(2007年5月11日 読売新聞)
鎌倉時代最大級、穴窯を発掘
瀬戸で5基と工房跡 
すでに量産開始か


古瀬戸を焼いた鎌倉時代最大級の穴窯

 瀬戸市埋蔵文化財センターは9日、同市紺屋田町で鎌倉時代のものとしては最大級の規模を持つ穴窯5基が発掘されたと発表した。
 窯跡は、市街地北部の丘陵地にある窯業原料採掘場内で発見された。資源採掘によって窯跡が破壊されるため、同センターが昨年12月から発掘を行ってきた。調査の結果、良好な状態を保った5基の穴窯と工房跡などのほか、当時の日本で唯一の施釉(せゆう)陶器「古瀬戸」の四耳壺(しじこ)や瓶子(へいし)などが見つかった。
 穴窯は、山の斜面をトンネル状にくりぬいて作られており、このうち2基は、焼成室の幅が3・1〜3・3メートルと、同市内でこれまでに発掘された鎌倉時代の穴窯を50〜60センチも上回る最大級の規模を持つことが分かった。
 また、当時の工人が作業を行ったと思われる工房跡も見つかり、その中にはロクロを据えた遺構も確認された。このため、同センターではこれらの窯では陶器の量産が始まっていたのではないかとみている。
 また出土品は、灰釉(かいゆう)陶器の「古瀬戸」のほか、無釉の山茶わんや小皿なども混在していた。
 同センターの山下峰司次長は「同じ場所で5基の窯が確認でき、窯の変遷を知る上で貴重な資料となる。無釉と施釉の併焼窯は珍しく、今後の研究に役立つ」と話している。
(2007年5月11日 読売新聞)

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