惨敗と楽勝の試合

オリンピック開催で
部活をやってたときのことを思い出したので
書いてみました。
(もしかしたら、
――あの時のことか〜――
なんて思う人もいるかも知れないが。。。)

監督に手招きで呼びだされる、部活一強い選手。

おそるおそる歩み寄る選手に、監督は、
「おまえは優しい男だからな」
と、何かをフォローするかのように
言ったと思いきや、
まじめな顔に豹変、
「手加減してなかっただろうな?」

”3年生”対”1年生”の試合後のことだった。
まだ時期も時期であり、
1年生は素人同然という状態。
だから、とかく3年生は手加減してしまいがちだったのだが、
「絶対に手加減するなよ!一瞬のうちに0失点で負かすんだ!」
と厳しく叱られる。
それこそ、本当の意味で、相手のためなのだと……

その監督いわく(含:拡大解釈)、
たとえ相手がどんなに弱くとも、加減するほど失礼なことはない
という。勝負なのだから。
そしてなによりも、相手が真剣にやっているのであるから。
惨敗した方は、
納得できなければ何10回、何100回でもかかっていけばいい。
いつしか、負かす日がくるか、
それとも
いつしか、諦めてしまうか……

また、別の試合において。
強いと恐れられる学校とだった。
実際に試合が始まると――
つ、強い…… 全く歯が立たない。
1セット終了したが、こちらの得点はたしか2点。
2セット終了、こちら4点。
惨敗である。

うなだれて帰ると、監督は、
「1セット目は2点、2セット目で4点か?」
ぼそりと言ったあと、
「得点が増えてるじゃないか。上達してるぞ。よくやったな」
びっくりしたのは言うまでもない。

この監督とは卒業後も、
年賀状や暑中見舞いを交換したりと、
交流があったが、
あるときから、ぱたりと音沙汰がなくなった。
――監督が他界されたらしい
という話を聞いたのは、だいぶ経ってからだった。


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