ゲリラ雷雨か、夕立か!?

実はこれ、別の某所向けに執筆していた記事です(笑)
使わないことが決まったため、せめてここで公開!!

このため、少し固めの表現になっています。。。
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近年、「ゲリラ雷雨」という言葉をしばしば耳にするようになった。
暖候期、突然の雷雨が起こるのは、
「夕立」として昔から日本の風物詩でもあったはず。
では、ゲリラ雷雨と夕立では何が違うのであろうか。

気象学的には、
ゲリラ雷雨、夕立ともに明確な定義はない。
だが、私はゲリラ豪雨を以下のような性格を持つものと考えている。

1.規模が尋常でないこと(概ね1時間に80ミリ以上の降水)
2.都市部で突然発生、または発達する
3.「巨大雷雨」の性格を帯びている。

まず、1つ目の「規模が尋常でない」について。
ゲリラ雷雨として有名なのが、1999年7月21日に発生した『練馬豪雨』だ。
この雷雨では、東京都練馬区で1時間に131ミリという
驚異的な降水をもたらした。練馬豪雨をもたらした積乱雲(雷雲)は、
一般の積乱雲の10倍を超える体積をもっていたという。

2つ目の「都市部で突然発生」の特徴においても、練馬豪雨がわかりやすい。
当時、晴れて厳しい暑さとなっていた東京23区……
そこへ、わずか十分ほどで発生・急発達したのだ。
近年のゲリラ雷雨の傾向として、
練馬区・杉並区・板橋区・中野区の周辺で急発達するケースがほとんどである。
気象の専門家の中には、「練馬スポット」という言葉を使い、
練馬付近で発生する積乱雲を特に警戒する人もいる。

3つ目の特徴。日本で発生する雷雨のほとんどは「気団性雷雨」と呼ばれ、
寿命が1時間未満と短いことが多い。
だが、ときおり発生する「巨大雷雨」と呼ばれる雷雨は、
特殊な構造をしているため、寿命が長く、数時間に渡って持続することが可能なのだ。
また、発達面でも理想的な構造をしているために、短時間で猛烈に発達してしまう。
落雷や豪雨ばかりでなく、破壊的な突風、竜巻、ヒョウなどももたらす。
真夏(ときに35℃以上の猛暑日)であっても、
大粒のヒョウ
を降らせたりするのである。

従来も、ゲリラ雷雨に相当するような積乱雲の発生はあったが、
そのほとんどは山岳地帯であった。
また、山沿いで発生したものが流れてきて
都市部に雷雨をもたらすというパターンがほとんどであった。
ゲリラ雷雨頻発の背景には、
「高層ビル群により、局地的な風の流れが変わったこと」、
「都心に高温域が出現し、郊外との気温差が大きくなっていること」
などが関係しているとされる。

関東においては、
ゲリラ雷雨の危険性が高いパターンについて徐々に研究が進んでいる。
ゲリラ雷雨が発生しなくなることが望ましいが、
せめて、その日の朝の段階で予測できるようになれば、
被害をずっと軽減することが可能になるであろう。

2009.9.9


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