国鉄施第16号
                    裁 決 書

                             審査請求人
                             愛知県瀬戸市上之山町3丁目
                              岡田 みどり 殿

 上記審査請求人(以下「請求人」という。)から、平成15年12月26日付けをもって提起された鉄道事業法(昭和61年法律第92号)第34条の規定に基づく索道事業許可に係る審査請求について、次のとおり決定する。

主 文

 本件審査請求は、これを却下する。

審査請求の要旨

 審査請求書によれば、請求人の主張する審査請求の主たる理由は、以下のとおりである。
 財団法人2005年日本国際博覧会協会が平成15年12月9日付けで申請した索道事業許可について、中部運輸局長は、当該索道事業許可申請書の内容が鉄道事業法第34条の規定に適合すると認めたため、平成15年12月25日に許可したが、請求人は次の趣旨を主張した。

@索道の支柱が保安林内に建設されることにより周辺住民に豪雨時等の土砂流出災害の危険性を及ぼすこととなり、当該索道の工事計画は索道施設に関する技術上の基準を定める省令第6条に違反している。
A当該支柱の設置予定箇所は、土石流災害地域に指定されており、たとえ軽微な樹木伐採や地形の変更であったとしても、豪雨時の土石流流出により周辺へ土砂災害が及ぶ危険性が非常に大きい。
B建設予定地周辺には多くの希少種が生育しており、木々の伐採、地形の変更、踏み荒らし等により希少種が絶滅する恐れがある。
C支柱建設に際しては資材の運搬などを大型ヘリコプターによるとしているが、支柱建設予定地は住宅から150mのところにあり、その騒音は我慢をできる限界を超えるものと思われる。
 @〜Cにより請求人は、財団法人2005年日本国際博覧会協会が計画している索道の建設作業は、近隣住民の法律上保護されるべき生存権、財産権及び静かで安全な生活を営む権利を侵害する行為であるとして、索道事業許可の取消を求め審査請求するものである。

決定の理由

 審査請求は、中部運輸局長が財団法人2005年日本国際博覧会協会に対して、平成15年12月25日付け中運鉄技第212号をもってなした、索道事業の許可処分の取消を求めて、審査請求をしたものと認められる。
 ところで、行政不服審査法により審査請求をなしうる者は、行政等の違法又は不当な処分により直接に自己の権利又は法律上保護されるべき利益を侵害された者に限られるところであり、本件許可は財団法人2005年日本国際博覧会協会に向けた処分であり、審査請求人の権利義務ないし法律上保護されるべき利益に何ら直接的影響を及ぼすものでないから、審査請求人は本件に関する不服申立ての適格性を有していない。
 よって、行政不服審査法第40条第1項の規定に基づき、主文のとおり決定する。
 
           平成16年4月16日

                          国土交通大臣 石 原 伸 晃
    

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