2008年9月11日
 ダム反対 蒲島郁夫熊本県知事が表明 「球磨川は守るべき宝」
 川辺川ダムについて、蒲島郁夫知事は十一日の九月定例県議会本会議で、「現行計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」と建設反対を表明した。
 熊本日日新聞『号外』
  
 これで国交省&自民党・公明党は川辺川でのダム建設を断念するだろうなー!


 尺アユの川辺川 ダム建設計画は頓挫 道理が通れば、無理はひっこむ
 川辺川の漁師さん、川辺川利水訴訟原告団の皆さん、川辺川の清流・尺アユ・自然を守る運動をしてきた大勢の皆さんの長年にわたる努力が、ようやく報われることになりました。 脱ダム!万歳!

 と、思ったのだが、

 40年間にわたり国交省は利水も治水と並ぶダム目的の両輪とうたってダム建設推進の錦の御旗に利用してきた
 川辺川ダム建設に伴う漁業権などの収用裁決申請取り下げから一夜明けた2005年9月16日午前。北側一雄国土交通相は閣議後会見で、治水目的のダム建設推進をあらためて強調した。
 第三次小泉改造内閣で留任した北側国交相は、10月31日夜、計画発表から四十年目になる球磨川水系の川辺川ダム建設について「治水面でダムは必要だ」と述べ、ダム建設の必要性をあらためて指摘した。
 本来の目的が消滅したのに、いまだにダムを作ろうとするのは何故か?
 (ダム工事をすること自体が目的で、利水も治水もその口実にすぎなかったのではないのか?)

   参照;《考 川辺川ダム:熊本日日新聞


           熊本日日新聞2005年12月29日朝刊
  事業認定処分取り消し訴訟 原告が取り下げ 熊本地裁
 土地収用法に基づく川辺川ダム事業認定をめぐり、球磨川漁協のダム反対派組合員が認定処分取り消しを求めた訴訟の第二十一回口頭弁論が二十八日、熊本地裁(永松健幹裁判長)であり、原告側が「国土交通省による強制収用手続きは実現せず、訴訟の目的を達成できた」として訴えを取り下げた。被告の国土交通大臣側も取り下げに同意し、提訴から四年二カ月ぶりに終結した。

 原告代理人の弁護士四人が法廷で意見陳述。今年九月に国土交通省が県収用委員会に対する流域漁業権などの収用裁決申請をすべて取り下げた点などを挙げ、「訴訟の対象となる事業認定も法的に失効したことを裁判の当事者間で確認できた」と指摘。「原告らは全面勝利を確認して訴訟を取り下げる」と述べた。

 閉廷後に会見した原告団長の吉村勝徳さん(57)は「終結をうれしく思うが、まだダム基本計画は残っている。今後も反対運動を続けていく」と話した。同訴訟は、二〇〇一(平成十三)年三月に提訴。審理の大半は、組合員個人に原告適格があるかどうかで争われ、今年五月から実質審理に入っていた。

            熊本日日新聞2005年11月05日朝刊
  事業認定取り消し訴訟 国が法的効力失効明言 熊本地裁
 土地収用法に基づく川辺川ダム事業認定をめぐり、球磨川漁協のダム反対派組合員が認定取り消しを求めた訴訟の第二十回口頭弁論が四日、熊本地裁(永松健幹裁判長)であった。

 国側は、国土交通省が今年九月、県収用委員会で審理していた流域漁業権などの収用裁決申請をすべて取り下げたことを挙げ、「事業認定の法的効力は将来にわたって失効した」とあらためて明言。今後、同事業認定の存続を前提にした行政手続きをとる可能性はないとの考えを示した。

 一方で国側は、原告らが「形式的に残っていれば誤解を招く」と求めた事業認定自体の取り下げについては、「失効した事業認定をあらためて取り下げる意味は全くない」と述べた。

 原告弁護団の松野信夫弁護士は「国が今後、本件事業認定を使った手続きをしないことが確認できた意義は大きい。次回は高らかに勝利宣言ができるのではないか」と話した。次回は十二月二十六日。

             熊本日日新聞2005年9月16日朝刊
  国交省 収用申請取り下げ 仕切り直しの「道」険しく

  国土交通省は十五日、川辺川ダム建設計画に絡み、建設に必要な球磨川流域漁業権や土地の収用申請を、県収用委員会の勧告に従い、取り下げた。強制収用に踏み切り、強引とも批判された国交省が一転、申請を取り下げ、現行の事業計画を白紙に戻した。取り下げて仕切り直した方が、現状ではダム本体着工への早道と判断したが、道のりは平たんではない。

 勧告は八月二十九日。ダム建設の目的の一つである利水事業の新計画策定がずれ込み、「審理の見通しが立たない」と県収用委が判断したからだ。

 国交省は取り下げに応じざるを得なかった。応じなければ、申請却下という「黒星」が突き付けられる。また、却下は国交相への不服審査申請に直結。県収用委の判断に異議を申し立てることになり、「悪あがき」との印象を与えかねない。国交省は勧告前から取り下げを検討していたとみられる。

 同省の佐藤信秋事務次官と宮田年耕九州整備局長は会見で、「新利水計画を一日も早く策定してほしい」と強調した。

ダム計画の今後 そこで今後、国交省は新利水計画をにらみながらダム基本計画の見直しに入る。今回の取り下げで、二〇一四(平成二十六)年度完成の先送りは必至。見直しの内容次第では、新河川法に沿って流域住民からの意見聴取も加わり、ダムがいつ完成するのか全く見通しが立たなくなる。

 新利水計画の策定も難題だ。農水省などは八月末に事業区域や、水源をダムにするかどうかを絞り込む予定だった。だが、水源に先立つ事業区域すら固まっていない。

 加えてダム水源案では、送水開始は現行計画に基づき、ダム本体完成後の一五年度。ところが申請取り下げにより、ダム本体の完成時期は白紙となり、ダム水源案の送水開始はしばらく「未定」になる。

 「送水開始時期未定」のダム水源案と、一二年度に送水を開始するダム以外の取水堰(ぜき)案を並べて選択させるのは、農水省にとって簡単でない。人吉球磨の対象農家四千二百戸にそれぞれの案の根強い支持者がいるためだ。

 来年度の利水事業についての政府予算案決定まで残り三カ月余り。事業区域や水源の確定、一カ月間の公告・縦覧、対象農家の三分の二から新利水計画への同意取り付けと、作業は膨大だ。

 川辺川ダムは計画発表時は洪水対策が目的だった。国交省は「申請取り下げで手続きの長期化を避け、治水対策をより早く進めることができる」と関係者に説明。新利水計画の進ちょく次第では、ダム計画と利水事業の関係見直しも示唆した。

 ある国交省幹部は「とにかく治水対策を急ぎたい。されど利水も大事。そのような状況で、県がどう判断するかも聞いてみたい」。国任せでなく県自らがダム計画の方向性を示さなければならない時期はそう遠くないかもしれない。(清田秀孝)

  国交省 収用申請取り下げ 現行計画白紙に
  国土交通省は十五日、川辺川ダム建設に伴う流域漁業権や土地の収用裁決申請を取り下げた。ダム建設計画発表から四十年目。現行のダム事業計画はいったん白紙に戻り、同省は基本計画の練り直しを迫られる。ダム本体の着工が遅れることは確実で、二〇一四年度としている工事終了の時期は不透明となった。

 国交省は今後、ダム建設目的の一つである川辺川土地改良事業(利水事業)の新計画策定をにらみながら、ダム基本計画の見直しを進める。新たな基本計画には県議会と知事の同意が必要となる。

 同省は、熊本県収用委員会の勧告に応じ、収用裁決申請をいったん取り下げることで手続きの長期化を避け、あらためてダム計画を練り直し収用手続きをやり直した方が、ダム本体着工への近道と判断した。

 同日午後、東京・霞が関で定例会見に臨んだ国交省の佐藤信秋事務次官は、先の台風14号による被害状況などを交え、ダム建設の必要性を強調。その上で、「今は農水省、熊本県、流域市町村、関係農家らが一日も早く新利水計画をまとめることが大事。国交省として強くお願いし、連携を取りながら、ダム計画全体を一緒に考える。国交省が一人で走るということではない」と述べた。

 福岡市で会見した国交省九州地方整備局の宮田年耕局長も「球磨川の治水対策である川辺川ダムの早期整備が必要で、選択肢として取り下げが適切と判断した」と説明。九州農政局に対し、早急に新利水計画の策定を求める考えをあらためて示した。

 同整備局の担当事務官が県庁内の県収用委事務局に申請取り下げ書を提出、受理された。県収用委の塚本侃会長は「国土交通大臣のご決断に敬意を表します」とのコメントを発表した。

 国交省は二〇〇一(平成十三)年十二月、土地収用法に基づき、流域漁業権と、水没予定地となっている球磨郡五木村の土地の収用を申請。しかし、〇三年に利水計画策定の手続きの違法性が福岡高裁判決で確定。利水計画が白紙となり、国交省はダム計画の方向性を示せずにいた。このため県収用委は八月二十九日、収用審理が長期に及んでいるとして国交省に申請取り下げを勧告。応じなかった場合は、二十六日に却下作業に入ると明言していた。(亀井宏二、中原功一朗)

熊本日日新聞2005年9月16日朝刊

         毎日新聞 2005年9月15日 13時08分 (最終更新時間 9月16日 2時35分)
川辺川ダム:国交省が強制収用取り下げ決定 熊本

川辺川ダム川辺川ダムの周辺地図 国土交通省は15日、熊本県相良村の川辺川ダム建設に伴い、同県収用委員会に出していた漁業権などの強制収用裁決申請を取り下げた。国は用地の約9割を取得済みで、周辺工事もほぼ終えているが、これで本体の着工は不可能になり、計画はいったん白紙に戻った。国交省はダム計画を見直して再申請する構えだが、発表から39年が経過した九州最大級のダム計画は、さらに遅れることになった。

 川辺川ダムは洪水防止の「治水」と農業用水を引く「利水」などが目的だが、03年5月の福岡高裁判決で、利水については計画の前提となる農家の同意が事実上無効とされた。その後、農水省から新たな利水計画も示されないことから、漁業権などを国が取り上げる適否を審査する県収用委は、国側に収用申請の取り下げを勧告するとともに、今月22日までに取り下げない場合は申請を却下すると宣告していた。

 この日、会見した国交省九州地方整備局の宮田年耕(としたか)局長は、取り下げの理由を「ダムは一日も早く完成させる必要がある。手続きをやり直すことで、結果的に治水対策が早く進む」と説明。却下を待っても計画は白紙に戻るが、その場合は、土地収用法上の却下要件を満たさないとして不服審査を求めることになり、長期化が避けられなかったとの見解を示した。

 国交省は今後、農水省が新利水計画を出すか、利水事業そのものを断念するかを見極めたうえで、ダム計画を変更する見通し。漁協や地権者と再度の補償・買収の交渉を経て、交渉がまとまらない場合は改めて収用を申請するが、農水省側の回答をいつまで待つかの期限は示さなかった。

 また宮田局長は、ダム計画の見直しと並行して、地元自治体や住民の意見も聴きながら河川法に基づく球磨川の整備計画をつくる方針を明言したが、それをダム計画にどう反映させるかは言及しなかった。【清水健二】

 ◇川辺川ダム◆

 球磨川の支流・川辺川上流に計画される、治水、かんがい、発電などの多目的ダム。国土交通省が66年に計画を発表した。高さ107.5メートル、総貯水量1億3300万トン。基本計画では事業費2650億円、工期は08年度までだった。しかし、球磨川漁協の漁業補償案否決を受けた強制収用手続きや、川辺川利水訴訟での国敗訴で利水計画の見直しを迫られ、ダム計画は難航。昨年8月、事業費を3300億円、完成を13年度までとする国交省の内部文書が発覚した。


国交省、収用申請取り下げ 川辺川ダム、見直し論議も [ 09月15日 17時49分 ]
共同通信

 川辺川ダム(熊本県)建設計画に伴い国土交通省は15日、熊本県収用委員会に出していた漁業権などの強制収用申請を取り下げた。国交省は今後、ダム計画を作り直して再申請する方針だが、建設の遅れは避けられず、ダム建設の見直し論議も起きそうだ。
 農水省などが策定を進める利水事業計画がまとまらないためで、収用委は国交省に申請を取り下げるよう勧告していた。
 国交省九州地方整備局(福岡市)の宮田年耕局長は同日、記者会見し「治水と利水の両面でダムが必要という考えは変わらない」と語り、今後も多目的ダムとして建設計画を進める考えを強調。農水省に対し「新たな利水計画を早く策定するよう求めていく」と述べた。
 今後の手続きについては「新利水計画の中身に沿って農業用水の需要量などを検討し、必要に応じて収用申請を出し直す」と説明した。


          熊本日日新聞2005年9月13日
 川辺川ダム 利水進展見えず、収用申請取り下げ調整へ 国交省

 川辺川ダム(球磨郡相良村)建設問題で国土交通省は十二日、県収用委員会の出していた漁業権などを強制収用する申請の取り下げの勧告について、受け入れる方針で調整に入った。

 十三日に農水省が示す川辺川ダムの新しい利水計画の策定状況の報告や、申請取り下げに対する県など地元自治体の反応を見た上で、期限の二十二日までに最終決定する。

 国交省は「治水のためダムは必要」との姿勢を崩していない。勧告に応じていったん申請を取り下げれば、強制収用に必要な手続きを最初からやり直す必要が出るため、事業は大幅に遅れる。

 ただ、県収用委が申請を却下することに比べれば、新利水計画の策定や地元自治体との協議に、国交省が主体的にかかわることができるメリットがあると判断したもようだ。

 農水省は十三日には、新利水計画を国交省に明示できない見通し。

 川辺川ダム建設をめぐっては国交省が二〇〇一年十二月に収用裁決を申請。途中、農水省が策定した当初の利水計画が福岡高裁の判決確定で無効になったため、県収用委が新計画の提出を求めていた。

 しかし、計画策定は難航、審議も長期間中断したため県収用委は八月二十九日、申請の取り下げを国交省に勧告していた。勧告に応じない場合、二十六日に却下裁決に入るとしていた。


         朝日新聞9月13日朝刊
 川辺川ダム、農水省が新計画示せず 収用申請撤回へ

 国土交通省の川辺川ダム計画(熊本県)に絡み、建設目的の一つである利水事業の新計画を同省から示すよう求められていた農林水産省は、12日の回答期限までに計画を示せなかった。国交省は、本体着工に不可欠な漁業権などの収用申請取り下げの検討に入っており、近く地元や農水省と協議したうえで結論を出す。

 国交省の佐藤信秋事務次官はこの日の会見で、収用申請取り下げの可能性について、「(新利水計画の方向性を出すのが)難しい状況であれば(取り下げを含めて)よく相談する必要がある」と述べた。その上で「利水の部分は農水省と地元の考えが一番大事。できるだけ早く三者で調整して判断したい」と話した。

 県収用委は8月末の審理で、国交省が新利水計画を反映した「ダム変更計画」を提出しなかったため、「9月22日までに漁業権などの収用申請を取り下げなければ、26日に却下を決める」と伝えた。国交省は、申請を取り下げるかどうか農水省の回答を待って判断するとしていた。

 一方、農水省は5日、地元市町村長らに「事業区域の策定作業中なので22日までに新利水計画を国交省に回答することは困難」と説明した。

 収用申請を取り下げた場合、国交省は収用手続きを一からやり直さなければならず、ダム計画を進めるとしても大幅な遅れを余儀なくされる。
    (2005年09月12日22時29分)


         産経新聞9月13日
 収用申請取り下げへ 川辺川ダムで国交省

 川辺川ダム(熊本県)建設問題で、国土交通省は13日までに、熊本県収用委員会に出していた漁業権などの強制収用申請を取り下げる方針で調整に入った。農水省が進めている利水事業の新計画がまとまらないため。九州農政局は13日に国交省に提出した文書でも新計画の「概要を示すことは困難」と策定の遅れを認めた。

 国交省は、申請を取り下げた場合の熊本県など地元自治体の対応を見定めた上で、収用委からの回答期限とされている22日までに最終決定する。

 川辺川ダムは治水、利水などの多目的ダム。治水は国交省が担当し、利水計画は農水省などが策定している。

 国交省は「治水のためダムは必要」との姿勢だが、建設に向けた強制収用申請を取り下げると必要な手続きを最初からやり直す必要が出るため事業は大幅に遅れる。

 川辺川ダム建設をめぐっては国交省が2001年12月に収用裁決を申請。途中、川辺川利水訴訟で、農水省が策定した当初の利水計画手続きに違法性があったと認定され無効となったため、収用委が新計画の提出を求めていた。

 しかし、新計画策定は難航、収用委の審理も長期間中断したため収用委は8月29日、申請の取り下げを国交省に勧告。勧告に応じない場合、二十六日に却下裁決に入るとしていた。(共同) (09/13 11:09)


         朝日新聞8月29日夕刊
 川辺川ダム
 国に申請取り下げ勧告 熊本県収用委の審理で

 国土交通省が熊本県に計画する川辺川ダム建設問題で、同省が収用申請していた漁業権などに関する県収用委員会(塚本侃会長)の審理が29日午前、熊本市で始まった。

 国交省は、収用委から求められていた、新利水計画を反映した「ダム変更計画」を示せておらず、収用委は午前中の水没予定地に関する審理で、収用申請の取り下げを国交省に勧告し、回答期限を9月22日とした。

 午後の漁業権の審理でも同様の勧告をするとみられる。
収用委は、期限までに国交省が申請を取り下げない場合、9月26日に審理を終結させ、その後、申請を却下するとした。このため国交省が申請を取り下げても取り下げなくても、計画発表から39年たった現行のダム計画は頓挫することになる。

 この日、国交省は「現段階では、新利水計画の概要とそれを踏まえたダム変更計画は説明できない。
あとわずかで新利水計画の概要が明らかになる」として審理の継続を求めた。
これに対し塚本会長は「ダムの事業計画が確定しておらず、審理ができない状態が続いている。
土地収用法は迅速な手続きを求めている」として取り下げを勧告した。
漁業権収用はダム本体建設に向けた最後の法的ハードル。
収用を審理するには、前提となるダム計画がどのようなものかを国交省が示す必要があった。

          熊本日日新聞8月29日夕刊
 県収用委 国に裁決申請取り下げ勧告
   県収用委員会(塚本侃会長、七人)が二十九日午前、熊本市であり、川辺川ダム建設事業に絡み国土交通省が裁決申請した民有地収用案件を審理し、申請を取り下げるよう国交省に勧告した。九月二十二日までの取り下げを求めた。回答が示されない場合、同月二十六日に審理を終結、申請を即日却下する方針。焦点の球磨川流域漁業権に対しても同日午後、同様の勧告をする。これにより、民有地や漁業権の強制収用の道が断たれ、現行の川辺川ダム建設計画は頓挫することになる。

 同委は民有地(球磨郡五木村金川の〇・五ヘクタール)と、川辺川を含む球磨川流域漁業権と並行して検討。前回の五月、「(策定中の)新利水計画を踏まえたダム計画の方針が次回示されなければ、申請却下を視野に審理終結もあり得る」と示唆していた。

 同委は、二十六日に国交省が出した意見書や、この日の国交省の陳述を検討。「新たな方向性は説明されていない」「新利水計画が確定していない現状では申請を取り下げることを勧める」と述べた。

 この日、委員七人のほか国交省や土地所有者ら四十人が出席。国交省は「もう少しで新利水計画の概要が判明する」と主張したが、ダム計画方針は示さなかった。収用に反対する土地所有者は「新利水計画がいつ固まるのかはいまだ分からない。収用審理はすでに二年以上費やしており、土地収用法が定めた迅速な審理に反する」と指摘、即時却下を求めた。

 川辺川ダム計画は二〇〇〇年十二月、国交相が事業を認定した。河川内に高さ百七メートルのダム本体を建設するため、工事や本体完成に伴い本体から上流地域で漁業ができなくなる。しかし国交省は川辺川を含む球磨川流域に漁業権を持つ球磨川漁協(八代市)との任意交渉では建設合意を得られず、〇一年十二月に漁業権の収用裁決を申請した。

 ダムの目的の一つで農業用水を供給する利水事業は、収用裁決申請後の〇三年五月、違法性を指摘した福岡高裁判決の確定で白紙化。新計画策定が進んでいるが、対象区域や川辺川ダムを水源にするかどうかも固まっていない。(清田秀孝)

●当然の判断下した 権利者側代理人の板井優弁護士の話

 県収用委は当然の判断を下した。敬意を表したい。この場で却下せずに取り下げを勧告したのには、「(国交省は)異議申し立てをすべきではない」という思いが含まれているのだろう。勧告に従って国交省が取り下げるならば、その姿勢を高く評価したい。

●勧告は想定外 川崎正彦・九州地方整備局河川部長の話

 審理の終結か継続かを想定していた。取り下げ勧告は考えていなかった。本省と協議して正式にコメントしたい。
                              <考 川辺川ダム

          熊本日日新聞2005年8月30日朝刊 Kumanichi.com (08/29 22:10) 
 川辺川ダム 漁業権収用も申請取り下げ勧告 県収用委、国に
川辺川ダム 県収用委員会(塚本侃会長、七人)は二十九日午後、焦点の川辺川ダム建設事業に絡み国土交通省が裁決申請していた球磨川流域漁業権収用案件について、民有地収用案件を審理した午前と同様、申請を取り下げるよう国交省に勧告した。塚本会長は、「国交省が申請取り下げに応じる可能性が高い」との見通しを示した。

 同委は、「新利水計画の概要がまとまっておらず、国交省はダム事業計画の変更内容を示すことができる状況にない」とした上で、「審議の長期化は問題。ダム事業計画が確定してから必要な手続きをすべき」と指摘。国交省に九月二十二日までの申請取り下げを求めた。回答が示されない場合、同月二十六日に審理を終結、申請を即日却下する。

 審理後の会見で、塚本会長は「県収用委としては、却下もやむを得ないという結論を出している。ただ念には念を入れ、却下するのは国交省が本来なすべきこと(取り下げ)をやらないという意思を確認してからにしたい」と説明。九月二十二日までに新利水計画を踏まえたダム計画の方針が示された場合は「その時点で検討する」としたものの、「方針が示される確率はゼロに等しいのではないか。もしまとまっても、却下の要件となる『著しい変更』に該当する可能性が高い」と述べた。

 一方、国交省九州地方整備局は「川辺川ダムは一日も早く完成させる必要があり、(新利水計画をつくる農水省など)関係者と調整して最善の対応を検討し、回答する」としている。(久間孝志)

 県収用委、申請取り下げ勧告 反対派に勢い 窮地の国交省
 川辺川ダム建設に絡む収用案件を審理している県収用委員会は二十九日、国交省に申請の取り下げを勧告。「回答がなければ却下する」と最後通牒(つうちょう)を突き付けた。「もう言い逃れはできないはずだ」。勧告に勢いづくダム反対派。計画の練り直しを迫られる国交省。川辺川ダムは、新たな転機を迎えた。

  ◇     ◇

 「九月二十二日までに申請を取り下げなければ、二十六日に却下し、審理を終結する」。県収用委の塚本侃会長が「取り下げ勧告」を告げると、会場を埋めたダム反対派から拍手が沸き起こった。

 球磨川漁協総代の毛利正二さん(64)は「三年八カ月と長い時間を要したが、県収用委の判断は当然の結論。こみ上げてくるたくさんの思いは、一言で言い表せない」と興奮気味。「国交省といえども、公共事業をごり押しで進めることができない時代になったということだ」と語気を強めた。

 子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会代表の中島康さん(65)も「今まで待たされ続けたが、国交省にとっては言い逃れや抵抗ができないような勧告」と胸をなでおろした。

 権利者代理人の板井優弁護士は「国交省は自らの都合で法を無視し、引き延ばしを図ってきた。県収用委は、このような状態を違法だと厳しく判断したんだと思う」と顔を紅潮させた。

 また、「却下すれば、国交省は不服を申し立ててくるはず。そうなれば、泥沼になるのは避けられない。一方、取り下げるかどうかは、国交相の政治的な判断になる。そういう意味でも評価できる判断」と分析した。

 一方、窮地に立たされた国交省。審理終了後、記者に囲まれた九州地方整備局の川崎正彦河川部長は「関係者と調整して最善の対応を検討したい」とする同局の宮田年耕局長のコメントを淡々と読み上げた。

 感想を求められた川崎部長は、「今後の方針は全く白紙。申請を取り下げるかどうか言えない」「あらためて事業認定を求めるのは厳しいだろう」と慎重に言葉を選んだが、「治水にはダムが絶対に必要」とダム事業の正当性をあらためて訴えた。

 川辺川利水事業を担当する九州農政局整備部の松井俊英次長も「収用委の勧告は、川辺川ダム事業や、利水事業の水源案の一つであるダム案をただちに否定するものではない。新利水計画の早期策定を目指す考えに変わりはない」と強調した。

 ただ、そうした強気のコメントとは裏腹に、九州地方整備局や九州農政局の担当者らは終日、局幹部や本省への報告、連絡に追われ、戸惑いを隠さなかった。九月二十二日のタイムリミットまで残された時間は、あまりにも少ない。(川辺川ダム問題取材班)
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  国交省 勧告拒否なら長期化、受諾なら計画変更へ
川辺川ダム事業  国土交通省は、川辺川ダム建設に伴う漁業権などの収用裁決申請について、県収用委員会から申請取り下げ勧告を受け、従わなければ却下すると突き付けられた。国交省は今後どのような方策を選ぶのか。

 勧告を拒否し、取り下げない場合、県収用委は九月二十六日に却下を決定する。この場合、国交省が不服審査請求しなければ、申請取り下げと同様に国交省は計画見直しに入る。

 国交省が申請却下を不服と判断した場合、土地収用法の担当大臣の国交相に対し不服審査請求ができる。この場合、国交相は県収用委の決定を審理。請求棄却か認容か、いずれかの判断を下す。

 棄却された場合は計画見直しが求められ、見直しに応じないなら訴訟も可能。一方、認容されれば、県収用委で再度審理に入る。いずれも問題の長期化は避けられない。

 国交省が勧告通り取り下げるなら、球磨川漁協との任意交渉の道は残る。しかし、同漁協は現行計画での漁業補償案を二度否決している上、反対派総代が一定勢力を保っており、妥結は難しい。任意交渉の道も閉ざされた場合は変更計画を提出、事業認定を得て再度収用申請しなければならなくなる。(清田秀孝)


関連ニュース
 川辺川ダム建設事業計画と球磨川水系治水事業に関する質問主意書 20030926

 『考 川辺川ダム』

 「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」

 川辺川ダム建設計画は頓挫する見込みです。しかし国交省九州地方整備局は、治水のためにダムは必要と、いまだに川辺川ダムを建設する姿勢を変えていません。最後の最後までしっかり見届けましょう。

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