【提言1の関係資料
 
 
 
【5】貨物鉄道輸送の現状
@北陸本線JR貨物列車駅別本数



 
  列車本数(上下) 上り列車本数 下り列車本数 着 列車本数 発 列車本数
金沢貨物 48 25 23 33 39
富山貨物 47 24 24 39 41
直江津 43 21 22        
                               (出所)2006年JR貨物時刻表より作成
 
A東北本線JR貨物列車駅別本数




 
  列車本数(上下) 上り列車本数 下り列車本数 着 列車本数 発 列車本数
盛岡 59 28 28 54 53
八戸貨物 51 25 26 21 50
東青森 49 24 25 15 46
青森 47 23 24    
                               (出所)2006年JR貨物時刻表より作成
 
B2004年度JR貨物断面輸送量           (平日平均/300日 単位:トン)



 
路 線 トン数 路 線 トン数
北陸線・魚津        8,563 信越線・北長野        3,378
北陸線・敦賀        8,877 信越線・黒井        11,523
海峡線・八戸貨物        13,167 東北線・大宮        47,239
                                     (出所)日本貨物鉄道
 
【6】第三セクター鉄道と貨物線路使用料
  収入総額 線路使用料 収入に占める線路使用料(%)
青い森鉄道  8億786万円  3億6,023万円            44.59%
IGRいわて銀河鉄道 35億6,120万円 18億6,080万円            52.25%
 (注)青い森鉄道の線路使用料はJR貨物。IGRいわて銀河鉄道の線路使用料は「寝台特急収入・鉄道線路使用料」
 (出所)公共交通をよくする富山の会が2006年5月、青森県とIGRいわて銀河鉄道を視察・調査した際に入手した資料より作成
 
 
【7】IGRいわて銀河鉄道乗車人員の推移

 
01年度(JR時代調査) 02年度
 
03年度
 
04年度
 
05年度
 
増減数
01→05
  率
 
定 期   10,618   8,930   9,365   8,945   8,417  -2,201   -20.7
   通勤定期   3,680   2,990   2,639   2,515   2,398  -1,282   -34.8
   通学定期   6,938   5,940   6,726   6,430   6,019   -919   -13.2
定期外(寝台除く)   4,425   4,649   4,312   3,838   3,780   -645   -14.5
合計   15,043   13,579   13,677   12,783   12,197  -2,846   -18.9
解説=JR時代と比べ、お客様が大幅に減少(逸走)しました。これは人口減少を大きく上回っており、非常に深刻な状況です。主な理由としては、IGRになって運賃が高くなったことに加え、モータリゼーションの進展(道路整備や自動車台数の増加)により鉄道離れが進んでいることなどが考えられます。三鉄をはじめ全国の地方鉄道も同様な現象傾向であり、廃線に追い込まれた鉄道もあります。以下に券種別の減少要因を記します。
〔通勤定期〕普通運賃がJRの1.58倍なのに対し、通勤定期は2.12倍になりました。通勤手当等が支給されるため、家計に与える影響が小さいであろうとの考えで、収支を合わせるために他の券より高い設定にしましたが、マイカーやバス、新幹線にお客様が流れました。また週休2日制の今日では定期券では元が取れないため、回数券にシフトし、節約することで利用者が減少しています。
〔通学定期〕通学定期については、高校生数と同様の傾向を示しており、現在のところ大きな逸走はありません。これは政治的な判断で「いわて銀河鉄道経営安定化基金」からの補助金で、運賃を16年度までJR比1.35倍、19年度まで1.65倍に抑制していることが寄与しています。19年4月補助金が無くなり、1.99倍の運賃になります。(ちなみに、他の交通手段を選択できる大学生は17年4月の値上がりに伴い、減少しました)
〔定期外〕普通券・回数券とも高い運賃に対する敬遠と、自動車保有台数や免許ホルダーの増加等により減少傾向が続いています。
                         (出所)IGRいわて銀河鉄道発行「IGR沿線概要」より
 
 
【9】中部圏知事会議の緊急提言より
@並行在来線の自立的経営のための支援措置を求める緊急提言
 新幹線の建設に伴って経営分離される並行在来線は、収益性の高い特急などの優等列車が新幹線に移行するため、赤字化が避けられず、又今後同様の懸念が大きい路線である。
 にも拘わらず、その路線を引き継ぐ第三セクター等に対しては初期投資等に対する何の財源措置もないばかりか、資産の譲渡について時価とはかけ離れた価格設定がなされているのが現状である。
 新幹線の建設費を地方自治体が負担している現実にも鑑み、並行在来線の経営分離に当たっては、不採算路線の地方への負担の押し付けとならないよう、次の事項について特段の措置を講じられることを提言する。
 1、並行在来線を継承するために生じる巨額の初期投資に対する交付金の創設など、財源措置を制度化   すること。
 2、減損会計の強制適用により資産価格は収益性に基づき切り下げなければならないため、鉄道資産は   無償譲渡もしくは収益性に基づいた資産価格を設定すること。
 3、並行在来線は赤字は避けられず、又、今後同様の懸念が大きいことから、徹底した経営改善が必要    であるため、経営を安定させるまでの一定期間、財政措置を講じること。
 4、収益性の低い区間のみを分離するなど、並行在来線の自立的な経営が成り立たない不利な条件を地   方に求めないこと。
                         平成17年11月 中部圏知事会(長野県・松本で開催)
 
A北陸新幹線の早期全線建設についての緊急提言
1、長野から白山車両基地までと福井駅部の早期完成をはかるとともに、敦賀までの工事実施計画の一括認可 及び早期実現をはかること。
2、大阪までの整備方針の明確化を図ること。
3、都市計画事業と整合性を図るため、早期に駅整備事業などを推進すること。
4、事業を積極的に推進するため、公共事業の重点配分などによる建設財源の確保及び地域負担に対する適 切な財源措置を講じること。
5、JRから経営分離される並行在来線の経営が成り立つよう、初度開設に対する支援制度の創設及び既存補 助制度の拡充強化並びに事業用資産の取得に対する税制上の優遇措置、地方財政措置の充実等の措置 を講ずること。
                         平成17年11月 中部圏知事会(長野県・松本で開催)
 (出所) 中部圏知事会ホームページhttp://www.pref.aichi.jp/kikaku/chubuken/page/proposal%20_1711.pdfより
 
【10】日本、イギリス、フランスの輸送機関別輸送量の推移



















 
  貨物輸送シェア(億トンキロ、%)   旅客輸送シェア(%)
    1993 1997 2002     1993 1997 2002





 
 J  R  250(5) 243(5) 219(4)




 
  J  R   22 21 20
 民 鉄     4(-) 3(-) 3(-)   民 鉄   13 12 12
 自動車  2738(51) 3042(53) 3219(55)   バ ス   9 8 7
内航海運  2335(44) 2370(42) 2356(41)   乗用車   51 53 54
国内航空     8(-) 10(-) 10(-) 国内旅客船航空 5 6 7
  計   5335(100) 5668(100) 5807(100)        100 100 100

イギリ

 
 鉄 道  137(6) 169(7) 187(7)
ギリス

 
  鉄 道   6 6 6
 道 路  1345(64) 1571(67) 1593(62)   道 路   6 6 6
船舶・石油 287(14) 338(15) 672(26)
 
  個人車両  87 87 87
船舶・その他 235(11) 143(6)    航空   1 1 1
パイプライン 116(5) 112(5) 109(4)        100 100 100
     2109(100) 2333(100) 2541(100) フランス   鉄 道   7.8 7.7 10
フランス
 
 鉄 道  459(24) 548(22) 500(19)   道 路   90.5 90.6 89
 道 路  1153(61) 1661(67) 1893(71)   航 空   1.7 1.7 2
内陸水路  69(3) 57(2) 69(3)        100 100 100
 航 空  10             

(出所)(財)運輸政策研究機構「数字でみる鉄道2005」より
パイプライン 233(12) 221(4) 223(3)
     1914(100) 2487(100) 2685(100)
 
【11】欧州における地球環境問題解決のための貨物鉄道への支援策
(1)貨物鉄道輸送に対する考え方・方針
E U



 
道路輸送の拡大と共に鉄道離れ進行。このまま、市場原理にまかせると2010年には貨物鉄道輸送が消滅する可能性があると危機感。環境面から鉄道貨物輸送を基幹運輸部門支援。
91年「共同体の鉄道の発展に関する閣僚理事指令(91/440/EEC)」@鉄道インフラ管理事業と鉄道輸送事業の会計上の分離A鉄道事業経営の独立保証と財政構造の改善などを各国に命ずる。
フランス




 
環境問題対応のため、トラックによる輸送量をこれ以上伸びないよう鉄道にシフト。今後の輸送量の増加分については鉄道輸送を利用。2010年までに貨物鉄道輸送量は、99年の520億トンキロメートルから2倍の1000億トンキロメートルに。そのうち400億トンキロメートルは複合輸送。
フランス国鉄(SNCF)は、92年から環境担当局長職を設置し、鉄道の環境面での貢献を外部に訴えるとともに、環境団体や政府との環境面での対応をおこなっている。SNCFは、鉄道の複合輸送は、道路輸送と比較すると環境面で優位性は非常に高いと分析。
ドイツ

 
EUの中央に位置するドイツは通過トラックの貨物輸送が増加。酸性雨の影響で南部の森林が被害。環境問題が国民的な関心をもたらし、緑の党が環境問題への政策的な提案。
99年から環境税の導入。電気、ガソリン、ディーゼル、暖房用の軽油、天然ガスに課税。
スイス
 
憲法84条2項にアルプス横断の通過貨物は、鉄道によることが定められている。アルプスの環境を守るため、トラックから貨物輸送にシフト。
 
(2)貨物鉄道輸送への支援策とトラック輸送への規制策
  貨物鉄道輸送への支援策 トラック輸送への規制策

E U















 
92年EU白書。トラック輸送依存による問題を指摘し、鉄道や内陸水運の活用による輸送需要拡大。複合輸送の促進、欧州横断ネットワークの整備。欠落線をつなぐなどの方針。
94年EUの鉄道整備計画を定め、鉄道貨物に対する支援策を展開。ヨーロッパ横断ネットワーク(TEN)の具体的な14優先プロジェクトのうち10が鉄道に関するプロジェクト。財政面の支援のため欧州投資銀行EIFの融資など。
96年白書は、鉄道が利用者のニーズを捉えられなかった理由を分析。財務や、競争の導入、公共サービス、鉄道網の統合、社会政策について提言。
EUの方針として、旅客鉄道事業、貨物鉄道事業そのものへの補助を禁じている。但し、鉄道インフラ部分への補助は、複数の鉄道事業者が乗り入れのため重要であるため禁じられていない。
トラックの最大重量(総量)は40t。
総重量7.5t以上のトラックは、土曜日の夜10時から日曜日の夜10時まで通行禁止。バカンス時も走行禁止時間帯がある。
EU指令に基づき、自動車の排気ガス規制(CO2、NOX、PM微粒子)等の規制が3.5t以上のトラックに適用。
タコグラフの義務付けと車両規格の統制
大型貨物自動車の速度抑制装置が義務づけ。時速90q以上になるとエンジンの噴射装置を制御する仕組みで運用。
12t以上のトラックに道路通行料課す方針。






 

フランス

















 
インフラを担当するフランス鉄道ネットワー
ク(RFF)社へ駅や積替施設設備の半額補助。
貨物鉄道には、コンテナを列車からトラックに乗せ替える、トラックから列車にコンテナを乗せ替える複合輸送に補助。複合輸送とトラック直送の料金差を補填する。
財源は、1995年から高速道路料金に国土整備税を課し、その一部を地上及び水運特別基金に入れ、複合輸送を行う会社に助成。99年度の複合貨物輸送等に3億フラン(約54億円)の補助が出されている。
複合輸送トラックは、最高重量40t規制が44tまで緩和になる。
政府とSNCF(フランス国鉄)間で、コンテナ装備の低利融資に対する助成が年間数百万フラン(約9000万円)。
複合輸送のインフラ補助としてガントリークレーン等の施設への補助(国と自治体半々)。

 
EUの規制とほほ同じ基準。
日曜日、祝日は、終日総重量7.5t以上のトラックは通行禁止。
バイパスがある場合、トラック規制は自治体ごと。サントマリーントンネルでは、総重量3.5t以上は一切通行禁止。(国道の通行禁止は自治体の権限にない)
CO2、NOX、PMを96年から01年で30%減(これは技術的に解決している)。01年から06年でさらに30%減。微粒子は01年から06年で80%減。06年からはさらに厳しい基準の予定。
高速道路料金はパリ〜リヨンの主要区間で乗用車1に対してトラック24。
速度抑制装置(スピードリミッター)の義務付け。
運転手の一日運転時間は9時間。週に2回だけ10時間まで増やすことができる。4.5時間毎に45分の休息。週1回休日。違反の罰金は企業ではなく、雇用者個人(社長)が出すことになっており、抑制効果あり。

ドイツ









 
環境税はドイツ鉄道としては基本的に賛成であるが、重荷になる。2000年の段階で1億8300万マルク、2003年3億1200万マルクの負担。
複合輸送トラックは無税。例えば、指定された駅から往復で行く場合は無税、そのトラックが90%複合貨物輸送を行い、10%は普通トラックを活用している場合は10%の自動車税を払う。
複合輸送トラックは44tまで走行可能。日曜日はトラックは路上を走ってはいけないが、複合輸送は週末でも走れるという提案がなされている。
EUの規制とほほ同じ基準。
トラック運転手は一日最高9時間。一週間に2回は10時間以下、4.5時間走ったら少なくとも45分休憩。規定に違反したケースが見つかれば直ちに停車させ、強制休憩をとらせる。
タコグラフは、スピードだけでなく、運転時間と休憩時間と全部チェックできる。
路上で、輸送車両の長さ、高さ、重量を計測。重ければ重いほど道路を傷め、費用がかかるので、フェアーな輸送競争の観点から規制。
 

スイス













 
スイス連邦鉄道は、収入がわずかな割には出が多いため、全体でインフラ補助金が12億7300万スイスフラン、公共輸送サービス補助金6億8290万スイスフランが国から支出されるなど鉄道に対する政府の支援は手厚い。
ビギーバックには経費の50%が連邦政府の補助金として出る。ビギーバックは常に赤字。ビギーバック輸送に補助をして、道路通行料と同じくらいに価格を設定して利用者確保。石油輸入税の一部が使われる。
工場などの引き込み専用線の維持管理費投資費用は、連邦政府が補助。引き込み専用線の工事費の半分が政府補助。
騒音防止に対しても連邦政府が補助。

 
国民投票により1994年度にアルプスを通過した65万台を基本に、それ以上増えたトラックは、新しい道路を建設せず、全部鉄道により輸送することを決定。憲法に盛り込まれる。
大型トラックが走った距離数とそのトラックの重量によって通行料が決定される。料金を高めにし、鉄道を利用の促進が政府の方針。
排気ガス規制量により、トラック通行料を差別することにしている。
トラックは日曜日は通行禁止、平日は夜10時から朝5時まで通行禁止。ミルクの配達、集荷は一部のみ許可。
大型トラックの総重量は28tまで。但し28tトラックの年間の税金8000スイスフランを払えば、何十回何百回も走行可能。鉄道を使った場合、これから5〜10%安くなる。
 
(3)イギリスにおける貨物鉄道輸送に対する支援策
@トラックから貨物鉄道輸送へシフト政策    
 






 
 97年誕生の労働党ブレア政権は、自動車偏重の交通体系の見直しをすすめ、トラックから貨物鉄道へのシフトが決められる(新交通政策)。2000年から2010年間に、貨物鉄道輸送量の80%増、貨物鉄道シェアを7%ら10%に引き上げる。貨物鉄道輸送に40億ポンド(7900億円)を投じる目標を定める。
  





 
                            イギリスの鉄道民営化と現在
Aイギリス政府機関と貨物鉄道グループの関係









 
戦略的鉄道委員会の目的
鉄道ネットワークの利用拡大と発展の実現、旅客と貨物の総合輸送システムの発展に貢献。
戦略的鉄道委員会の戦略
道路混雑の解消、道路維持費用の削減、自動車事故によるコストの減少、自動車騒音の減少、大気汚染の減少、排ガスに起因する気候変動の影響減少。
 
 
 
 
 
B貨物鉄道補助制度の対象            D補助額の算出方法
 補助金対象は貨物鉄道事業者と顧客企業     環境負荷の軽減度を基にした補助額システム
 
(出所)株式会社 ジェィアール貨物・リサーチセンターの調査報告書「欧州主要国における地球環境と鉄道への誘導策に関する調査」(2000年9月)と「英国における貨物鉄道輸送システムに対する公的助成スキーム調査報告書」(2004年3月)より公共交通をよくする富山の会・渡辺眞一が作成。 
【12】二酸化炭素排出量とモーダルシフト
@
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
A
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                                    (出所)2004年11月19日第一回物流政策懇談会への提出資料より抜粋
 
【13】総合物流施策大綱(2005-2009)
 「経済社会の持続的発展を図るためには、経済効率性の追及だけでなく、環境問題へ対応が重要(中略)運輸部門の貨物自動車からの二酸化炭素の排出量については、自家用トラックから効率の良い営業用トラックへの転換、低公害車の導入、モーダルシフト、ITの活用による物流システムの全体最適化の進展により、減少傾向に転じ、平成14年には、京都議定書に基づく削減目標の基準年(平成2年)における排出量を下回る水準となっている。(中略)二酸化炭素や浮遊粒子状物質の環境基準を達していない測定局が都市を中心に依然存在(中略)。またCO2排出規制に関しては、旅客分野を含む運輸部門全体では見込み通りに進んでおらず、京都議定書に基づく削減目標の確実な達成のためには、従来からの取り組みに加え、物流分野においては、荷主企業と物流業者との連係・協働をはかる・・・・・。」
 同時に、総合物流施策大綱は、「ジャストインタイムに対応した多頻度・小ロット輸送」や「道路交通の円滑化を確保」などを掲げている。
                        (出所)「総合物流施策大綱(2006-2009)」2005年11月5日閣議決定