柿田川 アユの産卵   back
 (2003/12/07静岡県駿東郡清水町)

 名水100選の一つ『柿田川湧水群』でアユの産卵観察会があるというので、見学に行ってきました。
 柿田川は国道1号線から数十メートルしか離れていないところで湧き出し川となって狩野川に注いでいます。

柿田川全景
清水町資料より

写真の上部の木の緑がきれた辺りを左右に国道1号線が通っています。
写真下部の広い川が狩野川本流です。
湧水口(湧き間)の先端から狩野川合流点までの距離は1200mです。
川幅は40〜100m

1日の湧水量は約100万トンで、水温は年間を通して15℃です。
今月は毎秒13トンほどの湧水量だそうです。
約30万トン/日が水道水、工業用水、農業用水に取水されています。
したがって、毎日約70万トンの湧き水が狩野川へ流れ込んでいるわけです。

昔から柿田川は、12月1日に鮎の餌釣が年内再解禁されていましたが、「柿田川みどりのトラスト」からの落ちアユ釣り禁止要請や近年の鮎不漁で狩野川漁協もどうするか悩んでいるようです。

まだ若かりし頃のことですが、狩野川合流点の少し上にある橋のあたりから蛇行している柿田川上流部まで川全体に真っ黒になって鮎が群れていて、12月の落ちアユの餌釣りでは1〜2時間で束釣というのが普通でした。
今回は、柿田川本流にはほとんど鮎の姿が見えませんでした。


柿田川公園案内「わき間」と書いてある所は強い湧き出し口が遊歩道から見える場所です。

湧き出している所は100ケ所以上あり、この図左上の下流部でもあちこちで湧き出ています。

十数年前までは、「H木製八ツ橋」と書いてある所の上部、右部の黄色い部分は湧き水が流れ川だったのですが現在は水辺の雑草がはびこって湿地状になってしまいました。
昔のことですが、「H木製八ツ橋」の上の黄色部分から少し下流の辺でムチャクチャに釣った記憶があります。


柿田川みどりのトラスト会長
第1展望台にて

「柿田川みどりのトラスト」会長漆畑さん。
今日もボランテアで見学者に説明をしていました。

鮎産卵の観察会も「柿田川みどりのトラスト」の会員の方が案内と説明をして下さいました。

下の写真が柿田川のはじまりです。

柿田川

わき間2
第2展望台の下のわき間
土管の直径は3m位で深さは4m位ありそうです。
どうしてこんなに大きなコンクリートの土管が埋められたのか?わかりません。この真ん中から大量に湧き出しています。

 鮎の瀬づき
鮎瀬つき場1
鮎の産卵を見るのは初めての釣友KYさん。
左の丸い所は湧き出し口の一つ。左手上の奥からも湧水が流れてきています。
水深は10〜30cm位です。
湧き出し口から木橋の間の黒っぽい小石のように見えるのは鮎でここだけで100尾以上いました。
橋の下を覗くと20cm前後の良形がけっこういました。

一般の見学者が来る前に写しました。
鮎瀬づき
湧き出し口と橋の間に群れている鮎。
陰のように黒っぽく見えるのは皆鮎です。
今年は湧き出し口の近くでしか瀬づきが見られないそうです。

ここに集まっていたアユの大きさは14,5cmから17,8cmのものが大半でした。20cm前後のもかなりいて、25,6cmはありそうなのも数匹見られました。
ここに群れているアユの中に冷水病の潰瘍らしきものができて肉が見えているものが5,6匹混じっていました。冷水病でなければ良いのですが。

鮎瀬つき場2
上の写真の上方向を撮った。
ハッキリしませんが流れに頭を向けて鮎が群れています。
ここにも200尾以上はいますが、今朝に比べると数が減ったそうです。ここの右側にも沢山いました。

写真下半分の陰のように暗い所は皆鮎です。


昔は柿田川本流のいたる所にこんな感じで鮎が群れて産卵していました。
柿田川を昔から観察していた「柿田川みどりのトラスト」会員の方の話では、
昔鮎が沢山いたころは、遅いものは2月末頃まで産卵していたそうです。
アユ
なんとか鮎だと判る写真が撮れました。

水中にいるものを写すのは難しいです。

産卵の様子の動画は、下記でサンプルが見られます。

アユの産卵 


柿田川中流柿田川下流部
     ↑柿田川下流域
←柿田川中流域

柿田川下流ミシマバイカモ花
   ミシマバイカモが流れにゆれています。ミシマバイカモ花の写真は清水町資料より。
 柿田川下流1
柿田川下流2
  真ん中が壊れた昔のメガネ橋と、その下流狩野川合流点を望む。

 狩野川本流を下ってきた落ちアユが、富士の湧水で暖かい柿田川へ沢山差し込んで来るのが通例なのですが、
今回柿田川本流を見て歩きましたが、アユの姿がほとんどありません。湧き出し口にわずかにいるだけで、本流部では下流部でわずか数匹見えただけでした。
バイクに乗り、様子を見に来ていた地元の釣人の話では「今年何度も降った大雨でアユが流されてしまったのではないかなー」と嘆いていました。別の人は「水温が下がっていないから、まだ落ちてきていないのでは?」と云っていましたが、餌釣がしたいという願望の言葉のようにも聞こえました。
この様子では、来年の狩野川の鮎釣りはきびしくなりそうな予感です。