LEGEND OF WIND 〜CONAN IN HAWAII〜

〈FILE・5 EPILOGUE〉


「ねえ、コナンくん。ハワイ良かった?」
 コナン達が帰国して最初の休みの日の米花公園。
 ハワイ土産にコナンが買ってきたマカデミアナッツチョコを頬張りながら吉田歩美が言
う。
「はは、まあね。でもハワイって外国行った気がしないね」
「そりゃそうですよ。日本人が行く観光地で毎年ベスト1にランクされるんですから。実
はボクも毎月旅費の積立やってんですよ」
 円谷光彦がチョコの箱に手を伸ばしながら言う。
「へえ。光彦くんもハワイ行きたいんだ」
「まだ一万円しか貯まってませんけどね」
「大丈夫よ。小学校卒業するころにはずいぶん貯まってるわよ」
「なんかハワイっちゃ日本語だけで充分なんだって?」
 マカデミアナッツチョコの「種」を口に含んだ小嶋元太が言う。彼もハワイを狙ってた
らしいが、ポケットティッシュばかりが溜まったそうだ。
「あれだけ日本人がいりゃ日本語で十分だよ」
 コナンがチョコを頬張りながら言う。聞いた話では、ハワイでは日本語が話せるのと話
せないのでは給料にも差が出るとか。あれだけ日本人や日系人が多いと何となくうなずけ
る話だ。
 だが、歩美の言うとおり決して悪い旅じゃなかったし、また行きたくなったのも事実で
ある。
「そういえば知ってますか? ハワイって年々日本に近付いてきてるんですよ」
 光彦が言う。
「へえ。じゃ未来の日本人はハワイまで泳いで行けるのか?」
「そういうことになりますね」
(…おいおい。何億年先の未来の話だと思ってるんだよ)
 コナンは思った。ハワイが日本に近付いてきている、といっても年間でわずか七ミリで
ある。と言うことは一キロ動くのに十四万年以上かかる計算になる。

「…あれ、チョコが1個余ったぜ」
 元太が言う。そう言えば、コナンが買ってきたマカデミアナッツチョコは25個入りだ
ったから、4人で分ければ25÷4で6個ずつになり1個余る計算になる。
「じゃ、これはオレが貰うぜ」
 と、元太が手を伸ばしかけるが
「ダメですよ、元太くん」
 光彦がそれを止めた。
「…ここは公平にジャンケンで決めましょうよ。歩美ちゃんもいいですね?」
「勿論。コナンくんもいいよね?」
「…わかったよ」
 そして4人が輪になった。
「よーし、行くぞ! …最初はグー! ジャンケンポン!」
 ジャンケンの結果は1人がチョキ、残り全員がパーだったのだが、何故かその場には右
手が「5本」出ていたのだ。
 出た結果に思わず目を丸くする4人。
「…え?」
 そのチョキを出した人物に視線を合わせると…。
「灰原…」
 灰原哀がいつの間にかジャンケンに参加していたのだった。
「いつの間に来てたんですか?」
「ついさっきよ。…それより江戸川くん、ハワイ楽しかったかしら?」
「あ。ま、まあな」
「そう。私も…」
「なんだ?」
「ん? なんでもないわ。それより私が勝ったんだから、チョコは貰うわよ」
 そう言うと灰原はチョコを口に放り込んだ。

(THE END)


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