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いつもは5〜6人の組で行うFサークル、今日はWさんと私、二人のコラボレーション
だ。
まず始めは各々、基本運動、箱割りの姿勢から。骨盤を立て背筋を伸ばし腰を軸に回転
運動、そして体重移動、日常生活で固まっている身体内部の筋肉を自分の体に問いなが らほぐしていく。
次第に身体エネルギーを空間に放出したり溜めとどめたり、相手のエネルギーを受け入
れ変換しまた放出する、身体の触角のようなものが研ぎ澄まされてくる。ここで得た身 体感覚がFサークルの起点であり発信地だ。
次に基本テクストを使い気息と身体の関係を確かめながら、身体による負荷もかけて発
話を組み立てていく。そこからダイアローグ空間へ身体を運び始める。周りの物質、そ こに居る人、音、空気の温度、湿度まで空間の全てに在るものを感受して動いてみる。
社会生活では言動が慣習化されていて潜在意識がこうしたいと思っていても顕在意識が
警笛を鳴らし制御をかけるから、知らず知らずのうちに身体や精神に緊張が蓄積され、 それが病気の原因になったりする。
けれど、今、私の目の前に開かれている空間は自由に泳げる、慣習から解き放たれた場
だ。
身体が温まり汗をかき少し疲れてくると逆に集中力が高まってきて、相手や自分のエネ
ルギーの流れ、動きの変化の細部まで感じとれるようになってくる。宙に浮いた少し高 い処にもう一人の私がいて、この二人のコラボレーションを即興的に組み立てているよ うな、そんな感覚になってくる。
今日の相手は私がどの位置にいてどう動いているのか察知していながらも、私を避けて
一人歩きする方針らしい、と分かると次第に遊び心が生じてくる、相手に変化を仕掛け たりちょっかいを出したくなってくる、だがそれも相手の行動範囲を侵さないギリギリ の位置を保ちながらだ、そうしないと互いの気の流れが作り出している空間の張りが壊 れてしまうから。これは暗黙の了解の遊びのルールだ。
身体の中からいろんな声が動きがリズムが湧き出てくる。
時にはふっと力を抜いて素の状態になったように見せかけて仕掛けたりもしてみる、そ
れでも相手は執拗に私を避けて一人歩きしようとする、面白い、こんな応酬が滞まる事 なく変化していき一瞬一瞬の連続を作り出すからいつまでも続けていたくなる。
これが遊びだと思う。
こんなふうな遊び方を私は犬や猫や猿など自然界に生きる動物たちに見たことがある。
今此処でこの瞬間しか紡ぎだすことのできない遊び、一生に一度だけ遭遇する貴重な生
の体験を今私はしているのだな、と思う。
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