救助訓練・冬

2009年2月28日(前夜発)ー3月1日

 夏の救助訓練でもそうでしたが救助訓練は、書いていて自信ないです。おまけに、今回これで4週連続雪山、訓練に参加した時は1週間前の記事がまだ書き終わっておらず、それを書いているうちに、どんどん忘れて行ってしまう。それでも書かないより書いたほうが次回、参加するときに見直して役に立つと思う。都岳連の雪山レスキューのテキストを一部、参考に記述しました。それでもこの程度しか書けない。上を見たらきりがないし、下を見たらきりがない。次回は、もっとましになるよう、がんばります。
 その他、無雪期単独行4週連続ならいざ知らず、自分のようなレベルでは単独では不可能な雪山。一緒にいてくれた人がいたからこそできた4週連続雪山である。一緒にいてくれた方、どうもありがとうございました。

L:S野さん、メンバー:Y口さん、N井さん、F川さん、A部さん、F浦さん、K元さん、自分、28日夜よりTa田さん

2月27日
11:20 東所沢駅出発

2月28日
天気:晴れ
1:40 湯の丸スキー場の仮眠室着
 以前も行ったことのある仮眠室ですが、暖かくて、寝具も(山ヤの観点からすると)完備です。到着した時には一人の客しかおらず、以前来たときのように「静かに!すぐさま就寝」のような雰囲気はありませんでした。自分たちが来た後、数人の仮眠客が来ました。
7:00 起床
8:00 湯の丸スキー場の仮眠室出発
8:30 リフトに乗る
9:00 シールを付け出発

出発です
テント装備を背負って

 今シーズンで、自分にとっては一番重量のあるテント装備を持ちます(と言っても登っている人からすると、案外たいしたことない装備か?)。個人装備+テントのポール+1日朝食(二人分)+ロープ(8mm×50mと記憶)+テントマット、他の人についていけるか不安でしたが、急な斜面がなかったこともあり、無事ついていけました。「暑い時は、上着をザックのアマブタの下にはさむ」他の方がしているのも見て自分もしました。寒くなった時すぐ着れるので、ちょっと登るような時便利です。
9:45 訓練地到着・テント設営

訓練地到着
テント設営

10:45 午前の部開始
 1.積雪断面観察
 雪の層を観察するために、雪面を1mくらい掘ります。今回、この緩斜面は浅い所で80cm、深い所で130cm位の雪が積もっていたと記憶しています。その中で、上から30cm位のところに明瞭な雪の層がありました。2週間くらい前のフェーン現象で大幅に雪が融けたところだと思います。雪質も観察したのですが、こちらの方はあまりよくわかりませんでした。

積雪断面観察のために雪を掘る
30cm下に雪の層あり(矢印)

 2.弱層テスト(ハンドテスト) 雪崩には積もっている雪が全部流れる全層雪崩と、積もっている雪の一部が流れる表層雪崩とがあります。先ほど見たように雪が一様に積もることはほとんどなく、たいていは雪の層ができています。その層の上の部分と下の部分は雪の結合が弱く、その部分で表層雪崩が起きます。
 雪崩の起きやすさを確認するために、雪の層の強さがどれくらいかを知るために、弱層テストをします。いろいろある弱層テストのうちの一つがハンドテストです。直径30cm、深さ50cmほどの円柱を作り、円柱を引っ張ってみます。円柱の持ち方として、
 (手首:危険、ひじ:やや危険、肩:ほぼ安全、腰:安全)
です。この時は、肩で剥がれたと記憶しています。

ハンドテスト
剥がれた雪

 2.ビーコンの特性
 一口にビーコンと言ってもいろいろな機種があり、それぞれ特性が違います(今回8人中5人トラッカー)。自分の持っている機種がどのような動きをするか? を知るために、10m間隔で赤布を設置し、片一方に発信ビーコンを置き50m離れたところから、自分のビーコンを受信モードにして発信ビーコンに向かって近づいていきます。最初は発信ビーコンの面が斜面に対して平行の状態で行いました。自分のビーコン(トラッカーDTS)は距離45mで初めて反応しますがビーコンの向きを変えると反応しなくなり5%くらいの反応、距離40mで50%くらいの反応、距離30mで80%くらい反応しました。ビーコンに示される値は、(10mくらいまで30前後の値を示し・ここ記憶不正確)、10mから急に小さくなっていきました。そしてビーコンに示される方向に向かうと必ず、途中で斜め左に向かい、その後発信ビーコンに向かっていきました。
 発信ビーコンの向きを変えていろいろと試しました(@ノーマル A横向き B縦に吊るす C雪に埋める)。それぞれに受信ビーコンに現れる値の出方が違います。@で45mで初めて受信、Aは37mくらい、Bは30mくらいで初めて反応が現れました。

10m間隔で赤布を設置
ビーコンをザックに入れて埋める
右に見えるのが三方ヶ峰?

 3.スキージャンプテスト(ルッチブロックテスト)
 先ほど行ったハンドテストの他の、弱層テストの方法がスキージャンプテストです。ただ、この方法はハンドテストに比べて雪を掘る量が多く、時間もかかるため、現実的ではないとされることが多いです。しかし、今回Y口さんが持ってきたストックに結合できるスノーソーを使うとずいぶんと簡単にスキージャンプテストができることがわかりました。スキージャンプテストはハンドテストよりも、判断がわかりやすい方法とのことです。Y口さん、ありがとうございます。
(1)深さ1m、奥行1.5m、幅2mの層を切り出します
(2)切り出した層の上に乗り
 乗っただけで崩れる→危険大
 屈伸程度      →危険
 ライトジャンプ   →行動に注意が必要
 ヘビージャンプ  →概ね安定
です(参:都岳連:冬山レスキューテキスト)。今回、層は崩れませんでした。

Y口さんの新兵器
 スノーソーをストックに結合
スコップで掘るよりも簡単に
断面が形成でき
断面の上部にのって
 崩れるかどうかチエック

 その後、S野さんによる、ビーコンの使い方概略
12:45 午前の部終了(昼食)
13:30 午後の部開始
 1.緩斜面でビーコントレーニング
 二つの班、S野班(Y口さん、N井さん、自分)、F川班(A部さん、F浦さん、K元さん)に分かれて、ビーコントレーニングです。午前中の「ビーコンの特性」は発信ビーコンのある場所がわかっていて、受信ビーコンにどのように現れるか? でしたが、こんどは別の班の人がこちらの班にわからないようにビーコンを埋めて発信ビーコンの出す電波を頼りに、埋められたビーコンを探す練習です。
 下の動画のように、ビーコンの電波が届かない位置から、斜面方向に向かって受信ビーコンが発信ビーコンの出す電波を捉えるまで、ひたすら歩きます。受信ビーコンが、発信ビーコンの電波を捉えたら、Catchしました何m(言い方は他にもありますが)など声をかけて、受信ビーコンの液晶に現れる方向に向かいます。発信ビーコンまでの距離が2−3m程度になったら、(1)クロス十字法を使って絞り込む、もしくは(2)ゾンデ―連を組んで絞り込み、おおよその位置が確定したら、その場所をスコップで掘ります。いくら掘っても発信ビーコンが見つからないときはもう一度、クロス十字法をするか、ゾンデ―連を組みます。

緩斜面でのビーコントレーニング
(動画・音声なし)

 2.急斜面でのビーコントレーニング
 最初は、緩斜面でビーコントレーニングを行いましたが、緩斜面で雪崩が起こる可能性は低く、実際にはほとんどが急斜面です。緩斜面では、斜面の上から雪を掘るということができましたが、急斜面では斜面の下からしか雪を掘れません。急斜面のほう(特に今回トレーニングをした場所の雪は多く2mはありました)が、斜面の横にビーコンを埋めたり、いろいろバリエーションがありました。急斜面は緩斜面の倍近く時間がかかってしまいました。

急斜面でのビーコントレーニング
(動画・音声なし)
途中で録画のスイッチ切れる

 3.プローブ操作(ゾンデ―連)
 プローブ(ゾンデ)を使った操作です。ゾンデはビーコンがなかった時に埋没者の捜索に使われていて、4−5mの棒を雪面から突き刺し、埋没者がいればその感触でいることがわかるというものです。ゾンデの使い方にゾンデ―連があり、5−6人で(隣の人と肩幅程度の間隔で)横一列になって、一番左の人が声をかけます「右」。この掛け声で列になっている全員それぞれの右足の前の雪面をゾンデで突き刺します。次に「左」の掛声で全員それぞれ左足の前の雪面をゾンデで突き刺します。次に、「一歩前へ」で靴一足分前進し、「右」「左」を行います。こうやって埋没者を探していくのがゾンデ―連です。
15:40 午後の部終了

本日の訓練終了、テン場に戻る
今日、一日
 どうもありがとうございました


2月29日
天気:曇り
6:00 起床
7:30 午前の部開始
 1.搬送法

テントマット、マット(サーマレスト)、ツエルトを用意
けが人(今回はけがはしていませんが練習としてN井さん)をツエルト、テントマット、マットを敷いた上に運びます。
ツエルトでけが人をくるみます
搬送するとき、緩んでいると良くないのできちんと縛る


この時、上のようにカラビナを中に入れてインクノットで縛るときちんと縛れる
頭も覆います
搬送への、準備完了

 2.埋没体験

埋没体験
 K元さん
テントマットを上にかぶせ
その上に雪をかけていきます

 埋没体験は、自分も挑戦しました。掘った穴の中に入り、口の周りを手で押さえて、うつぶせになったところで、雪をかぶせてもらいます。埋没体験の感想、確かに身動きは取れなくて、真っ暗ですけど、思っていたよりはたいしたことなかった。手加減していただいたのかな? 実際雪崩で埋まったら、こんなんじゃないだろう。
 3.プローブ操作

横穴を掘って
 人(今回F浦さん)が入ります
上から、ゾンデ棒で、つついて人に当たった時の感触を確認

 ゾンデによる捜索方法は前日の終わりのころ、しましたが、実際に人にゾンデが当たった時、どんな感触になるか?です。自分の感触としましては、「地面よりも、ちょっと弾力のある感じ」でした。
 4.雪山で支点をとる方法

雪山で支点をとる方法(1)
袋に雪を入れて、それを支点にします
支点を頼りに下降
ロープを足で踏んでいますが
 足で踏んでいる辺りが上がってしまうと支点が外れる可能性が高いそうです。
雪山で支点をとる方法(2)
 スノーボラード:楕円形に、雪のみぞを掘り、斜面上部側にロープが雪にめり込まないように木の枝などを立てる
ロープをみぞにまわして支点とする
見た目は頼りないですが、方法(1)と同じく、足で踏んでいる所さえ上がらなければかなりしっかりしています。その後、木の枝を外してやってみたところ、みぞは崩壊しました。こんなんでも木の枝は必要です。

 5.スタンディングアックスビレイ

カラビナをつけたピッケルを雪面に突き刺し、両足で突き刺したピッケルの上に乗る。カラビナにロープをセットし、ビレイをする

10:45 午前の部終了(昼食・テントの撤収)
11:30 午後の部開始
 ビーコントレーニング
 最後に、もう一度ビーコン操作のおさらいを、「あれ、この反応は?」最後のビーコントレーニングは埋められたビーコン(発信ビーコン)が二つでした。その他、Catchするまでの間腕を横に振る時ゆっくり振らないとビーコンは感知してくれない。携帯電話の電源が入っていると、携帯電話から出た電波がビーコンに影響を与えておかしな結果になるので、ビーコンを使うような時は必ず携帯電話の電源を切る。頭ではだいぶ分かっていると思うのですが、実際に使うとわからないことばかりでした(自分の場合)。
12:10 午後の部終了
12:30 訓練地出発
 自分の課題である、テント装備を使ってのテレマークターン(ゲレンデ)、前回かぐらでは荷が軽かったせいか、難なく行えましたが、今回は前回よりも重量があり、前回より難しく、1度転びました。だいたいはできたのですが、まだまだです。
12:50 ゲレンデ下駐車場着

今回訓練参加者の面々(右端自分は別写真(右に掲載)より合成)

13:20 ゲレンデ下駐車場発
15:20 東所沢駅

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