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LASなどの有害な特定化学物質の排出量
  1.H13年度、2.H14年度、3.H15年度

公表データの詳細は「PRTR制度 集計結果の公表」で見てください。

一般家庭から毎年4万トン以上も合成界面活性剤が川や湖・海に流されています。
アユはごく微量のLAS(合成洗剤の主成分)の臭いも嫌がって、遡上を阻害しています。
やはり、鮎師・友釣愛好家は、アユの天然遡上を増やすために合成洗剤を使わない運動をしよう。



1.H13年度有害な354の特定化学物質の環境中への排出量>

2003/03/20環境省はH13年度の特定化学物質の環境中への排出量データを環境省のホームページで公表した。
届出対象の事業所は、指定された45業種で、354の有害化学物質を年間5トン以上(03年度からは1トン以上)か発ガン物質0.5トン以上を扱う従業員21人以上の事業所である。この届出対象の事業所以外についての排出量については推計値が公表された。
H13年度に112万トンもの有害な化学物質が環境に排出された。
合成界面活性剤のH13年の出荷量は約16万8千トンあった。このうち少なくとも4万6千トンは川や湖に直接排出された。残りは下水道や合併浄化槽に流されたり産業廃棄物として処分された。

一般家庭から合成界面活性剤が約4万1千トンも川や湖に流された。
やはり、友釣愛好家は、アユの天然遡上を増やすために合成洗剤を使わない運動をしよう。

  危険な6種類の合成界面活性剤の使用量は16万トン以上
   (都道府県別のデータも環境省ホームページで公開されている。)

 表1は、日本界面活性剤工業会・日本石鹸洗剤工業会調べ(平成14 年度調査)

 表1 合成界面活性剤の推計対象物質と出荷量
物質
番号
物 質 名 備 考 H13年度
出荷量
(トン/年)
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
(LAS)
97,840
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
アミンオキサイドの一部(AO) 6,670
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
ジアルキルカチオンの一部 665
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
(AE) 60,197
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
p-オクチルフェノールが原料 97
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
ノニルフェノールが原料 2,320
合 計 167,789

表2は、全国の届出対象外の事業所および一般家庭からの環境への排出量で、表3の出荷量が全量使用されたものとして、排出量が推計された。下水道への移動量(下水道へ流した)は、都道府県別の下水道普及率及び合併浄化槽の普及率・除去率を考慮し、下水道への移動量及び浄化槽で除去される量を推計している。
公共用水域への排出量は下水道と浄化槽に流されたものは除去されたものとして全体量から差し引くことにより、公共用水域への排出量が算出されている。
業務用は、主に飲食業、清掃業などでの合成洗剤使用をさす。他は一般家庭で使用された推計値。

 表2 合成界面活性剤に係る需要分野別・対象物質別の排出量推計結果(H13年度)
物質
番号
物質名 公共用水域への年間排出量(kg/年) (参考)下水道
の移動量
(kg/年)
化粧品

身体用
洗浄剤

洗濯・台所・
住宅用等洗浄剤

業務用
洗浄剤

合計
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
175,912 9,044 24,030,397 2,913,723 27,129,075 63,841,628
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
56,151 48,915 1,439,158 291,631 1,835,854 4,351,546
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
39,194 292 109,352 37,207 186,045 432,617
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
449,232 316,610 14,527,870 1,354,706 16,648,418 39,222,535
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
10,420 - - 16,276 26,696 63,356
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
72,939 - - 551,777 624,715 1,532,869
合計 803,847 374,861 40,106,776 5,165,320 46,450,803 109,444,552

公共用水域への排出量の推計結果
平成13 年度の届出外排出量を全国で合計すると、約46,000t/年の排出量となり、
そのうち58%は直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(C=10〜14)(LAS)、
36%がポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(C=12〜15)(AE)である(図2)。
界面活性剤排出量

環境省は公共用水域への合成界面活性剤の排出量を4万6千トンと推計しているが、これは下水道や合併浄化槽に流されたものは全て分解除去されるものと仮定している。
活性汚泥方式の下水処理場以外では、合成界面活性剤は分解や吸着されずに、そのまま川などの公共水域に排出されるので、実際はもっと多くの量が川や湖に流れ込んでいると考えるのが妥当である。
一般家庭から川や湖に排出された合成界面活性剤は約4万1千トンもあった。
やはり、友釣愛好家は、アユの天然遡上を増やすために合成洗剤を使わない運動をしよう。


   表3は全国の届出対象の事業所からの環境への排出量。

 表3 届出排出量・移動量
物質
番号
物質名 排出(kg/年) 移動(kg/年) 総排出量
大気 公共用
水域
土壌 埋立 合計 廃棄物
移動
下水道
へ移動
合計
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
12,407 37,591 0 380 50,378 1,472,041 115,527 1,587,568 1,637,946
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
2 465 0 0 467 30,615 3,883 34,498 34,965
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
0 868 0 0 868 2,892 2,144 5,036 5,903
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
4,699 228,659 2 0 233,360 1,185,316 167,830 1,353,146 1,586,506
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
2,499 1,486 0 0 3,985 124,387 273 124,660 128,645
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
11,396 295,196 4 740 307,335 606,415 282,772 889,187 1,196,521
合 計 31,003 564,265 6 1,120 596,393 3,421,666 572,429 3,994,095 4,320,485



(1)事業者から届出のあった354の有害な化学物質の排出量・移動量
 総排出・移動量=53万7千トン
 総排出量(事業所内で環境中へ排出):314千トン
 大気への排出: 281千トン(総排出・移動量比52%)
 公共用水域への排出: 13千トン(同2%)
 土壌への排出: 0.3千トン(同0.1%)
 埋立処分: 20千トン(同4%)
 総移動量(事業所の外へ出した):223千トン
 事業所の外への移動(廃棄物として出した): 219千トン(同41%)
 下水道への移動(下水道へ流した): 4千トン(同1%)

届出排出量

(2)全国の届出外排出量の推計値
 届出外の有害化学物質の排出量は58万5千トンと推計された。
 ・対象業種からの届出外排出量の推計値: 322千トン(55%) *
 ・非対象業種からの排出量の推計値: 105千トン(18%)
 ・移動体からの排出量の推計値: 88千トン(15%)
 ・家庭からの排出量の推計値: 69千トン(12%)

 *:対象業種に属する事業を営む事業者からの排出量であるが、従業員数、取扱量その他の要件を満たさないため届出対象とならないもの。

届出外排出量
  *移動体からの排出とは、自動車、オートバイ、船舶、飛行機などをさす。


2. H14年度<有害な354の特定化学物質の環境中への排出量>

2004/03/29環境省及び経済産業省は共同で、法施行後2回目となるH14年度の「特定化学物質の環境中への排出量」の集計結果をホームページで公表した。
  環境省   ;http://www.env.go.jp/chemi/prtr/4/4index.html
  経済産業省;http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/kouhyo.htm
          (経済産業省のほうが見やすく出来ています。)
人の健康や動植物に有害性のある354種類の化学物質の環境への排出量は109万7千トン
届出対象の事業所からの排出量合計は50万8千トン
だった。
 届出したのは34,517事業所。
届出対象の事業所は、指定された45業種で、354の有害化学物質を年間5トン以上(03年度からは1トン以上)か発ガン物質0.5トン以上を扱う従業員21人以上の事業所である。
国が推計を行った届出対象外の排出量は、全国の合計で58万9千トンだった。

合成界面活性剤(対象化学物質に指定された6物質)のH14年度出荷量は約14万9千トン(届出対象45業種向け出荷を除く)で、このうち少なくとも3万9千トンは海、川や湖に直接排出された(H13年度より7千トン減)
残りは下水道や合併浄化槽に流された(約10万トン)り産業廃棄物として処分された。下水処理や合併浄化槽で吸着、分解されなかったものは、公共水域に排出されているのだが、その分は表に出ていない。
一般家庭から約3万5千トンも合成界面活性剤が川や湖に直接流されています(H13年度より6千トン減)

今年も、友釣愛好家は、アユの天然遡上を増やすために合成洗剤を使わない運動をしよう。


  危険な6種類の合成界面活性剤の使用量合計は15万トン弱
   (都道府県別のデータも環境省ホームページで公開されている。)

 表1 合成界面活性剤の推計対象物質と出荷量
物質
番号
物 質 名 略称 備 考 H14年度
出荷量
(トン/年)
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
LAS   68,160 
97,840
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
AO アミンオキサイドの一部 6,027 
6,670
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
DAC ジアルキルカチオンの一部 908 
665
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
AE   72,814 
60,197
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
OPE p-オクチルフェノールが原料 66 
97
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
NPE ノニルフェノールが原料 1,410 
2,320
合 計 149,385 
167,789

* ( )内の青数字はH13年度の出荷量。LASが減りその分AEが増加している。
  注1:日本界面活性剤工業会・日本石鹸洗剤工業会調べ(平成15 年度調査)
  注2:全国出荷量は非対象業種と家庭の合計(届出の対象業種への出荷量を除く数量)を示す。

表2は、全国の届出対象外の事業所および一般家庭からの環境への排出量で、表3の出荷量が全量使用されたものとして、排出量が推計された。下水道への移動量(下水道へ流した)は、都道府県別の下水道普及率及び合併浄化槽の普及率・除去率を考慮し、下水道への移動量及び浄化槽で除去される量を推計している。
公共用水域への排出量は下水道と浄化槽に流されたものは除去されたものとして全体量から差し引くことにより、公共用水域への排出量が算出されている。
業務用は、主に飲食業、清掃業などでの合成洗剤使用をさす。他は一般家庭で使用された推計値。

(表下段の青数字はH13年度の量)

 表2 界面活性剤に係る需要分野別・対象物質別の排出量推計結果(H14年度)
物質
番号
物質名 公共用水域への年間排出量(kg/年) (参考)
下水道へ
の移動量
(kg/年)
化粧品

身体用
洗浄剤

洗濯・台所・
住宅用等
洗浄剤

業務用
洗浄剤

合計
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
8,044
175,912
6,464
9,044
15,994,921
24,030,397
1,676,406
2,913,723
17,685,835
27,129,075
45,557,416
63,841,628
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
58,835
56,151
16,490
48,915
1,077,074
1,439,158
392,781
291,631
1,545,181
1,835,854
4,035,822
4,351,546
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
46,890
39,194
-
292
87,098
109,352
101,633
37,207
235,621
186,045
607,803
432,617
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
520,984
449,232
325,561
316,610
16,435,914
14,527,870
1,548,178
1,354,706
18,830,636
16,648,418
48,609,516
39,222,535
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
8,156
10,420
-
-
-
-
9,027
16,276
17,184
26,696
44,222
63,356
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
56,892
72,939
-
-
-
-
299,390
551,777
356,282
624,715
952,214
1,532,869
合計 699,802
803,847
348,515
374,861
33,595,008
40,106,776
4,027,414
5,165,320
38,670,739
46,450,803
99,806,993
109,444,552

物質番号24のLASが減少し、物質番号307のAEが増加している。
H16年度より水道水の水質基準に非イオン界面活性剤が追加され4月より検査されることになったので、これからもAEが増加するのか減少に転ずるのか注目していきたいと思います。
物質番号307,308,309は非イオン界面活性剤です。

公共用水域へ排出された合成界面活性剤の割合
界面活性剤排出量


  表3は全国の届出対象の事業所からの環境への排出量。

 表3 合成界面活性剤 全国の届出排出量・移動量(H14年度)(表下段の青数字はH13年度の量)
物質
番号
物質名 排出(kg/年) 移動(kg/年) 総排出量
大気 公共用
水域
土壌 埋立 合計 廃棄物
移動
下水道
へ移動
合計
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
5,500
12,407
35,000
37,591
0
0
270
380
41,000
50,378
610,000
1,472,041
34,000
115,527
650,000
1,587,568
690,000
1,637,946
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
0.4
2
79
465
0
0
0
0
79
467
15,000
30,615
6,200
3,883
21,000
34,498
21,000
34,965
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
0
0
1200
868
0
0
0
0
1200
868
3100
2,892
2600
2,144
5700
5,036
6900
5,903
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
7,800
4,699
220,000
228,659
5
2
140
0
230,000
233,360
790,000
1,185,316
150,000
167,830
940,000
1,353,146
1,200,000
1,586,506
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
1,500
2,499
3,500
1,486
0
0
0
0
5,100
3,985
110,000
124,387
280
273
110,000
124,660
110,000
128,645
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
12,000
11,396
98,000
295,196
0
4
63
740
110,000
307,335
570,000
606,415
68,000
282,772
640,000
889,187
750,000
1,196,521
合 計 26,800
31,003
357,779
564,265
5
6
473
1,120
387,379
596,393
2,098,100
3,421,666
261,080
572,429
2366,700
3,994,095
2,777,900
4,320,485



(1)事業者から届出のあった354の有害な化学物質の排出量・移動量
 総排出・移動量=50万8千トン
 総排出量(事業所内で環境中へ排出):290千トン
 大気への排出: 256千トン(総排出・移動量比50%)
 公共用水域への排出: 12千トン(同2.4%)
 土壌への排出: 0.3千トン(同0.06%)
 埋立処分: 22千トン(同4.4%)
 総移動量(事業所の外へ出した):217千トン
 事業所の外への移動(廃棄物として出した): 214千トン(同42%)
 下水道への移動(下水道へ流した): 3千トン(同0.59%)
総排出量・移動量グラフ

排出量・移動量上位10物質グラフ
 届出排出量・移動量の上位10 物質の合計は、367 千トンで、総届出排出量・移動量508 千トンの72%に当たります。
 このグラフには出ていませんが、公共用水への排出量上位10物質の6番目に合成界面活性剤ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(AE)が入っています。公共用水への排出は、企業の排水処理後の排水に含まれて公共用水域へ排出されていると想定されます。(参照:(3)表1)

(2)全国の届出外排出量の推計値
 届出外の有害化学物質の排出量は58万9千トンと推計された(H13年度比4千トン増)。
 ・対象業種からの届出外排出量の推計値: 251千トン(43%)
 ・非対象業種からの排出量の推計値: 123千トン(21%)
 ・移動体からの排出量の推計値: 154千トン(26%)
 ・家庭からの排出量の推計値: 62千トン(10%)
 (H13年度に比べ、対象業種は71千トン減、家庭は7千トン減となったが、非対象業種が38千トン増、移動体も66千トンの増となっている。環境保全のためには、全業種を対象とすべきである。)
 :対象業種に属する事業を営む事業者からの排出量であるが、従業員数、取扱量その他の要件を満たさないため届出対象とならないもの。
届出外排出量


届出外上位10物質
 届出外排出量の合計589千トンのうち、上位10物質の合計は445千トンで、76%に当たります。
 合成界面活性剤のAEとLASが上位10物質の5番目と6番目に入っています。


3. H15年度<有害な354の特定化学物質の環境中への排出量>

人の健康や動植物に有害性のある354種類の化学物質の環境への排出量は87万2千トン
届出対象の事業所からの排出量合計は53万トン
だった。
  届出をしたのは41,079事業所でした。(届出義務のある総事業所数は?)
届出対象の事業所は、指定された45業種で、354の有害化学物質を年間5トン以上(03年度からは1トン以上)か発ガン物質0.5トン以上を扱う従業員21人以上の事業所である。
国が推計を行った届出対象外の排出量は、全国の合計で34万2千トンだった。

合成界面活性剤(対象化学物質に指定された6物質)のH15年度出荷量は約16万7千トン(届出対象45業種向け出荷を除く)で、このうち少なくとも4万1千トンは海、川や湖に直接排出された(H14年度より1万8千トン増)
残りは下水道や合併浄化槽に流された(約12万トン)り産業廃棄物として処分された。下水処理や合併浄化槽で吸着、分解されなかったものは、公共水域に排出されているのだが、その分は表に出ていない。

一般家庭から約4万トン以上も合成界面活性剤が川や湖、海に直接流されています
ごく微量の合成洗剤でも、アユはその臭いを嫌って避けるので、遡上がさまたげられます。
今年も、友釣愛好家は、アユの天然遡上を増やすために合成洗剤を使わない運動をしよう。

天然の石鹸できれいに洗濯できます。液体の石鹸が便利です。


  危険な6種類の合成界面活性剤の使用量合計は16万7千トン

   昨年(H14年)より1万8千トンも増加しました。

 表1 合成界面活性剤の推計対象物質と出荷量
物質
番号
物 質 名 略称 備 考 H15年度
出荷量
(トン/年)
用途別の出荷量(トン/年)
化粧品 身体用
洗浄剤
洗濯・台所・
住宅用等
洗浄剤
業務用
洗浄剤
(非対象業種)
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
 及びその塩(C=10〜14)
LAS   83,843
(68,160)
97,840
32 39 76,453 7,312
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
 =N-オキシド
AO アミンオキサイドの一部 3,947
6,027)
6,670
227 55 3,356 309
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
 アンモニウム=クロリド
DAC ジアルキルカチオンの一部 892
908)
665
- 197 322 373
307 ポリ(オキシエチレン)
 =アルキルエーテル(C=12〜15)
AE   77,447
72,814)
60,197
496 1,962 66,488 7,998
308 ポリ(オキシエチレン)
 =オクチルフェニルエーテル
OPE p-オクチルフェノール
が原料
(環境ホルモンの一種)
76
66)
97
- 37 - 39
309 ポリ(オキシエチレン)
 =ノニルフェニルエーテル
NPE ノニルフェノールが原料
(環境ホルモンの一種)
1,206
1,410)
2,320
- 128 - 1,055
合 計 167,411
149,385)
167,789
755 17,086 146,619 17,086

 ( )内の青数字はH13年度の出荷量、( )内黒字はH14年度の出荷量。
   LAS、AEの増加の増加が目立つ。
  注1:日本界面活性剤工業会・日本石鹸洗剤工業会調べ(平成15 年度調査)
  注2:全国出荷量は非対象業種と家庭の合計を示す
     (届出の対象業種への出荷量と農薬推計値(NPE=620トン)を除く数量)。



一般家庭から公共用水域(河川・湖沼、海)へ流された量は4万1千トン以上

 下水道及び合併浄化槽へ流されたものは、除去されると仮定してして計算された値です。
 昨年までは、化粧用、身体洗浄用、洗濯・洗浄用の用途別に発表されていたのが、家庭合計でしか発表されなくなりました。(上記、表1の用途別の出荷量を参照して下さい)

 表2 合成界面活性剤に係る排出量推計結果kg(平成15年度;全国)
物質
番号
物 質 名 略称 業務用
洗浄剤
(非対象業種)
家庭 合計
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
LAS 1,726,192 18,620,184 20,346,376
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
AO 71,976 879,963 951,940
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
DAC 87,998 129,027 217,025
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
AE 2,372,264 16,696,734 19,068,998
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
OPE 9,084 9,351 18,436
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
NPE 269,158 32,350 301,508
合 計 4,536,672 36,367,610
(34,643,325)
40,904,283

 (  )青数字はH14年度の値です。千7百トンも家庭での使用が増えています。残念!
専門家の調査では、
 活性汚泥式の下水処理場でしかイオン界面活性剤(LAS,AO,DAC)は除去できません。
 合併浄化槽では合成界面活性剤は分解除去できずにそのまま公共用水域に流れ出してしまいます。
 非イオン界面活性剤(AE,OPE,NPE)については下水処理で除去できるか否か調べていません。


  公共用水域へ排出された合成界面活性剤4万1千トンの割合
  (4万1千トンというのは、100%の合成界面活性剤の量です。
   洗剤中の合成界面活性剤の含量は15〜30%です。
   合成洗剤の量に換算すると13万トン以上になります。)

      

 16万7千トンのうち、約10万トンの合成界面活性剤が下水処理場に流れたと推計されている。この約10万トンの全てが下水処理場の活性汚泥に吸着して除去されるのかどうかは不明です。合成界面活性剤が吸着した活性汚泥は捨てられたのか、焼却されたのか、どのように処理されたかは調べていません。なぜか、心配です。
 少なくとも、残りの6万7千トンあまりの合成界面活性剤は、実際には公共水域に流れ出たとみて間違いないと思います。


 表3は全国の届出対象の事業所からの環境への排出量。
   昨年に比べ微増です。
 表3 合成界面活性剤 全国の届出排出量・移動量(H15年度)
物質
番号
物質名 排出(kg/年) 移動(kg/年) 総排出量
大気 公共用
水域
土壌 埋立 合計 廃棄物
移動
下水道
へ移動
合計
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸
及びその塩(C=10〜14)
13,752 47,886 0 0 61,638 563,002 22,137 585,139 646,777
166 N,N-ジメチルドデシルアミン
=N-オキシド
1 98 0 0 99 15,484 2,177 17,661 17,760
251 ビス(水素化牛脂)ジメチル
アンモニウム=クロリド
0 3,802 0 0 3,802 9,065 125 9,190 12,992
307 ポリ(オキシエチレン)
=アルキルエーテル(C=12〜15)
10,715 249,412 0 0 260,127 928,054 149,542 1,077,595 1,337,722
308 ポリ(オキシエチレン)
=オクチルフェニルエーテル
2,128 6,463 0 0 8,591 121,518 1,536 123,054 131,645
309 ポリ(オキシエチレン)
=ノニルフェニルエーテル
13,592 73,149 0 27 86,768 544,805 60,905 605,709 692,477
合 計 40,188 380,810 0 27 421,025 2,181,928 236,422 1,680,395 2,839,373

物質番号307〜308は非イオン界面活性剤でH16年度から水道水の水質基準に追加された物質です。
H14年度比で、物質番号24:LASは減少し物質番号307:AEは増加した。


(1)全国の届出排出量と届出外排出量の合計は87万2千トン
 上位の10品目で全体の7割以上になっている。

 上位の5番目と6番目は、河川・湖沼、海の環境破壊No.1といわれる界面活性剤で、合成洗剤の主原料です。
 5番目はLAS直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩で(2万1千トン)
 6番目がPOAEポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテルで(2万トン)
 7番目は防虫剤・消臭剤に用いられるp−ジクロロベンゼンの(1万9千トン)でした。
 この三物質のほとんどは、一般家庭から公共用水域、大気に排出されたものです。



(2)事業者から届出のあった354の有害な化学物質の排出量・移動量
 総排出・移動量=53万トン
 総排出量(事業所内で環境中へ排出):291千トン
 大気への排出: 250千トン(総排出・移動量比47%)
 公共用水域への排出: 13千トン(同2.4%)
 土壌への排出: 0.25千トン(同0.05%)
 埋立処分: 27千トン(同5.1%)
 総移動量(事業所の外へ出した):240千トン
 事業所の外への移動(廃棄物として出した): 236千トン(同45%)
 下水道への移動(下水道へ流した): 3.1千トン(同0.59%)

(3)全国の届出外排出量の推計値
 全国の届出外排出量の合計は342千トンであり、内訳は以下のとおりとなっています。
  1) 対象業種からの届出外排出量: 55千トン(構成比 16%)
    対象業種に属する事業を営む事業者の事業活動に伴って環境に排出されていると見込まれる量(届け出られたもの、移動体からのものを除く。)
  2) 非対象業種からの届出外排出量: 105千トン(同 31%)
   対象業種以外の業種に属する事業のみを営む事業者の事業活動に伴って環境に排出されていると見込まれる量(移動体からのものを除く。)
  3) 家庭からの届出外排出量: 63千トン(同 18%)
    家庭から環境に排出されていると見込まれる量(移動体からのものを除く。)
  4) 移動体からの届出外排出量: 119千トン(同 35%)
    移動体から環境に排出されていると見込まれる量



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