こんな映画を見てきた

(はじめに)
 当HPには「東宝特撮映画感想文」「ゴジハム感想文」という二つの映画感想文のコンテ
ンツがあります。
 これらのコンテンツに関しても何人かの方から感想を頂いた事がありますが、何も私は
「ゴジラ」シリーズや東宝特撮映画ばかり見ているわけではなくて、色々なジャンルの映
画も結構DVDなどで見ていたりします。
 ここではそんな私が見てきたゴジラや東宝特撮映画以外の感想を述べてみたいと思いま
す。
 尚、主にここに掲載されている文は以前ブログ「管理人のHITORIGOTO」に於
いて掲載したものですが、一部書き下ろしも含まれています。
 それでは感想文に参りましょう。
 なお、本文のリンクをクリックするとAmazon.co.jpの販売ページに飛ぶ事ができます。


・「笑の大学」(2004年日本)
・「オペラ座の怪人」(2004年アメリカ)
・「オペラ座の怪人」(1925年アメリカ)
・「Shall we Dance?」(2004年アメリカ)
・「惑星大怪獣ネガドン」(2005年日本)
・「札幌オリンピック」(1972年日本)
・「小さき勇者たち〜ガメラ〜」(2006年日本)
・「フラガール」(2006年日本)
・「犬神家の一族」(2006年日本)
・「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年日本)
・「アマルフィ 女神の報酬」(2009年日本)
・「BALLAD 名もなき恋のうた」(2009年日本)
・「パワーレンジャー」(2017年アメリカ)
・「えいがのおそ松さん」(2019年日本) 
・「名探偵ピカチュウ」(2019年アメリカ) 



「笑の大学」

時は昭和15年、日本が戦争への道を歩んでいく中、1冊の脚本を巡って検閲官(役所広
司)と脚本家(稲垣吾郎)が丁々発止のやり取りを繰り返していくうちにだんだんと脚本
が面白くなっていく…、と言うストーリーなんですが、もともとが舞台劇ということもあ
ってかほとんどの場面が検閲室内での二人のやり取りなんですが、それでも三谷氏のテン
ポのよい台詞(1対1の攻防というとドラマ「古畑任三郎」があるがあれも三谷氏の脚本)
で途中でだらけることもなく、「いったい次の展開はどうなるんだろう?」という先の展開
が早く見たくなる2時間でした。
(まあ、もともとがコメディだから二人のやり取りの部分なんかも誇張があるかもしれん
が)
まあ、時代が時代なだけにだんだんと物資が不足していったり、貼られるポスターが軍事
色一色に染まっていったり、と「随分と窮屈だったんじゃないかな?」と思うんですけど、
意外と当時の人たちはバイタリティがあったんじゃないか、と思いますが。

ただ最後の展開はちょっと…、という気もしますね。椿が余計な一言を言わなければあん
な形にならなかったんじゃないの? という気もしますが。
とはいえ、一週間の攻防戦を続けているうちに二人の間に奇妙な形で友情が生まれ、その
友情を確認するかのようなラストシーンは印象的でした。星護監督が「最後は二人が再会
する」というラストシーンを撮りたかった、という気持ちもわかりますね。

結局あの作品は上演されたのかされなかったのか気になりますが(たぶん許可が下りなか
ったんでしょうが)、なんだか「その脚本が残っていた」という設定で「笑の大学番外編 大
悲劇・貫一とお宮」が見てみたいな、と思いました。

管理人が買ったのは「スペシャル・エディション」というものでブックレットが特典とし
てついているのですが、それによると稲垣吾郎が演じた椿一のモデルである菊谷栄という
劇作家は軍隊に召集されてからわずか2ヶ月で戦死したとか。相当の才能を持っていた、
というそうですからもし戦争がなかったら…、と思いますね。ひょっとしたら今頃浅草が
「日本のブロードウエイ」なんて呼ばれてたかもしれませんね。

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2005年7月29日より)

笑の大学 スタンダード・エディション [DVD]



「オペラ座の怪人」(2004)

ま、劇団四季のミュージカルが有名なのは管理人も知ってたんですが、まず拝見してびっ
くりしたのが「これ、エラく金かかってんじゃねーの?」と言うことでした(おい!)。
この撮影のために作ったセットも勿論ですけれど、何よりクライマックスのシャンデリア
落下の場面。日本だったらCGとかミニチュアでやるところなんでしょうけど、本物を落と
した、と言うんですからそれだけでも凄いですよね。
演出も作品中の「現代」つまり1919年のパリをモノクロで、1870年のパリをカラーで表現
する方法が面白いな、と思いました。これは映像化された作品でなければ絶対無理な方法
だし。

台詞の途中でいきなり登場人物が歌いだしてしまうのには驚きましたが(笑)、もともとが
ミュージカルと言うことを思えば不自然ではないし、オペラと言う題材をうまく使ってい
る感じがしました。まあ、もともとの作品であるミュージカル版を作ったアンドリュー・
ロイド・ウェバー自身が脚本を書いているから、それほど不自然には思えなかったし。

何より圧倒されたのが音楽ですね。もともとがミュージカル、と言ってしまえばそれまで
なんですが、管理人ところどころのシーンで音楽が終わったら劇中の観客のようにスタン
ディングオベーションをしたくなってくる場面が多々ありましたし。
管理人最近DVDで洋画を見るときは「字幕追わなくて済むから」と言う理由で音声切替を
「日本語吹き替え」にして見てる事が多いんで、最初「日本語吹替」がなかったのがちょ
っと不満だったんですが、数々のミュージカルシーンを見ているうちに「これは吹き替え
で見てはいけない。吹き替えなんぞ入れたら作品そのものがぶち壊しになってしまう」に
思ったくらいなんですから、その迫力はわかっていただけると思います。

管理人実は「オペラ座の怪人」より先に「金田一少年の事件簿」の「オペラ座館殺人事件」
を読んでたんですけど「あー、『金田一』のあの場面はここがモチーフか」というのがわか
ってそっちの方でも面白かったです。今度久しぶりに「金田一」の方も読んでみようかと
思ってます。

本編が2時間23分とちと長いんですが(しかもスタッフロールが10分近い)、それだけの
時間をかけてみる価値はあると思います(でもこれはやっぱり劇場の大スクリーンで見た
ほうが迫力が違うかな…)。

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2005年9月20日より)

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「オペラ座の怪人」(1925)

まず最初に見て「え?」と思ったのが1925年(つまり大正14年)に公開された作品
でサイレント映画だと言うのに何故か音楽と最初に台詞が入ってます。「あれ? これって
サイレントだろ?」と思ってよく見てみると「COPYRIGHT 1974」とオープニングクレジッ
トに入ってたんですよね。おそらく、その1974年に再上映かなんかの際に音楽を入れ
たニュープリント版を製作したのかもしれませんが(30年前じゃビデオはまだ一般に広
まってないしね)。

で、ストーリーの方なんですけど…。オペラ座で次々と奇怪な事件が起こり、やがて謎の
怪人が現れ、クリスティーヌを拉致する…、という話の流れそのものは2005年版とほ
ぼ同じなんですが、'25年版はどちらかと言うとホラーと言うかサスペンスと言うか、あ
るいは昔の言葉で言う「スリラー映画」と言う感じがしたんですよね。
怪人、つまりファントムは(80年前とは言え)どう見ても怪しい人物だし(笑)、200
5年度版には出てこなかったパリの秘密警察の刑事なる人物が出てくるし…。
それとファントムは意外と早く素顔を見せるんですよね。2005年度版の方はクライマ
ックスで素顔が明らかになるんですが、こっちは話の中盤で明らかになるし…。
それと奇怪な事件を巡っての描写が多く、2005年版のような恋愛描写は少なかったで
すね。ですから2005年度版のような展開を期待すると肩透かしを食らうかもしれませ
んが、逆に言うとこの話を男と女の三角関係を中心としたラブストーリーのミュージカル
に仕立て上げたアンドリュー・ロイド・ウェバーの手腕が凄かったのかもしれませんが。
それとやたらと登場人物がオーバーアクションなんですよね。まあ、サイレント映画とい
う性格上今何があったかを動作で解らせなければいけないから仕方ありませんが。

本編が76分と短いので(ちなみに2005年版は本編143分)随分と駆け足のような
感じがするし、ラストの追跡劇も唐突に終わって「あれれれ? もう終わり?」と言う感
じがするかもしれませんが、2005年版を見た人は「こういう解釈もあるんだ」と言う
ことで見ていいかもしれませんね。価格も500円とリーズナブルだし(笑)。

最後にツッコミを一つ。侵入者を感じてファントムが下水道に潜るシーンがありますが、
その際なんと使うのが「水遁の術」! …おぬしは忍者か?(笑)

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2005年9月30日より)

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「Shall we Dance?」

ご存知の方も多いと思いますが、この作品は1996年に周防正行監督で公開された同名の作
品のハリウッド版リメイクなわけですが、感想としては「随分と忠実にリメイクしたな…」
ということでした。
主人公の職業がが普通のサラリーマンから遺言専門の弁護士に変わりましたが、帰宅途中
の電車の窓から見たダンススクールの窓にたたずむ女性に惹かれ、そのダンススクールに
通い始め、やがてダンスそのものの魅力に惹かれていく…、というストーリーは全くと言
っていいほど同じだし、役者も「よくまあこれだけイメージぴったりの役者を見つけてき
たもんだ」と感心してしまいました(ただ、関西弁しゃべるメガネのおっさんがイケメン
のにーちゃんに変わってたのは笑ったけど)。
ストーリー展開もリチャード・ギア演じるジョン・クラーク弁護士が社交ダンスに出会っ
て、それまでの平凡だけど何か満たされなかった人生に新しい喜びを見つけていく、とい
う話を縦糸に一見幸せそうけど、実は冷えかけていた夫婦の絆を取り戻す…、という話が
上手く噛み合わさっていて、無理なく話がまとまっていたと思います。
まあ、最後のダンスパーティーの後の「後日談」はちょっと蛇足だったかもしれないです
が「あれからみんなどうなったんだろう」と気になる人もいるでしょうし、それぞれがま
た新しい喜びを見つけ出した、ということで大団円、と思えばいいのかもしれませんね。
そのせいかどうか知りませんけど、最初のうち「ちょっとくたびれた中年」に思えたクラ
ークの顔が最後の方では随分とキリッ、としてきたように見えたのは管理人だけかしら
(笑)。
(というか役所氏にしろ、R・ギアにしろ、こういった中年役が似合う役者さんですな)
肝心のダンスシーンも全員が特訓を重ねた、ということか(R・ギアは以前別の映画でやっ
たことがあるらしいけど)、おそらくエキストラで出ている本職の方と比べても遜色の無い
ダンスだったと思います。このまま「新・芸能人社交ダンス部」宜しくチームを組んでダ
ンス競技会に出てみてもいいんじゃないかしら(笑)。

ハリウッドでリメイクされた日本映画、というと管理人「GODZILLA」を思い浮かべるんで
すが、あれはどうもローランド・エメリッヒやディーン・デブリンがゴジラに持っている
イメージと我々がゴジラに持っているイメージが違いすぎたか、イマイチな出来だったよ
うですが、これは上手なリメイク、と言えるようですね。まあ、それだけ脚本家や監督が
原作である周防監督の作品に対するリスペクトがあった、ということなんでしょうが。
これからも(日本映画に限らず)こういった作品のリメイクは出ることでしょうが、作る
側も観客の期待に応えるようなリメイクをして欲しいですね。

日本版もDVDが発売されているし「ここが日本版と同じ」「ここが違う」と見比べてみるの
もまた面白いかもしれませんね。

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2005年11月17日より)

Shall We Dance ?(初回限定版) [DVD]



「惑星大怪獣ネガドン」

特撮映画ファンの間やネット上で話題となり、「東京国際ファンタスティック映画祭」でも
公開された、と言う粟津順監督の自主制作映画「惑星大怪獣ネガドン」のDVDを先日購
入したので、本日見てみました。

時は昭和百年(つまり2025年。この作品では「昭和」が続いている事になっている)、世
界の人口は100億を超えており、資源探求の宇宙開発事業「テラ・フォーミング計画」が
進行していたその特、火星より帰還途中の宇宙貨物船「いざなぎ」が東京上空で墜落。中
から怪獣ネガドンが現れ東京に向け破壊の限りを尽くす。それをテレビで見ていた科学
者・楢崎は巨大ロボット・ミロク二号機に搭乗し、ネガドンを迎え撃つ…、と言うのが大
まかなストーリーなんですが、「昭和百年」と言う時代設定や、小道具、ストーリー展開な
ど、昭和30年代、40年代の特撮映画の雰囲気が残っている作品でしたね。
(粟津監督は「昔見た作品」として「キンゴジ」や「三大怪獣 地球最大の決戦」を出し
てたからそのあたりの作品のファンかな?)

この作品が話題となっているのは粟津監督が2年4ヶ月かけてたった一人で作り上げた「全
編CGによる新時代特撮映画」と言うところでして。一瞬「え? これ実写じゃないの?」
と思える部分も全部CGで処理しているんですよね。ただ、まだまだ人物なんかは悪く言
えば「PS2のゲームのムービーレベル」なんですが、それはこれからの(CG技術の)
進歩に期待、と言うところでしょうか?
今の世の中、それこそCGのレベルと言うのは日進月歩ですから(事実、今は特撮に限ら
ず映画やドラマでCGやハイビジョン合成を普通にしているし)、おそらく20年前だった
ら誰も想像付かなかったような事が出来てしまうんですから凄いですよね。

1人で製作した事の限界からか(それでも音楽やモデリング・アニメーションは他の人が担
当しているけど)、本編が25分と短く、ストーリーもちょっと説明不足の部分が多かった
んですが、OVAや特撮映画にすればはるかに楽だと思える事をフルCGでやった、と言
う事は本当に凄い事だと思いますね。

これからもCGは映画やドラマの世界で多用されていくとは思いますが、特撮に関して言
えば、まだまだ着ぐるみ特撮が勝っている部分も多いし(例えば火や水の表現はいまだに
実写の方が上らしい)、映画なんか見てても「ここはCG使ってるな」と言うのがバレてし
まう部分が結構ありますから(笑)、これから特撮とCGがどれだけ融合できるか注目して
いきたいですね。

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2005年12月19日より)

惑星大怪獣ネガドン [DVD]



「札幌オリンピック」

札幌オリンピックは今から34年前の1972(昭和47)年2月3日〜13日まで開催された大
会で、オリンピック憲章の中には「大会開催後、その大会の記録映画を製作しなければい
けない」とか言うのがあるそうで、この大会もそれに従って製作された映画です。
オリンピックの記録映画と言ったら古くは1936年ベルリン大会の記録映画「オリンピア」
2部作(「民族の祭典」「美の祭典」、もしくは1964年に開催された東京大会の記録映画「東
京オリンピック」(市川崑監督)と言ったところが有名だと思います(他にも「白い恋人た
ち」ってのあるけど、あれはどっちかというと「オリンピック開催期間中のグルノーブル
市街を描いたドキュメンタリー」だな…)。

で、見てみたんですけど…。管理人「オリンピア」も「東京オリンピック」も以前に鑑賞
しましたけど、この2作品はどちらかというと扱ってるのが陸上とか水泳と言った競技だ
からということもあるんでしょうが、躍動感を感じさせる映像だったんですが、この作品
はどちらかというとスキーやスケートを扱っているせいか、なんだか流れるような感じの
映像だったんですよね(このへん上手く言い表せないのが残念ですが)。
それとやはり緊迫感を出すためでしょうか、ナレーションも少なめだし、所々音楽が鳴ら
ずに映像だけ、と言った部分の演出があったのも面白く感じました。
とはいえ、女子フィギュアスケートで当時としては大人気だったと言うジャネット・リン
選手(管理人も名前は聞いた事がある)の演技に白鳥が羽ばたく様子が被さる場面はなん
だかオリンピックの記録映画というよりCMの映像かなんかを見ている感じがしましたが
(笑)。

他にも所々出てくる日本人選手には声援を送りたくなってくる場面もあったし(34年前だ、
ってのに…)、70m級ジャンプ(今で言うノーマルヒル)で笠谷・金野・青地の当時「日の
丸飛行隊」と呼ばれた3人がメダルを独占する場面ではいまさらながら感動してしまいま
した(だから34年前の話だって!)。
つくづく「ああ、オレはオリンピックが本当に好きなんだな…」と思ったりなんかして(笑)。
札幌大会のメダルはこの3個だけだったんですけど、いまだに語り継がれている、という
ことはそれだけ当時の日本人の印象に残った、という事でしょうが。
…ただ、札幌大会の閉幕直後に連合赤軍の「あさま山荘事件」が発生したのですから、今
にして思うとこの大会はほんの一時的に日本が平和だった時期なのかもしれませんね。
(ちなみにこの年の夏に開催されたミュンヘン大会でも選手村をテロリストが襲撃し、イ
スラエル選手団11人が犠牲になるという痛ましい事件が起こった。これを題材にしたス
ピルバーグ監督の映画「ミュンヘン」が今、論議を起こしてるが)。

それにしても、高橋昌也はとにかく、岸田今日子のナレーションはどことなく怖いですね
(苦笑)。最初の10分を見て誰が「これはオリンピックの記録映画だ」と思うかしら…?

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2006年1月20日より)

札幌オリンピック [DVD]



「小さき勇者たち〜ガメラ〜」

今日行った劇場は隣で「名探偵コナン・探偵たちの鎮魂歌」やってて、入場者はそっちの
方が多くて、ガメラの方は見た限り客の入りは(公開2日目だ、っつーのに)3割行ってな
かったように思えますね。まだまだ「ゴジラ FINAL WARS」の方が入っていたような気がし
ますが…(これは1にも2にも宣伝不足かね? 管理人がTVでCM見たのも公開1週間前だ
し)。

で、見た感想なんですけど…、う〜ん、弱った(^^;。
色々見てみると「感動した」とか「泣けた」と言う声が多いようですけど、正直言って管
理人、泣けも感動も出来ず、イマイチ楽しめなかったんですよね。

と言うのも透とガメラのふれあいを中心に描いたストーリーそのものはよく出来てたと思
うんですけど、ストーリー展開そのものにオリジナリティがない、と言うか、なんだか「平
成ガメラ」「平成モスラ」「ミレニアムゴジラ」各シリーズのエッセンスを抜き出して、それ
をつなぎ合わせてリミックスして一本のストーリーにした、と言う感じで…。

透の母親が死んでいる、と言う設定は「ゴジラ×メカゴジラ」の沙羅(女の子だけど)を思
い出したし、赤い石は「ガメラ 大怪獣空中決戦」の勾玉にそっくりだし、子供たちがそ
の赤い石をリレーしてトトガメラに手渡そうとするのはやり方は違うけれど「ガメラ2 
レギオン襲来」で子供たちがガメラの元に集結してガメラに力を貸そうとするそれを思い
出すし、最後に赤い石を受け取った透が投げるのは「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」のそ
れだし、最後の子供たちのバリケードは「GFW」を思い出して…。
そう思うとトトガメラのアップが「GFW」のミニラに見えてきたりして(おい!)。

特撮の方もなんだか「おいおい、こりゃ平成ガメラと同じカメラワークじゃないか」と思
わせる部分が多かったですね。最初のVSオリジナルギャオスは「G1」での木曽山中の戦い
を思い出したし、最後にジーダスが大爆発するのは「G1」のラストでギャオスが爆発す
るシーンそのものだし、他にもまるっきり同じと思えるカメラワークがあったし…。
いや管理人別に「吊っているワイヤーがバレバレのような漫画チックな特撮をやれ」なん
ていいませんけど、なんだか「平成ガメラの物真似」としか思えない特撮が目に付いて…。
もう少しその辺(例えば、ジーダスが橋を昇る場面には「おおっ!」と思ったし)に工夫が
欲しかったんですね。

パンフレットを見てみると田崎竜太監督は「新しいガメラの映画を作る時に、この手あか
をちゃんと拭いて新品以上にきれいにしてから君たちの前に出そうと、最初にそれを決め
ました」と言ってますけど、管理人に言わせれば「それがこれですか?」と。言い方は悪
いですけど「田崎監督は怪獣映画をナメてるんじゃないか」と思えたくらいで。まだ手塚
監督や金子監督の方が怪獣映画に対する愛を持っていたんじゃないか、と思えたくらいだ
ったんですよね。

まあ「子供向けのファンタジー映画」としてはよく出来ていたかもしれませんが、怪獣映
画としてはちょっと疑問が残る部分が多かったのは残念でしたね。
果たして角川ヘラルド映画がシリーズ化を考えているかどうかはわかりませんけど、もし
次回作があるとしたら「ファンタジー路線」で行くのか、「怪獣映画路線」でいくのか、注
目してみたいですね。

ちょっと管理人、手厳しいこと言ったかもしれませんが、管理人それだけ今回の作品を楽
しみにしてたし、ゴジラが復活するまでの間、ガメラや他の怪獣が見事なリリーフを勤め
て欲しいと思ってたのでちょっと厳しい意見になったかもしれません。
最初に書きましたけど、GWと言う事で他の作品が公開されて客足もあまりよくないよう
ですが、何とか次回作制作決定となって欲しいですが…。
(それに今回の配給が松竹と言うのもちょっと不安だし。東宝だったらあるいは…、と言う
気がしたんだけど)

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2006年4月30日より)

小さき勇者たち~ガメラ~ スペシャル・エディション [DVD]



「フラガール」

時は昭和40年、石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ閉山の危機に立たされてい
た福島県いわき市の常磐炭鉱の炭鉱会社が起死回生の一発として「常磐ハワイアンセンタ
ー」の建設を計画。「全ては炭鉱に勤めている人たちで賄う」との基本方針の元、炭鉱の娘
達をフラダンサーに仕立てるために、東京からダンサーを招いて…、と言うのが基本のス
トーリーなんですが…。

まあ、内容的にはよかったと思います。
実話が元になっているとは言え、登場人物は全て架空の人たちだし、勿論脚色もあるとは
思いますけど、それこそダンスと言ったら盆踊り位しか知らず、全くと言っていいほど経
験のなかったフラダンスを踊って、所謂「反対派」の目にも負けずに何とかハワイアンセ
ンターを成功に導きたい、と思っている炭鉱の娘達(蒼井優や山崎静代(南海キャンディ
ーズのしずちゃん)が演じている)と最初は「ド素人の炭鉱の娘」と彼女達を馬鹿にして
いた松雪泰子演じる平山まどかが彼女達に触れ合ううちに交流が生まれて行く、と言う話
はよかったですし(そういう意味では「まどか先生の成長物語」とも受け取れる)、徳永え
り演じる早苗との別れのシーンや、まどかを引き止めるためのシーンなんかは、観ている
こっちもじーんと来るような感じでした。

それと脇を固める俳優陣(特にベテラン勢)もよかったですね。岸部一徳演じる吉本部長
はいかにも「こういう人っているんだよね」と思えるキャラクターだったし、富司純子の
千代(紀美子=蒼井優の母親役)もあれほど娘がダンサーになるのを反対していたのに、
最後は娘のために協力する、という「厳しくも娘の事を見守っている」母親役がハマッっ
てたと思います。それと豊川悦司演じる洋二朗(紀美子の兄)もちょっときれい過ぎたか
な、と言う気はしましたが、要所要所できちんと締めていた気がしました(と言うか「日
本沈没」の田所博士と余りにも違う演技に驚いたけど)。

肝心のダンスシーンも3ヶ月に及ぶ猛特訓を積んだこともあったんでしょうが、なかなか
よく出来ていたと思います。
特にキャラバンで回っている場面で、音楽担当のジェイク・シマブクロが作曲したメインテ
ーマ「フラ・ガール」がかかるところなんか鳥肌が立ったし、最後のハワイアンセンターで
のダンスシーンなんかは自分が実際にハワイアンセンターの観客席で見ているんじゃない
か、との錯覚に陥るほど迫力があったし。

まあ、万人にお勧めできる、と言う作品ではありませんけど、とにかくこういう作品を見
るのもいいかな、と思いました。
とにかく一人でも多くの人に見てほしいですね。

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2006年10月1日より)

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「犬神家の一族」(2006)

今年に入って間もなくの頃でしたか、「市川崑監督、石坂浩二主演で『犬神家の一族』をリ
メイクする」と言うニュースを聞き、管理人も公開を楽しみにしていたので本日観に行っ
て参りました。で、今日はその感想をば(以下ネタバレあり)

昭和22年、製薬事業で財を築いた犬神財閥の総帥、犬神佐兵衛が逝去。後に残されたのは
母親の違う3人の娘をはじめとする10人の人物。そしてその佐兵衛の残した遺言状を巡っ
て骨肉の争いの果てに起こる殺人事件。そしてその解決に乗り出す金田一耕助、というの
が大まかな筋書きなんですが…。

いや、「本当の意味でのリメイク」と言う感じがしましたね(苦笑)。なんせ監督も主演も
30年前と同じなら、脚本もほぼ同じ。オープニングテーマも大野雄二氏の「あの」テーマ
曲を使ってるんですから(但し今回の音楽担当は谷川賢作氏で、谷川氏の「アレンジバー
ジョン」も使用してる)。管理人、実は数日前に旧作をDVDで見たんですけど、台詞回しや
セットまでほとんど前作と同じなんですから、これはもうリメイクと言うより「セルフカ
バー」といった方が正しいんじゃないかと思うんですが…(とは言え、例えばオープニン
グが前作では「佐兵衛死去→OPテーマ→佐兵衛の生い立ち→金田一登場」だったのが今回
は「佐兵衛死去→金田一登場→OPテーマ」と変わっている部分もあるが)。

ただ、「前作を見ている」と言うことと「脚本がほとんど同じ」と言うことがあってか前作
とどうしても比べてしまうんですよね。それに前作と比べると石坂氏や加藤武氏の演技は
よく頑張っている方だとは思うんですけど、大山神官を演じた大滝秀治氏は前作と同じ役
を演じていますけど、演技の劣化が目に付いて…。ある意味30年と言う時の流れの残酷
さを感じた気がしますね(泣)。それにキャスティングが決して悪くはなかったと思うんで
すけど、前作と比べると何と言うのか、豪華さも演技力もイマイチだったような気がして
…。いや石坂氏をはじめとしたベテラン勢はよかったし、若手の皆さんも決して下手だと
いうわけではないんですが、三谷幸喜氏や林家木久蔵師匠は「やっぱり役者じゃないよな」
と思うような演技だったし…(特に木久蔵師匠の奥さん役が中村玉緒だもんなあ…)。

まあ、逆に言うとそれだけ前作の脚本がよく出来ていた、と言う証拠になるのでしょうし、
「リメイク」という事で余り無茶も出来なかったのでしょうが(無茶をしすぎると「リメ
イク」とは名ばかりの全く違う作品となってしまった『日本沈没』みたくなってしまうし)、
前回の脚本をそのまま使用するよりも少しくらいのアレンジが欲しかった気もしますが
(所々比べるとカットしてあったり、前作になかったシーンを入れたりしているがその程
度ではねえ…)。
とは言え御年91歳にしてこれだけの作品を作った市川監督には脱帽するしかないわけだ
し、石坂氏の金田一と言うのはやっぱりはまっていた気がします。

折角「石坂金田一」が復活したことだし、余り市川監督に無理はさせられませんが(当た
りまえだ)、何とかもう1作製作して欲しい気がしますね。

(ブログ「管理人のHITORIGOTO」2006年12月25日より)

犬神家の一族 通常版 [DVD]



「ALWAYS 三丁目の夕日」

昭和33年春、建設中の東京タワーが近くに見える夕日町にある自動車修理業「鈴木オー
ト」に青森から集団就職で星野六子、通称「六ちゃん」がやってきた。それと同じ頃、そ
の鈴木オートの向かいで駄菓子屋を営みながら小説を書いている売れない作家の茶川は行
きつけの飲み屋のおかみであるヒロミから酔った勢いで彼女の知り合いの子供である淳之
介を預かるはめになってしまう。この2つの家族を中心にして色々な出来事が起こる、と
言うのが基本的なストーリーなわけですが…。

いや本編が始まって3分で早くも涙が出てきました(笑)。いや、昭和33年と言う年は管
理人が生まれるはるか前なんですが、「日本も昔はこんな時代があったんだな…」と言う感
じがしまして。
懐かしいとかそういうわけではないんですけど(当たりまえだが)、あの頃は今と比べて確
かに豊かではなかったと思うんですが、あの頃の人たちには今と比べてバイタリティがあ
ったような気がするんですよね。堤真一演じる鈴木則史が「10年経ちゃ楽にならあ」と
か言ってましたけど、あの頃の人たちは明るい明日を心から信じていたのかもしれません
ね。

そしてこの作品のウリ、といってもいいのが特撮やCGで再現したという昭和33年の東
京ですけど、一目見てどこまでがセットでどこからCGを使っているのかわからないくら
いの再現度でして。まあ、これはある意味これだけCG技術が発達した今だから出来るこ
となのかもしれませんね。
肝心のストーリーも色々と紆余曲折はありましたけど、結局は丸く収まって誰も不幸には
なっていないストーリーなんですよね。上でも書きましたけど、あの頃の人たちと言うの
は誰もが明るい未来を信じて生きていたからかもしれませんが。まあ、幾つか未解決の話
(例えば茶川とヒロミはあの後どうなるのか、といったような部分)はありましたけど、
その辺は2007年11月公開予定の続編をお楽しみに、という事でしょうか(おい!)。

確かに平成の、21世紀の日本と言うのは色々と便利な世の中ですけど、それと引き換え
にどれだけのものを失ってしまったのでしょうか? これは管理人の勝手な想像ですけど、
ようやく敗戦の痛手から立ち直って、高度経済成長期に向かって動き出そうとしていた昭
和30年代前半の日本と言うのはある意味「戦後日本の青春時代」だったのかもしれませ
んね。この作品は大ヒットを記録しましたけど、この作品を見た何割かの人は映画を通し
てあの頃の時代に帰りたかったのかもしれませんね。
(そう考えれば昭和39年の東京オリンピックは「戦後日本の成人式」といえるかも…、
ってのは考えすぎか(苦笑))

そういえば管理人が持っているDVDは「豪華版」なんですけど、あれの特典ディスクに
入っているパイロットフィルムは三浦友和演じる宅間先生の夢のシーンの元になっている
ような気がしたのは管理人だけでしょうか…?

(書き下ろし)

ALWAYS 三丁目の夕日 通常版 [DVD]



「アマルフィ 女神の報酬」

 クリスマスシーズンのローマで一人の日本人少女の失踪事件が発生した。やがて少女の
母親に身代金を要求する電話がかかってくる。そしてこの事件にかかわることになった外
交官、黒田康作。やがて事件は単なる誘拐事件にとどまらず、ある「過去の出来事」が次
第に明らかになっていく…

 という事で2011年の1月から映画と同じ織田裕二主演でドラマもやっている作品ですが、
そのデビュー作とでもいうべき本作を2011年1月3日にテレビで放送したのを録画して
見たわけですが、その第一印象というのが「いくらフジテレビ開局50周年記念作品とは
言え、別にオールイタリアロケでやる必要がねーんじゃねーの?」という事でして(笑)。
別に舞台がローマ=東京、アマルフィ=神戸としても話が成立すると思うのですが…

 それに映画を見た後にどうもいろいろと「?」が出てくる作品でして。
 例えばイタリアで日本人の誘拐事件が発生して、もし仮に人質の身に何かが起こったと
したら、下手したら外交問題になってしまうわけですから、イタリア政府はそれこそ国を
挙げてでも捜査に乗り出すはずですし、クライマックスの「あの場面」もサラ・ブライト
マンのコンサートと同じ日に日本大使館の中で「あの出来事」があるとしたら、少なくと
も警察官の何割かは日本大使館の警備にあたるのではないか、という気もするのですが(も
し日本で同じようなことがあったとしたら、イタリア大使館に誰もいない、ってことはな
いと思うのだが…)。
 それともう一つ。いくら日本大使館内とはいえ、外務大臣が一人でローマを訪れた、と
は考えにくいんですよね。少なくとも日本政府の要人なのですから、警護のためのSPが
数名は着いているのではないか、という気もするのですが、「あの事件」の間、何やってた
のでしょうね?(笑)
 まあ、この映画で管理人が一番「?」だったのはいくら架空の話だとはいえ、一介の外
交官がいくら日本人が誘拐されて、結果的に事件に巻き込まれたとはいえあんな風に探偵
のまねごとをするようなことを日本政府が許すとは思えないし、大使館もあそこまで放っ
ておくかな…、という気もするのですが。
 ご存じの人も多いと思いますが、この作品は西谷弘監督と原作者の真保裕一氏が脚本を
書いたものの「脚本と撮影でかなりの違いが生じてしまった」という「一応の」理由で脚
本家のクレジットがされていない、という事態になりましたが、「だったら(クレジットさ
れても恥ずかしくないように)もっとしっかりと脚本を練り直さんかい!」というのが管理
人の感想ですね。

 それと最後に一つ。「織田裕二による織田裕二のための映画」という大前提があったから
仕方ないのかもしれませんが、どうも織田裕二は黒田役には合わないような気がしますね。
よほど共演の佐藤浩市のほうが黒田役に適役ではないか、と管理人は思いましたが。

(書き下ろし)

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「BALLAD 名もなき恋のうた」

 天正2(1574)年、春日の国の侍で「鬼の井尻」の異名を持つ井尻又兵衛はひそかに城主
の娘、廉姫を慕っていた。そんなある日、又兵衛は未来(つまり我々の住む現代)からタイ
ムスリップしてきた少年、真一と出会う。やがてそんな真一との間に又兵衛は奇妙な絆を
感じ始めるが、そんな折、春日の国に一つの問題が起こり始めた…。

 ご存知の方の多いと思いますが、この作品は2002年に公開された劇場版アニメ「映画
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」(以下「戦国大合戦」)を「ALWAYS
三丁目の夕日」や「SPACE BATTLESHIP ヤマト」でおなじみの山崎貴監督が実写映画化
した作品です。
 実は面白いという評判を聞いていたので、その数年前に「戦国大合戦」のほうも録画し
ていたのを管理人思い出しまして、今回録画してあったビデオを探し出して、予備知識と
してそちらをまず見てから、テレビ朝日の「日曜洋画劇場」で放送されたのを録画した「B
ALLAD」を見たわけですが、あまり実写化がうまくいっている、とは言えない出来だ
ったと思います。

 というのも簡単に言えば「戦国大合戦」のしんちゃん(野原しんのすけ)が絡むギャグパ
ートや下ネタの類を一切カットして、又兵衛と廉姫の恋愛を中心とした話に仕立てあげた
ようなものですからね。いや、もちろんそれはそれで1本の話としては成立しますけれど、
だったらわざわざ「戦国大合戦」を使うこともないだろうに、という気がするんですよね。
 それに「戦国大合戦」でしんのすけの役割を持っているであろう、真一がなぜ戦国時代
にタイムスリップしてきたか、というのもよくわからなかったですし、この話は又兵衛と
廉姫のその当時では「許されぬ恋」だった悲恋話を描く傍ら、その真一の成長を描いてい
るはずなのに、いまいち真一が成長したかどうかわからなかったです。確かに劇中真一が
「もう逃げるのは嫌なんだよ」といったセリフがありましたが、だとしたらクライマック
スは又兵衛と高虎が本陣で直接対決するよりも、「戦国大合戦」のしんのすけのように、真
一が高虎に向かって「お前、逃げるのか!」と言わせたほうが合っていたのではないか、
という気がするんですよね。
 さらにそのクライマックス自体どうも盛り上がりに欠けるような気がして…。まあ、こ
れは俳優の責任ばかり、というわけでもないのですが、アニメのほうは野原一家の声優た
ち(矢島晶子、ならはしみき、藤原啓治、こおろぎさとみ)の演技もあってかものすごい
テンションの高い演技をしていましたからね。そういった意味でも真一の家族にもっと活
躍の場を与えてもよかったでしょうし(最後の「アレ」がちょっとまずいなら、別に腹に
場所を変えるとか、ラリアットをかますでもいいだろうし)、もっとテンションの高い演技
ができる俳優を起用するべきだったのではないか、と思います。
 ですから山崎監督も「『戦国大合戦』の実写版リメイクなんだから」と、思い切って(た
とえば「戦国大合戦」で「カスカベ防衛隊」の先祖らしき子供たちが出てきたように)、真
一のクラスメートそっくりな子供たちを戦国時代に出す(当然立場は現代と逆で少女のほ
うが強い)、といったようにもっとコメディ寄りの作りにしてもよかったかもしれませんね。
 それにしてもこう考えてみるとアニメや漫画の実写化、というのは本当にハードルが高
いものなのかもしれませんね。

(書き下ろし)

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「パワーレンジャー」

1975年に始まり、2018年現在全42作が放送されている人気特撮ヒーローものと言えばご
存知「スーパー戦隊シリーズ」ですが、そのスーパー戦隊シリーズをスーツや小道具は日
本のものを使うものの、ストーリーや役者はアメリカのオリジナルにしたのが「パワーレ
ンジャー」シリーズですが、そのパワーレンジャーの第1作目「Mighty Morphin POWER
RANGERS」(日本だと第16作目「恐竜戦隊ジュウレンジャー」)をリブートした作品なので
すが、管理人まず見て思ったのが「アメリカってパワレンは日本より対象年齢が高いのか
な」という事でして。
というのも日本だとスーパー戦隊シリーズの視聴者の主な対象年齢というのは未就学児童
からせいぜい小学1〜2年生くらいの子供だと思うのですが、この作品は10代前半の子供
たちを対象にしているのかな、と思うんですよね。というのもあの作品で例えばトリニー
(イエロー)がLBGTではないか、と思える描写があるのですが、日本だったらそんな
描写は考えられませんからね。それに日本のスーパー戦隊シリーズはとにかく敵は絶対の
悪玉、戦隊ヒーロー側は絶対の善玉という事になっているし(だから2018年の「快盗戦隊
ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」だってギャングラーという共通の敵がい
て、どっちもやっていることは正しい(ルパン=盗まれたお宝の回収、パトレン=ギャン
グラーを倒す)という設定ですからね)、ある意味その単純明快さがスーパー戦隊のウリな
のではないか、と思いますが。
それに124分の本編の内、ジェイソン達5人が変身して戦うまでに1時間半もかかるので
は日本では見ている子供が飽きてしまうでしょう。また日本との比較になってしまいます
が、日本だと最近はTVシリーズの第1話の時点で既に3人とか4人で戦っていてあとか
らメンバー(大抵はレッド)が加わる、というパターンが多いですからね。そういった意
味ではある意味「昔の戦隊シリーズ」を思わせる演出なのかもしれませんが。

で、肝心の内容ですが、124分と長い分それだけ5人がなぜ選ばれたのか、とかレンジャー
として戦う事を決意するまで、と言った描写がちゃんとされているし(TVシリーズだと
30分しかないからすでにその力を持っていることになってるし)、やはり特撮などは日本の
特撮とは比べ物にならないほどですからね。ただ、管理人自身の考えですが、レンジャー
のスーツ(というかアーマー)もいかにもアメリカのヒーローという感じだったんですよ
ね。個人的には日本産まれのヒーローものなのだし、日本にも「逆輸入」するようなもの
なのですから、もう少し日本寄りのデザインにしてもよかったのではないか、と思います
が。

とりあえず話そのものは1話でも十分完結していますが、なんか話が続くような終わらせ
方だったし、制作会社も続編の製作を考えている、という話のようですが、これがシリー
ズ化されるかどうかは、来年からハズブロ社に変わる制作会社がどれだけシリーズに力を
入れるかでしょうね。管理人、個人的には将来パワーレンジャーとスーパー戦隊のコラボ
を見てみたいですから(笑)。

(書き下ろし)

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「えいがのおそ松さん」


2015年、故・赤塚不二夫の人気漫画「おそ松くん」のキャラが20歳を過ぎた大人となって
巻き起こす騒動を描き、大ヒットとなったアニメ「おそ松さん」が2度のTVアニメ(2015〜
16年、2017〜18年)を経てファン待望の完全新作劇場版となった作品ですが、正直って管
理人「おそ松さん」の劇場アニメ化となると「10〜15分程度の短編アニメをまとめたオム
ニバス形式が一番いいのではないか?」と考えていたので、108分の長編アニメで話を作れ
るのかいな、と思っていたのですが、見た後は「あ、やっぱり『おそ松さん』だったわ」
と思いまして。
ストーリーは「自分たちが高校を卒業する直前の思い出の世界」に迷い込んだ六つ子の中
で誰か一人が「この世界で後悔を残して」おり、それが誰か、そしてどんな後悔だったの
か、という話なのですが、まあよく見ると最初から結構伏線は張ってあったんですよね。
ネタバレするとカラ松がキーパーソンだったわけですが、思い出の世界でもカラ松だけは
他の5人と扱いが違っていたし、他の5人がいろいろと思い出の世界に絡んできていたの
に一人だけあまり絡もうとしなかったし、もしかしたら「自分がこの思い出の世界に他の
5人を引き込んだのではないか」と思っていたのかもしれませんが。
それに(TVアニメも1期・2期とも2クール目が面白い、と言われていたように)、話も
後半になるとだんだん面白くなってきてSFとも感動ものとも終わらせないように(まあ、
最後の最後はちょっとやりすぎ感があったが)、やはり「おそ松さん」のノリは映画でも変
わりませんね。

とはいえ気になった部分がないわけでもなく、例えば思い出の世界のイヤミが「この世界
ではチミたち(六つ子)は仲が悪い」と言っていたにもかかわらず(仲が悪い理由はいつま
でも六つ子ひとくくりにされるのが嫌だった、とは想像ができるが。実際1期の2話でお
そ松が「六つ子って5人の仲間がいることじゃないからね、5人の敵だからね!」と言っ
てるし)、なぜ彼らが誰一人としてそういうことや、何よりも卒業式という大事なイベント
の日に大喧嘩をした、ということを覚えていなかった(そもそも喧嘩の原因がわからない
し)、という事やそれ以後どうやってあの6人が仲直りをし、今のキャラに変わっていった
のか、と言ったことが描かれなかったし、あの話を夢オチ、と思った人もいたようですか
らね。例えば6人が目覚めた後「なんか変な夢見たな」と起きだしたところおそ松のポケ
ットの中に(思い出の世界で買った)馬券が入っていた、といった事があってもよかった
のではないか、と思いますが。
それと、最後高橋さんはどうなったのでしょうか? 黒猫=高橋さんの思念が乗り移った
姿、と考えるのが妥当なのかもしれませんが、もし高橋さんが亡くなった、と仮定すると
最後の最後に出てきた猫はなんなんだ、と思えてきますが。

とはいえ、ファンならば楽しめる内容だったと思いますし(話のところどころにTVを見て
いた人なら知っているネタが多かったし)、もしTVアニメ3期があるとしたら「6つ子の
高校時代の話」というのがあってもいいのではないか、そう思える作品ではありました。

(書き下ろし)

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「名探偵ピカチュウ」

世界中で大人気のゲーム「ポケットモンスター」通称ポケモンの初の実写映画化なわけで
すが、管理人ポケモンはあまりゲームをやったことがないんですよね。ただ「名探偵ピカ
チュウ」のゲームは(管理人の好きな推理アドベンチャーゲームというジャンルだったの
で)プレイしたことがあったので、今回映画化されるという事で観てみたのですが、実は
最初「いくらハリウッドで制作するとはいえ実写化なんて大丈夫なのかいな?」と思って
いたのですが、観終わった後は「ああ、これは実写じゃなきゃ無理だ」と思えてきまして。

というのももしこれが、例えば日本でアニメ映画化されるとしたら対象年齢のこともある
でしょうが、(たとえ同じ題材を扱うとしても)あんな風なストーリー展開にはしないので
はないか、と思うんですよね。で、最近のアメリカであるピクサー社のような3Dアニメだ
ったらどうかというとゲームと大して変わりのない出来になるのではないか、という気も
しますし。そうなると実写映画化というのはベストとまではいかなくともベターだったの
かもしれませんね。ポケモンの造形も最初にデザインを見た時は毛の生えたピカチュウに
違和感を覚えたものですが、実際に見てみるとそれほど違和感は感じませんでしたし、実
際にああいうピカチュウならいそうな感じがしましたしね。

で、ストーリーの方ですがこれは管理人がゲームをやっていたこともあってか「ああ、そ
ういえばこんな場面があったな」という事だし、ゲームの内容が結局はストーリーのベー
スだったこともあって、ゲームをプレイした人にはゲームとの相違点を見つけ出すこと、
ゲームをやったことのない人にとってはゲームを始めるきっかけになったのではないか、
と思いますが。ただ上映時間が105分という事もあってか(さすがに子供たちがメインタ
ーゲットという事を考えるとポケモン映画で2時間以上はキツいか)、ストーリーはゲーム
のダイジェストという感じになってしまいましたし(話の舞台もライムシティと研究所だ
けで終わってしまったし)、メインは結局ポケモン同士のバトルかい、という気もしました
が(苦笑)。

でまあ、そのゲームの内容(突然ポケモンが狂暴化する薬の謎)をストーリーの縦糸とす
るともう一つ「親子の物語」というのがストーリーの横糸だったんですね。
いや、ゲーム自体も父親の死の謎を追うために息子がライムシティに来て…、という内容
だったのですが、その背景にあったのは「親子の確執」だったし、映画の最大の黒幕も結
局「親子間の確執」があった、という事になりますからね。
そして映画内ではゲーム内で描かれなかった結末が描かれた、という事もあって、あの結
末はそれはそれで納得がいくものではありましたが、なんか今現在Nintendo Switchでリ
メイク版が製作されていて、それは映画とは違った結末が用意されている、という話のよ
うですね(という事はあのゲームをまた最初からやらなければいけないのか、という気も
するが…)。果たしてあの映画を見た人でも納得がいく結末になるのか、と思いつつ発売を
待ちたいと思います。

(書き下ろし)

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