほっとする。
 午後(懸垂での仮固定、ディスタンスブレーキ、リーダーレスキュー(手本のみ)
(5)懸垂下降での仮固定(管付ヌンチャク使用(4)参照)
 ―エイト管の場合―
 懸垂下降途中で、手を離すためにロープを一時的に固定します。(ア)(4)の要領でロープを1回ターンさせます。(イ)エイト管の大きい輪と小さい輪の間にロープをぐるぐる巻きにします。この時、最初の巻きは強く、後ほど弱く。(ウ)末端を「ぐるぐる巻きの最後」にはさみこんで固定。(エ)(ウ)をさらに確実にするために、はさみこんではみ出た末端にカラビナをかけて上のロープにかけて固定。
 (オ)解く時は(エ)でかけたカラビナを外し、はさみこんでいたのを引き抜く。(カ)右手(左右逆でも可)でターンした部分を持ち、左手で引っ張りながらぐるぐる巻きを慎重に解いていく。

仮固定をすれば、懸垂下降の途中で手も離せる

 ―ATCの場合―
 (ア)はエイト管とおなじ。そもそもATCはATCの穴から出る送る側のロープと送られる側のロープが180度反対方向になった時に効く。同じ方向では効かないので、特にATCを使う場合はロープをターンさせること(必)(イ)ATCの上にロープをクローブヒッチ(ロープの上を巻いて、ロープの下から通すこれを2回やる)で巻きつける。机上講習の時はクローブヒッチでなくハーフヒッチ2回になってました、別の方法もあるということ。(ウ)エイト管の(エ)と同じ。解く時は基本的にエイト管と同じ。
(6)仮固定の動作の代わりにオートブロック(管付ヌンチャク使用(4)参照)
 (5)の動作をするのも一つの手ですが、別の方法もあります。それがオートブロックを用いる方法です。(ア)ターンさせる所は仮固定と同じです。(イ)ターンしてロープが折り重なった部分にオートブロックを結びます(位置は確保器とハーネスの間)。オートブロックの末端を固定したカラビナはロープが流れるのを防ぐのですから、ハーネス側のターンをするのに使用したカラビナにかけます。(ウ)下降するときはオートブロックの巻いた部分を緩めます。
 ここでオートブロックを用いるのは、他のフリックションノットに比べて移動しやすいからです。

下降するときはオートブロックの結び目を緩めて(左手)
肝心なところが見えにくいですが、(6)の写真だと思います。

(7)ディスタンスブレーキ
 3人以上いる場合に使われる救助法、いよいよ本格的な救助訓練になりました。役割分担をします、3人のうち、一人が事故者、一人が救助者、もう一人が「救助者のコントローラ」になります。(ア)「救助者のコントローラ」(下右図)が支点(B)に確保器をセット(ボディビレイではない)。ここで、確保器でなく支点にムンターヒッチでメインロープを結んででも構いません。(イ)救助者はデイジーチェインを使います。デイジーチェインがない場合にはスリングでも良いのですが、デイジーチェインがあると、長さの調節が簡単に出来て便利です。救助に向かう前にデイジーチェインの長さの調節を行います(下左の概略図参)。デイジーチェインの片方の末端を救助者のハーネス、途中をメインロープにカラビナでセット(A点)、もう片方の末端を事故者に結びます。A点の長さは5:2になるようにします。(長さのイメージとして)頭の上にA点が来て、少し目線を落とした所に事故者に結ぶ末端が来るくらいです。この5:2というのはあくまでも目安で、要は事故者の後ろに周った時、事故者のハーネスにやっと救助者の手が届くくらいの距離です。なぜ、この距離かというと事故者がバランスなどを崩しても救助者にぶつからないからです。

救助者のディジーチェインの長さの概略図 「救助者のコントローラー」

(ウ)いよいよ事故者に向かって下降です。救助者は、「救助者のコントローラー」に声をかけます。通常は「ダウン、ダウン」、下ろすスピードが速すぎる時は「スロー、スロー」、事故者の近くまで来た時は「あと、何cm」と声をかけます。(エ)上右図「救助者のコントローラー」は救助者を下ろす時、ロープを滑らすと(救助者の下りる)スピードが速くなってしまいますので、握った状態で(図では上に右手が来ているので、今度はロープを握って左手を上に)手を交互に送るようにすればスピードを抑えられます。

事故者の所に救助者到着 事故者の下に回って、ハ-ネスをつかんで

(オ)事故者の近くまで来たら、救助者はデイジーチェインの末端を事故者のハーネスにセットします。「Catchしました」と声をかけます。(カ)救助者は、事故者の下に回り事故者のハーネスを片手でつかんで、もう片方の手で片足を持ち、救助者の胸の位置にのせる。これで岩場を下りる準備ができました。(キ)再度、ウの要領でコントローラーに声をかけて、岩場を下降です。
 これはあくまでも一般論で、事故者が怪我をしている場所により別の方法にいしたほうがいい場合もあります。この方法が絶対というわけではありません。これまで全然疲れませんでしたが、このディスタンスブレーキで一気に疲れました。救助者が特に疲れます。
(8)リーダーレスキュー
 「トップで登っていた人が、何か大きなけがをしてしまった。その時に、ロープを安全に外し、救助しに行く」方法です。この日はもう時間がないので、スタッフの方が実演するのみで、講習生の体験は翌日になります。
16:00 講習終了
 この日は無事、講習についていけました。
16:20 モミソ岩出発
16:45 新茅荘の駐車場出発
17:05 どんぐり山荘着(大倉のバス停近く)

19:30−20:45 机上講習(これは予定の時間、実際はもう少しずれていました)
(9)エアーレスキュー(ヘリコプターでの救助)について
 その中で携帯電話の使用についてもお話がありました。特に(ア)バッテリーバックアップ可能な機器と充電池を持参、(イ)電話よりもメールがつながりやすい。電波がほとんど通じないような場所でも、電源を切っておいて入れなおすと、携帯は全方向にアンテナを伸ばそうとするので、メールなら転送できることがある。
(10)搬送法
 (ア)道具を利用した搬送法
  (a)スリングを利用した搬送

スリングを事故者の背中に巻く 左写真の状態から、
スリングの一端を腿の方に持っていくとさらに便利

  (b)ザックを利用した搬送

 ザックのショルダーベルトを目いっぱいに伸ばし、ザックと救助者の間に事故者が入る。
 スタッフの方の笑顔がすごい。

  (c)ザックとマット及びストック(木の棒でも良い)がある場合
 ストックをマットで巻きます。ショルダーベルトの下部に、ストックをマットで巻いたものを差し込み、事故者はその上にのります。その状態で、運搬者はザックを背負います。運搬者と事故者以外に人がいる場合、運搬者が起き上がる時、「ストックをマットで巻いたもの」を左右から持ち上げてやると運搬者は楽に立ち上がれます。さらに人がいる場合、運搬者の前に四つん這いになり立ち上がる時に支えになるとさらに便利です。事故者の上半身が固定されていないので、(a)の要領でスリングで固定します。尚、運搬者の肩にタオルなどを敷いてあげると痛みがだいぶ和らぎます。
  (d)雨具を利用した搬送
 上着のポケットにスリングなどを入れておく、ちょっとこの方法はあまり理解できませんでした。

ザックとマット及びストック
(木の棒でも良い)がある場合
雨具を利用した搬送

 (イ)道具がない場合の搬送(長い距離は運べない)
  (a)ドラッグ法(一人しかいない場合、事故者の片腕を、事故者の後ろから両手でつかみ、ずるずると引っ張る)
  (b)吊り上げ法(二人いる場合、一人は事故者の足をくませ下の足を持ち、もう一人はドラッグ法と同じ方法で運搬する)
  (c)ヒューマンチェイン法(3人以上いる場合)、事故者の左右両側に一人ずつ並ぶ。この時、「事故者の頭」に一番近い人は、その場所が一番力がいるため、力のある人・背の高い人がなる。左右両側に並んだ人は向き合い、互いの手を事故者の下に入れる。「事故者の頭」に一番近い人が声をかける、「イチ」で膝の上まで事故者を持ち上げる、この時向き合ったもの同志はきちんと手を握り合う。「ニ」で事故者を持って立ち上がる。
 この後、懇親会が行われました。その頃、大きな雨の音が


5月24日(神奈川県立山岳スポーツセンター)
天気:曇り時々雨(または雨時々曇り)
7:00 朝食
 朝食は(案外旅館はどこでもそうかもしれませんが)とてもボリューム大。スタッフの方から雨のため、モミソ岩は中止になり、屋外のクライミングウォールのある神奈川県立山岳スポーツセンターで訓練を行うとのことです。「ああ、あの壁か」丹沢に来た時に何回か遠目に見たことがあった。一度は行ってみたかった所です。
7:50 どんぐり山荘出発
 出発する頃に雨は小降りになり、その後雨は降るものの、大雨はありませんでした。
8:05 山岳スポーツセンターのクライミングウォール

山岳スポーツセンターのクライミングウォール
(ちなみに壁上部は角度を変えることができます。)
今回は全く使用しませんでしたが、反対側にボルダー壁もありました。

 これが、そうか。ホールドを触る。確かに濡れてはいるものの、思ったよりは濡れてない。ちょっと登るくらいなら何の問題もないだろう。でも、今回クライミングシューズは、自分持ってきていません。

スタッフの方が支点を作成(1)
スタッフの方が支点を作成(2)

8:30頃 講習開始
 午前(リーダーレスキュー、ライジングシステム)
(11)リーダーレスキュー
 都岳連のテキストより、レスキュー方法は、大きく3つのパーツに分かれます。
  1.ビレーヤーが自己脱出
  2.ビレーヤーが登り返し
  3.リードしていた身動きがとれないパートナーの振分救助
です。
 1.ビレーヤーが自己脱出
 (ア)レスキュー以前の作業として、カラビナを操作できる所にセルフビレイ(ロープはメインロープで)(イ)事故が起こったと仮定。(ウ)仮固定(エ)フリクションノットをセットし、末端はセルフビレイの支点につなげる(オ)仮固定を解除し、荷重をフリクションノットの方に移動(カ)ロープの途中で8の字結びを作り、セルフビレイの支点につなげる。(キ)ビレイ解除。
 前日のスタッフによる実演は登り返し、振分救助と行いましたが、この日自分たち講習生が行ったのはここまでです。

(エ)フリクションノットをセットし、末端はセルフビレイの支点につなげる

(12)ライジングシステム
 前日のディスタンスブレーキは「救助者と事故者」の二人を下ろすのでまだ楽でしたが、「事故者と救助者」の二人を持ち上げることだってあります。その時にできる限り楽な方法でというのがライジングシステムです。要は、ロープの途中にフリクションノットで、別のロープの部分とセットすることにより、ロープを引く距離は3倍になりますが、力は1/3でよいというのが理論です(実際には1/3よりもっと力が必要となります)。ロープを引けば引くほどフリクションノットは上にあがっていくので、ロープを引っ張ってはまたフリクションノットを下に戻しの繰り返しになります。

ライジングシステム(1/3)の概念図
(参:都岳連テキスト)
ライジングシステムの概念の説明
右側にも支点をとった方が、下にロープを引けるので楽に引けます。

 この頃になって集中力が切れてきたか、これより前はだいたい(作業的に)理解できていたのですが、メモを取るのも忘れているし、理解できていないのから整理していけばよかったが、時間順に整理していたので忘れたころに理解できていないものが来てしまった。困ったな、昨年の自分は、ライジングシステムをどこまで理解していたのだろう。気になって昨年の(すずらん山の会で行われた沢のレスキュー)記録を見ると、ライジングシステムは時間の都合でしなかったとありました。都岳連のテキストにも、山と渓谷の本にも、ライジングシステムについて概念的なことは書いてあるが、実際にこうしてああしてとは書いていない。少しは言い訳ができたか?
 その後、階段の踊り場から、下にいる事故者を二人で持ち上げる(ライジングシステム)を行う。

 そんなこんなで、他にセルフレスキューの記事が書いていないか探していたら、「実践! オールラウンドクライミング」廣川健太郎著 に作業方法が書かれていました。都岳連の講習とは直接関係がありませんが、参考までに抜粋すると
 1.落ちて下方向にひかれているパートナーのロープをプルージックなどで、ロープがかかっている支点に仮固定
 2.パートナー側のロープの仮固定位置よりも下に、もう一つプルージックをきかせ、こちらはカラビナを通り反対側に出ている側のロープにかけ折り返す。

11:30―12:00 昼食
 午後(シュミレーション:ザックを使った搬送法+ライジングシステム、前日の復習)

階段の踊り場から、下にいる事故者を持ち上げる練習 1/3ツインシステム(参:都岳連テキスト)

(13)シュミレーション
 事故が起きたとしての、シュミレーションです。まず、事故者を「ザックを使った搬送法」で運べる状態にし、次にライジングシステムで実際に持ち上げます。階段の踊り場から、下にいる「事故者と救助者」を踊り場まで持ち上げます。今回は二人を持ち上げるので「1/3ツインシステム」が用いられました。
 1.ザックを使った搬送法:上記(10)(ア)(c)参照
 2.ライジングシステム(1/3ツインシステム)
 5人(この時は)いるメンバーのうち、Sさんがリーダーとなり掛声をかけます。片方に2名、もう片方に2名で「事故者と救助者」をひきあげます。うっかり力を抜いても事故者が落ちないように、B、Cの支点にはスタッフの方から、引くことはできるけど押すことはできない構造になった滑車(別名:プーリー)を使わせていただきました(A、Dはただの滑車でも大丈夫)。このような滑車がない場合、B、Cにそれぞれフリクションノット(もしくはタイブロック)を用います。
 さらに、上図の形ですと、上に引き上げなければいけないため体重を乗せることができません。A、Dの先にさらに支点を作って折り返し、下向きに体重をかければ楽になります。
 これだけ広くて安定した踊り場+4人でも、二人を踊り場まで上げるにはずいぶん力がいりました。
(14)前日の復習
 (5)懸垂下降の仮固定、(6)仮固定の動作の代わりにオートブロック、(7)ディスタンスブレーキの操作を確認、まだまだ「わかったつもり」というレベルでした。(7)の復習で、最初「ATCのボディビレイ」でビレイしてしようとしてしまいました。アルパインをやっていないので、こういう所でぼろが出る。その他、仮固定の操作を確認する意味でも、壁にちょっとだけ登らせていただきました。クライミングシューズでないので、簡単な所で滑ってしまう(でも、スタッフの人は滑っていない、自分がまだまだ未熟ということ)。
14:05 講習終了

帰途につく

14:30 どんぐり荘に戻る、その後閉校式
 スタッフの方より、「救助の方法を訓練しましたが、あくまでも一般論で、けがをした場所により方法を柔軟に変えていかなければならないこと」を再度強調されていました。
15:20 解散

 今回、自分の所属している鈴蘭山の会から「この講習に参加するように、講習費は会が出す、その他は自腹。その代り会に内容をフィードバックするように。尚、講習内容は岩のセルフレスキューであり、沢ではないので、沢だったらどうするか考えるように」との通達を受けてこの講習に挑戦しました。これまでの自分のレスキューのレベルを考えると、自信はありませんでしたが、「わかっていない自分が講習に参加して鈴蘭のレスキューレベルを底上げすればいいのかな」などと考え、受講することにしました。
 それにしても、昨年完全に受け身であった自分が講習に参加することはとても不安でした。昨年のレスキューで教わったことから復習、フリクションノットは大丈夫、シートベンドを確認、大丈夫、ムンターヒッチがどこが間違っているかできる時とできない時がある。そんなこんなで鈴蘭山の会のミーティング(鈴蘭山の会の方のレスキューの机上講習)の日になる。会場で、ムンターヒッチを確認、なんでできない時があるかわかる、スタートのロープの向きだ。ライジングシステムの概要を説明してくれる。ああ、こういうことなのか。講習後、ダブルフィギュアエイトループを確認、インライン・フィギュアエイトノットを確認。なんとかお話になるかな。そして、「都岳連岩場のセルフレスキュー」の机上講習を迎える。

戻る