北陸本線−いまの問題といくつかの提案<資料集>
 
 
<資料2>整備新幹線は「開発投資型」
 「新幹線は、21世紀においても十分な役割を果たすことができる都市間高速交通機関」「各新幹線は・・・大きく二つのタイプに類型化できる点である。並行在来線の隘路(あいろ)打開という交通政策上の要請から整備される『需要追随型』の新幹線と、国土の均衡ある発展という国土政策・地域政策上の要請から整備される『開発投資型』の新幹線である」「整備新幹線は、整備計画の決定以降、常に政治の舞台で議論されてきたが、事業サイドよりも政治家サイドから建設を望む声が大きいのは、開発投資型である所以であろう」
<「新幹線と地域振興」交通新聞社、三菱総合研究所平岩和昭著>
 
<資料3>金沢貨物ターミナル駅
 コンテナを本線上の列車から積み卸しす るE&S方式。03年6月12日開業 
 ・着発線 5線(着発線荷役2線)
 ・到着線 1線
 ・コンテナーホーム 3面
 ・総面積 109,000u
      <JR貨物ホームページより>
 
<資料4>北陸地域の貨物流動




 
  輸送トン数(千トン) 構成比(全国比)
  全機関 鉄道貨物 自動車 全機関 鉄道貨物 自動車
 発 量  215,826 981 212,885 3.4 2.5 3.7
 着 量  226,226 1,026 216,166 3.5 2.6 3.7
 域 内  194,378 20 192,508 3.8 0.3 3.9
                 <平成12年度「貨物地域流動調査」運輸政策研究機構>
 
<資料5>鉄道ブロック別貨物輸送トン数              (千トン)
  北海道 東 北 北信越 関 東 中 部 近 畿 中 国 四 国 九 州 合 計
富山発 37 27 104 314 67 113 22 6 68 758
富山着 25 14 276 74 22 63 18 24 27 543
 (注)1、北信越は、新潟、長野、富山、石川。2、域内流動を含む。
           <平成12年度統計、「北陸信越の物流」平成14年版北陸信越運輸局>
 
<資料6>モーダルシフトの目標(2010年までに地球温暖化策推進大綱に基づく目標値)
  CO2排出削減量 モーダルシフト量 輸送機関分担率
トラック鉄道 70万トン 28億トンキロ 約3.6%
トラック内航海運 370万トン 181億トンキロ 約44%
         <モーダルシフト推進に向けた平成15年度アクションプログラム、国土交通省>
 
<資料7>21XX年富山平野は降雪ゼロ!?
 「『20年で平均気温0.6度上昇』し、百年後には、県内平野部に雪が降らなくなる!? とやま21世紀水ビジョン推進会議の地球温暖化専門委員会が行った将来の降雪シュミレーションは、2020年代に沿岸部で雪が降らなくなるという結果をはじきだした」  
                          <03年3月8日「北日本新聞」夕刊>
 
<資料8>貨物輸送は線路に莫大な負担、耐用年数は20年ちぢまる 
 「貨物輸送を行う場合は重軌条の線路が必用になり、しなの鉄道が旅客輸送を行う場合に比べて修理・保守・改築コストが嵩む。例えば千曲川橋梁をはじめとする橋梁は、しなの鉄道の6両編成の車両300トンに比べ、1000トンの重量に耐えなければならないが、そのために軌道の耐用年数は60年から40年に低下し、減価償却は大幅に増加する」
  <「新幹線と地域振興」交通新聞社、三菱総合研究所平岩和昭著、香川正俊氏の論文を引用>
 
<資料9>移動距離10q、所要時間30分の交通が約85%を占める(富山市内)
 移動距離で10q程度を境にして、それより長距離の交通は大幅に減少する特性がある。時間帯別トリップ数の分布でみると、30分前後にポイントがある。◎市民の交通行動の距離対別分布を見ると、概ね10qを境としてトリップ数が大きく減少し、累積分布でみると、10qまでの交通が約85%を占める。◎距離帯別トリップ数の分布において、上記の85%に達するポイントを見ると、概ね30分の所要時間となる。    
                   <富山市交通マスタープラン第2回協議会資料より>
 
<資料10>住民参加と合意形成で自動車サイズから「ひと」サイズに
 欧米で路面電車を活かした交通まちづくりをすすめている背景には、人が住むのに望ましい都市のあり方を追及した結果、人間優先のまちにこそ都市における豊かな生活に繋がることに気づいたからである。そのためには公共交通を整備して、都市を自動車サイズから「ひと」のサイズに戻し、回遊性を高め、魅力度を向上させるとともに、自動車による環境負荷を減らして、持続可能なまちづくりを進めようとしている。
 しかし、狙いどおりの成果をあげるためには、住民が自動車の利用を控え、公共交通を中心とした生活に切り替える必用がある。住民が新しいまちづくりの方向性に合意し、その目的を理解しないと、自動車から公共交通への転換はすすまない。
                          <学芸出版社「都市と路面交通」>
 
<資料11>長野田中知事は、しなの鉄道の「上下分離方式に否定的」
 「01年(平成13年)12月しなの鉄道経営改善検討委員会は、『しなの鉄道経営改革に向けての提言』を発表した。この『提言』は、『上下分離方式』や並行在来線にたいする国の公的負担を求めるなど、私たちの会でも当然、注目するところとなった。『提言』は、『県としなの鉄道との役割分担を明らかにすること、県等の負担に一定の限度を設けること』が重要だとしたうえで、線路、電路等の下部インフラの3分2程度を県等が所有する上下分離方式が適当である』とした。これに関して、今回の視察で明からなったことは、『田中知事は上下分離方式に否定的』であるということだ。それは『イギリスの上下分離方式は、インフラの保守がおろそかになり、事故が多発』した。『鉄道は本来上下が一体となって運営されるべきもの』という理由から、“知事は否定的”であるという説明だ。」    
           <公共交通をよくする富山の会パンフレット「しなの鉄道視察旅行リポート」>
 
<資料12>イギリス、レールトラックの破綻
 レールトラックは1994年4月イギリス鉄道公社から約1.6万qの線路、信号施設、駅、車両基地などの鉄道施設の所有、管理が分離され、レールトラック社に移管、1996年5月完全民営化となった。2001年10月7日33億ポンドの負債を抱えて倒産した。
 破綻の原因は、1)投資は主に大規模プロジェクトに費やされ、線路のひびなどのインフラの老朽化の保守まで手がまわらなかった。大事故発生と信頼性の低下。
 2)株主への配当を重視するあまり、設備投資軽視。
 3)民間企業として自主的な施策を実施できなかったとの指摘など。
          <「運輸と経済」02.4、小役丸幸子「レールトラックの破綻をめぐって」より>
 
<資料13>国も「上下分離方式」の方向で動きだしている
 公的主体等がインフラを整備し、運行は運行業者が効率的におこなう「上下分離方式」。運行業者とインフラの整備主体が原則として別人格であってインフラ整備に公的主体が関与する場合を広く上下分離方式と呼称する。
・「償還型上下分離方式」−公的主体が整備したインフラを運行業者との契約等により有償で貸付ること等により、最終的には、整備に要する資本費の全部又は一部は運行事業者や利用者においた負担。
・「公設型上下分離方式」−公的主体自らの財源によりインフラを整備・保有し、運行事業者を確保した上で、これを一定の考え方に基づき運行事業者に対して貸付。
                            <2000年運輸審議会答申より>
 
<資料14>「上下分離」と02年12月「勝山サミット宣言」
 鉄道事業者・地方公共団体・利用者は、鉄道が未来に引き継ぐべき貴重な資産であり、安全面、環境面、経済面において、持続的で質の高い交通体系にとって重要な役割を担うことを自覚し、鉄道と道路交通が、公平な競争条件の下に各々の機能を効率的に発揮できるよう、鉄道のインフラ部分が公的に保証され、いわゆる「上下分離」が地方鉄道施設の基本となるように、国および関係機関に強く要望する。
 
<資料15>富山県の道路は、満足度トップ(順位表)

















 
質  問 02年 03年 質  問 02年 03年
よく利用する道路全般の満足度

 
3位

 
3位

 
よく利用する道路の歩道の歩きやすさや、自転車での走りやすさについて 4位

 
9位

 
よく利用する高速道路や有料道路についての満足度 3位
 
2位
 
よく利用する道路の沿道の景観について 3位
 
23位
 
よく利用する国道、県道などの幹線道路についての満足度 2位
 
3位
 
異常気象時の家の周りの道路状況について 36位
 
31位
 
よく利用する生活道路についての満足度 2位
 
2位
 
よく利用する道路の路上工事のやり方について 6位
 
16位
 
よく利用する車の流れや渋滞について 2位
 
2位
 
日常生活を営む上で十分な道路ネットワークの整備状況について 2位
 
3位
 
よく利用する高速道路や有料道路の車の流れや渋滞について 4位
 
4位
 
現在の有料道路や高速道路の料金について 10位
 
5位
 
家のまわりの沿道の環境について 1位
 
1位
 
道路行政の変革について
 
13位
 
7位
 
よく利用する道路の車で走っている場合の安全性について 4位
 
5位
 

 

 

 
                <国土交通省HP、道路行政の評価、利用者満足度調査結果>
 
<資料16>道路普及率について北陸4県と全国比較
 <1998年4月1日現在>

 
平方q当たり道路延長(m) 千人当たり道路延長(m) 道路率(%)
 
自動車一台当たり舗装延長(m)
富山県 597 2.26 1.68 3.5
富山県の全国順位 11位
 
19位
 
20位
 
5位
 
石川県 582 2.11 1.66 2.9
福井県 529 2.70 1.34 3.1
新潟県 529 2.58 1.50 3.2
全国平均 463 1.42 1.53 2.0
 
 <2000年4月1日現在>

 
平方q当たり道路延長(m) 千人当たり道路延長(m) 道路率(%)
 
自動車一台当たり舗装延長(m)
富山県 944.1 2.36 3.11 2.7
富山県の全国順位 5位
 
19位
 
10位
 
7位
 
石川県 597.8 2.12 1.99 2.3
福井県 550.7 2.78 1.61 2.6
新潟県 603.1 2.66 1.98 2.5
全国平均 481.6 1.44 1.79 1.7
 ・平方q当たり道路延長(m)=国・県道延長/県別面積。・千人当たり道路延長(m)=国・県道   延長/人口。・道路面積=高速道から市町村道までの道路部面積。・道路率=道路面積/県別面   積。・舗装延長=簡易舗装を除く。             <90年、02年「建設統計要覧」>
 
<資料17>新幹線が開業しても地域は栄えることはない
 「新幹線が整備されさえすれば、自ずと地域は発展していくのか? 答えは『ノー』である。新幹線は、地域振興の必要条件ではあるが、十分条件にはなり得ない。沿線地域が一体となった受け皿整備、すなわち新幹線を上手に活用した適切な地域振興方策が実施されて、はじめて地域振興が図られるのである」    
              <新幹線と地域振興:交通新聞社、三菱総合研究所平岩和昭著>
 
<資料18> 富山県の2003年度交通関連予算一覧(概算)      (単位:千円)
事業名 予算額 事業名 予算額











 
広域高速交通体系整備
 北陸新幹線建設費
 北陸自動車道等建設促進費
 富山空港拡張整備費
 伏木富山港改良整備費
アルプスゴールデンルート調査



 



 
7,234,258
4,378,756
3,440
395,785
920,000
800



 



 
交通安全対策
 交通事故抑止対策(高齢者)
5,080,588
114,812
除雪消雪、除雪機械など雪対策 5,278,595
林道開設・整備など 3,266,480
空港、港湾等の整備と活用 7,245,362
新時代に対応した交通施策
 低公害バス導入促進事業費
 鉄道駅などのバリアフリー化
 
 
33,207
6,750
5,000
 
 
地域交通体系の整備
 県単道路維持修繕費
 道路橋りょう改築費
 直轄道路事業費負担金
 公共交通活性化総合対策
 バス路線維持対策費
 県営駐車場管理費




 




 
38,136,939
4,160,000
9,826,000
8,660,000
246,445
370,360
133,255




 




 
低公害車導入事業費 73,552
交通騒音実態調査費 1,347
富山駅南北一体化道路調査費 3,500
都市計画・県単など街路事業費 6,339,800
福祉バス運営委託費 5,263
通過車両認識システム 48,833 農道・農免道路整備推進事業 1,742,859
県単港湾運河維持修繕費 314,000 合    計 74,804,583  
  (注) 1、細目は主なもの  2、03年度県予算(一般会計)総額5601億円
  (参考) 民生費374億円、商工費404億円、土木費957億円(03年度県予算)
 
<資料19>JR北陸本線の資産と初期投資額   (単位:億円)





 
   項目      県東部区間     県内全域 
  JR資産購入      約97      約162  
  車両購入      約16      約27  
  施設設備      約2       約3  
  開業準備      約6       約9  
  合   計      約121      約201  



 北陸新幹線の県内工事費 は約6000億円。     県負担は2000億円




 




 
       <01年2月「並行在来線経営概況調査」より 算出>