上空に寒気を伴った低気圧=寒冷渦が近づくと、
大気の状態が不安定になり、激しい雷雨が発生しやすくなります。
寒冷渦は、図の青い文字のように、
北からじわじわと降りきては、
あちらこちらに強い雷雨・突風・雹をもたらしていきます。
だが、
寒気なのに、北からくるとは限りません。
特に、夏には
南から寒冷渦がしのび寄ってくることがしばしばあります。
1994年8月20〜22日
南から北上してきた寒冷渦は特に強烈でした。
図の赤い文字のように、南から歩み寄り、
関東地方で大暴れしたのです。
8月21日朝、横浜市では、
1時間に82ミリ(史上2位)
という記録的豪雨と猛烈な落雷に見舞われました。
豪雨はその後も続き、
24時間で244ミリ(史上5位)に達しています。
また、夜になると水戸市でも、
1時間に63.5ミリ(史上3位)という豪雨が発生しました。
さらに、上空の強い寒気の影響で
富士山では本格的な雪が降り、
8月にして初雪・初冠雪となりました。
天気は通常、西から変わるので
解析するときにも東海上を凝視することはあまりありません。
しかし、偏西風の弱まる夏には、
天気が東や南から変わることもままあります。
真夏には、南から忍び寄る寒冷渦……。
なんとも不気味な存在ですね。
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