2016年01月07日(木)  少年画報 

 新年明けてもう1週間。今年はまだ何も始めていない。今日は古い友人H君宅へ年始挨拶を兼ねて「少年画報」(昭和35年正月号の復刻版、税込¥5500)を受け取りに行った。昨年12月にテレビのワイドショーで私がこの復刻版のことを知り、H君に共同購入を持ちかけて即OKをもらった。Amazonのマーケットプレイスで6日に注文したら7日に届いた。早速H君のところへ届け、先に1か月預けておいたのだ。我々団塊の世代には懐かしい雑誌である。昭和30年代前半の頃の私は「月光仮面」にハマっていたのだが、それが載っていたのは「少年クラブ」で、少年画報は「赤胴鈴之助と「まぼろし探偵」が目玉漫画になっていた。
 月光仮面とまぼろし探偵には白紙ノートにコマ割りをして自分でもマネをして漫画を書いていたほど熱中していた。そういうことはH君の方が先輩で、彼は私の<師匠>だった。お互いに書いたものを見せ合ったりしていた。以後お互い趣味が変わらず、今でもこうして復刻版を買っている。

少年画報本誌と10冊の付録!  本誌と10冊の付録!

 当時子供向けの雑誌は週刊誌(少年サンデーなど)が出るまでは月刊誌が中心で、付録の漫画が5〜6札付いて値段は¥120〜150。毎月父からこの金額をせしめるのに大変な思いをした。オートバイの中古販売をしていた父はある時など私にバケツ一杯の鉄くずを持たせ、近所の「鉄くず屋」さんで換金してくるよう命じたこともあった(それで本が買えたかどうかは記憶がない)。
 この復刻版を手にして「そうそう、あった、あった」と思ったのが「かみなり童子」。全く記憶から消えていたが、絵を見て、そして原作者が川内康範であることもいっぺんに思い出した。川内康範は言うまでもなく月光仮面の原作者であり、「おふくろさん」「誰よりも君を愛す」など多くの歌謡曲の作詞者でもある。我々の世代にはなじみの深い作家である。H君が彼の原作ものを見つけては次第ノートに記録していたのをよく覚えている。

 まぼろし探偵には夢中になった。父の鳥撃ち帽子を拝借し、独特の形状のマスクは自作、手ぬぐいをマフラーに変装ごっこをしてよく遊んだ。必携アイテムの拳銃は駄菓子屋で買った100連発銃だ。自作の連載漫画も月光仮面に次いで多かったと思う。今でも顔くらいは書ける。→
 興味深かったのはまぼろし探偵の容姿が連載開始からどんどん変わっていったこと。顔も変わったが特に独特のマスクが変化していくことに強い関心を持った。原画者の桑田二郎先生の画風の変化なのだが、子供心に「進君(主人公の名)もやっぱりマスクを時々新しくするんだ」などと思っていた。  赤胴鈴之助はある意味国民的漫画にまでなった傑作だが、絵にはあまり興味はなく、自分では書くことはなかった。だが鈴之助の「真空切り」を真面目に練習したことがある。こういう人は意外と多いかも(いないか...)。今でも冬の木枯らしに枯葉が渦を巻いているのを見るとそのことを思い出す。


 2007年03月09日(金)  「月光仮面」(つづき)

 きのうはつたない絵をここに載せてちょっと恥ずかしい。小学生のときに一所懸命練習してここまでになったのだが、そのままで止まってその後の発展はない。
 「月光仮面」の第1部は「どくろ仮面」の巻であるが、この巻はテレビや漫画のほうは実はあまり覚えていないで映画を覚えている。。映画では、どくろ仮面がオートバイで追ってくる月光仮面に向かって、クルマの上から火を噴いていたのを鮮明に記憶している。どうやって火を噴くのか真剣に考えたものだ。この巻ではたしか「H・O蒸発爆弾」というのが出てきたはずだ。どくろ仮面の正体はこれを発明した科学者のライバルの科学者だったと思う。そのことが印象的だった。この爆弾は原作者の川内康範先生の”発明”だと思うが、第2部の「バラダイ王国の秘宝」編でも「メトン爆弾」というのが出てきて先生の爆弾好き(?)が面目躍如としている。
 あと、「どくろ仮面」は小説でも読んだ。どうやって手に入れたかは例によって記憶にないが(たぶん友人H氏から借りた?)、石原豪人の挿絵がとても好きだった。まるで実写真のようで、ほんとうに月光仮面がいるような気がした。
 さて、第2部「バラダイ王国の秘宝」編は、やはり「月光仮面」の中の白眉であろう。怪人「サタンの爪」は月光仮面の最大のライバルである。テレビでは正体が普通のオッサンだったが、桑田次郎氏の漫画では顔がお面ではなく完全に「サタン」だった。手も指がそのままとがった爪と化していた。まさに冷酷・非情な悪魔で(「スラバ・サタン」の末裔とのこと)、仲間でも警察につかまるとすぐに殺してしまう。こどもにはなかなか刺激が強かった。対する「月よりの使者・正義の味方、月光仮面」は、まことに絵にかいたようなスーパーヒーローで、いつでもどこでも現れ(このとき必ず『月の光を背に受けて・・・』というスローな「月光仮面の歌」が流れる)、覆面・サングラス・マントという格闘するにはさぞ戦いにくいだろうコスチュームにもかかわらずめっぽう強い。拳銃は百発百中。「たーっ!」という気合とともに地上から屋根の上にでも上がれる。
 ところで、「月光仮面」で忘れてならないのは、名探偵・祝十郎である。月光仮面の正体は彼であるといわれている。確かにテレビでも漫画でもこの二人が同時に会ったことはないし、テレビではどうも月光仮面の声は大瀬康一(祝十郎役)のような気がする。でも決定的証拠はない。まぼろし探偵が実は富士進少年であることは、読者は常に知らされるのと好対照である。月光仮面が謎の人であることは「月光仮面」の最大のロマンである。
 (このテーマ、まだまだ続けられるなあ・・・)

 2007年03月08日(木)  「月光仮面」

 長年の友人、H氏が昔懐かしのテレビドラマ「月光仮面」のDVDを大人買いした。といっても1枚500円のDVDが7枚だから大したことはない(「月光仮面 バラダイ王国の秘宝編 Disc1」発売元ArtStation)。しかし、我々団塊の世代としてはこれは画期的ニュースである。つい2〜3年前まではビデオテープににテレビドラマ1〜2本が入っているだけで何千円もしたものだ。これは著作権の期限切れと関係あるのか(よく知らないが)。
 さっそくお借りして(買えよ!)全部観た。よく、こどものころ観て感動したものを大人になってから観ると幻滅すると言われるが、そういう歳は過ぎている。もう還暦も近くなると酸いも甘いも噛み分けていて、その辺は心得て観ているから、それなりに感動できるのだ。もちろん観るに耐えない部分はあるが、そこはDVDのいいところで飛ばし観できる。そして、あの時代によくまあここまでできました、と二重丸をあげたくなる場面もちゃんとある。たとえば東京駅や有楽町などの駅での撮影や、クルマとバイク(もちろん月光仮面の!)のカーチェイスなどは今見ても面白いと思う。
 月光仮面の正体を簡単に祝十郎だというものがいるが、テレビドラマや漫画、あるいは川内康範先生の原作(先生、お元気でしたね。まさかこのごろのワイドショーでお目にかかれるとは!)にもそんなことはひとことも書いてない。月光仮面の正体を知っているのはこの「バラダイ王国の秘宝編」に出てくる「ハンチングの由」だけである。彼は死の間際の頼みとして月光仮面から正体を知らされ、「ああ、やっぱりオレの思ったとおりの・・・」といって死んでいくのである。当時、そのシーンをテレビで観てどれほどうらやましかったことか。
 月光仮面についてはまた続きを・・・

 こどものころ覚えたものは今でも描けるものだ。ちなみにH氏はもっとうまい。今度描かせてみよう・・・。


<目次>
2016年01月07日 少年画報 
2007年03月09日 「月光仮面」(つづき)
2007年03月08日 「月光仮面」