文献・ヒアリングによる東京湾の漁獲の変遷

T.東京湾シリーズ、沼田真監修;清水誠

 1.縄文時代の貝塚:マアジ、クロダイ、スズキ、コチ、ボラ、フグ、サメ、マカジキ、 ヘダイ、アサリ、シオフキ、オキシジミ、キサゴ、ハマグリ、カガミガイなどの魚骨・貝殻
 2.江戸時代の漁獲物(文化13年調べ):ボラ、イカ、サヨリなど63種類
 3.昭和10年前後、戦前のピーク:マイワシ、ボラ、ウナギ、カレイ、ヒラメ、クロダイ、マハゼ、コノシロ、シラウオ、アサリ、ハマグリ、カキ、イカ、タコ、エビ、シャコ、カニ、ノリなど数万トン以上の漁獲高
 4.戦後の生産ピーク(1955〜1960):10万トン以上(1955)、約14万トン(1960)の最高漁獲高
 5.1950年代後半:ハマグリ、カキ、ガザミ、クロダイの減少、シラウオの統計からの消失
 6.1960〜1970の環境悪化期:甲殻類(エビ、カニ)、頭足類(イカ、タコ)、棘皮類(ウニ、ナマコ)、藻類の激減
 7.汚染と埋め立てなどによる1970年前後の最悪期:養殖ノリ半減など漁家・漁獲高の減少と最貧の生物相
 8.1970〜1980年代前半の環境回復期:戦後ピークの1/3以下の漁獲高、貝類減少・魚類漸増・藻類回復、生物 組成変化
 9.1980年代後半以降の再悪化期:クルマエビ、ガザミ、コウイカなどの漁獲高と生物量減少、
10.1977〜1995年の調査で200種類以上の魚類・甲殻類などが採取された。   →今からでも良策を実施すれば東京湾は救われる!

U.我が海、我が町(伊藤嘉一郎;2001)
  1.明治の羽田沖;エビ、タイ、クルマエビ、クロダイ、フグ、スズキ、コハダ、ヒラメ、カレイ、ワタリガニ、シャコ、ハゼ、ノリ、イワシ、サンマ、サバ、イカなど 
 2.戦後間もなくの多摩川河口:ハマグリ、アオヤギ、アサリ、トリガイ、アナゴ、アマモ  
3.小河内ダム完成(昭和32年)後の昭和40年:多摩川河口のハゼ、ゴカイ消失

V.ATT漁業者アンケート
 1.S.20〜26年頃;ハマグリ、アサリ、ハゼ、カレイ、キス、ボラ、クルマエビ、ウグイ、スズキ、ウナギ、アナゴの大漁
 2.S.22〜28年頃;シラウオ漁
 3.S.25年頃まで;シバエビ、クロダイ、スズキ、メバルなどの獲れるきれいな海
 4.S.35〜36年頃;アカガイ、トリガイ、タイラガイ、カレイ、クルマエビ、シャコの大漁、アマモの多い埋め立て前の海
 5.1980年代後半以降;ウニが100分の1、館山湾でアサリも獲れない 
 6.現在:夏の貧酸素・無酸素海底にはゴカイ、ミドリガイもいない、秋から春にかけての底生生物はここ10年近く横這い、クラゲは増加→しかし海洋環境悪化は酷い!