この「パークアンドライドから・・・」の報告は、富山地方鉄道労働組合から文書による報告として「公共交通と市民生活を考えるシンポジウム」の当日参加者に配布されたものです。

 
パークアンドライドから・‥
 
                  平成14年6月29日(土) 富山地方鉄道労働組合
 
1、バークアンドライドとは
(1)言葉の意味
 この言葉は、ここ数年で全国的にはメジャーになってきました。郊外にある電車の駅やバスの停留場の近くまで自家用車や自転車・原付きバイクで行き、そこに併設された駐車場に駐車して(PARK)、そして(AND)、電車やバスなどの公共交通機関に乗る(RIDE)という意味です。電車利用はパークアンドレールライド、バス利用はパークアンドバスライドとなります。
 駐車場は原則として無料です。
 自動車の持つ便利さと公共交通とを融合させた、非常に優れた交通システムであると考えられています。
 LRT(超低床電車)を導入しているヨーロッパの都市では、このシステムは既に当たり前になっています。日本国内ではようやく各地でパーク・アンド・ライド実験が行われてきている状況で、ヨ―ロッバ各国に比べるとまだまだ遅れているといえます。
 
(2)パークアンドライドの類似形態
@パークアンドバスライド
  自家用車と駐車場、そしてバス利用を組み合わせたもの
Aキスアンドライド
  家族により、駅や停留所まで自家用車送迎と公共交通を組み合わせたもの
Bサイクルアンドライド
  自転車と駐車場、そして公共交通を組み合わせたもの
Cパークアンドプール
  自家用車と駐車場、そして自動車の複数人の相乗りを組み合わせたもの
 
(3)意識改革
 パーク・アンド・ライドの運用を定着させるには、利用者の意識改革が必要です。どうしても―旦自家用車から降りて電車やバスに乗る手間がかかりますので、そうまでしてもパーク・アンド・ライドを利用した方が速くて安くて快適、そして安心であることを認識してもらう必要があります。と同時に実際にこのようにするために、各組織・機関・団体のあらゆる協力と努力が必要となります。
 
(4) 受益
 パーク・アンド・ライ ドもーつの商品といえます。利用者(消費者)に選択していただける商品でなければ成りません。
 駐車場は出来るだけ幹線道路近くに設置して、車とのアクセスを利用者にとってわかりやすくかつ楽にする事が必要がです。そして駐車場と電車の駅、バスの停車場はすぐ隣接した場所に設置して、階段など段差無しでいきき出来るようにすることも大事な必須条件となります。 また、行政だけでなく商店街も―緒になって利用者を増やす施策を講じることも重要となります。
 例えば、比較的に大きな物を中心街に買いに行き場合には、車でないと荷物が運べないので、そのようなときは商店街や運送会社も協力して、電車やバス利用者に対して無料の宅配サービスを行うというのもよいでしよ う。
 パーク・アンド・ライド利用者の中から抽選で毎月数名に1日電車やバスフリーパスや商店街の商品券が当たるなどという、プレゼント企画も考えられる―つです。
 
2.富山県の現況
(1)経過
 県と市町村、交通事業者でつくる「県公共交通利用促進協議会」では、昨年から富山県内の10自治体で取り組みを行ってきたノーマイカーデーに対して、全県統―実施日は指定はしないものの、自治体職員や自治体議員のみならず民間企業にも協力を幅広く呼びかけ、4月からの取り組みを県内全域に拡大しました。
 一部機関だけの取り組みでは、公共交通の維持活性化や渋滞の緩和、環境問題、市街地の空洞化などに大きな効果が期待できないと判断した結果、マイカー中心の移動手段の県民に対して公共交通手段への転換を促す、全県を対象にした運動に発展させることになりました。
 富山県では道路交通混雑等の理由によって、公共交通に変更(シフト)する可能性と必要性が低い状況です。さらに、施策によって通勤・通学の需要性が高まる地区や地域が無いとさえ言われていますが、営利追求のみでなく社会価値としての公共交通維持の必要性が徐々に認知されてきています。しかしながら、交通事業者は、実施日に利用できる割引回数券を発行するなど、連携して運動の定着に前向きです。
 そこで富山地鉄労働組合(協賛=富山県交通運輸産業労働組合協議会)では「パーク・アンド・ライド」に絞り込んで運動を展開することで、富山県の公共交通活性化に弾みをつけたいものと考えました。
 
(2)取り組み
 今日まで、皆様の協力を得て富山県内の電車・バスなどの交通弱者の移動手段確保のため、「県民の足を守る富山県民会議」を組織して、公共交通を守り維持してきました。
 公共交通維持活性化施策の―つとしてアンケートを行い、ノーマイカーデーの実施運動にともなった「パ―ク・アンド・ライド」の利用促進に向けた取り組みの―環として、実態の把握に努めたいと考えました。
 
(3)P R活動
 「ノーマイカーデー」の言葉と意味は知っていても「パ-ク・アンド・ライドシステム」の言葉は知らない、まして意味までを知っている人は皆無に等しい状況です。去る、3月15日(金)JR富山駅前周辺で7時30分〜8時30分まで、JR高岡駅前周辺では7時〜8時までの約1時間にわたって「ノ-マイカ一デー実施の協力呼びかけ行動」を行い、ティッシュとチラシを配布しながら、PR活動を行いました. 更に、今月26日(水、県のノーマイカーデー運動日)には、JR小杉駅と地鉄舟橋駅街頭で朝のラッシュ時間帯にアンケートとPR用のティッシュとチラシを併せ配布を行い、広く県民にPRを実施しました。
 
3.〇〇を考えよう!パークアンドライドから
(1)交通安全をパークアンドライドから
 日本は、世界でも例のない早さで高齢化社会が進んでいます。とりわけ富山県では総人口のに対する老年人口の割合(老年人口比率)が、平成7年では全国平均14.5%が富山県では17.9%でした。平成17年の推測では、全国平均19,6%に対して富山県は22.5%にも上昇し、県民の4人に1人が高齢者という状況が予想されます。
 交通事故死亡者において高齢者の占める割合が年々増加しており、平成11年からは 50%を越え、全国平均(34%)を大きく上回っています。
 高齢者や障害着など、交通弱者と言われる人たちが安心して買い物や外出が出来る環境づくりが大きな問題となっています。公共交通(ノーマイカーデーとパークアンドライド)を推進して、安全な交通網を確立することが重要な時期といえます。
 
(2)交通渋滞解消をパークアンドライドから
 オフィス街や市街地とその周辺道路は、自家用車をはじめとした増加が進み、通勤退社時間帯を中心に交通渋滞が起きています。道路整備や拡幅、幹線の延伸や舗装などでは、交通渋滞の解消に歯止めがかかりません。
 パークアンドライドで公共交通を利用し、安全で時間に確実な通勤や買い物はいかがですか。
 交通渋滞が緩和されれば、公共交通のバスや業務周章両が走行しやすくなります。そして、渋滞の心配が無くなれば、安全・快適。確実な公共交通を利用するはずです。更に刊用者が増えると、電車・パスの便数や系統・始発や終発時間が見直されて、ますます便利さが拡大します。
 
(3)健康とコミュニケーションをパークアンドライドから
 人間には、毎日20分から30分の運動が必要とされています。最寄りの駅まで徒歩や自転車・自家用車で移動、駅から会社まで徒歩で通勤することによって、1日に必要な運動量を無理なく摂取することが出来ます。健康と体力の維持にも―役かえるのがパークアンドライドシステムです。
 最近、少なくなったと言われる人間相互問のコミュニケーション。昔は、帰り道に「ちよっとー杯」が合い言葉で多くの親睦が図られていました。このコミュニケーションがとれないために、先輩や上司に相談が出来なかったり部下の考えていることが理解できないなど、ソフトでメンタルな分野のフォローが出来ていないことが―杯。
 パークアンドライドで通勤を始めたら、『ちょっと気軽に―杯」があなたの悩み事を解決するカギやアドバイスを与えてくれるかも。
 
(4)環境問題の警鐘をパークアンドライドから
 産業や日常生活・自家用車から排出される二酸化炭素は、地球温暖化の大きな原因となっています。輸送機関別に排出される二酸化炭素の半分以上がマイカーから排出(自家用車45に対し、乗合バス19、鉄軌道5)されています。
 このまま自家用車が増加すると、地球環境(温暖化・騒音。振動)が破壊されます。公共交通は地球にやさしい乗り物です。
 
みんなで乗って残そう!公共交通
 
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