大崩山・十石山

山域(乗鞍岳)
2009年2月21(前夜発)−22日
L:F川さん、メンバー:A部さん、自分

 この山行名は、登る前、猫岳・十石山でした。猫岳は大崩山のすぐ近くの山です。そうです、実際は大崩山を経由してさらに猫岳まで行く予定だったのです。自分がブレーキになったことは否めないというのもありますし、それだけではなく大崩山から見て、猫岳はアイスバーンになっている可能性が高く、行っても楽しめないだろう、というのもありました。いずれにしろ、雪山をスキーで登るという点では収穫の多い山行でした。これを生かすも殺すも、今後の自分でしょう。

今回の登った場所の大まかなトラックログ(赤:シール登行、黄:シールなし)

20日
10:50 調布駅出発

21日
天気:曇りのち晴れ
1:25 松本近くの「道の駅」に駐車、仮眠
6:00 起床
7:00 道の駅出発
8:00 平湯トンネルの橋付近駐車
8:45 山スキー出発
 さあ、出発。ゆるかったビンディングは前回、きちんと修正…。のはずが、なんと今回きつすぎます。靴がビンディングにセットできません。他の二人は、もう出発するのも時間の問題と思い、出発してます。前回、入ったんだから今回だって入るはず、なんでこうなるんだか? 力技で無事、セットできました。出発です。
 緩やかな林道を登って、すぐに急な登りが始まります。ビンディングがきつくて、かかとがスキー板からあまり上がらず、他の人には「かかとの上がらない靴で歩いているよう」に見えたそうです。「自分の歩く歩幅も狭い」という、そしてとどめが「後傾になっている」。以前は前傾で登っていた、前傾で棒立ちになる、それを修正したことにより登れないところも登れるようになったはずが、「後傾になっている」とは。何度も指摘されるが、なかなか現実を受け入れることができず、わけがわからなくなる。後ろから来た別の人にも簡単に抜かれる。
 最初はゴーグルで登っていましたが、曇って仕方がないので、サングラスに変えました、すると視界良好。

快調なA部さん
急な登りも一段落、休憩

 現実を受け入れるのに、時間がかかるが、それでも徐々に整理出来てくる。「前傾で足が棒立ち」になってたから以前はだめなのであって、前傾であっても膝が曲がっているような状態、「ちょっと(前足と後ろ足の)前後差がついたテレマーク姿勢」を意識して登れば良い、と自分の中で整理できる。一安心と思いきや、「さらにストックの付く位置が後ろ過ぎる」と指摘される。急斜面を登るのにストックを後ろに付くことで、登れなかったところが登れるようになったのに、なんで? と思うが、「前傾になるにはストックを前に付くことが必要。それが基本で、後ろに付くのはそれでも登れないときの応用編」のようです。以前別のゲレンデ講習で、滑る時も「後傾になっている」と指摘されました。テレマーク(山スキーヤーに指摘されたのですが)姿勢で登り、滑るのが一番安定する。。。。。。
11:20 夫婦松

夫婦松
 松がどれのことかは、不明

 天気予報の通り、夫婦松を過ぎた辺りから、晴れ間が出てきました。

あんなふうにかかとが上がれば
雪山に来ました
快調に登るF川さん
 雪山に来ました

 先ほど程、急ではないですが再び斜面が急になりました。「シールを着けて登るときはエッジを立てない、地面にフラットに」ということを指摘される。平らなところだとエッジを立てることはないが、急な斜面をトラバースするときなど自分は無意識にエッジを立てている。先ほどの「前傾と後傾」は指摘されるうちにどんどん自分の中で具体的に対応策ができていった。でも、こんどのエッジは、「エッジを立ててはいけない」ということしかわからない。具体的にどう対応していいかわからない。とりあえずは、「それを頭に置きながら登る」しかない。
 F川さんから、前方下に雷鳥がいることを指摘される。夏の黒茶の雷鳥は何度も見たことがあるが、冬の白い雷鳥はおそらく初めてだと思います。見えなくなってしばらくして、また3−4匹、「うまく写せない」と思い、カメラに残しませんでしたが、今にしてみればとりあえずシャッターだけでも押しておけば良かった、と思う。

雪の王国
大崩山への道を進むF川さん
こういう写真が撮れたことを幸せに思います

 山頂手前には所々、アイスバーンになっている所もありましたが、さしあたり問題もなく通過できました。

もうすぐ、山頂です

14:10 大崩山着
 ようやく、山頂に着きました。山頂には最初の登りで追い抜かれた二人パーティーがいました。前方に計画では登る予定だった猫岳が「雪山といった感じで」見えます。猫岳中止、ですが大崩山の山頂まで来て、お話にはなったと思います。山頂からは槍ヶ岳まで見えました、天気もよく、来て良かったです。

猫岳
最初の登りで追い抜かれた二人パーティー
F川さん(手前)
ピーク写真です
 左から、自分、A部さん、F川さん
冬山・雪山
 四ッ岳
槍ヶ岳と奥穂高岳

14:30 大崩山出発
 下りは基本的にツリーランです、木と木の間を滑ります。たまに思い出したかのように、木のないぽっかりとした斜面がある程度です。12−1月のトレーニングを生かしてテレマークターンと行きたかったですが、怖くてできず、斜滑降+キックターン+アルペン滑りで処理しました。他の皆さんもどんどん行ってしまうし、とてもテレマークターンに挑戦する状況でなかったです。雪質は良かったと思うんですけど
15:30 夫婦松

夫婦松に戻る
 正面に小さく笠ヶ岳が見えます
振り返って、左が大崩山
 さっきまであそこにいた

 最後の斜面は、夏は牧場に使われているようで、柵や杭のようなものが顔を出していました。自分が滑っていたら、雪面すぐ下の杭の頭の所に、足が引っ掛かって、転んでしまいました。スキー板の裏がほんの少しはがれました。今回は転んだだけで済みましたが、バラ線などあるときもあり、牧場要注意だそうです。
16:10 平湯トンネルの橋に戻る

21日の山行のトラックログ(シール登行:赤、シールなし:黄)(8:45−16:10)
21日の山行の速度の記録(縦軸:速度、横軸:時刻)(区間1:シール登行、区間2:シールを外す)

16:35 平湯トンネルの橋付近出発(車)
17:45 白骨温泉着
 最初知らずに「はっこつ温泉」と呼んでいましたが、「しらほね温泉」だそうです。白骨温泉郷の外れた所にテントを張って、白骨温泉は入浴できるのは宿泊客のみのようで今回は入浴見送り。A部さんの体調がちょっと悪く、明日は場合により、登らずに白骨温泉にて待機とのことです。今回は水作りもなく、街からリーダーが持ってきていただいた5リットルの水を使います。

22日
天気:晴れのち曇り
 A部さん、風邪気味のため白骨温泉にて待機
5:00 起床
7:00 出発
 前日と同じく、登りだして少しくらいの所に最大傾斜の場所があります。少しは自分も学習能力のある所を見せないと、ですが急な斜面になるとエッジは立ててしまうは、歩幅はせまくなるはでした。歩幅がせまくなるのは意識すれば解消できるのですが、急な斜面でどうやればエッジを立てずに登れるのかわからない。気が付くとまた後傾になっていると言われる。「後傾になる」も解決しなければならない。
自分の中で解決のしやすさ
 1番楽:歩幅を広くする
 次に楽:「前傾にする」
 まるでわからない:「エッジを立てずに登る」
です。それでも、リーダーに後れをとりながらもなんとか無事通過。「これ以上に急な斜面は上にない」のです。

お待たせしました

 しばらくはなだらかな道が続きます。急な斜面で手こずらないように緩斜面で体に覚えこませます。緩斜面ではできるようになったのですが…
 なだらかな道も一区切り、先ほどではないですが、再度急な登りになります。緩斜面で体に覚えこませたはずですが、体があまり覚えておらず、ましにはなったものの、思い出したかのようにポロッと忘れてしまいます。それでも少しずつ学習、学習。そして、この斜面も無事通過。
11:05 標高2200m付近で自分のシールが外れる、ガムテープで処理
 後はきつい斜面はもうないだろう、と安心したその頃、自分のシール(左)が外れました。自分のシールは前だけが止め、後ろに掛けるのがないタイプです。こういった事は以前にもあり、ストックに巻きつけたガムテープをシールに巻きつけることで対応した記憶があり、そうしました。ただ、シールの粘着力がなくならないように前日からずいぶん気を使ってましたし、実際問題として、シールが剥がれたのはショックでした。この後、ずいぶん弱気になりました。「エッジを立てて登るから、シールに無理な力が加わり、シールがはがれやすくなっている」という可能性が高いです。

この頃、自分はだいぶ弱気でした

 この頃から、山頂が見えるようになりました。山頂は、気が弱くなっていた自分の心を映し白い氷壁のように見えました。そして、ときどき恐ろしいように風が吹いていました(心象風景?)。「上は風が強そうですから、ここらで休みましょう」リーダーに提案、休み、シールを確認すると、右のシールも剥がれるのは時間の問題でした。右もガムテープで処理。さあ、息を整えて出発。ですが、風で雪が吹き飛ばされてトレースが無くなっているだけでも一々確認してしまう(基本的に、この2日間先行トレースが常にありました)。それでも、前へ前へ進み、森林限界を超えて、山頂が近づいてきました。ところが、山頂まで距離にして150mくらいの所で、アイスバーンが現れ、さあ急な斜面でトラバースのアイスバーン、どうしようと思っていると、するっと右のシールが外れてしまいました。急な斜面でもなければ再びガムテープで修正したのですが、そういう場所ではありません。右のシールが外れつつもなんとか前へ上へ登ったのですが
12:20 山頂間際で自分のシールが再度外れる・リーダーのみ山頂へ
 「リーダーは山頂に行けた。この状況でしなければいけないことはしたかもしれない」と思い、山頂に行くのをあきらめました。リーダーより、「シールを外してつける時、スキーは谷足から付ける」以前も教わって確実に身にしていなかったことを言われつつも
12:30 シールを外して下山開始
 快適にテレマークターンと行きたいのですが、安全第一で「斜滑降+キックターン」でほとんどを処理しました。山頂付近は風が強いので、シールが最初に外れたところより少し下で一休み、カリカリのアイスバーンは無事越えました。
 小刻みにターンをしていくリーダーと、「斜滑降+キックターン」で斜面の端から端へ移動してゆくことで少しずつ下降する自分。どうしてもいる位置がずれてしまいます。ちょっといい場所がなくて南側に滑りすぎたら、リーダーがいません。トレースより南側に来すぎてしまっていました。山スキーは下りるのは簡単ですが、下りたところを登るのはとても大変です。コンパスと地図を取り出し、「もっと北側」を確認する。少し登り返して、無事リーダーと出会う。すいません、行きすぎました。
 カリカリのアイスバーンを過ぎた後は雪質は良かったのですが、最後の急斜面辺りから重い雪になりました。ハアハアハアハア、息を切らしながら、「斜滑降+キックターン」で少しずつ下りていきます。その時リーダーから、「谷足キックターンしないの? 山足だと一歩登ってしまうよ」 そうです、キックターンには「一歩上に登る」山足キックターンと「一歩下にさがる」谷足キックターンとがあるのですが、自分は山足キックターンしかしていませんでした。谷足キックターンは「言われてみれば、そんな技術があったな」でして、こんな急斜面で新しい技術を試す余裕はなく、山足キックターンで下りていきました。その他、写真を撮る余裕はありませんでした。
14:40 白骨温泉に戻る

山頂まであと少し(自分のみ)(シール登行:赤、シールなし:黄)(GPSの電源が途中で切れる)

 ようやく戻れた。休憩だー。と思いましたが、「遅くなると、路面が凍るから早く行こう」ということで、荷物をトランクに押し込んで出発です。
14:55 白骨温泉出発
15:40 松本近くの「道の駅」着(装備を片づけるなど)
15:55 松本近くの「道の駅」出発
19:40 京王線八幡山駅着・解散

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