東京湾の魚介類の状況
東京湾の水質は水質汚濁防止法の制定により、劣悪な昭和40年代に比べてかなり改善され、昭和50年代以降はほどほどと言われたが、現在はよくないようである。農林水産統計から得た東京湾の漁獲量経年変化を図1に、水質(COD)と併せて示した。海岸線の埋め立て及び有機汚濁が進んだ昭和40年代以降、漁獲量は一気に減少しているが、その後も減少傾向にあることがわかる。東京湾岸の漁業者からヒアリングした最近の情報を整理すると、統計資料からは見えない「東京湾の育くむ力の低下」という問題点が浮かび上がる。なお漁獲量の減少は大部分が二枚貝の減少であり、これは関係する漁業者の減少が大きく寄与していると考えられる。
【漁業者ヒアリング】
近年漁獲量の減少が著しい。湾奥沿岸域の赤潮も以前ほどではない。
羽田でゴカイが獲れなくなった。
春先のスズキがやせている(ゴカイを食べていない)。
三番瀬や羽田干潟でアサリが減少。稚貝がいるけど育たない。
ハゼが釣れない。春先に稚魚は多いが、釣りものサイズに育たない。
また東京湾魚介類の生活史において、成魚から産卵・孵化した稚仔魚が生育し再び成魚となる循環のうち孵化直後における稚仔魚の生育段階が貧酸素水塊の出現などの環境変化に最も弱く、その資源量はこの段階に依存すると考えられる。なおイワシなどの浮魚は浮遊卵なので流れに影響されやすく、貧酸素水塊の影響は小さいとされる。
東京湾内湾(富津市−横浜市)の種別漁獲量
文献・ヒアリングによる東京湾の漁獲の変遷
ネットワーク崩壊過程