2007.3.27 瀬戸市幡中町地区フェロシルト撤去方法等検討会 傍聴7名 (敬称略)

田口(愛知県環境部資源循環推進課廃棄物監視指導室長):2/13に開催した本検討会の設置準備会で愛知県が本検討会を主催することになった。訴訟取り下げがあり、本格的な撤去にあたり検討を行う。了承されたら、4月早々にも作業を開始したい。

安藤(石原産業):地元から訴訟を取下げ、全量撤去をするようにとの署名があり、全量撤去をするのが会社の使命と考えた。
 幡中のフェロシルトは、販売伝票では、13万7千トン。全体の撤去数量の見込みは27万トン(うち1万トンは既に撤去)。
 撤去後、当該地面は3.6メートル下がる。その状態で整地し、安全対策を行う。
 当該土地については、地権者に譲っていただきたいと話をしている。地権者からは、住民のみなさんに理解していただいて、撤去が始まることが確認できれば話に入ってもいいと言われている。土地については、住民、瀬戸市の意向を尊重して有効活用を図りたい。デジタルリサーチパーク構想も承知している。その構想に沿って対応する。建物を建てたり、転売することは考えていない。
 幡中のフェロシルトの搬出先は、隣りのクリーン開発にお願いしたい。全てお願いすることはいろいろとご指摘もあるので、他の処分場も契約交渉を進めている。契約ができれば他への搬出も行う。
 搬出ルートについては説明をして地元の理解を得た。

前田建設(撤去工事を担当):フェロシルトが混ざった土砂のうち、30%は分別できるとして計算した。70%で計算して、269,697,62立方メートル。ここから撤去済みの1万トンを引いた数字が撤去量。
 1日あたり500立方メートルの掘削を行う。
 道路の下のフェロシルトについては、C工区に迂回道路を設置しながらD工区を掘削する。
 A工区は21メートル下までフェロシルトが入っている。
 スパッツというタイヤの泥落とし装置を使用。
 排水は調整池で沈殿させてから放出する。
 B工区は一番深いところが24メートル。残土をA工区に戻してB工区を掘削。残土はA工区に仮置き。
 C工区は、A、Bに残土を仮置き。近くにデジタルセンターや道路があるので、モルタル吹き付けや補強をする。<←この図面によれば、既存の調整池の下も掘削するため調整池は移動。
 搬出ルートは、片道30キロ。
 検査の項目は六価クロムとフッ素。
 空間放射線量の測定は、積み込み場所数点で行い、一番高いところとバックグラウンドの2地点。

《質疑》
●深い掘削について
大東(学識経験者):A工区の南側の勾配だが、21メートルという深度を維持するためには補強が必要では。わかりやすい図面が出ていないので、こんな工事できるの?と思われるのでは。
前田建設:わかりやすいものを出します。

●有害物質の流出対策
笠倉(学識経験者):降雨についてどう考えているか。集中的な豪雨が考えられる。愛岐処分場では、ここ何年かできつい強度の雨が降っており、排水処理が間に合わない事態が起きている。今後、そのような問題が出る可能性は考えた方がいい。土砂は沈殿だけとのことだが、他の物質が出たらどうするのか。
前田建設:濁度しか考えていない。六価クロムなどが他の撤去地で環境基準を超えたことはない。
笠倉:成分が変化したという経験はないか。
安藤:今のところそういうことはない。
前田建設:降雨確率、降雨強度を調べて計算します。現場自体が大きな沈砂池になるので、水をためるから大丈夫だと思うが。

●土砂との分別と排水の不安
幡中役員:分別の信頼性だが、埋め戻し土壌の分析で確保するそうだが、これで大丈夫か。目視に頼ることで大丈夫なのか。排水のパックテストの信頼性はどうか。汚濁がこの条件でとれるのか。排水は農業用水につながっている。
前田建設:分別はボーリング結果を参考に行い大丈夫であると考えている。

●残土の検査
田口:残土の検査が書いてあるが(撤去計画の記載:「サンプルは毎週、移動した残土からランダムに15地点の土砂を採取します。この作業を4週間行い、計60サンプルを均一混合し1検体とします。第三者機関に於いて、六価クロムとふっ素の溶出量を測定します。環境基準を下回っている事を確認した後、各工区の埋め戻しに使用します。」)、土壌汚染の基準があり、指針では100立方メートルごとに5サンプルを取ることになっている。本来、指針に沿ってやるのがベターだが、土量が多く検体数が多すぎるということもある。しかし、もう少し小さい割合ごとのサンプルでやってほしい。
大東:残土を積むときに検査をすると書いてあるが、住民のみなさんは埋め戻すときに確認してから埋めてほしいということだと思う。そのときに検査をした方がよいと思う。
安藤:検討する。

田口:水質、汚濁の問題だが、今のやり方で処理は可能か?
前田建設:ポンプで揚げるとにごりが出る。深いところを仮の沈砂池にして、上澄みだけをとる。濁水処理プラントは1時間あたり20立方メートルくらいしか処理できない可能性もあるが。

●フェロシルトの変化
田口:フェロシルトの性状変化、三価のクロムが六価になるなどのことがないように。乾燥・湿潤を繰り返さないようにしてほしい。フェロシルトが長時間水に浸かっている場合に六価クロムが流出する可能性はないのか。
前田建設:フェロシルトはほとんど鉄が還元剤になるので大丈夫。

田口:パックテストの精度もそうだが、精密検査の頻度も上げてほしい。

笠倉:水に溶解すると、鉄の還元作用が出ないで六価クロムが出るおそれがある。
前田建設:フッ素やクロムを吸着するものもあるので、出た場合はそれを使う。

大東:沈砂池のフェロシルトはどう処理するのか。
前田建設:石灰をまぜて固めて処分場へ搬出する。
大東:汚泥の処理もクリーン開発と交渉しているのか?
前田建設:そうです。
笠倉:石灰を混ぜるというアルカリサイドで処理することは危険ではないか?(←アルカリの環境で三価のクロムが六価に変化するため。)
前田建設:中性剤も考えている。

●フェロシルトの粉塵による内部被爆の問題を指摘 (←そうであれば、検査体制も要求するべきでは?)
田口:環境基準は、水質汚濁防止法でやってほしい。大気は、窒素酸化物(NOX)と浮遊粒子状物質(SPM)をやってもらう。他は必要ない。騒音、振動は工事中はしないのか?
前田建設:今のところ考えていない。
田口:フェロシルトが粉塵として舞った場合、吸引も考えられる。アルファ線で内部被爆の問題が出る。極力粉塵を抑えるように。スパッツもシャワー式導入も含め乾燥させないように。ダンプにバラ積みなので、湿潤した状態でやってほしい。

●既に幡中地区の大気や騒音の環境は基準をオーバーしているので、総量規制が必要との要望が出るも、対応が難しいとして検討課題のままに。

●愛知県が、期間中は年に一度、環境測定する。

●今後について
田口:基本的にはこの計画で了承いただいたので、追加資料を出していただいて各委員に示してOKが出れば4月早々からでも撤去させたい。やっていく中で問題が起きたら、その都度対処する。
安藤:あのエリアから外へ環境への影響を与えないというのが私たちの最大の責務と考える。4月の早くから、できれば4月9日からでも撤去を始めたい。

田口:本検討会議は、今後、年に1回か2回程度開催したい。環境調査の結果を本検討会議に示して評価をしていただく。

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◎会議終了後、石原産業・安藤常務に、クリーン開発下流域での放射性物質の核種分析検査を求めるも、「放射線はバックグラウンドと同じで問題ないといわれている。あなたたちが、そういうだけだ」としてすぐに去ってしまった。愛知県の田口室長も内部被爆を指摘したのだが。

◎撤去計画では、水も土壌も六価クロムとふっ素しか検査をしない。廃液の混入も考えられるため他の有害物質や放射性物質についても必要である。

◎撤去計画では、期間中の大気の測定は年に1回しかない。

◎撤去計画では地下水は完了後2年、大気などの他の項目は完了後は何も検査はなし。フェロシルトの粉塵による内部被爆の問題を指摘した県は、数年にわたり放射性物質の核種分析検査の実施を求めるべきでは。

 などの問題点があります。

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