魚野川本流

2008年9月13(前夜発)−15日
L:A部さん、SL:F川さん、メンバー:K林さん、自分

 「森と水の恵み」高桑信一編・みすず書房2005年を読む、「沢登り」と「沢」とかかわっていく人たちの本である、これを読みながら、「そういえば最近ずっとイワナに会っていない。イワナのいるような沢に行っていない」という思いがふつふつと湧いてきた。釣りをする山行が出るというので、具体的なことは考えず憧れだけで申し込んでしまった。釣り「ド素人」の自分を参加させていただきありがとうございます。実際に体験して、「釣り山行というのはこういうことなのか」です。
 2泊3日の沢登りは初めてでした、今回は前夜発ですから3泊3日です。正直言って「試合を壊すようなことはしなかった。試合は作った」と自負していますが、他の方に助けられるところが多かったです。雷(?)に遭ってから最初の山行、不安も多かったですが乗り切れました。

9月12日
20:25 西国分寺駅発→20:34 新秋津駅着
                20:45 秋津駅発→20:58 石神井公園駅着
21:10 石神井公園駅出発

今回は、自分の基本的なミスによりトラックログなし・概念図(1日目:細い赤、2日目:黄、3日目:太い赤)

9月13日 天気:曇り時々雨
0:20 白砂山登山口(野反湖)着
 白砂山登山口には、車が(確か)20-30台くらい置けるスペースがあります。ここで仮眠です。

出発前の写真です(リーダーとK林さん写真を合成)

6:15 白砂山登山口発
 これから沢の入渓地点に向かうのですが、ここよりも沢の入渓地点のほうが明らかに(500mくらい)標高が低いです。沢に入渓するのに明らかに下るのって、初めてかもしれない。
6:52 地蔵峠
 8時ごろから、雨が降ってまいりました。濡れるのは別に平気なのですが、沢が増水していないか心配です。道がなだらかになり、荒廃した営林小屋の手前を左に進むと、沢の下降点です。
9:50 沢への下降点着(下の13日の概念図@の地点)・沢装備に着替える
 だいぶ雨が強くなってきました。この時は本当に先が思いやられました。
10:25 沢への下降点発

さあ、沢登り スクラム渡渉

 最初は渡渉の連続です。1度だけスクラム渡渉をしました。右上の写真はスクラム渡渉と少し違いますが、カメラを構えるのが遅れて本格的にスクラムをする場所は過ぎたのです。自分の支え方が少し悪かったか? 自分と組んだリーダーはバランスを崩して腰まで浸かる。でも、その後は体制を確保し、無事渡渉。
 今回、自分は沢用のズボンを初使用、見事に撥水してくれてとても快適でした(濡れても平気)。
10:50 千沢との二俣(下の13日の概念図Aの地点)

渡渉の連続(1)
時には渡渉せずに
そのまま前進、前進

11:00 桂ノ沢との二俣(下の13日の概念図Bの地点)
 桂ノ沢との二俣を過ぎた後、通過できない滝があり、それは巻きました。基本的にこの沢は、巻き道がどの滝にも付いています。トラロープも結構ついています。思っていたより水量はある。

渡渉の連続(2)
雨が水面に当たる
渡渉の連続(3)
巻き道から沢へ下降(K林さん写真・以降(K))

12:20 井戸沢との二俣(下の13日の概念図Cの地点)

もちろん渡渉ばかりではありません 滝・人・背景(K)

13:00 十六沢との二俣(下の13日の概念図Dの地点)
13:18 高沢との二俣(下の13日の概念図Eの地点)
13:30 大ゼン

大ゼン10m(1) 大ゼン10m(2)

 大ゼンは右端を登りました。大ゼンを通過した後(13時50分頃)、竿を持ってきていない自分を除いて、釣りをしながらの前進となります。

釣りの仕掛けを作るリー・サブ 今晩の夕食になるか
釣れそうなところを探しながら前進 ここは釣れそうか
リーダーに待望の一匹 リーダーに続け

 これで来シーズンにつながる:「釣りをする」ことは聞いていたが、どういうことかあまり把握していなかった。「イワナに会いたい」で思考停止していたかもしれない。実際に、行ってみて自分だけ竿がないのはちょっとさびしかったが(本当にやりたければ、木の枝を竿にすればいいがそこまでするつもりはなかった)、こういう空気を味わえるだけでも今回は満足です。
 その後14時30分頃リーダーに待望の一匹が出ました。少なくともこれで「お話にならない」という事態からは、逃れられました。その後一匹を釣って心に余裕ができたのか、少し自分も、リーダーの竿を借りて釣りをさせていただきました。小学校の頃、理由は忘れたが(周囲に釣りをする人がいたにもかかわらず、ただし家族にはいない)魚よりも昆虫のほうが好きで、釣りはほとんど経験なかった。リーダーから指導を受けるもこの時は全くわからず。

釣りをする二人(動画)YouTube

ナマリ岩が見えてきた 黒沢との二俣の手前にあるナマリ岩

15:55 黒沢との二俣(幕営)(下の13日の概念図Fの地点)
 ナマリ岩近くにも幕営している釣り師あり、それより少し奥に行ったところに良いテン場があり(といっても下地は石ごろごろ)我がパーティーはそこを幕営地としました。ここに来るまで釣り師は何人も会いましたが、沢登りをする沢屋さんとは結局会いませんでした。

13日の概念図(黄:登山道、赤:沢登り)

タープを張ったところ 焚き火〜♪

 それにしても、他の参加者の、幕営地に到着後すぐにタープを設営して、焚き火の準備と体が動くのはすごい。まるでDNAに組み込まれているように…。自分などは、どうしても一休みしたくなってしまう。「明日の準備に小さい小枝を集めておいて」見習わねばならない。そもそも沢で泊まるという経験がまだ自分には少ないし、「沢で泊まる」というのを始めたころは「バテバテ」だった、というのもあるが、いつまでもそんなことを言ってられない。
 それにしても、すずらんの人はなぜ、缶ビールを持ってくるのだろう。ビールなんて水分がほとんどだというのに。
会員専用のページ
 このテン場は石がごろごろしています。笹の枝も多く出ています。9時半ごろ疲れが出てきて集中力がなくなってエアマットを敷いて寝ようとしたところ、エアマットに笹の枝が…。集中力のあるうちに、寝る準備をしておくべきだった。その他、寝ながら痛くてしようがないなと、うとうとしていたら実は体が90度回転していました。テントの中ならできないことだが、タープの中なら可能だ。

イワナの塩焼きを作るK林さん イワナの塩焼き

9月14日 天気:曇り時々晴れ
5:00 起床
 さてさて、リーダーから「ちょっと出発まで時間あるから釣ってみるか」と言われ、自分は釣りに挑みました。リーダーからセットする方法を教わります。まず、餌はミミズ(イトミミズ?3−4cm)です。ミミズの頭の下くらいに釣り針をかけます。伸縮式の竿を伸ばしていったところで、釣り針をポイントに持っていきます。ミミズのかかった釣り針は小さくて目に見えません。それより上についている赤いプラスチックが目印です。ですが、最初はこの赤い目印と釣り針の位置関係が全くわからず、「針を投げ込んだ」あと、針を見失ってしまうことが多々ありました。そして、「イワナは岩陰に潜んでいることが多いので、そこを狙う。」ことを教わる。
 リーダーのマンツーマンに従い、岩陰を狙っていると、「あれ」感触がありました。「まさか自分のような新参者にひっかかるイワナなどいるはずがない。釣り針が岩にひっかかったのかな」などちんたらやっていたら、餌がなくなっていました。「これはチャンスかもしれない」と思い。そのポイントに狙ってやっていたら、再び感触がありました。よく釣りの楽しさに「釣れた時のプルプル震える感じ」というのを聞いたことがありますが、そういうのは今回はなく(それどころではなく)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、釣れてしまった」「どうするのだ? どうするのだ?」でした。この大きさの割には、イワナを水の中から上げること自体は簡単だった。ただし、それからやっかいで、「イワナを捕まえて(網などはない)。イワナが暴れる。ここで逃がすわけないは行かない。」でした。ここでも近くにいたリーダーに対処方法を教わり、無事イワナ(30cm前後)が釣れました。来たかいがあったというものです、ありがとうございます。

釣れました(K)

 結構イワナというのは、ヌルヌルしていて暴れるとつかむのが大変だ。

釣れたイワナとともに 釣れたイワナをいただきまーす
(なぜこんな顔をしているかは不明)

 これでお話になった。釣れたイワナはリーダーにさばいてもらい、塩焼きにします。じっくり時間をかけて火にあてたほうがおいしいのですが、今回はそうも言ってられなくって、(自分の釣ったイワナを自分で食べられるなんて)山にきて、山の中にいるものを捕まえて食べる。こういうのも山との一体感です。
 その後、F川さんにも当たりがありました。北海道にいたころは釣ったことは何度もあったそうですが、こちらに来てからは初めてとのことです。

F川さんの釣ったイワナ

7:40 幕営地発

晴れていたほうがやっぱり沢はきれいだ(1) 魚止めの滝(遠景)

9:00 魚止めの滝(8m)

魚止めの滝(動画・YouTube) 水流の中に入るよりも少し左わき

 この山行初ザイルです。魚止めの滝は、K林さんが、空身で偵察に行き、水流の中を登ればいいと結論。その後、A部さん、F川さんが空身でザイルをかけに行くも水流に入る所で上手く処理できずout。再び登りに行ったK林さんは、水流の中に入るよりも少し左わきを登ったほうが良いと結論、無事登りました。ザイルをセットして戻ってきて、荷物をしょって再び登りです。
 自分はオートブロックノットを使って登ったが、久しぶりでなんか上手くできなかった。岩はもろい部分があり、少しはがれました。

晴れていたほうがやっぱり沢はきれいだ(2) カギトリゼン?(この滝は高巻いたと記憶)
滝の高さこそないが淵が深い 淵がきれいだ

 遡行図には、この地点に70m(平ナメ)、100m(平ナメ)、100m(平ナメ)とある。ここはナメ滝が連続する場所なのだ。こういう場所で晴れてくれるのは非常にうれしい。ほとんど傾斜のないナメである。

ナメがきれいだ(1)
ナメがきれいだ(2)
ナメがきれいだ(3)
 ナメを通過するときは晴れているのはうれしい
さらに上へ
うれしくなって
 写真を撮りまくる自分
たまには振り返って撮る

10:55 小ゼン沢との二俣(下の14日の概念図Gの地点)
 悪天時の場合、エスケープとして小ゼン沢を遡行する予定でしたが、そんなこともなく魚野川本流を遡行です。F川さんから遡行図はあまり見ないように、2万5千図を見るように言われる。そうか、遡行図とはそういうものなのか。今まで沢登りと言えば、遡行図を主に見て2万5千図は参考程度だった。そして、2万五千図の見方、「仮説・検証、1点だけで読もうとしても2万五千図は読めない。これがあって、次にこれが来ると、仮説を立てて、それを検証しながら進む。」ということを教わる。
 あと、エアリアはやっぱり読図にはよくない。持っていくのは構わないが、山行途中に見るものではなく出発前と出発後に見るもののようだ。

光っていいなあ 来たかいがあるというもの

11:15 庄九郎沢との二俣(昼食)(下の14日の概念図Hの地点)
 昼食は朝炊いた(前日の夜?)ご飯です。なるほど、こうすれば山行2日目でも、昼にご飯が食べられるわけか。休憩している時も、「あそこにイワナが」です。
11:50 庄九郎沢との二俣発

沢旅 この滝どうやって通過したっけ?

12:05 庄九郎ゼン

庄九郎ゼン(15m)(1) 庄九郎ゼン(15m)(2)

 この滝は高巻きました。途中トラバースが厄介なところがあり、ザイルを出していただきました。この微妙な傾斜が(自分は)うまく処理できない。この沢はたいてい巻き道がはっきりしていましたが、ここは途中で不鮮明になりました。

巨岩、石滝連続

13:00 小平沢との二俣(下の14日の概念図Iの地点)

この滝は左側を行ったと思っていたら、それは別の滝 行ったのは右側でした(K)

14:25 芝沢との二俣(下の14日の概念図Jの地点)

この滝は右側を行ったと思う もうすぐ北沢と南沢の合流地点
個人的にいい写真だと思う

15:00 南沢との二俣(幕営)(下の14日の概念図Kの地点)
 左側に沢より1mくらい高くなっている平らな所があり、そこを幕営地としました。タープ2張りでちょうどの広さですが、前日のように石がごろごろということもなく、快適な幕営地です。だいぶ焚き火の火がつかなかったようですが、F川さんの持っていた固形燃料を使って無事着火。簡単なように見えて、焚き火は奥が深いと思う。

14日の概念図(トラックログではないです)


9月15日 天気:曇り時々晴れ
7:00 幕営地発
 この日、藪こぎになるまで、追い詰めの滝以外は基本的にトップを行かせていただきました。「通過しづらそうな場所は早目に回避する」です。回避できないところもあったが、徐々に、ましにはなっていったと思う。

追い詰めの滝? 中ノ沢との二俣付近の滝

7:55 中ノ沢との二俣(下の15日の概念図Lの地点)
 8時50分 二俣の右へ行く。ここから藪が沢にまではみ出すようになりました。ここまでは足がスイスイ運んだのですけど、どうも自分は藪に入ってスピードダウンでした。「姿勢を低くして、藪をかき分けるように進む」ことを教わる。
9:15 水を汲む
 猛烈なネマガリタケ(2−3m)の藪でした。傾斜はきつくないから、「危険性」はまったくないですが…。そして後にいるK林さんからは、右へ行くように指示があるのですが、実際ネマガリタケの藪を右へ進むのは難しく、どうしても上へ上へと登ってしまいました。
9:35 水枯れる
 登山道に着く10分くらい前から人の声が聞こえるようになってきました。でも藪が濃いのでなかなか前に進めません。「あそこに灌木がある、あそこまで行けばいいかな」と進んでも、そこも藪の中。ネマガリタケ藪を経験するのは初めてではないが、厳しさを忘れていたかもしれない。
10:40 登山道
 登山道って(遮るものが基本的にないから)1m進むのになんて楽なんだろう。でも、他のメンバーはもっと速かった。
10:55 赤石山手前の小ピーク・沢装備を外す(下の15日の概念図Mの地点)
11:15 小ピーク出発
 考えてみたら、入渓地点と「登山道に出る」地点が、一番現在地を把握してなければいけないし、一番難しいと思う。こういう所できちんと現在地を把握できるようになりたい。この時は付いていくだけで、せいいっぱい。
11:45 赤石山山頂・昼食
 山頂よりさらに少し降りたところで昼食。ピーク写真くらい撮れば良かったかな。
12:10 赤石山山頂発

大沼池 四十八池湿原

13:30 四十八池湿原
 ここからは道も広くなり、登山以外の、「散策」に来たと言うべき軽装の人もちらほら。

今回の山行のメンバー全員(四十八池湿原で)(K)

14:20 渋池
 冬はスキー場になるところを下ります。バス停はもうすぐだ。
14:35 硯川・バス停着

15日の概念図(黄:登山道、赤:それ以外)

15:23 硯川・バス停発→15:50 白根火山(バス停)着
                16:01 白根火山(バス停)発→16:30 草津温泉着・発(タクシー)→17:10 白砂山登山口着
17:16 白砂山登山口発
17:47 花敷温泉の「バーデ六合」着・温泉に入る
 地元の人が入る温泉。貴重品を持ってきてしまったのでロッカーに鍵を。ロッカーの鍵を使うのに店の人に声を、ハイ「11番」それは別の人のロッカーです。
18:20 花敷温泉の「バーデ六合」発→22:00 練馬高野台駅着・解散
 途中で上里のSAに寄りました。
22:10 練馬高野台駅発→22:30 秋津駅着
                 22:50 新秋津駅発→23:00 西国分寺駅着

 今までこの世界(渓流釣り)を知らなかったが、知らないよりは知っておいたほうが良いと思う。沢登りと渓流釣りの行動域は重なるところが多い。共存していく上でも、ある程度は釣り屋さんの気持ちも理解しておいたほうがいいと思う。道具も似ているので、参考になるところもある。

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