雪雲の親分
「西高東低」の冬型気圧配置になると、
西や北西の風が吹き荒れます。

この風が日本海で水分をもらうので
風に沿って雲が生まれます。
いわゆる「筋状の雲」の誕生です。

筋状の雲は、日本海側に押し寄せてきて、
雪や雨を降らせていきますが、
よく見ると雪の降り方にも
地域による特徴がありそうです。

北陸・山陰では、激しく雷が鳴って
1晩で100センチ、150センチという降り方をすることもありますが、
東北地方では、ここまで過激な降り方をすることはまずありません。
(極低温の内陸を除く)

冬の衛星写真を見てみますと、
日本海側に筋状の雲が広がっていますが、
ときおり、ひときわ目立つ雲列が
北陸辺りに、くいこんでいくのを目にします。
この目立つ雲列は曲者……
これぞ筋状の雲の親分、
JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)です。

右の絵の赤い部分、
朝鮮半島北部には山岳地帯があります。
ここで北西の風が一端分岐して、
日本海で再会することがあります。
この、ふたつの風のぶつかり目にそって、
筋状の雲がひときわ太く、大きく発達。
活発な積乱雲(雷雲)が行列のように並ぶことさえあります。
JPCZの正体がこれ。。。

JPCZが突き刺ささるようにかかってくると、
一晩で100センチを越えるような降り方もありえます。
JPCZは、デフォルトで若狭湾の辺りにいますが、
最深積雪11メートル82センチという記録のある伊吹山(滋賀県)
ちょうどこの辺りです。

JPCZは風のバランスで、西へ東へ動きます。
また、南北に立ったり横に寝たりとさまざまな動きをします。
立ってくると京都がやられますし、寝てくると岐阜がやられます。

また、JPCZも普通の筋状の雲と同じく山越えは大の苦手。
しかし、
もともとのパワーが強いので、寒気が強い時には
内陸の方までえぐりこみ、
寒気がさらに強いと、太平洋側まで突きぬけることがあります(上の絵)
山を超えるごとに急激に衰えるとはいえ、
太平洋側の都市に10〜20センチの雪をもたらす例もあります。

なお、関東地方においては、
三方を高い山脈で分厚く囲まれているので、
JPCZとはいえダイレクトにやってくることはありませんが、
ごくよわい痕跡が消え残っていることがあります。
寒気が強いと、これが積雲のゆりかごになって
あちこちでにわか雪・雷雪になったりします(下の絵)




お天記メニューへ