たつきの妹の妊娠を通して、考えたこと、不安だったこと
 (帝王切開について等)


【ご参考】死産直後〜妊娠まで

死産直後に思っていたことは、「それでも出生前に分かってよかった」ということでした。
辛かったけど、あれで精一杯だった・・・。もし、生まれてから異常が分かったら、どんなに
ショックだったろう・・・。お腹の傷(間違いなく帝王切開になったろうと思っていたので)の
傷みも大変だったかもしれないし・・・。
死産の翌日に退院できて、当たり前に家事ができるし、体調が良ければ
早く気持ちの切り替えもできそうだ・・・。
でも、「もし生きていたら?」と思うと、「苦しめてしまった」こと(誘発したことを、
そう思っていました)が辛くてたまらず、泣いてしまうような状態でした。

帝王切開をしていないので、次の妊娠は比較的すぐに可能になります。
半年しないうちに、赤ちゃんが欲しくて堪らなくなりました。
とは言っても、この当時は恐怖感も非常に大きく、妊娠していないことが分かるたびに
ホッとするような面もありました。当時は羊水検査も受けるつもりだったし・・。
この頃、すぐに妊娠して無事に出産できたら、良かったなあ・・・。
実際に、比較的早く、次のお子さんを授かった方を、何人か知るようになりました。
すぐに妊娠できれば、帝王切開をしなかったことをあれこれ考えなかったかもしれない。

ところが・・・私は、自分の体調やらなにやらで、次の妊娠まで1年8ヶ月かかりました。
でもこれは流産。35歳を過ぎてしまい、もう妊娠は無理なのか・・・と、毎月生理がくる
たびに、ブルーになる始末。
それでも、死産から2年4ヶ月で、たつきの妹を妊娠し、たつきの3歳のお誕生日の少し
前に、無事に出産する事ができました。

たつきの妹の妊娠が分かった時、やっとの妊娠だったので、この時は、「赤ちゃん、
来てくれてありがとう♪」という思いが不安よりも強く、初めの頃は辛いながらも
趣味のクロスステッチを楽しんだりする余裕がありました。

静脈瘤の不安・・・

しかし・・・まず不安になったのが、足〜外陰部にかけての、静脈瘤でした。
太い静脈がクネクネ ボヨヨ〜ンと・・・・・。三度目の妊娠で、初めての体験でした。
これは、よくあることだし、大体は心配の無いものです。しかし、妊婦向け雑誌やネット
でも、「血栓ができると肺に詰まって死亡することもある(肺塞栓)」と書かれているのです。
静脈瘤があると、血が滞りがちになり、よくTV等でも耳にする「エコノミー症候群」と
同じような状態になるらしい・・。なんでも、この産科的肺塞栓症というのは、2001年の
妊産婦死亡原因の一位らしいのです・・。
思いおこせば、羊水過多で入院していた時に、同室に、この肺塞栓を起さない為に
出産の数週間前に肺にフィルタ−を入れる手術をし、出産後にフィルターを取る手術を
するという人がいました。外国人の方だったので、あまりお話はできなかったのですが、
日本人のご主人様が「○○大学病院で、今年21歳の人が出産後に亡くなっている
んだよ。手術は受けないといけない」と、何度も説得なさっていました。
その方は、何度か足のレントゲンを撮るという話を医師ともしていました。
どうして肺の病気なのに、足のレントゲンなのかなあ?と、当時は何のことだかよく
分からなかったですが、もしかすると大きな静脈瘤が足にあったのかなあ・・・。

静脈瘤の場合、表面から見える静脈瘤だけでなく、もっと奥(深部)に静脈瘤があると
危険らしいのです。そういえば・・・私も静脈瘤が発生した左ふくらはぎの内側に、ちょっと
前から気になるしこりがありました。それは、ちょうど流産後に気になって、近くの
整形外科で一度診てもらっていました。レントゲンを撮っても何も写らないのに、
確かにしこりはある。しかも足を高く上げるとしこりが消え、足をおろすとだんだん
硬くなる・・・ということで、何だか分からなかったけれど、悪性のものではない、
もしかすると内部で出血しているかもしれないから、もんだりしないようにと
言われていました。そうなると・・・このしこりは「深部の静脈瘤なのか?」と、
不安で頭がいっぱいになりました。
今度は私が死んじゃうかも・・・・・と、何だか思いつめてしまいました。
まさか!!と思っても、前回も子どもが亡くなるなんて夢にも思っていないような
ことが起こってしまった私としては、つい悪いことを考えてしまうのです。

やっぱり、たつきを生んだ大学病院で診てもらったほうが良かったのか?
でも、こんなHPを作っちゃって(どなたも読まれていないかもしれないけれど)、
今更行きづらい・・(これも本音でした)。どうしよう・・・と思いました。

検診で通っていた病院でも、静脈瘤のことを言いましたが、看護婦さん(助産婦さん)が
診てくれただけで、「あら、このくらいなら大丈夫よ〜。もっと大きくなる人もいるわよ〜」
と言われるだけ。先生はあまり興味も無い様子・・。
なんだか心配でたまらくなってしまい、その次の検診で、先生に足の静脈瘤を診てもらい、
以前整形外科で診てもらった事、肺塞栓の不安等を話しました。
でも先生が診ると、やはり深刻な静脈瘤には見えないそうで、
「これくらいなら心配ないですよ^^」とのこと・・。

どうやら・・・産科的肺塞栓症というのは、静脈瘤そのものというよりも、帝王切開に伴うもの
らしく(術後は血栓ができやすい状態になる)、静脈瘤が無くてもありえるし、静脈瘤がある
と、リスクが高くなるとか・・。
こうなると、なんとか帝王切開にならないようにしないと・・・と思えてきます。

高血圧まで・・・

そんな心配の中、臨月に入ると、今度は高血圧になってしまいました(−−)。
これも、以前の妊娠では全く無く、初めて・・・。塩分を極端に制限した
味気ない食事のおかげで痩せてしまったのに、最後まで血圧は下がりませんでした。
(むくみと、尿タンパクは無し)
高血圧・・・調べると、母子共に大変危険な常位胎盤早期剥離が起こりやすくなるとの
こと。(死産のサイトを見ると、妊娠中毒に伴わない場合も多くあるように思いますが)
本「誕生死」にもあった、赤ちゃんが亡くなったり、お母さんの子宮まで摘出することに
なったり(次の赤ちゃんも望む事が出来なくなる)、最悪の場合、お母さんの命も危険に
さらされることもある・・・・。
予定日が近づくと、お腹が張るたびに「もしや・・」と怯えてしまいました。
私は、長男の時もたつきの時も誘発分娩だったので、自然に起こる陣痛が
どの程度のものなのか全く分からず、胎盤が剥がれるような痛みと、
通常の陣痛と、区別がつくのだろうか?と不安でたまらなかったのです。

不安スパイラル・・・

また、健康な赤ちゃんでも、お産のトラブル等によって、重い後遺症をおってしまうことも
あるし、死産になってしまうこともあります。
たつきが陣痛に耐えられず亡くなってしまったので、陣痛が赤ちゃんに与えるストレスも
とても心配でした。陣痛の時ちょっとでも、心音の低下があったら、私が訴えて、
絶対に赤ちゃんを守らなくちゃとか、そのためには、いろいろ調べないと・・・
とネットをさまよっていると、とても悲しいお産のトラブルは、今でも沢山ある事がわかました。
それらを読んでいると、不安で途方も無くなってしまいました。

そもそも、普通のお産(長男の時のこと)は、陣痛の間中ずっと分娩監視装置を
付けっぱなしにはしないなあ・・・・・大丈夫なのかなあ(私の精神面が)・・・。
陣痛は、痛みに耐えるだけでも大パニックなのに、「血圧の上昇」とか「外陰部静脈瘤の
破裂」(極まれにあるらしい)、「血栓のこと」、「心音の低下」なんかを考えていたら、
精神的にもつだろうか・・・。気がおかしくなってしまったら、どうしよう・・・。

ああ帝王切開

この年は、「18トリソミーの会」の会を通じて、知り合ったママさん達 数名が、
計画帝王切開で次のお子さんを無事に出産されていました。
私は、あまりにも精神的に不安定になってしまったので、「計画帝王切開」がとても
魅力的に思えてしまいました。何たって、赤ちゃんには負担がかからない・・・。
もう赤ちゃんに負担がかかることは嫌だ・・・。
「精神的不安に耐えられないから、計画帝王切開に」と頼んでみたらどうだろう・・・
自分がパニックになったり、赤ちゃんにもしものことがあるよりも、ずっと良いなあ・・
でも、絶対にパパに怒られるだろうなあ・・・等と真剣に考えてしまうのです。

そんなことまで考えるようになってしまうと、だんだんわけがわからなくなってきて、
この時初めて「結局、次の出産まで3年もかかってしまったんだから(結果論です)、
あの時、たつきを帝王切開で生んであげて、戸籍に残してあげれば良かったじゃないか。
ああいうかたちで苦しい思いをさせないで済んだし(色が苦しそうでした)、
私もこんなに(精神的に)苦しむ事もなかった。可愛い仕草や動きを見れたかもしれないし、
あの子も私の顔を見てくれたんじゃないか・・・。
今回の出産だって計画帝王切開だっただろうし、その方が良かったんじゃないか」等
ということが頭をよぎるようになってしまいました。取り返しが
付かないことをしてしまったような気持ちになり、ボロボロと泣いてしまいました。

しかし・・・我に返って、静脈瘤に伴う血栓症の不安を考えると、やはり
今回の帝王切開はできるだけ避けなくてはいけない・・・・・。
辛いから帝王切開?なんて言い出したら、きっとたつきが怒る・・・ような気がする・・・。
前回帝王切開を避けたことは、やはり意味があったのかもしれない・・・・
とにかく弱音を吐かずに頑張らなければ!と、思う・・・・。
それでも、気持ちは行ったり来たり・・・・・大変なことになってしまいました(@@)。

夜 ぐっすり眠れない

結局、この混乱と不安は、最後まで続き、夜ぐっすり眠る事が出来なくなっていました。
臨月も半ばを過ぎると、夜は前駆陣痛というのでしょうか、しょっちゅうお腹が張ったので、
何度も目がさめてしまうのです。 その度に、前回は赤ちゃんの異常で死産、
今回は母体のトラブルで死産になったらどうしよう・・・。
死産にならなくても、重い後遺症を負ったらどうしよう・・。
う〜ん、やっぱり、もういつ生まれても大丈夫な状態に育っているから、お腹切って、
出してもらえないかなあ〜〜〜と、また考えてしまったり(−−;)。

もし、今回また悲しいことがあっても、それも運命、何かしらの意味があるのだ・・・
と思うしかないじゃーん!!!と自分に言い聞かせてみる。
でも「それは一体 何の意味があるのか?わからないよ〜」と思ってしまう。

今思うと、これじゃあ血圧も下がらないわけです・・・。
そんなこんなの混乱がありましたが、最後はあっけなく安産で生むことができました。

(詳しくは、たつきの妹ドタバタ出産記

 また18トリソミーだったらどうしよう・・・という不安は、推定体重が2500gを越えて
からは、全く気にならなくなっていました。また、静脈瘤も、臨月に入ってからは、
赤ちゃんが下がってきているからなのか、圧力のかかり方が変ったからなのか、
外陰部の方は、あまり気にならなくなってきていました。