1.オオクチバス:特定外来生物指定の顛末

2.アユ食害、年間約十九万五千匹 吉野川

3.外来魚駆除、道半ば


 (朝日新聞2007/07/04朝刊)
外来魚駆除全国各地の湖沼で泳ぎ回るブラックバス(オオクチバス、コクチバス)やブルーギル。2年前に施行された外来生物法で規制の対象となり、駆除活動は全国に広がる。
「撲滅宣言」した地域もあるが、大きな湖沼では完全に駆除するのは容易ではなく、まだ道半ば。課題も少しずつ浮かび上がってきた。
(桜井林太郎、庄司直樹)


ブラックバス駆除人工産卵床は威力を発揮
 「稚魚の群れがいっばいいる。探ってみて」
 ラムサール条約に登録された湿地で、渡り鳥の飛来地として知られる宮城県北部の伊豆沼・内沼(387ヘクタール)。
6月中旬、地元ボランティア「バス・バスターズ」などのメンバーが、胸まで水につかって一斉に網をすくった。ブラックバスの稚魚でいっばいだ。バスが繁殖期を迎える毎年5?6月には週2回、駆除活動を実施する。
環境省の駆除モデル事業になっている。
 こうした網による稚魚掃討作戦とともに威力を発揮するのが、地元の自然保護NPO 「シナイモツゴ郷の会」の高橋清孝副理事長が開発した人工産卵床だ。約400個が沼底に設置されている。
 バスは、沼地の泥や砂ではなく、小石のすき間を好んで産卵する。そこで、黒いシートで覆った60センチ四方のプラスチックの底に小石を敷いておく。すると、バスが安心して身を寄せて産卵するため、1万個にもなる卵を一挙に回収できる。
 人工産卵床は1個約5千円。他にも導入する地域が出てきた。「安くて楽しみながら出来るのが大切。ただし、放っておくと逆に繁殖させてしまいます」と高橋さん。
 伊豆沼・内沼では今季、延べ120カ所で産卵を確認できた。
 01年に初めてブラックバスが見つかった北海道では、電気ショックなどで撲滅作戦を進めた。その結果、今年5月に道は「駆除終了宣言」を出した。北海道は水温が低く、繁殖しにくい。
だが、他の多くの地域では、池干しで一挙に駆除しない限り、完全防除は難しい。
 「入れ食い」状態の湖も
 伊豆沼・内沼と同じく駆除モデル事業地である滋賀県の琵琶湖では、外来魚駆除を目的とした県主催の釣り大会が5月末に開かれた。
大津市から夫婦で参加した寺田勝彦さん(65)は50年ぶりに琵琶湖に釣り糸を垂れて、驚いた。30分ほどでブルーギル20匹が次々と釣り上がった。ほかの釣り人もみな入れ食い。
「湖全体ではどれだけいるのか想像がつきませんね」
 琵琶湖では、80年代からブラックバスとブルーギルが大繁殖し、さらに食害も問題となった。県の推計では現在、計1700 トンも生息する。
地元で外来魚問題に敢り組むNPO 「琵琶湖を戻す会」代表の高田昌彦さんは「日本一広い湖から駆除するのは並大抵ではない。湖の異常な状態を広く知ってもらうしかない」。
 外来魚の駆除について、細谷和海・近畿大教授(魚類学)は「まだ取り組みは始まったばかり。これから20? 50年と、息長く地道に進めるしかない。在来種の保護や里山復活なども重要だ」と話す。

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外来生物法 日本在来の生態系を損ねたり、人や農林水産物に被害を与えたりする恐れがある外来種を「特定外来生物」に指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入を原則禁止する法律。
 05年6月に施行された。違反した場合は、個人は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金が科される。
 特定外来生物に指定されている動植物は83種類。このうち魚類は、ブラックバスの一種であるオオクチバスとコクチバスのほかブルーギルなど計13種
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 駆除に賛成9割 釣り愛好家減る
 内閣府が昨年9月に発表した「自然の保護と利用に関する世論調査」によると、日本の生態系や自然環境を守るために外来生物の駆除を進めることに、賛成派は90.7%を占め、反対派の5.9%を大きく上回った。
 バス釣りを楽しむ人も減っている。釣具店・メーカーでつくる日本釣振興会の高橋裕夫事務局長は「人気俳優らが趣味でバス釣りしていることが話題となった10年ほど前がピーク。外来生物法の影響でも減ったのは間違いない」という。
 一方、宮城県の伊豆沼では、今年4月末に人工産卵床30〜40個が破壊された。
 岐阜県のため池でも、昨年12月に、駆除目的に外来魚を囲い込んでいた排水溝の金網が何者かに外されてしまった。
 法施行後に、新たにブラックバスが見つかつた場所も複数ある。

 全国ブラックバス防除市民ネットワークの小林光事務局長は「今でも密放流で生息地は広がっており、問題の重要性を国民に継続して訴えなければいけない」と話す。



 琵琶湖だけでなく、川でもバスがアユを食っているという報告です。
 あなたのお気に入りのアユ河川でも起こっていると思います。

  2007/01/31 15:20
 アユ食害、年19万5000匹 吉野川流域のオオクチバスで試算

 外来魚のブラックバスの一種・オオクチバスによる吉野川流域のアユ食害の試算が年間約十九万五千匹、アユ全体の5・1%に上ることが三十日、徳島市内の県水産会館で開かれた県立農林水産総合技術支援センター水産研究所の研究報告会で明らかにされた。報告した専門研究員兼科長の廣澤晃さん(環境増養殖担当)は「仮説を含む調査のため正確な数字ではないが、バスの食害はアユ資源にとって無視できず、外来魚対策が欠かせない」と訴えた。

 調査は二〇〇二年から〇六年まで、吉野川の第十堰(ぜき)上流から柿原堰までの約七キロ(水域面積約百ヘクタール)で実施。潜水目視から同域のオオクチバスの生息数を五百六十八匹と推定。季節ごとに採取した計二百匹のバスの胃の内容物を調査した結果、平均でアユを捕食していたバスは約16%だった。

 これらのデータと、〇三年から〇六年までの吉野川のアユ資源量約三百八十万匹に基づいて試算すると、アユ食害は全体の5・1%と推定。下流域では約二万三千匹、全流域では約十九万五千匹と見積もられた。バスの生息数は推定を上回ることが考えられ、被害はより大きい可能性もある。

 吉野川のアユ資源量は一九九九年から〇二年までの年間平均が二千二百万匹に対し、近年は約六分の一にまで落ち込んでいる。廣澤さんによると、アユが海域に生息している際の低水温が遡上(そじょう)量の減少に影響したことに加え、バスによる食害も要因の一つになっているという。

 研究報告会は「徳島のアユ資源を守るには」をテーマに、県内漁協関係者ら約八十人が出席して開催。研究報告のほか、高知市内の民間河川生物調査事務所の高橋勇夫代表が「アユを育てる川仕事」と題して講演した。


 オオクチバス:特定外来生物指定の顛末
 (2004年11月〜2005年12月の新聞報道)

 外来生物法については、こちらで詳細を確認して下さい。
  H17年6月1日から施行されました。
  違反(飼育・栽培、運搬・保管、野外へ放つ・植える、販売・頒布)すると
  個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、
  法人の場合1億円以下の罰金
が科せられる。


 生物多様性条約の指針原則
 (1)侵略的な外来種の侵入の予防
 (2)早期発見・早期対応
 (3)定着したものの防除(影響緩和)
 を実施するために
「外来生物法」が平成16年6月2日に公布され、
 平成17年6月1日から施行されることになった。

 が、この法律を運用するための規則などを作成する段階で、真っ当な理由や根拠も無く(財)日釣振や(社)全釣り協がブラックバスの特定生物指定に国会議員らも巻き込み反対運動を展開した。
 そのために、ブラックバス以外の有害な外来動植物の論議は(マスコミから)忘れ去られ、ここ半年の報道はほとんどブラックバスがらみとなってしまった。
 そもそも日本の生物多様性を論議する「特定外来生物等分類群専門家グループ会合(魚類)」において、オオクチバスを別途小グループで議論するとしたことが法の主旨から外れており、その小グループに生物多様性とは全く関係がない(社)全日本釣り団体協議会と(財)日本釣振興会を利用関係者として加えたという環境省役人の判断が不善である。
 日本の生物多様性をどのように保全すべきかという論点から外れたことを平気で企画した環境省役人と専門家グループの非常識・非論理性がこの茶番劇を引き起こした最大の原因といえるのではなかろうか。
 日本伝統の釣り文化を絶やさない為にも、ブラックバス、ブルーギルは退治・絶滅させるべきものと考えている鮎釣愛好家の一人として、この顛末を新聞記事の記録で残しておくことにした。

 ***何かおかしい**
 平成17年6月1日より外来生物法が施行されたが、バス釣愛好家のHPではこの件をどのように取り扱っているのか検索してみたのだが、
 オオクチバス、コクチバス、ブルーギルなどが特定外来生物に指定され、違反すると懲役または罰金が科せられることを、バス釣り愛好家たちに分かりやすく告知しているサイトは皆無に近い。
 かろうじて、この件は環境省の外来生物法サイトを見ろと小さく書いてあるサイトが数件見つかっただけだ。バスの特定外来生物指定反対のパブリックコメントが9万5620件提出されたという新聞報道は何だったのだろうか。
 業界ぐるみで多くのバス釣り愛好家は猛反対し大騒ぎをしていたのだから、これからどのように対処するとか、釣り場ではどのような事を注意し守るようにとか書いてもよさそうなものだが、そんなサイトは見当たらない。何のことはない、身勝手に遠吠えしていただけなのか。バス釣りが禁止された訳ではないから、無知な誰かが懲役や罰金を科せられるまでは、テキトウにやろうや、ということかな?

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2004年11月25日 読売新聞
 外来種規制 釣り業界「反対」 ブラックバス 網の外?
 保護団体批判「法律骨抜き」

 アライグマやブラックバスなど、海外から日本国内に持ち込まれた生物(外来種)による生態系破壊を防ぐため、今年六月「特定外来生物被害防止法」が公布されたが、問題の発端となったブラックバスを駆除を含む規制対象から外そうと、釣り具業界や議員連盟がロビー活動を展開。これに対し「同法が骨抜きにされる」と批判する自然保護団体との対立が表面化している。このため環境省は二十六日、ブラックバスだけを個別に検討する小委員会を設置することになったが、期限内に結論を出せるか微妙な情勢だ。
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 同法は、生態系破壊や農業被害をもたらす外来種の輸入や飼育、野外放棄を罰則付きで禁ずるもので、必要に応じて駆除も行う。環境省は来年六月までの施行に向け、規制対象種を選定中だ。

 日本国内で繁殖しているブラックバスは、北米産のオオクチバスとコクチバス。オオクチバスは、釣り人に特に人気が高い。ルアー・フィッシングブームで全国の湖沼に密放流され、フナやタナゴなどの在来魚を食い荒らすなど、大きな環境問題になっている。

 対象種に指定されても釣り自体は規制を受けないが、釣り具メーカーなどで作る日本釣振興会(会長・麻生総務相)は、この“ブラックリスト”からブラックバスを外すよう、強力な働きかけを進めている。

 日本釣振興会によると、ブラックバス釣り人口は約三百万人、関連市場は約1000億円にのぼる。経済的影響を考慮した環境省は、オオクチバスを切り離して評価することにし、専門の検討会を二十六日に設置、指定の是非を議論することになった。

 同振興会は「在来魚の減少は水環境の悪化が原因」と、駆除の可能な規制には強く反対。超党派の国会議員で作る釣魚議員連盟も「バス釣りは、釣った魚を再放流する“キャッチ・アンド・リリース”が特徴で、命の大切さを教える教育にも役立つ」と、同様の主張だ。

 来年六月までの施行には一月までにリストを作る必要があり、合意できるかどうか微妙な情勢。指定には与党の承認と閣議決定が必要で、「政治力で外される」(濁川にごりかわ孝志・立教大教授)とみる関係者もいる。

 日本自然保護協会などは規制すべき種として三百五十四種を公表しているが、第一陣で指定されるのはアライグマやコクチバスなど四十種以下の見込み。北米産のミドリガメなども「広く飼われており、影響が大きい」として、リストから外れる公算が大きく自然保護団体は反発を強めている。



2004年12月8日 読売新聞
 ブラックバス侵入 43都道府県で被害 魚類学会調査
 釣りで人気の高いオオクチバスを、在来の魚や昆虫に被害を与えるとして規制対象に指定するかどうかを巡り、釣り愛好家らと自然保護団体、研究者の間で議論が続いているが、日本魚類学会は七日、オオクチバスなどのブラックバス類が、少なくとも四十三都道府県の七百六十一のため池や湖沼に侵入し、メダカやタナゴなどに被害を及ぼしているとのアンケート調査の結果を明らかにした。
 同学会が先月、全国の魚類、水生昆虫の研究者に、オオクチバスとコクチバス、ブルーギルによる在来生物への影響を聞いた。
 オオクチバスだけが生息しているため池などは三百三か所で、このうち八十六か所では、水質悪化などの環境変化がないのに、オオクチバスの侵入でメダカなどの魚やゲンゴウなどの昆虫が絶滅したり、著しく減少したりしていた。



2004年12月20日 産経新聞
 規制種指定は流動的 「外来生物被害防止法」来春にも施行
 生態系に影響及ぼすブラックバス

 宮城県の伊豆沼・内沼で、カイツブリやコサギなどの水鳥が激減している。その背景に、外来魚ブラックバスが水鳥のエサを大量に食べるという因果関係がデータなどで明らかになりつつある。ブラックバスが原因とみられる生態系への「異変」は全国の湖沼で広がっている。生態系保全で期待されるのは来春施行予定の「外来生物被害防止法」だ。だが、同法の規制対象にブラックバスを含めるかどうかは、釣り業界などの反発もあって曲折も予想される。   (文化部 栫井千春 )

”新参者”で異変
 伊豆沼・内沼はラムサール条約の登録湿地で、ハクチョウやマガンの飛来地。この水鳥の楽園に「異変」が起きたのは平成九年。モロコやモツゴ、タナゴなどの小魚の漁獲量がピーク時の約三分の一にまで激減したのである。時を前後してそれまで見られたかったブラックバスの一種である北米産オオクチバスが急増していた。この時期、沼では魚類の生息に影響を及ぼすようた水質悪化は確認されていない。オオクチバスの腹を開くと、小魚が出てくるケースが多く、小魚の減少は”新参者”の急増という見方が強まった。
 小魚の激減は、水鳥の生息数にも影響を与えたようだ。最初にこの兆侯に気がついたのは、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団の嶋田哲郎研究員らだ。
 オオクチバス急増前の平成五、六年と急増後の十二、十三年を比べたところ、水に漕って魚を取るカイツブリは93.1%、水上で待ち伏せて魚を取るコサギが87.3%減っており、嶋田研究員は「くちばしが短い鳥の減少幅が大きい。減少はオオクチバスの影響と考えられる」と分析する。
 日本に生息する約三百種類の淡水魚の約四分の一にあたる七十六種が絶滅危倶種に指定されている。護岸工事や水質悪化による影響が大きいが、ブラックバスが食べたことも要因の一つに挙げられている。

京都でも被害
 「異変」は氷河時代からの貴重な動植物が生息し、国の天然記念物に指定される京都市の深泥池でも起きている。オオクチバスが生息する前の昭和四十七年に十二種類いた魚が、生息が確認された後の平成九年には六種類しかおらず、メダカ、ニッポンバラタナゴなど絶滅危惧種が姿を消した。
 釣り愛好家に人気のあるブラックバスは、放流などによって全国の湖沼に広がっていったとみられている。全国内水面漁業協同組合連合会によると、オオクチバスは全都道府県で生息が確認され、最近、滋賀県の琵琶湖では体が大きく生態系への影響がより強いフロリダバスの生息も判明した。

釣り業界は反発
 今月七日、日本魚類学会が発表した調査では、ブラツクバスが生息し、水質悪化などの環境変化がない全国の百九十九水域で、在来生物が絶滅や激減していることにブラックバスが「影響している」水域は半数を超えた。客観的なデータはそろいつつある。
 生態系の重要性に気づいた住民たちは、伊豆沼・内沼や琵琶湖などでブラックバスの駆除に乗り出している。
 環境省と農水省は来年一月にも、外来生物被害防止法の規制対象となる「特定外来生物」の侯補を決め、春に施行する見通しだ。
 近畿大学の細谷和海教授(魚類学)は「日本も締約した生物多様性条約では、外来種は生物多様性の最大の脅威であるという認識が国際的に示されている」と日本も諸外国と同じように外来種の規制を強めるべきだと主張する。
 これに対し、「ブラックバスは青少年の釣り入門に適した魚」と主張する日本釣振興会は「国による全国的な外来魚の生息数調査はまだない。何年か時間をかけて調査して対応すべきだ」と、現段階でブラックバスを特定外来生物に指定することに反対しており、法規制の行方は流動的だ。
 ただ、そうした議論の間にも、水鳥やメダカなど古くから親しまれてきた生き物たちは失われていく。ブラックバスを特定外来生物に指定すべきか、日本の生態系を守るという大きな視点をもって議論することが求められている。
 
プラスα
 外来生物被害防止法
 人の行為によって連れてこられ、生態系などに被害を及ぼす生物を「特定外来生物」に指定し、国の許可なく輸入、飼育、移動などを禁じる。違反した場合、法人には1億円以下の罰金、個人には懲役1年以下または300万円以下の罰金。すでに、都道府県の規則でブラックバスの放流を禁止しているが、罰則は懲役6月以下またはlO万円以下とゆるく、拡散を招く形となった。

 プラックバス
 オオクチバス属の魚7種類の総称。日本ではオオクチバスとコクチバスの2種類の生息が確認。繁殖力が強く、魚、エビ、昆虫、鳥まで食べる。



2005年1月7日 朝日新聞 記事「違法放流餌で解明」.PDF へのリンク
「違法放流餌で解明」
ブラックバスの放流時期は、体の炭素13や窒素15の割合(炭素窒素同位体比)を調べることで判定できる。
相変わらず密放流を行う者が後を絶たないのは情けない。
 環境省は、50年先・100年先を見て、本来守るべき自然の姿/生態系や食文化については、毅然とした態度で臨むべきだろう。強いものに尻尾を振るような真似だけはして欲しくないものだ。
 尻尾を振るのは、友釣の囮アユだけでいい。



 環境省またもフニャフニャ、腰砕け、責任回避!
 小口バス、ブルーギルは指定リストに入れたのに、大口バスは指定を延期。
 日本は生物多様性条約批准国だぞ!守るべき日本の自然・生態系をどう考える?
 特定外来生物の指定で最大の焦点になっていたブラックバスの一種、オオクチバスが、指定第1陣リストに入らないことが19日決まった。

2005年1月20日 朝日新聞 記事「ブラックバス規制」.PDF へのリンク
 ブラックバス規制 議論延長戦 泥沼化も
 環境省は「妥協」 推進・反対派調整に難航


2005年1月20日 京都新聞
 オオクチバス先送りに滋賀県が反発
 特定外来生物に早急指定を要望

 ブラックバスのうち、オオクチバスについて環境省の専門家グループ小会合が特定外来生物の指定を先送りしたことに対し、滋賀県は19日、「生態系に影響がないとの誤解を与えかねない」と反発し、環境省に早急に指定するよう求める要望書を提出した。一方、バス釣りの関連業者からは「ほっとした」「本決定ではなく不安」との声が上がった。

 この日、上京中の国松善次知事は急きょ環境省を訪れた。事務次官らと面会し、小池百合子大臣あての文書を手渡した。文書は「この30年間に琵琶湖沿岸域に生息する魚類の大半がブルーギル、ブラックバスの外来魚で占められるようになり、生態系は危機的な状態に陥った」として、指定とともに徹底的な防除を求めている。

 特定外来生物に指定されると、運搬や保管、輸入が研究目的などで許可を得た場合を除いて禁止される上、国や自治体が予防と駆除を促進することになる。県は「琵琶湖レジャー利用適正化条例」で外来魚を再放流禁止とするなどブルーギルやブラックバスの駆除に力を入れている。

 県自然環境保全課は「琵琶湖で釣り人がブラックバスと呼んでいるのがオオクチバス。それが指定されないとなると、生態系に影響がないとの誤解を与えかねない」と危ぐする。

 現時点でのブラックバスの指定に反対する署名活動に取り組む県フィッシングボート協同組合の菱田敬一組合長(51)=志賀町=は「ほっとした」と歓迎しつつ、「規制ありきの議論ではなく、釣り団体も交え、ブラックバスが生態系に与える影響をもっと詳細に調査した上で判断するべきだ」と主張する。

 ルアー販売業川原崎弘之さん(35)=能登川町=は「在来魚の増加も願っているが、売り上げの9割がバス釣り用である以上、指定されて駆除が進めば生計を立てられなくなる恐れがある。最悪の事態は避けられたが、先送りでは複雑な気持ちだ」と話している。



 改めて、(財)日本釣振興会ブラックバス等対策検討委員会と生物多様性研究会の質問/回答を見て下さい。
 生物多様性研究会のホームページも併せご覧下さい。


 環境省一転 オオクチバス規制へ
 腰砕け、フニャフニャは、あっちこっち顔色伺いの小役人と似非学者どもだった!
 小池環境相が先送りを認めない考えを表明


2005年1月21日 東京新聞
 外来種規制対象 オオクチバス、一転指定へ
   小池環境相が政治判断


 固有の生態系を守るための外来種被害防止法で輸入などを規制する「特定外来生物」の対象種選定を進めている環境省は二十一日、ブラックバスの一種オオクチバスについて指定先送りの方針を見直し、六月に予定している法施行時点で指定を目指すことを決めた。

 小池百合子環境相が同日「まず指定すべきだ」と強い意向を表明し、担当部局が従った形。三十一日に開かれる専門家の全体会合で論議した上で正式決定するが、釣り関連団体などから反発の声も上がりそうだ。

 特定外来生物に指定されると、原則として輸入や譲渡、飼育、遺棄が禁じられ、密放流などの違反は法人で最高一億円の罰金、個人だと三年以下の懲役か三百万円以下の罰金となる。釣った魚をその場で放す「キャッチ・アンド・リリース」は違反にはならない。

 釣り業界団体を交えた十九日の専門家会合は、同省の原案に基づき、オオクチバスについて「調査委員会を設置して防除法を議論、半年をめどに指定に向けた検討を進める」との報告をまとめることで合意した。

 だが小池環境相は二十一日午前の閣議後記者会見で「利害関係者が入った小委員会の段階での結論。政治的判断はわれわれがするものだ」と強調し「指定の上で防除を進めるのが法の趣旨。問題点を感じており、納得していない」と話した。

 午後に開かれた魚類の専門家会合ではこうした意向も紹介され、「半年程度の猶予は必要ではないか」との意見も出たものの、全体として「指定すべきだ」との意見で認識が一致した。

 同省の小野寺浩自然環境局長は終了後、「大臣の強い意思表明は極めて重大。大臣は(法施行時の)第一陣に入れるべきだとの考えで、われわれも一体」と話し、釣り業界に「粘り強く説明していく」と語った。

■事実なら厳重抗議
 オオクチバスの指定に反対してきた「日本釣振興会」の話 事実とすれば厳重に抗議したい。昨年から環境省、水産庁を交え、真摯(しんし)かつ徹底的に協議して合意された結論を、小池大臣一人の考えで覆すということであり、大変由々しきことだ。公的機関による生息調査などもされず、経緯説明もなく一方的な方向性が出されることは暴挙だ。

 また、(社)全日本釣り団体協議会はBassの移植を違法と自ら認めながら、小池環境相の決断に対し、緊急の遺憾の意表明をホームページに掲げた。
 日釣振も(社)全釣り協も、日本古来の釣文化をBassで根絶やしにするつもりのようだ。
 バス釣りに係る権益は、そんなにも美味しい蜜の味?


 自然を考える釣り人の会
 日釣振や(社)全釣り協とは別の考えを持つ釣り人がいることをアピールする会が発足。
 自然を考える釣り人の会  

2005年1月22日 朝日新聞 記事「オオクチバス規制へ」.PDF へのリンク
 オオクチバス規制へ 
 外来生物法 指定第1陣 環境省・方針一転


2005年1月29日 東京新聞
 オオクチバス 小池環境相“鶴の一声”の背景
 国内生物に被害を与える外来生物の規制で、環境省が対象動植物の第一次指定リストを作成している。釣り愛好家に人気のオオクチバスをめぐり、六カ月かけて検討とする「指定猶予」が得られかけたのに、小池百合子環境相が「まず指定を」との見解を示し「逆転指定」になる見通し。同環境相の「英断だ」「介入だ」との論議が続く中、背景を探った。

 千葉市の幕張メッセで三十日まで開かれる「国際フィッシングショー二〇〇五」(社団法人日本釣用品工業会主催)。内外釣り具メーカーはもちろん、釣行用車を展示する自動車メーカー、NHKも巨大なスクリーンで釣り番組を放送。千億円市場という釣り業界の裾(すそ)野の広さを見せつける。

 会場の一角に、オオクチバスなど約十匹が泳ぐ巨大な水槽がある。わきの台の上から、ジーンズ姿の若者が竿(さお)を振ってブラックバスの前にルアー(擬似餌)を落とした。バスはいっこうに食いつこうとはしないで悠々と泳ぐ。

 会場でマンガを描いた自作プリントを置き、バス規制反対を訴える釣り雑誌の営業課長は「環境省はちゃんと釣り人の意見を聞いて正面切って話しましょうということで、これまで協議してきたのに、小池さんの一言でひっくり返った。不信感はありますよ」と憤然とした表情だ。

 展示ブースには「環境省に自分の意見を送ろう」と題したプリントがある。釣り愛好家や釣り具メーカーでつくる日本釣振興会(日釣振)が置いた。三十一日に第一次リストが公表されて、二月に国民からパブリックコメント(意見)が募集される。それに向けた動きなのは間違いない。

 日釣振が二十五日に出した声明は「一方的な結論を出してしまうという暴挙があっていいのでしょうか。民主主義国家の中であってはならないことで発言の撤回を」と小池環境相を批判し「釣り人や釣り関係者だけでなく、多くの漁業者、コンビニや旅館、民宿、ボート業など、オオクチバスで生計を立てている数十万の人がいる」と訴える。

 これに対するバス規制賛成派の総本山は、河川や湖の漁業者でつくる全国内水面漁業協同組合連合会。橋本啓芳専務理事は「今回の小池環境相の決断は、本当にうれしい」と話す。

 昨年十一月、同連合会は都内でバス規制を求める全国の漁業者六百人を集めて総決起集会を開いた。支援する政治団体「内水面漁業振興議員連盟」(会長・武藤嘉文元農相)にも協力を要請し、活発な政治活動を仕掛けている。もちろん、日釣振が支援する釣魚議員連盟(会長・綿貫民輔前衆院議長)の巻き返しも「激しい」(橋本専務理事)。

 同専務理事は「昨年七月に募集されたパブリックコメントでは、擁護派が七千七百八十五件、規制派が三百十五件で数で完敗。残念ながら漁業者でパソコンが使える人はあまりおらず、あっちは電子メールで大量にばらまく。だが、来月募集されるパブリックコメントでは頑張る」と息巻く。

 パブリックコメント制度を担当する総務省は「多数決で意見を決める手段ではない」と言うが、数を頼みたい気持ちは強い。

 外来種被害防止法 正式名は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で、国内の生態系に被害を生じる恐れがある外来種の動植物について、国が特定外来生物に指定し、輸入、飼育、野外への放出などを禁止・制限する。国や自治体は防除できる。違反した法人には最高1億円の罰金、個人は3年以下の懲役か300万円以下の罰金。釣った魚をその場で放す「キャッチ・アンド・リリース」は禁止されていない。昨年5月に成立し、今年5月に施行される。環境省が指定作業を行っており、ルアーフィッシングで人気のブラックバスの一種、オオクチバスの指定が最大の焦点。

 環境省は、外来種被害防止法の定めに従い、指定についての意見を聞くため専門家会合を設置した。その下に「魚類」など六分野の専門家会合を置き、「魚類」の下に設置したグループでオオクチバスについての議論を行っている。

 このグループの委員の一人は「そもそも法の最大の目的はブラックバス対策。全国の湖沼のほとんどにバスが生息し即座に対応しなければならない状態」として「急がれる事態だが、釣り愛好家の反発も根強いため、具体的な駆除方法などを検証することなど盛り込んで半年間様子をみることにした」と説明する。

 十九日にまとまったグループ案はオオクチバスを第一次リストから外した。この後、小池環境相は二十一日の記者会見で「まず指定をすべきだ。そこから始まる」との見解を示す。

 先の委員は「二十一日夜に学者仲間から、小池環境相の発言内容を知らされ、翌日の朝刊を見てさらにひっくりかえった」と驚きを明かして続ける。

 「環境省の事務方は、バス釣りの愛好団体に配慮して、バスの指定についてははれ物に触るような扱いをしてきた。一体どうしたらいいのかのはっきりした線をグループ案に出せなかったのは事実だ。バス擁護派にとってみれば、半年間の猶予は、巻き返しの絶好の機会となる。小池環境相は今ここで発言するのがベストと思われたのでは」

 しかし、それは「グループの話し合いに参加していたバス擁護派の釣り団体の代表者にとってみれば、面目丸つぶれ。これは当局と小池環境相のできレースだとか、闇討ちだとか思うだろう。今後、外来種対策の対象種になる段取りは加速されるだろうが、逆に、バス擁護派がこれまで以上に態度を硬直化させる可能性もある」と懸念する。

 小池環境相による「専門家の議論への介入」は、環境省の事務方にも「寝耳に水」だったようだ。

 「大臣会見があった二十一日には『魚類』の会合があり、グループ案の内容の根回しの最中だった。大臣会見に立ち会った担当者が部屋に戻ってきて大騒ぎになった。大臣が地方視察する場合、記者会見で重要案件を発表するという形で、事務方がシナリオを書くことはあるが、こういうタイミングでのご発言はまったくの想定外。打ち合わせもなかった」と同省関係者。

 そして、記者会見での大臣発言は「個人的発言と受け止めている」として「小グループでまとまった案は現在も生きており、三十一日に開かれる専門家会合では、このグループ案と二十一日に開かれた『魚類』会合でまとまった、バスを対象種の第一次リストに入れるという案の両論が提出される予定。ここに大臣意見は入っていない」とも。

 同法が求めている専門家の「意見を聴く」というルールを維持し、それぞれのめんつを立てた複雑な扱いだが、同関係者は「大臣の発言がこう大きく取り上げられれば、専門家会合の各委員も何らかの配慮をせざるを得ないのが実情では」と複雑な心中を明かす。

■「議論途中から結論言うとは」

 政治家や官僚、省庁の審議会の在り方について研究しているある学識者は「審議会は、政治家や官僚双方に都合の良いように利用されてきた側面がある」としつつも「省庁の審議会や委員会は、大臣が諮問し、委員は委嘱されて成立する。諮問している大臣が、議論途中で結論を言ってしまうのはどうか。それなら、審議会や委員ははじめからいらない。私がそういう立場に置かれたら、席をけって外に出ていく」と言う。

 「介入」は小池環境相の指導力の表れなのか、スタンドプレーなのか−。議論は分かれるが、釣り業界やバス釣りファンからの圧力を受けていた環境省の事務方にとっては渡りに船?

 別の環境省の関係者は皮肉まじりに「来年度から地球温暖化対策の目玉として環境税を打ち上げたかったが、見送りになってしまった。小池環境相は、これに代わって、ご自身のプレゼンスを高める絶好の機会として、記者会見で政治的決断を示されたのでは」と言って続ける。「われわれにとっても、移入種問題がこんなに取り上げられることはめったになく、あつれきで生じるマイナスと比較しても相当な広告、啓発効果がある」

<メモ>
 オオクチバス 北米原産のスズキ目サンフィッシュ科の淡水魚。1925(大正14)年、神奈川・芦ノ湖に持ち込まれた。在来魚への影響を考慮し、隔絶した同湖が選ばれたという。繁殖力が旺盛で魚類、水生昆虫などを食べる。70年代のルアーフィッシングブームとともに生息地が拡大、生態系や漁業に被害を及ぼしているとされる。沖縄以外の46都道府県が移動禁止措置をとっているが、新水域での発見が続き、密放流グループの存在も指摘されている。



2005年1月31日 朝日新聞 記事「特定外来生物、候補」.PDF へのリンク
 特定外来生物 まず37動植物候補
 オオクチバスなど

 話題のオオクチバスの他アライグマ、セアカコケグモなどが候補となった。
 外来生物法で指定されると、飼育や運搬、輸入、譲渡、放流などが規制される。
 違反した場合、個人は3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金が科せられる。
 04年6月に公布され、今年6月に施行される。
 外来生物法 法律の概要

 環境省「外来生物法」ホームページ(法の普及啓発するため)が2/3開設されました。
 生物多様性条約については「生物多様性センター」でご確認下さい。


2005年2月6日 東奥日報
 オオクチバスの規制は当然
 固有の自然環境を守るための「外来種被害防止法」に基づき、輸入や移動を禁じる「特定外来生物」に、オオクチバスを含め動植物三十七種類がリストアップされた。閣議決定を経て、六月の同法施行時点から適用する。

 環境省は当初、オオクチバスの指定は半年間先送りする方針を固めていた。だが小池百合子環境相が「オオクチバスの指定が望ましい」と発言し、急きょ第一陣の指定に組み入れた経緯がある。オオクチバスの生態系への影響を考える時、当然の措置だ。

 オオクチバスは、北米原産の淡水魚。コクチバスとともにブラックバスと総称される。一九二五年に水産業と釣り振興の目的で神奈川県の芦ノ湖に放流されたのが、わが国へ入ってきた最初。その後、八〇年ごろから爆発的に全国に広まった。ちょうどバス釣り人気が高まった時期と符合しており、何者かが不法に放流したといわれている。

 繁殖力が非常に強く、在来魚や水辺の生物を食べるため、地域本来の生態系を破壊する。

 本県でも生息が確認され、九四年に内水面漁業調整規則を改正し、ブラックバスの移植を禁止している。しかし当時十市町村十四水域に生息していたオオクチバスは、二〇〇三年には三十二市町村の八十六水域へと拡大。駆除作戦も効果はなかなか表れていない。

 六月に特定外来生物に指定されると、原則として輸送や放流が禁じられ、違反した場合の罰則は厳しく、法人で最高一億円の罰金、個人だと三年以下の懲役か三百万円以下の罰金となる。

 ただオオクチバスの場合、法律が施行されても釣りそのものは可能で、釣った魚をその場で放す「キャッチ・アンド・リリース」は禁止されるわけではない。

 このため特定外来生物に指定されても、駆除できるのか、実効性に疑問の声があるのも事実だ。

 引きが強く面白いと、オオクチバス釣りの人気は高い。釣り人口は三百万人、市場規模は一千億円ともいう。同省が当初、オオクチバスの特定外来生物指定をためらったのも、人気の高さと、駆除には釣り人の理解と協力が不可欠と判断したためだという。だが釣り人に配慮して、生態系に影響を及ぼす象徴ともいえるオオクチバスの指定を遅らせようというのは本末転倒だった。

 オオクチバスの漁業権を認めている所もある。山梨県の山中湖と河口湖、西湖、神奈川県の芦ノ湖の四つの湖では漁業権を設定し、バス釣り客から入漁料を取り、放流しており、環境省も四湖については引き続きバス釣りを認める方向だ。

 もともとオオクチバスは、限られた水域に生息していたのを、全国の湖沼に不法に密放流したのが、各地の生態系を破壊する原因となった。

 釣り業界などからはオオクチバスが特定外来生物に指定されるとオオクチバスが「害魚」とのイメージが固定するとして反対の声があるが、「害魚」にしたのは一部の心ない釣り人だったといえる。

 河川の改修や生活用水の流入などにより、湖沼の環境が悪化している。フナやワカサギなどの在来の魚種が減少しているのを、オオクチバスなど外来魚だけに転嫁するのは酷だとの意見もある。

 だがオオクチバスは全長二、三センチの稚魚の段階から魚を食べ、在来の魚を減らしてきたのもまた事実である。

 オオクチバスの駆除には釣り人の協力が欠かせない。法律に従い密放流などを止めるのは当然だが、オオクチバス釣りは漁業権が認められている湖沼に限ることとし、生態系の保全を第一に考えるよう、釣り人も意識を変える必要がある。



2005年3月4日 読売新聞
 外来種規制に反対意見殺到 大半がオオクチバス関係
 ルアー釣りで人気のオオクチバスなど37種類を特定外来生物被害防止法の規制対象に選定したことについて、環境省が一般意見を募集したところ、1か月間で10万件を超える異例の反響が寄せられ、その大部分がオオクチバスの「規制反対」意見となっていることが3日、同省の集計でわかった。

 日本釣振興会や釣り雑誌が、反対意見の提出を呼びかけた“効果”ともみられる。
 寄せられた意見の分析には1か月以上かかる見込みだが、ほとんどは「大臣の一言で選定が決まり、議論が不十分」などオオクチバスを規制対象とすることに反対する内容という。オオクチバスは、釣り人に人気だが、在来魚などを食い荒らし、外来種問題の象徴となっている。
 炭谷茂・事務次官の話「意見の数で判断するのではなく、内容をよく見て対応していきたい」(読売新聞)



 環境省は4月5日、焦点のオオクチバスを含む37種を第1次指定とすることを最終決定した。
国民からの意見募集(パブリックコメント)には11万3792件の意見が寄せられ、オオクチバスについては指定反対が9万5620件にのぼったが、「結論を変更する必要はない」と判断した。
 小池環境相の決断(1月22日)に再度拍手。

2005年4月5日毎日新聞
 オオクチバス:
 特定外来生物指定を決定 環境省専門家会合

 特定外来生物被害防止法(外来生物法)に基づく「特定外来生物」について、環境省は5日、焦点のオオクチバス(ブラックバスの一種)を含む37種を第1次指定とすることを最終決定した。
 6月1日に施行予定で、オオクチバスなどは輸入や移動が禁じられる。
 国民からの意見募集(パブリックコメント)には11万3792件の意見が寄せられ、オオクチバスについては指定反対が9万5620件にのぼったが、「結論を変更する必要はない」と判断した。
 国内の生態系に被害を及ぼすことが科学的に明らかとされた外来種が、1月に第1次指定リスト入りしていた。釣り業界などがオオクチバスの指定に反対、意見募集でも「科学的な調査が十分でない」「在来種の減少は環境悪化が原因」などの反対意見が寄せられた。
 しかし、この日の同省専門家会合は「オオクチバスが地域的な在来生物の絶滅など、生態系への被害を及ぼすのは否定できない」とした。
 このほか同省は、データは不十分だが生態系への影響を論文などで指摘された「要注意外来生物」など、今後の検討が必要な対象に外来のクワガタやタンポポなど約180種類を挙げた。これらを中心に第2次指定リストの作成に入り、7月末までに選定を終える方針。【江口一】



2005年4月23日毎日新聞
 特定外来生物:
 オオクチバスなど「外部水系から隔離」−−飼育基準の細目公表


 特定外来生物被害防止法(外来生物法)で、政府は22日、輸入や国内移動を禁じる「特定外来生物」として、オオクチバス(ブラックバスの一種)など37種を第1次指定とする政令を閣議決定した。同法の施行は6月1日。

 指定されたのはこのほかアライグマ、カミツキガメ、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュなど。指定種は原則として輸入や移動のほか、譲渡や遺棄なども禁じられる。釣った魚をその場で放すキャッチ・アンド・リリースは禁止されない。違反した場合、法人は最高1億円の罰金、個人は3年以下の懲役か300万円以下の罰金。

 一方、同法の指定種でも「生業の維持」などの名目があれば、「逃げ出さないような構造と強度」の施設で例外的に飼育などが認められる。

 環境省は同日、指定種別に飼育施設の基準などの細目を明らかにし、オオクチバスやチャネルキャットフィッシュなどについては「外部の人が自由に近づけないよう、フェンスなどを設ける」「外部の水系から完全に隔離された構造」などを条件とした。【江口一】



2005年4月24日毎日新聞
 特定外来生物:
 オオクチバス、河口湖で飼育容認−−関係者は安堵 /山梨


◇山中・西湖も

 特定外来生物被害防止法で飼育場所を人工池や運搬車に限る「特定外来生物」に指定されたオオクチバス(ブラックバスの一種)について、環境、農林水産省は、漁業権を設けている河口湖(富士河口湖町)など県内3湖での飼育を特例で認める方針を示した。オオクチバスの飼育やバス釣りを継続できることになり、メッカとして知られる河口湖の関係者の間に安堵(あんど)の声が広がった。

 政府は22日、オオクチバスなど特定外来生物37種を第1次として指定し、輸入や国内移動を禁じる政令(6月1日施行)を閣議決定したが、両省は、河口湖などで漁業権が設定されていることを考慮し、特例とした。

 このほか、西湖(同町)、山中湖(山中湖村)、芦ノ湖(神奈川県)での飼育も認めた。その代わり、湖と流出水路の境に三重の網を設置することを条件とし、▽持ち出しを防止する監視体制▽不測の事態で魚が逃げた場合の回収体制−−の整備も求めた。特例期間は6月1日から3年間。

 富士河口湖町の小佐野常夫町長は「安心した。対策を完ぺきにし、バスへの信頼を勝ち得たい」と述べ、罰則を設けて持ち出しを規制する町条例の制定を検討する考えを示した。同湖畔で釣具店を営む男性(42)は「産業的に救われ、バス釣りのイメージ悪化も避けられた」と喜んだ。【吉見裕都】



2005年4月25日朝日新聞(山梨)
 オオクチバス外来生物規制 県内3湖は除外
 政府方針 河口湖・西湖・山中湖
  政府はオオクチバスなどを6月施行の外来生物法の規制対象とする閣議決定をしたが、同時にオオクチバスの漁業権が設定されている河口湖などを特例として条件付きで除外する方針を決めた。富士五湖地方の観光関係者からは安堵(あん・ど)の声が上がっている。小佐野常夫・富士河口湖町長は、国の条件を守るべく、同法施行前に町独自の条例を策定する考えも示した。

  除外されるのは、河口湖と西湖(富士河口湖町)、山中湖(山中湖村)の県内3湖と神奈川県の芦ノ湖の計4湖。すでに漁業権が設定され、周辺の産業に影響することが配慮された。

  環境省は、条件として湖の流出水路に三重の網を施してバスが外部に出ることを防ぐことや持ち出しを防ぐための監視体制の強化など細かく定めている。

  条件付きとはいえ、バス釣りが継続される見通しとなり、富士五湖地方の関係者は一安心の様子だ。全国4湖のうち2湖をかかえ経済効果が年間数十億円とも言われる富士河口湖町内の釣具店の店員は「本当に良かった。いったいどうなるかと本当に不安だった」と安心した様子。

 また、小佐野町長は「とりあえずほっとした」としたうえで、「町や漁協、町内の有識者らでつくる『水産委員会』が一体となって国の条件に見合う体制整備を急ぐ」と話した。さらに同町長は法施行前に臨時町議会を招集し町独自の条例も定めたいという考えも明らかにした。
                                (4/25)



2005年8月19日読売新聞
オオクチバス本格的な駆除へ、伊豆沼・内沼など6か所
 希少な在来の魚や昆虫などを保護するため、環境省は19日、ラムサール条約登録湿地の伊豆沼・内沼(宮城県)など6か所で、在来生物を捕食するオオクチバスの本格的な駆除に取り組むことを決めた。

 来年度予算の概算要求に、他の外来生物も含めた駆除の予算計4億5000万円を盛り込む。

 駆除を実施するのは、伊豆沼・内沼のほか、ミヤコタナゴの生息地の羽田沼(栃木県)、片野鴨池(石川県)、犬山市内のため池(愛知県)、琵琶湖(滋賀県)、ベッコウトンボの生息地の藺牟田(いむた)池(鹿児島県)。

 地元の自治体や非営利組織(NPO)などが協議会を結成。伊豆沼・内沼や羽田沼、犬山市内のため池では、オオクチバスの「完全駆除」を目指す一方、琵琶湖など大きな湖沼では「被害の軽減」を目標にするなど、地域の状況に合わせ、駆除を進める。

 オオクチバスや在来生物の生息数も継続的に調査し、駆除が生態系保全に役立つかどうか調べる。

 今年6月施行の特定外来生物被害防止法(外来生物法)で駆除対象となったオオクチバス以外の生物についても、鹿児島県・奄美大島でアマミノクロウサギなど希少な動物を捕食しているジャワマングースの完全駆除を今年度に引き続き実施する。

 また、タイワンザルやカミツキガメ、アルゼンチンアリ、ゴケグモの駆除のモデル事業を始める。

(2005年8月19日15時1分 読売新聞)


 ニュース(2005年12月31日)朝日新聞

   生物多様性研究会



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