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 9月、10月目次
9月 9回目 9月2日(土)  富士川・静岡県域、蓬莱橋
10回目 9月15日(金)  興津川・下流部
11回目 9月29日(金)  富士川・静岡県域、北松野
10月 12回目 10月14日(土)  富士川・静岡県域、北松野
13回目 10月22日(日)  富士川・静岡県域、北松野
14回目 10月28日(土)  狩野川、宮田橋


9回目
 9月2日(土) 富士川・静岡県域


富士川蓬莱橋1
 静岡県、蓬莱橋

   天気;晴
   水温; 〜22?℃  水色;笹濁り〜薄濁り

   釣果 3
   Max. 26cm
   Min. 18cm

 上流の蓬莱橋を望む
 橋の直下は深いトロでそのすぐ下から大きな岩盤と石底の瀬が始まります。


富士川蓬莱橋2
 蓬莱橋の下流を望む
 右岸側に深い荒瀬があり、早瀬、トロへと続きます。
橋の所からこの写真の川が見えなくなるあたりまでに、10人以上が竿を出していました。

 朝がたは前日の雨で濁っていましたが、9時頃から澄みだして昼前までに20cmほども減水しました。



 8月末に釣友が狩野川へ行ったときの様子を聞くと、中・上流部は相変わらずオトリにならないような唐揚げサイズが半分ほどで、大きくなっていないという。8月には6月のチビどもがオトリサイズに大きくなっているだろうと期待していたのに小さいままだという。ことしはいったいどうしたのだろう。
 チビを釣るよりは、というので例年なら大物が出るという富士川へ行ってみることにした。
 蓬莱橋右岸の信号より上流側一つ目の信号の少し先左側にオトリ屋がある。
車を停めると、オトリ缶を背負子に結わえている人がいたので、いつも来ているのか尋ねた。
 その人は、いつもは藁科川で釣をしているそうだが、先週大きいのを釣ろうと富士川へ来たところ、20〜26cmを17本釣ったそうで、今日も来た、というのだ。オトリ屋と先の信号との間に川へ下りる階段があるので、そこから川へ降りるのだそうだ。
 道路から川まではかなりの高さがありそうなので、我々は蓬莱橋の下手に入ってみることにした。
蓬莱橋を左岸に渡り、直ぐに川下側に右折して細い道を入ると、橋の下に駐車できる。下手へ少し歩くと川へ出る道がある。
 川へ出る道のところで、河原横のグランドでゴルフの練習にきた人と出合った。挨拶すると、昨日ずいぶん雨が降って水が濁っているけど釣れるのか、と聞かれた。釣れると思って来たんですがねー、と返事をした。
 そうしている間に、3人組がきて、河原へ出ると真っ直ぐに二枚目の写真の川が見えなくなるあたりのカーブする早瀬へ行き、竿を出した。お気に入りの場所のようだ。
 橋の少し下から、瀬、トロ、瀬、荒瀬、早瀬と変化のある流れになっている。右岸側が流心で、強い流れの中を釣るのなら右岸から竿を出した方が良いようだ。流れが早く深いので、流れを渡るのは無理だ。
 ここは初めてなので、橋から二番目の瀬頭あたりから始めてみた。
橋のすぐ下手の瀬からトロにかけて、我々の上手に4、5人、下手にも4,5人準備をしたり竿を出したりしていた。先週は良かったらしいから、今週も人が多いようだ。
 水は昨日の雨のせいか、濃い笹濁り状態でヒザくらいの深さでは底が見えない。
 瀬が始まるあたりの脇に水をかぶった石が黒くなっているように思えたので、オトリを石の頭に入れてやると、いくらもしないうちに目印が流心側に吹っ飛んだ。手前のゆるい流れの方に寄せようとするが、強い流れに入りこみ引く引く。ようやく下手の脇に寄せて、竿を立てるとオトリより二回りほど大きいのが見えた。
 あせって、強引に引き抜こうとしたのが失敗で、身切れで取り込めず。残念。
 9時過ぎてからだろうか、濁りが薄くなりはじめたら、急に水位が下がりだし、20cmほども減った。急な減水はどういうことだろう。1時間ほどで急に減った後はすこし落ち着いたような感じだった。
 この後も、釣れた元気な野アユに換えて出してやると、速い流れの深みで根掛りだとか、バラしたりとか失敗ばかりで数が増えない。ここは、100%天然アユなので、掛かると面白い。
 午後も減水が続き、同様に悪循環。十数回掛けたのに、キープできたのはわずか3。

 最近は、蓬莱橋から上流の富原橋、新内房橋あたりにかけて、20〜26cmの良形を平均で十位、良い人は二十以上釣っているそうです。

 どこから下ってくるのか分からないが、上流部から大きなゴムボートに10人ほど乗ってラフテイングで、蓬莱橋の直ぐ下まで、何艘も連なって下ってくるときがあるので、注意が必要だ。


10回目 9月15日(金) 興津川・下流部

興津川、承元寺橋を望む 興津川、八幡橋下流

  天気;曇り時々晴
  水温; 21〜23℃  水色;澄み

   釣果 15
   Max. 20cm
   Min. 14cm

 上流八幡橋を望む。
橋のすぐ下に承元寺堰堤があり、堰堤下のトロにはアユがウジャウジャ群れていました。
橋の200mほど下から瀬がはじまります。



興津川、新幹線鉄橋を望む
 下流新幹線鉄橋を望む。
 上の写真の下流側です。
 新幹線鉄橋の所までチャラ瀬、早瀬が続いています。流心は左岸側です。
鉄橋の下はコンクリートブロックが積まれていて、鉄橋の下流は砂地のトロ、岩盤のトロ、淵と続いています。
 新幹線の上下は人気の場所だそうです。

 瀬もトロも、浅い所も深みも、川の石はどこもきれいに食まれています。
静かにしていると、どこでもアユがウジャウジャいるのが見えます。が、オトリをなかなか追ってくれません。


 8月に大鮎が釣れ盛っていたという富士川で、遅れ馳せながら大鮎狙いに行った前回は敗北だったので、再挑戦しようと思っていた。
 Mさんから金曜日休んで釣りに行くというメールが来た。どこに行くかは後で決めるとして、行くのはすぐ承知。
天気予報では神奈川は「曇りで小雨がち」、静岡は「晴れのち曇り」の予報だったので、静岡へ行くことに決まった。富士川の大物狙いに行こうと話したら、MさんSさんも久し振りの富士川行きに賛成。
 4時頃M,S両氏のマンションに寄り、富士川へ向かった。
 ずいぶん昔のことだが、Mさんと身延のあたりへ行った時のことを思い出した。真夏のとても暑い日で、水温が28℃にもなって、岸辺に置いてあった引き舟の鮎は死んでしまった。Mさんが、その死んだ鮎を付けて瀬に入れて26、7cmのを釣り、それをオトリにして何匹も追釣したことがあったのだ。
 富士市を抜け、富士川橋を渡る時に川の水を見ると濃い柳濁りくらいに濁っている。これ位の濁りなら釣りは出来るだろうなどと話しながら上流へ向かった。Sさんが富士川は初めてなので、蓬莱橋すぐ下手の右岸に車を停め、「今日釣りをする場所はここだよ。」といって川を眺めて愕然。
 わずか数キロ上流に来ただけなのに、川幅いっぱいにまっかな濁流が流れているではないか。広い河原も濁流の下、すごい増水だ。昨日静岡県で大雨が降ったとは聞いていない。山梨県の北部あたりで大雨泥濁りだったのが、今朝になってここまで流れてきたのか?
 これでは、釣りはまったく無理。さて、どうしよう。狩野川か、興津か、藁科か?

 結局は、ここから一番近い興津川へ行くことにした。
 MさんSさん共、興津川の但沼から上流へは何度も行っているが、下流部では釣ったことが無いというので、承元寺入口の信号を入った橋の上下を眺めてみることにし、八幡橋(今まで承元寺橋と思っていた)の右岸橋下に停めた。
 7時を過ぎているのに、川に釣り人の姿が見えない。人がいないねー、釣れていないのかなー、などといいながら土手の上から川を眺めて、新幹線の鉄橋が見える場所まで行ってみようと承元寺堰堤下の右岸コンクリートブロックの上まで行った。
 「あの新幹線の鉄橋の下あたりまでが、人気の場所らしいよ。」「何年か前に、好きな場所に入りたかったら5時頃までに来なければダメだよ、と地元の人に言われたけど、今日は人がいないねー。釣れてないのかなー」
 ブロックの上から水中を覗いてみると、石はきれいになっている。初めは良く分からなかったが、石がきれいだからアユはいるよと言い、じっと見ているとブロックの中ほどから下手側の浅い所にアユが無数にいるのが見えた。小振りにみえたが、オトリにはなりそうな大きさで、ときどき大きいのも見えた。
 こんなに多くのアユが見えたのは、神奈川、静岡では久し振り。これを見たら、もう、すぐに始めたくなる。
興津川入漁証 さっそくオトリ屋へ行き、入漁証とオトリを買って、橋下へ戻った。オトリは小振りで15cm前後だ。釣れているアユもこれ位ということか。
 釣り支度の前に、オトリを引き舟に移し、橋下の流れに漬けた。そのとき、Mさんが、上手の浅い所にアユがいるのを見て、橋の上手でやってみるという。
 自分とSさんは下流の新幹線鉄橋のほうでやってみることにした。堰堤下のトロにはアユが沢山見えたが、こういう所はよほどうまくやらないとなかなか掛からないものだ。
 下手の瀬の方に歩いていくと、二人連れが新幹線鉄橋のすぐ上手で釣り始めたのが見えた。「ここは人気の場所だと聞いていたが、本当のようだねー。」と言いながら歩いていると、瀬頭のあたりの土手から何人か釣り人が出てきた。アユがこんなに見えるのだから、釣り人が居ないと言うほうがおかしい。
 瀬が始まるあたりの岸辺近くにテーブルのような四角いコンクリートがあったので、そこにクーラーなどを置いた。Sさんは、このあたりでやってみるという。
 瀬の中ほどに二人入ったので、様子を見ながら新幹線鉄橋の下手まで行ってみた。
鉄橋までの2、3百メートルはチャラ瀬〜早瀬が続いていて左岸側が本流筋。瀬の中の大きな石は真っ黒になっている。オトリを入れてやれば一発で掛かりそうな雰囲気だが、竿を出している人を見ていたがなかなか掛からない。
 鉄橋の下は上下30mくらいまで、流れの方向に縦に幅と深さが50cmくらいの溝になったコンクリートブロックが川幅全面に敷き詰められていて、アユが垢をはんで黒くなっていた。昼頃に狙ってみようと思っていたのだが、腹が減って弁当を食べたら忘れてしまった。
 鉄橋の下手は、コンクリートブロックが切れたところからしばらく砂地のトロで、その下に岩盤の間に石があるトロ場が続き、そこから勢い良く大きな深い淵に流れ込み浅くなった淵尻からまた大きなトロ淵になっていた。
 鉄橋の上手からは全く分からなかったのだが、淵尻から次のトロ淵にかけて右岸側に3、4人左岸側に二人竿を出していた。
 淵の上岩盤のトロ場が空いていたので、とりあえず、引き舟を漬け、下手の淵の人達の様子や前のトロ場などを眺めていた。トロ場の水面はカガミになっている所があって、水中が良く見える。どこにもアユが垢を食んでいるのが見えているが、ほとんど仲良しアユで喧嘩をしない。どうも気に食わないアユ達だ。石をピカピカにしているのだから、ここは俺の場所ダーって喧嘩っ早いのが多くいても良さそうなものだ。
 じっと見ていると、時々、野鮎どうしが猛烈な追いかけっこをしてビュビュビューっと通り抜けたりするのが見えるのだけれども、沢山見えているアユはほとんど仲良しで喧嘩はしない。
 ともかく、オトリを泳がせてやる。手前側はこちらからも水中が良く見えるが、水中のアユからもこちらがまる見えのせいかどうか分からないが、まるで追わない。岩盤の向こう側あたりで時々掛かる状態だ。
 アユが沢山見えているのに掛からない、というのは精神衛生上よろしくない。とにかく掛けてやろうという気持と、なんで掛からないのか、やはり腕が悪いのか、オトリがダメなのか、という気持が行ったり来たりして、そのうち”どうでもいいやー”となる。
 こうなったら、昼飯でも食べて気分転換でもするしかない。瀬頭のあたりのクーラーを置いてある場所に戻り、Sさんに調子はどうか聞いた。9時頃にパタパターと来たが、それからはさっぱりという。瀬でやっている人たちは皆そんなものらしい。
 橋の上流でやると言っていたMさんはこちらに来ない。けっこう釣れているのかもしれない。
午後、瀬の中ほどが空いたのでしばらくやったが、小振りのが一つきただけなので、また鉄橋の下へ行った。
午前中やっていた岩盤のトロ場は、長ズボンにタビの地元の老人らしき人がやっていて、その下の深い淵だけが空いていた。
 淵は、目印の位置から判断すると、浅いところで背丈くらい、深いところは2m以上はありそうだ。とにかく、底石のあたりをうろうろさせてじっくり待っていると元気なのが掛かる。水深があるから、掛かり鮎を水面まで浮かせるのに大変だが、面白い。この淵では退屈しないほどの間隔で釣れ、17〜20cmの形だった。
 夕方に強い当りがあって、強い流れ込みの方に目印がビュウンと走った途端に水中糸が切れた。仕掛けを張りなおしてやったが、その後は釣れずに終了。
 帰りがけに聞いたのだが、下のトロ淵の所には毎日来ている人がいるそうだ。
 とにかく、承元寺橋の下手も上手もウジャウジャというほどに鮎が見えました。浅い所では10〜12cmくらいのチビ鮎の大群をいくつも見ました。 名人なら束釣りも可能かも、というほどに鮎はいます。
 しかし、鮎が多すぎるのか、卵・白子が出来る時期で追い気が止まっているのか、腕が悪いからなのか、とにかくオトリを追いません。
 腕に覚えのある方は、大釣りを実現してみて下さい。


11回目 9月29日(金) 富士川・静岡県域

富士川1
 富士川・北松野(蓬莱橋〜富原橋の中間)

  天気;曇り時々晴
  水温; 19〜21℃  水色;朝・柳濁り、10時すぎから澄み

   釣果 15
   Max. 26cm
   Min. 19cm

 大きな淵より下流を望む。
 淵尻に早瀬があり、数人竿をだしていた。
川が見えなくなるあたりで右に曲がり、その数百m下流に蓬莱橋がある。


富士川2
 淵の落ち込み
 上手のトロ場から瀬〜荒瀬になって淵に落ち込んでいる。
 淵の岸辺は砂地で、淵の底も見える範囲は砂底のようだ。
 蓬莱橋より上流側へ向かい一つ目の信号機から100mほど上手に、ガードレールの切れ目から川へ下りる急な階段がある。その階段を下りると、上の写真の大きな淵の前に出る。
 階段とはいっても、一部がコンクリートで作ってあるだけで、あとは階段状の踏み分け道のようなところを20mほども上り下りするので、注意が必要だ。いつも来ているという人達は、背負子のようなものにクーラー、小型オトリ缶、船などをつけて背負い、手には竿だけを持って、この階段を下っていた。


富士川3
 淵に落ち込む荒瀬
 瀬の中ほどへはとてもいけません。岸側からとった写真です。
 瀬の中は岩のような大石がつまっています。
 この荒瀬に立ちこむのは、よほど勝手知ったる人でなければ無理でしょう。
 瀬頭から瀬の中ほどまで腰くらいまで立ちこんで、良形を上げている人がいました。


富士川4
 瀬頭あたりの岸から淵の方を見るとこんな様子です。
河原にも大石がごろごろしているので、歩くのも大変です。



富士川5
 瀬頭あたりから上流をみるとこんな様子です。
 岩のような大石ごろごろのトロ場が続いています。大きなものは自動車ほどもあります。
川が見えなくなるあたりで左へ曲がっていて、早瀬、トロ、荒瀬がありその上流は富原橋です。
富原橋下流の瀬・荒瀬・トロ・早瀬のあたりを電気尻というらしく、例年尺近い大物が出るところのようです。


 今日は久し振りの単独釣行だ。駿河湾へ流入する河川は、今年はどこもアユの溯上が例年になく良いそうで、富士川も大量に溯上したそうだ。8月から好漁が続いているという。
 富士川下流域は、山梨県内は富士川漁協が管理しているが、静岡県内は管理する漁協がなく義務放流もない。このため、静岡県内のアユはすべて遡上してくる天然ものだ。
 昔天然物が主体だった頃は、ギュィーンと竿先をひったくるような当りに胸をときめかしたものだった。そんな当りと引きを楽しもう、思い出そう、と富士川へ向かった。
 静岡県内は漁協はないが、山梨県の支流福士川に本店がある佐野オトリ店が富士川下流部に何箇所も店を出してオトリを販売している。オトリ店の電話番号と営業時間はこちら(佐野オトリ)で確認してください。
 数日前に低気圧通過の雨で増水したらしいが、昨日電話で聞いた所では10cm高くらいまで引いたらしい。
蓬莱橋より上流へむかい、一つ目の信号を過ぎ200mほど先に佐野オトリ松野店がある。
 7時すこし前に着くと、いつも来ているという現役引退の熟年二人組みが店の人と話していた。若い方の人は、5号位の錘をかました荒瀬での釣りが好きだという。年かさの人はそうでもないような事を言っていたが、いつも富士川に来ているということは、深みや荒瀬の釣りに慣れているということだろう。
 水嵩はどうか尋ねると、少し多いくらいで、薄い柳にごり位だという。オトリを持って移動するのも面倒なので、オトリ屋と信号機との間にある階段を下りて、そのあたりでやることにした。
 道路から川までの高さは20m以上もあり、階段も急なうえに足場も良くない。道路の下り口と途中の一部がコンクリートで出来ているが、あとは踏み分け道のような感じで孟宗竹の間や、薮の間を下る。
 どのあたりでやったら良いのか分からないが、とりあえず瀬頭の少し上あたりにクーラーを置き、岸の高い所から川を眺めた。河原の様子は、つい最近まで水嵩が高く岸辺の上まであったように見える。水も柳濁りのように白っぽく、底石の様子がなんとか見えるくらいだ。増水でかぶった砂、泥が新しいハミ跡で黒くなっているのがあちこちに見える。これは良い時に来たのかもしれない、と内心喜ぶ。というのは、新しいハミ跡が良く分かるからだ。
 オトリ屋であった二人組みも瀬のはじまるあたりに来て荷物を置き、釣り支度を始めた。いつも来ている人があのあたりでやるのなら、と、自分は瀬頭で始めることにした。
 オトリを出してやると、竿の長さ位まで沖に出た所でグンときた。しめた今日は絶好調と思ったが、竿をためるとなんと水中バレ。気をとりなおし、逆針を打ち直し、”こんどは野鮎を連れてきてよ”とオトリを送り出す。濁ってはいるが、食まれて黒くなった所は透けて見えるので、黒くなっている石が多い方へなんとか行かせると、今度はしっかり掛かった。あの、懐かしい天然アユの当りと引きだ。うれしくなる。岸の緩い方に寄せ、引き抜く。20cmオーバーだ。
 オトリを換え瀬頭の波立ちに出してやる。野鮎をオトリにすると、当りも強烈だ。目印が上手に2,3mもビュンと飛んだり、突然瀬の中に突進したり、ゴツゴツ・ギュギューンときたり、でその度にドキドキする。竿をため、流れの緩い方へ移そうとするが、何度も沖へ、下手へ、深みへと疾走する。ギュギューンと引くと心臓がドキドキンとする。これが天然アユの当りと引きだー。
 今年DaiwaのProtoGear-4を瀬釣り用に買ってみた。このProtoGear-4は、富士川などでの馬力のある天然アユ釣りにはなかなか具合が良い。どちらかというと胴に懸かる感じでタメもきくし、瀬の中から26cmくらいのも引き抜けた。ただ24、5cm以上の天然アユを瀬から引き抜くには、もう少しで腕が攣りそうになったりして、自分の腕力がついていかない非力さを感じてしまった。来年に向けてもう少し腕力がつくように、何かしなければ、と思うのだったが・・・。
 9時過ぎる頃までは10〜15分に1匹のペースで掛かり、強い当りと引きを堪能していた。
 ところが、10時ころから急に水が澄みだした。上流のダムか堰で放水が止められたせいなのか?、この濁りのなくなり方は急速だ。30分もしない間に水が透き通ってきた。水が澄むと共に水嵩も急に減り出した。初めの1時間ほどで10cm近くも減り、昼を過ぎても少しずつ減水が続いた。
 急に水が澄みだし、減水しだすと、当りも急速に遠のいた。今日は”良い日に来た”と思ったのに、”変な日に来てしまった”になってしまった。
 当りが遠のいた他にもトラブルやらヘマやらで、釣果は伸びなかった。
 水が澄み始めてからの不調の始まりは、根擦れ。瀬の波立ち近くで当りがあり沖にギュンと引かれた。そのすぐ後、石にギュリンと擦れる感触があった途端に糸が切れた。水に立ち込まずに、オトリを沖目まで竿を倒して出してやるのは大石ごろごろの場所では根擦れ・糸切れがおき易いので良くないようだ。
 仕掛けを張り直し、オトリも付け替えて出してやるが、なかなか掛からない。粘っても仕方がないので、昼休み。弁当を摂りながら、他に来ていた十人ほどの様子を見ていたが、ほとんど掛からない。
 昼食の後、淵の落ち込みの辺りを見に行ったが、落ち込みの真ん中あたりを釣るのは、水量が多くて水になれ水泳が得意な人でなければ無理のようだ。荒瀬の脇の緩い流れの石垢はきれいに食まれていたが、木の枝などのゴミが石の間にあったりで、釣りをするには短竿などでやらなければすぐ根掛りになりそうな様子だった。
 昼過ぎ、朝オトリ屋で話した二人組みのうちの若い方の人(といっても六十過ぎ)が、川の中ほどまで瀬に立ち込んでいった。深さは腰くらいはある。いつも来ていると言っていたから、川底の様子も知り尽くしているのだろう。
 すぐに1匹目が掛かったが、瀬の中でタメて抜こうとしていたが身切れでバレ。しばらくして2匹目を掛け、今度は上手く抜いて取り込んだ。大石裏の緩い所に立っているのだろうが、腰くらいの瀬の中で掛けて抜いてオトリ継ぎをするというのは、よほど川に慣れた人でなければ出来ないことだ。件の釣り人は瀬からだんだんと上手に移動しトロ場まで上がって行き、良形を5,6本掛けたようだった。さすがに、荒瀬の方には下がらなかった。
 都会の人が、慣れた人を真似て瀬に立ちこみ、水難に遭う事故が毎年おきている。川で流されても岸まで竿を担いで泳げるような人以外は、地元の川に慣れた人が立ちこんで良形を掛けているのを見ても、真似をしないでほしい。
 水が澄み減水が続く昼からは、さっぱりダメ。腰くらいまで立ちこむ勇気もないし、引き釣りでうまく掛ける技術もない。水中バレ、ケラレ、ハリス切れなどが続き、1時間にようやく1匹掛かるかどうかだ。
 オトリが弱ってくると腹の脇にオレンジ色が浮いてくる。そろそろ落ちアユの季節が近づいた証拠だ。
 彼岸花もあちこちで真っ赤な花を咲かせている。日が暮れるのも早くなった。今年の鮎釣りもあと半月か一月ほどで終了だ。あと何回行けるかなー。


12回目 10月14日(土) 富士川・静岡県域

富士川、北松野1
富士川・北松野(蓬莱橋〜富原橋の中間)

  天気;曇り
  水温; 18〜19℃  水色;薄い柳濁り

   釣果 5
   Max. 25cm
   Min. 18cm

 前回の4枚目の写真のあたりです。
 先週の台風と低気圧による大雨で3mほども増水し濁流が流れたそうだ。ようやく濁りが取れ水も引いてきたが、 前回来た時よりも4,50cmほど水嵩が高かった。


富士川、北松野2
 前回の写真の5枚目のあたりです。
ヒザくらいまで立ち込んで、前回来た時の水辺あたりです。
岸近くは泥で汚れたままの石が多かった。



富士川の鮎
まだサビは出ていません。
「今年の鮎はまだ若い」といっている釣り人がいました。
18cmのはチビにみえました。


 先々週台風が二つ太平洋上を北上した。それに刺激された前線上に台風並に低気圧が発達して、各地に大雨を降らせたり、洋上では貨物船やサンマ漁船が座礁転覆したりする被害がでた。
 先々週末8日の天気はとても良かったのだけれど、そんな状況だったから鮎釣りは無理だろうとあきらめた。
 釣友の話では、8日の富士川はすごい水嵩で濁流が流れていたので、興津川で釣ってきたそうだ。
 Tさんから、富士川へ大きいのを釣りに行こうと電話があったので、二つ返事で行くことにした。オトリ屋に川の様子を聞くと、木曜から川へ出る人がいて金曜日は濁りも薄くなり大勢が川へ入ったという情報だ。
 運が良ければ、大水で下ってきた鮎が溜まっていて爆釣なんてことがあるかもねー。でも、逆に鮎が下って全く釣れないなんてことも、これからの時期はあるから、どこに入るかが難しいよね。等々話しながら、結局前回来たのと同じ場所でやることにした。
 蓬莱橋上手の北松野のオトリ屋に6時過ぎに着くと、釣り人の車が何台も来ていて、オトリを買って思い思いに下流や上流へ走り去って行く。釣り支度をしている間にも、次々にオトリを買いにくる。
 何時頃までオトリを置いているのか尋ねると、11月上旬まではオトリを扱うという返事だった。
オトリ屋と常連らしい釣り人とが、「今年の鮎はまだ若い。」というような話をしていた。「狩野川ではサビが出始めていたが、富士川ではまだサビが出ていない。」というようなことも言っていた。
 今年の富士川は、昔の狩野川にいたような遅くまで、サビが出ずに、友釣で釣れるアユが駿河湾から大量に遡上したのかもしれない。
 前回同様に急な階段を下りて川辺へ出た。ずいぶんと水が多い感じだが、濁りは薄い柳濁りの感じでヒザ位の深さまでは良く見える。岸辺から3、4m位までは泥をかぶって汚れたままの石が多く、その先の石が黒く食まれている感じだ。
 水温は18℃だ。もうこれからは日毎に水が冷たくなるだろう。曇り空なので、ひんやり肌寒い感じがする。
 とりあえず、瀬頭のあたりが空いていたので、その辺で釣りはじめた。釣り人は上手に4,5人、下手に3人
ずっと下手のトロ尻の瀬に数人、対岸に5,6人という感じだ。対岸(左岸)の人達は、あの急な森のどこを通って下りて来たのだろう。対岸の道路から川まではどう見ても3,40mほどはあるようだ。
 あたりを眺め終わったところで、デジカメを車に忘れてきたのに気がついた。仕方がない。あの急で高い坂を登り下りしてカメラを取ってくることになった。カメラを持って瀬頭のあたりに戻ったが、疲れて暫し休憩。
 石に腰を下ろし休んでいる間に、Tさんが20cm位のを掛けた。サビも出ておらずきれいなアユだ。
一休みのあと仕掛けを張り、オトリを付け瀬頭あたりに出してやったが、前回とは様子が違い、なかなか釣れない。食み跡は見えるが、アユの姿が見えない。下手の人がモモ位まで立ち込んで瀬にオトリを入れてやっているが、こちらもなかなか掛からない。
 午前中でようやく3,4匹。曇り空で日も射さないので、追い気が出ないのか?
 腰くらいまで立ち込まなければこの辺りは釣れないのかもしれないと思い、午後はずっと上手の方へ行ってみた。26,7cmの良形が数本釣れるには釣れたのだが、それをオトリにして尺物をと思って深みへ出してやると根掛りで糸を切るの繰り返しで、くたびれもうけ。
 しかし、26,7cmの天然アユの引きは強烈だった。強い引きと取り込みまでのスリルを堪能したから良しとしよう。それにしても、根掛りは悔しかったなー。強い仕掛けも手持ちが無くなったので、元の場所へ戻った。
 しばらく石に腰掛て休憩。0.18号のPEの仕掛けがあったので、それでやってみることにした。
 24cmほどのを1匹追釣で、今日は欲求不満で終了。
 
 後日談:
 (釣友のSさんは夏に足を挫いて具合が良くないと聞いていたので、釣りには誘わなかったのだが。)
 14日、Sさんが、富士川がいいと何度も聞かされていたので、友人と蓬莱橋右岸へ入ったのだそうだ。
 Sさんは橋の上手の河原で釣っていたところ、後ろの崖の薮から猪が音を立てて落ちてきて、頭を打って足も折れたようだが、唸っていたので近づかないで見ていたそうだ。しばらくして動かなくなった猪を地元の人がきて引きずって運んでいったそうだ。
 Tさんから電話でこの話を聞いて、あんな所から猪が落ちてくるなんて驚いた。思わぬ拾い物をした地元の人はその晩はシシ鍋を囲んで宴会だったのだろうか?
 我々だと、捌き方を知らないから、持って帰っても無理だね、などと話したりしたのだった。


13回目 10月22日(日) 富士川・静岡県域

富士川、北松野の瀬
 富士川・北松野(蓬莱橋〜富原橋の中間)

  天気;曇り
  水温; 16〜18℃  水色;澄み

   釣果 11
   Max. 26cm
   Min. 21cm

 県道脇空き地より見下ろす
 オトリ屋の県道筋向いに小さな空き地があり、そこから崖下を覗いたら、淵に落ち込む瀬が見えました。
 釣行記11回目の2番目と3番目の写真のあたりです。対岸の森のむこうに鉄道・身延線が通っています。


10月下旬、富士川のアユ
 10月下旬に入ったというのに、釣れたアユはツヤツヤしていてサビは出ていません。
 これからは、一雨ごと一風ごとに鮎が下ります。何時何所まで落ちるかは鮎しだい。鮎が居るのを確認するのが肝心です。



 前回の釣りは不調で欲求不満。富士川の鮎釣りをもう一度やって、少しは納得して終わりにしたい。この気持、釣り好きの人は分かってくれますよね。
 ということで、また富士川へ来てしまった。佐野オトリ北松野店へ着いたのは7時を過ぎた頃だったが、大勢の人がオトリを買いに次々と来ていた。ほとんどはオトリ缶にオトリを入れ、思い思いに車で上流や下流へと走り去っていった。
 神奈川県は10月15日から鮎漁は禁漁になった。そのせいかどうか、初めて富士川に来たという横浜ナンバーの車の二人連れが、どこが良いのか他の釣り人達に聞いて回っていた。
 今日はどの辺りが良いのだろう。 富原橋の辺りか?蓬莱橋の辺りか?その下の放水路の辺りがよいのか?
オトリを買う釣り人で混みあっていたので、県道の筋向かいに川を見下ろせそうな感じの小さな空き地があったので、行って下を覗いてみた。木立の間から上の写真の景色が見えた。空き地の端は薮に覆われてはいるが、明らかに絶壁のような崖だ。端のほうで、カメラを頭上に上げて写真を撮った。
 川を覗いた時は、見える範囲では写真に写っている二人だけのようだった。水嵩も前回と比べるとずいぶんと減っていて、水も澄んでいる。ほとんどの石がハミ跡で黒くなっているのが良く見える。どこへ行こうか悩んでいたのに、ツヤのある黒い石を見たらもうここでやることに決めてしまった。
 オトリを2本引き舟に入れ、弁当と飲み物の入ったクーラーを肩に、急な崖のような階段を下りて河原へ出た。
釣り人は、先ほど上から見えた二人の他には上手に二人見えるだけだった。
 7時半過ぎで、これなら、今日は好きな所を釣って楽しめそうだ。とりあえず、瀬頭で元気なオトリを数匹捕って、その後は好きな所へ行って・・・、と、思ったのは大間違い。
8時過ぎになってから、3人連れとか4人連れとかの釣り人が何組もきて、右岸側はいっぱいになってしまった。今日は水がずいぶん少なくなっているので、3人組が腰くらいまで浸かりながら対岸へ渡っていった。
 オトリを出す前に水温を測ってみると16℃。天気予報の最低気温と同じくらいだ。水が澄んでいて水中の石が良く見える。水際から2mほど先からの石には食み跡がいっぱい付いている。が、アユの光る姿はあまり見えない。1時間ほど全く音沙汰なし。昨日釣り切られてしまったのか?水温が下がり、急に下へ下ってしまったのか?心配。
 下手の人が1本掛けた。20cm以上はある。アユが居るのは確認できたが、自分にはまだ掛からない。周りもほとんど竿が曲がらない。9時過ぎにようやく22、3cmくらいのが来た。そのあとまたしばらく音沙汰なし。
 何人かが腰くらいまで立ち込んで竿を出しているが、なかなか掛からない。ここは引き上げて他へ移ってみようかと思ったりする。が、今朝のオトリ屋の混み様では他へ行っても良さそうな所は空いていないだろう。昼過ぎ頃まではここで辛抱してみることにした。
 11時頃になって薄日が射し出した。お日様の温かみが気持がいい。もう秋深しの感だ。
お日様の温かみで野アユも元気が出たのか、突然の3連荘入れ掛り。20cmオーバーの強い引きで気分爽快、やる気も膨らむ。が、またもやぱったり音沙汰なし。
 ネバってオトリを弱らせるよりは、ということで、お弁当、昼休み。
 竿を水辺の脇の石に置いて、弁当を摂っていたのだが、釣りの常識に欠ける(分かっていない)中高年につい大声を上げてしまった。
 竿を置き、弁当を食べだすと間もなく、上手にいた50前後の男がこちらに声を掛けてことわるでもなく、尻をこちらに向けたままモモくらいの深さのところを目の前まで下がって来た。3連荘入れ掛りをやった辺りにオトリを送り込もうとして立ち込んで行くではないか。
 「おーい、そこの人ー!そこは俺が釣っている場所だよー。人の目の前に入ってこないで、自分の場所に戻ってくれよー。」 怒鳴られると、意味が分かるらしい。きまり悪そうにもとの場所に戻っていった。午後にも、下手からこちらのオトリが入っている辺りまで上がってくる熟年がいて、また怒鳴ってしまった。
二人とも、自分の上手や下手に竿数本分以上のスペースが充分あるのにこちらにすり寄ってくるのだ。熟年男にすり寄られるのは気色が悪い。妙齢の御婦人ならば鼻の下を伸ばしてしまうところだが、年配男が尻を向けてすり寄ってくるのは、オー・ノー、それだけはよしてくれー!。ついつい怒鳴ってしまったのだ。
 昼食後、薄日が射している間に25、6cmの良形が3本掛かった。これ位になると引きの強さが違う。まだ尺鮎は釣ったことがないので分からないが、これが尺鮎になるとどんな引き方になるのか?
 その後に2度糸を切られた。
一度目は強い当りで沖に走った。こちらに向けようと矯めていると、下手に走った。その時、ガリリンと石に擦れたような響きが伝わってきて糸がふわふわとなびいた。
二度目は、付け糸の当り切れ。腰位の深さの瀬を泳がせていたら、グン、ギュンという当りで、きたっと思った瞬間に糸が風に舞った。糸を取って見ると、0.5号の付け糸の乳輪の結び目の先で切れていた。ハリス切れは何度も経験しているが、付け糸が切られたのは初めてだ。よほどのスピードでオトリをひったくって行ったのに違いない。それとも糸に傷が付いていたのか。
枯尾花 おまけに、2時過ぎ頃からラフテイングのゴムボートが5,6艘下ってきて、オトリが出て行く沖目辺りの、水面近くの大石に引っかかったり乗り上げたりで、その度に全員でオールで水をバシャバシャかいたり、ガイドがゴムボートから降りて押したり引いたりするものだから、ばったり追わなくなってしまった。
 3時頃になると引き上げる人が多くなり、3時半頃には半分以上が帰ってしまった。曇り空の冷たい風にすすきが揺れる。
思い出した頃にようやく1尾掛かった。四時前には天気予報通りに雨が落ち出したので、富士川の鮎釣りはこれで終了。
 来年も遡上が今年以上に良いことを期待しよう。来年こそは富士の大鮎、尺鮎を釣りたいものだ。


14回目 10月28日(土) 狩野川・宮田橋

狩野川、宮田橋上手 狩野川・宮田橋、上流

  天気;晴れのち曇り
  水温; 16〜17℃  水色;澄み

   釣果 11
   Max. 18cm
   Min. 12cm

 宮田橋上手、飯田おとり前
 手前左の大岩のむこうが淵のような深みになっている。大岩の上から覗くと、カラアゲサイズのチビから20cmオーバーまで夥しい数のアユが群れていた。尺を越えるような大物も2尾見えた。毛鉤で釣れないかと試みたがダメだった。


狩野川、飯田おとり上手
 松ケ瀬の吊り橋を望む
 山の端に日が陰りだしても、まだ竿をたたむ人はいません。
なごりのアユとのやりとりを最後まで楽しみたいのでしょう。

 「飯田おとり」は11月7日(火)までやっているそうです。


うっすらとサビのでたアユ 半数は相変わらずのチビアユ。
うっすらサビが出ています。


 先週Yさんから28日は狩野川へ行こうとメールがきた。もちろん「その誘いには、すぐ乗ります。」と返信した。
B・Sさんからは、もう”海ぼうず”に変身したので川へは行かぬとメールが届いた。自虐的な言い方か、この時期になってもまだ川へ行くアユ狂いのわれ等を揶揄しての言葉か、気になる。
 M、Tの両氏をふくめ、4人での釣行となった。暁の箱根峠は深い霧に包まれていた。霧が出るときは晴天になることが多いから、今日はきっと良い釣り日和になるだろうなどと話しながら、狩野川へ向かい峠を下った。
 さーて、今日はどこで釣るの?と聞くと、Mさんが宮田橋にしようという。
 7時半をまわった頃に宮田橋に着いた。橋の上から眺めると、竿をだしているのは一人だけだ。この時期になるとアユキチといえども出足は遅くなる。
狩野川遊漁証 釣り支度をして、「飯田おとり」で遊漁証とオトリを買って、様子を聞いてみた。残念ながら、答えは予想通りのものだった。
 20cmオーバーは釣れないことはないが、大半は小振りのアユだという。
例年だと、「細糸は切られるからダメですよ。」というのに、今年は小さいですからねー、という。
「ここに来だしてから何年になるかなー」などと話していたら、オトリ屋の主人に「私は幾つに見えるか?」と訊かれた。さーて、そう訊かれると分からない。二十年以上も前に見たときに今の自分達の年頃と同じ様に見えたのだが、さて幾つになったのだろう。七十半ばか?というと、86歳だと言う。「へー、すごい元気だねー。」というと、「百歳まで、(オトリ屋をやって)頑張りますよ。」という。頭が白くなり出したのも最近のことだし、この感じだと、本当に百まで大丈夫やれそうだ、と思った。
 さて、Y、M両氏は左岸へ渡って、上手の荒瀬の下からオトリ屋の前あたりまでをやるようだ。Tさんはオトリ屋の前のトロ瀬をやるという。自分は右岸でMさんの向かい辺りでやってみることにした。
 水温は16℃。朝日が川面に射し始め、アユが煌めくのが所々で見えだした。その光具合を見ると、大きい感じはしない。辺りを見て歩くと、岸のすぐそばあたりから波立っているあたりまで、チビアユが沢山群れているのが見えた。
 14,5cmのオトリを付けて、流れの脇に泳がせてやる。野鮎が近寄ってくるのが見えるけれども、鈎が掛かる所までは近寄らない。しばらく泳がせて、見ていたが掛からない。流心の早い所にいれてやるとようやくオトリくらいのが掛かった。なんとかかんとかオトリが継げる程度には掛かるのだが、とにかく小さい。5,6月は天候不順で野菜も出来が悪くて値上がりしたくらいだから、川のなかもコケが育たずにアユは食糧不足で大きくなれなかったのかもしれない。狩野川に来た釣友の話では、6月に来てチビ、7月も8月も同じ様にチビ。と言っていた。
 小さいから当りも引きも可愛らしいものだ。コン、ツンツンという程度で、竿を立てるとほとんど抵抗なしに水を切って飛んでくる。12,3cmのも鼻環を通して、オトリに使ったが、ママゴトでもしているような感じだ。
午前中になんとかツ抜けはした。そろそろ昼時なので、対岸のMさんやYさんが昼休みに戻らないかと見ていたが、戻る様子がない。チビちゃんと遊ぶのも飽きた。休憩所にもどり、昼食。Tさんも戻ってきて、一緒に弁当にした。弁当を開いていると、熱いお茶を出してくれた。今時分になると。冷たいものよりは熱いお茶がありがたい。
 「いやー、上の方はチビばっかりだよ。解禁の頃よりは少し大きくなっているようだけど、あまり大きさが変わらない感じだね。」というと、Tさんが「この辺りはまあまあの形だよ。」という。トロに少し形の良いのが集まっているのかなー。
 昼食後、1枚目の写真のすぐ上の荒瀬にオトリを出してみた。オトリサイズのがきたので、大岩の上の落ち込みに入れてやったら、深みに入っていって根掛り。深いので、糸を取って切る。
 大岩の際を上から覗くと、驚いた。岩から1m半位がカガミになっていて、向かいから日が射しこむので、背丈くらいの底まで良く見える。
 20cm前後のアユが沢山群れ泳いでいる。カラアゲサイズも無数に見える。この大岩の前だけでも千尾以上はゆうに居るだろう。じっと見ていると、上手側から尺はあると思える大物が2匹ほどまわって来るのが見えた。とにかくでかい。
 ここのアユを釣るには、アユの動きからすると、友釣りでは交通事故的に掛かるのを待つしかない。落ちアユの季節だから、毛鉤でも釣れるかもしれない。確か、ザックの中にドブ釣り仕掛けが入れてあったはずだ。
 車へもどり、ザックの中を調べると、ドブ釣り仕掛けがあった。チビちゃん相手の友釣よりは、ダメ元で毛鉤で大物を狙ってみることにした。
 何時ごろ、どんな毛鉤が良いのかも、毛鉤の名前も、ほとんど忘れてしまっているので、闇雲にとっかえひっかえして毛鉤を上下させてみた。ときどき見えるあの尺ものが間違ってでもいいから口を使ってくれないかと色々とやってはみたが、結果はダメ。
 あの大物を見てしまうと、コン、ツンツン程度のをやる気にはなれず、納竿。
着がえを済ませて、飯田おとりの休憩所から川の釣り人達を眺めていた。この時期になっても釣りに来るのはかなりのアユキチ達だ。日が明るい間は上がってくる人はほとんどいない。日が山の端に懸かる頃になってようやく三々五々上がってくる。たいていのオトリ屋はあと一、二週間で今年は終業だ。
 名残惜しいが今年の友釣もこれで終了にしよう。