ホームへ
1.水質基準魚養殖用の水質基準のほうが水道水の基準より厳しいのです。
水道水水質基準では「陰イオン界面活性剤 0.2mg/l 以下」とされていますが、その根拠に驚きました。
これ以上の濃度だと水道の水が泡立ち見栄えが悪いからだそうです。 呆然のハハハです。

合成界面活性剤の発泡限界濃度
LAS:0.3〜0.4mg/l
AES:0.2〜0.4mg/l
AOS:0.5〜1.1mg/l
A E : 0.2〜0.4mg/l



 AES: ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
 AOS: アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム 
 AE: アルキルエトキシレート(POER=POAE) 非イオン界面活性剤


水道水の試験法では陰イオン界面活性剤しか検出できないので、水質検査で引っかからない「非イオン系界面活性剤」が多用されるようになったといわれる。実際非イオン界面活性剤の使用量が増えている。自動食器洗い機用はほとんどこれ。平成15年現在)(次の2.水道水水質基準の改定を参照して下さい。2003/6/27)

水産用水基準というのがありますが、LASの基準は水道水基準の100分の1になっています。
日本水産資源保護協会から公表されている水産用水基準では、
海域、淡水域のLAS,AOS,AEの基準値を、
LAS:0.002mg/l 以下 ( 2ppb以下)
AOS:0.05mg/l 以下 (50ppb以下)
AE :0.01mg/l以下
  (10ppb以下) と定めています。

水産用水とは、「魚その他の水生生物の正常な生息および繁殖が維持され、その水域における漁業操業が支障なく行うことができ、かつその漁獲物の経済価値がそこなわれることのない水」であり、
水産用水基準とは水産用水の水質の許容限界基準を定めたものである。
    

水道水よりも魚を育てる水の基準が100倍も厳しいのはどういうわけ?

水道水の水質については、国立医薬品食品衛生研究所の「水質基準」というホームページがありました。(現在は水質基準というホームページは行方不明で、「水道水質データベース」は社団法人日本水道協会ホームページに移されていました。2003/07/25)
その中の、厚生労働省健康局水道課「水道水質データベース」に原水、処理水などの測定データが公表されています。


2.水道水の水質基準が12年ぶりに改定されました。

H15年5月30日に水道法第4条2項の規定に基づく水質基準の省令が12年ぶりに改定されました。
新しい水質基準はH16年4月1日から施行されました。


 基準項目は現在の46項目から50項目に変わりましたが、下記のように従来の基準から(2)の9項目削除され、新たに(1)の13項目追加されたものです。
(1) 新たに水質基準とすべきとした項目
@大腸菌、Aほう素、B1,4-ジオキサン、C臭素酸、Dクロロ酢酸、Eジクロ ロ酢酸、Fトリクロロ酢酸、Gホルムアルデヒド、Hアルミニウム、Iジェオ スミン、J非イオン界面活性剤、K2-メチルイソボルネオール、L全有機炭素

(2) 水質基準として維持する必要はないとした項目
@大腸菌群、A1,2-ジクロロエタン、B1,3-ジクロロプロペン、Cシマジン、D チウラム、Eチオベンカルブ、F1,1,2-トリクロロエタン、G1,1,1-トリクロロ エタン、H過マンガン酸カリウム消費量

(1)の@と(2) の@、(1)Lと(2) のHはほぼ同じものです。)

 これまで野放しであった「非イオン界面活性剤」が新たに基準に加えられましたが、LASなどの「陰イオン界面剤」の基準値は従来どおりの“0.2mg/L以下であること”と従来通りですが、新たな問題点が提起されています。
水道水の基準よりも水産用水基準の基準値の方が厳しいことも変わりありません。
 「非イオン界面活性剤」、「陰イオン界面剤」の基準の根拠は、相変わらず見栄えが悪いので『泡が立たない』濃度ということです。一生飲み続けても安全か安全でないかという根拠は示されておりません。

 新試験方法に問題あり 水の安全、安心は守れるのか? (2006/03/31 追記)
 (R EMBRYOさんから、問題点のお知らせをいただきました。Mar.'06 )
 専門家や水道水を検査している人たちから、改正水道法の試験方法について問題点が指摘されています。
 「陰イオン界面活性剤」の試験方法の問題点
 新しく決められた試験方法では、直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸(LAS)とその分岐鎖を含むスルフォン酸のみを陰イオン界面活性剤として定量する、固相抽出‐HPLC(高速液体クロマトグラフ)法が採用されました。
 新しい試験法の測定精度は以前の方法より格段に向上しているのですが、非イオン界面活性剤の中の特定の物(スルフォン酸塩)しか測定しないということが、水道水の安全を考える上で、問題として指摘されています。
   洗剤(陰イオン界面活性剤)の市場で販売、使用されている割合は、
   スルフォン酸塩が全体の約50%で、
   残りの50%は硫酸エステル塩、リン酸エステル、カルボン酸塩です。

 販売されている陰イオン界面活性剤の半分しか、新試験法では測定されない。

  新試験法で測定されない残り50%の家庭用製品での用途
 硫酸エステル型  洗浄剤、台所用洗剤、シャンプー、乳化剤、分散剤など。
 リン酸エステル型  洗浄剤、ボディーシャンプー、帯電防止剤、乳化剤、分散剤など。
 カルボン酸型  洗浄剤、乳化剤、分散剤、洗顔料基剤、ボディーシャンプーなど。
 東京都生活文化局消費生活部; くらしの中の化学物質
 「家庭内で使用される化学物質の安全性等に関する調査」H14年3月による。

 硫酸エステル塩、リン酸エステル、カルボン酸塩などの陰イオン界面活性剤が泡がブクブク立つほどに大量に川の水(水道原水)に混ざっていても、これらはスルフォン酸塩型の陰イオン界面活性剤ではないので、新測定法では陰イオン界面活性剤はゼロ(検出されない)という結果になります。

 以前の試験法では、メチレンブルー活性物質として全部の陰イオン界面活性剤を測定していました。
 従来のメチレンブルー活性物質を測定する方法を止めた理由は、試験にクロロフォルムを使用するので、試験を行う人の健康に害を及ぼす危険性があるから、という説明がされています。
 水の検査を行っている人達に、検査で使用していた有機溶剤による健康被害が起こったと報道されたことは聞いたことがありません。

 試験方法を変更した理由が水の安全ということとは別の所にあるような気がしてなりません。
 LASが水質汚染の悪玉No.1ということが一般に知れ渡ったことに対しての、何か作為を感じます。
 フェノール類の測定でも、クレゾール、ナフトール、カテコール等が除外されている(これらが混ざっていても新試験法では検出されない)という同じ問題が指摘されています。
 たとえば、クレゾール石鹸廃液などを川(水道原水)に捨て水がプンプン臭っていても、新しい水道試験では検出されないという結果になるのだそうです。

 水の安全を考える時に、これは問題です。
 陰イオン界面活性剤が規制された時に規制されていない非イオン界面活性剤を増やしてきた洗剤業界です。スルフォン酸塩しか測定されないことを抜け道にして、陰イオン界面活性剤のスルフォン酸塩を減らして硫酸エステル塩、リン酸エステル、カルボン酸塩に変えてしまうという可能性が否定できません。
 硫酸エステル塩、リン酸エステル、カルボン酸塩の陰イオン界面活性剤が野放しにならないようにするには、従来のメチレンブルー活性物質を測定する方法などのように合成界面活性剤全部が判る試験方法を活用する必要があるのですが。
 (2006/03/31 追記)

 農薬については従来は規制された個々の農薬のみが対象で、基準値以下であれば何種類の農薬が検出されても可とされ、規制品目以外の農薬は野放し状態だったのが、
 今回の改訂では
@ 水質基準への分類要件に適合する農薬については、個別に水質基準を設定する。
A 上記@に該当しない農薬については、下記の式で与えられる検出指標値が1 を超 えないこととする総農薬方式により、水質管理目標設定項目に位置付ける。

ことになり101品目の殺虫剤、殺菌剤、除草剤、土壌燻蒸剤がリストアップされました。
また、これまでは、全国一律の検査項目であったのが、その地区の水源地帯で使用される農薬について季節ごとの散布量なども考慮して地域ごとの特性に合わせて検査するように改められました。
 これも、ある地方の水道検査担当者の素朴な疑問に端を発して改定されたものです。まじめに仕事をしている現場の人の意見が取り上げられた事はうれしいことです。

 新たに加えられた(1)、C臭素酸、Dクロロ酢酸、Eジクロ ロ酢酸、Fトリクロロ酢酸は、原水を殺菌消毒する際に副生成物として発生するもので、NHKの特集でも放映されていたものです。
ひどく汚れた原水を水道水にしようとして、殺菌消毒する時に出来てしまうのです。
 釣に行ったとき、少しでも水を汚さないように注意しようではありませんか。

詳細は、厚生労働省ホームページの「水質基準の見直し等について」http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/kijun/index.htmlの
 水質基準の省令
 水質基準の見直し等について(答申)
 水質基準の見直しに係る検討対象項目(化学物質) 根拠資料一覧


 をご覧下さい。これらを見るには、Acrobat Reader(Adobe Reader)が必要です。
 無償でダウンロードできます。


3.全国一級河川の水質現況(概要)
平成14年全国一級河川の水質現況(概要)が国土交通省ホームページに公表されました。
○BOD平均値からみた河川の水質ベスト3は尻別川、後志利別川、札内川(以上、北海道)、宮川(三重)、
○ワースト3は、鶴見川 (神奈川)、大和川(奈良・大阪)、綾瀬川(埼玉・東京)でした。
 アザラシのタマちゃんが現れた川の情報も出ています。

平成15年 全国一級河川の水質現況(概要)
○BOD平均値からみた河川の水質ベスト3は、後志利別川(シリベシトシベツガワ)(北海道)、荒川(新潟)、豊川(愛知)
○ワースト3は、大和川(奈良・大阪)、綾瀬川(埼玉・東京)、鶴見川(神奈川)

平成16年度 全国一級河川の水質現況(概要)
 BOD平均値からみた河川の水質
○ベスト5は、尻別川、沙流川(北海道)、阿武隈川水系・荒川(福島)、荒川(新潟)、宮川(三重)
○ワースト5は、利根川水系・綾瀬川・中川、大和川、鶴見川、菊川水系・牛淵川(静岡)

平成15年度までは国土交通省河川局ホームページでも確認できます。が、
平成16年度データからは国土交通省が行った調査なのに、なぜか(財団法人)河川環境管理財団へ移されており、判り難くなっています。
これが小泉改革なんですかねー?

      戻る