僕が一番初めにワークショップを見学した時に感じた事は、稽古をして
いる人達の声がスゴクよく出ると思った事だ。口だけじゃなく、体全体
から声が出ている印象を受けた。
ワークショップに参加してみると、声を出すためには体の訓練が必要だ
という事がわかった。人間は普段の生活の中で常に体が緊張している。
特に肩や、背中などが塊っている。訓練によって、その塊を取ることに
より声が体全体から出るようになる。
"ファリファリ"とここで呼ばれている訓練方法がある。下半身に力を入
れ上半身には余分な力が入らない様に載せ、腰を中心として、左右に回
転運動をさせる。この運動によって上半身の普段使っていない筋肉をほ
ぐし、リラックスした状態にする。実際に、自分は、このファリファリ
の訓練をする事により、体の緊張が大分取れるようになった。この訓練
の時に林さんがおっしゃられているのが体を一つにつながる様にする事
が大切という事だ。腕や足、頭、表情など動かす時も、その一部分だけ
動かすのじゃなく、体全体のエネルギー、体の中心から動かす。ファリ
ファリは、体全体をつなげる訓練方法でもある。自分としては、体を一
つにつなげるという事は、逆に体を一つのパーツに分解できないと駄目
だと思う。首だけインド人の様に動かすとか、胴だけ動かすなど。自分
の体のあらゆる所をコントロール出来る事により、より一つにつながっ
た体にできると思う。
この訓練をした後に声を出してみると、自分でも驚くほど声が出る事を
感じた。大きな声を出した時も、ただうるさいのではなく、うまく表現
できないが強さのある声が出ると感じた。
声の訓練の時に気をつけている事は、イメージでかためた様なセリフを
出さないと事だ。表現しようとセリフを言う時には、ニセモノの様な声
が出てしまい、気持ち悪い感じがする。一度頭の中をカラッポにして、
体の状態のまま言葉を出す。そうすると真実の声というか、体に違和感
のない声が出る。自分の頭のイメージで縛りつけていたものを一度取り
外す事により、乾いた声から生命力のある声になると自分では感じてい
る。その後に頭の中のイメージとつなげていく。これは、人によって違
うかもしれないが、頭のイメージは頭の中で考えるんじゃなくて、頭の
外で考えるというのが僕の感覚だ。その方が空間の中に存在している気
がする。
このワークショップに参加してみて、体を使うことの重要性がわかっ
た。いかに人間が普段の生活の中で体を使っていないかも認識できた。
体と声も別々のものじゃなくて一つにつなげられる様に訓練する大切さ
と実際の成果も実感できた。
何事も、ローマは一日にしてならず、日々精進です。
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