第1回(2004年 2月 8日)
 突如スタートした連載、「新幹線用曲線の製作」。今回、新幹線用に大半径曲線の高架橋を製作することとなり、その経過をご紹介しようというものです。突然思い付いたような企画のようですが、実は構想はかなり以前からあり、今回、満を持してスタートさせることになりました。
 ご存知のとおり、新幹線に似合う複線の高架橋は、KATO、TOMIXからそれぞれ発売されており、KATOはスラブ軌道を、TOMIXはバラスト軌道を再現した高架軌道となっています。
 いずれも、既存のレールシステムに準拠した規格が採用されており、複線間隔(KATO:33mm TOMIX:37mm)やレールの単位長さ(KATO:248mm TOMIX:280mm)などは、地上用の単体レールと同様となっています。


KATOの複線高架橋


TOMIXの複線高架橋

 KATO、TOMIXの両高架橋とも、非常に実感的で良いのですが、曲線は実物と比較して極度に急で、現実味に欠けます。
 鉄道模型の宿命でもあるのですが、屋内で行う趣味であるため、住宅事情を反映した規格となっており、KATOの製品では半径414mm、比較的大半径を採用しているTOMIXの製品でも半径465mmが最も緩やかな曲線となります。
 毎年出展している「トレインフェスタ」では、KATOの複線高架橋を使用していますが、コーナー部分の曲線は、写真のように非常に急で、現実味に欠けるばかりか、新幹線のような高速運転には不向きです。 また、実物の軌道では車体をカーブの内側に傾けるため、外側のレールを内側よりも高くする「カント」というものを設けますが、模型では採用されておらず、条件が悪い場合はアクロバットのような「片輪走行」で、何とか通過しているような状態です。

 この状態を打開するべく、新幹線用大半径曲線の製作に踏み切ったという訳です。

 そうは決めたものの、まずは半径を何mmにするかを決めなければなりません。
 半径は大きければ大きいほど現実味は増しますが、あまり大きすぎると輸送できくなったり、そもそもトレインフェスタの会場で周回できなくなってしまいます。また製作する際の資材(材料)調達の面で、最も苦労すると思われるレールの規格に合わせる必要があると考えました。
 そこでまずは、表計算ソフト(Microsoft Excel)を使って、各半径でのレール長などを計算してみました。
 今回の曲線では、路盤を45度の扇形で区切った場合、最もレールの長さが長くなる外側線の外側レールが、KATOのフレキシブルレールの長さである830mm以内に収まることを条件としました。その結果、半径は、1000mm(1m)が妥当であることが判明しました。
 こういった経緯から、今回製作する曲線の半径(線路間中心半径)を、1000mmに決定しました。
 この計算をもとに、高架橋の路盤となる部分を製作することになり、早速、FiveNines’(所属する鉄道模型クラブ)のSさん(本業:建具屋さん)にお願いして、切り出してもらいました。
 写真が、1路盤(45度)です。1周するには、これが8枚必要になります。
 計算したとおりなのですが、実際に見てみると、かなりの大きさです。
 板の幅は、KATOの高架橋の防音壁の内側の幅と同サイズです。この両側に防音壁を貼り付ける予定です。

 今回はここまで。今後は課題のレール敷設の方法やカントについて試行錯誤しながら進めていきたいと思います。

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