「 こころ現代民家研究所 」 の木造建築

「板倉構法(落とし込み板壁工法)」パーツリスト 

「板倉構法(落とし込み板壁工法)」は厚さ3センチの厚い板を4寸(12センチ)角の柱に落としこむことにより、耐震性、蓄熱性、耐湿性にすぐれた家を造ることができます。また、戦後の拡大造林で植林され、成長して過剰にある杉の中目材(柱にするのには太すぎて、梁にするのには細すぎる。)を有効活用する方法としても、もっと普及するべき工法なのです。
筋交いを入れないで板のみでゆるやかに力を分散する耐震壁は、柱や梁に無理な負担をかけないため、昔ながらの込み栓(木のせん)や伝統的な接合方法が可能になり、柱のホゾを活かした大変ねばり強い建物になります。
また、家のほとんどを木で造ることができるので森林資源の有効活用や環境保全の視点からも大変優れた構法です。
「板倉構法」の際にココロで採用している仕様を紹介します。

→ 板倉・民家型溝法で造る。

「板」

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板倉で使う3センチの「板」は、本実(ほんざね)といわれる加工がされた板です。この3センチの板を壁にも床にも天井にも使用します。これにより、使いまわしや、良い材の選別が可能になり、材料のロスを減らすことができます。・・そうは言ってもかなり多くの板を使うことにかわりありません。30~35坪程度の家で、壁だけで約400~500枚。天井や床も含めれば、その倍の800枚~1000枚の板が使われます。(幅15センチx長さ4m)板だけで、構造体の柱や梁を裕に超える木材量になります。
この板を、使う場所ごとに分別し、綺麗なものは主要な部屋へ、節が多かったり、色が悪いものは収納や見えにくい部分へ・・というように使ってゆきます。 個性のある日本の木材にはこの使い分けが沢山できることが大事なのです。(全て葉枯らし、天然乾燥の木材を使用しています。)

「木ずり」

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一般的な木造建築では「筋交い」と言われる斜めのツッパリ材が耐力壁として使われますが、板倉構法では、筋交いは使いません。横に落とし込んだ板倉の板にこの「木ずり」を縦方向に張ります。この補強によって筋交いと同等の耐力となります。(木の建築フォラム伝統木造研究会にて大臣認定取得済) タテ材とヨコ材だけで地震に耐える構造にする・・というのは昔から日本の民家構造に見られます。ツッパリ材による力の集中が無いため柱や梁を傷めにくい構造になります。一方、一般の筋交いの場合は柱の上下に集中的な力がかかりますし、大きな引抜力も発生します。その為、ホールダウンなどの金物や金属プレートによる補強が不可欠なのです。
→木の建築フォラムサイトはこちら

「木で防火する」

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「木」は燃える・・これは常識といえばそうでしょう。ですが、木は一度炭化するとそれから先は燃え進みにくくなります。そのスピードは1分間に約1ミリ。単純に3センチの厚みの板ならば、30分間は火がぬけることはない・・ということになります。法律でいう木造の防火仕様は、一般地域で20分間、防火地域で30分間、損傷しないことが条件になっています。板倉構法の壁の場合、厚30ミリ+24ミリ=計54ミリとなり、板倉の耐力壁だけで防火的条件を満たすことができます(木の建築フォラム伝統木造研究会にて大臣認定取得済)。また、軒裏部分も厚30ミリの板と面戸板の組み合わせで45分の準耐火構造が既に告示認定されており、この板倉の防火仕様と軒裏の準耐火構造を採用すれば、たとえ防火地域であっても、屋根以外は全て木を表した家が可能です。

「ダブル込み栓」

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板倉壁の耐力壁で想定される耐力は最大2.2倍。ですので、通常の柱の上下部分 では、大きな引き抜き力は発生しにくい為、金物補強ではなく、長ホゾ+木の込み栓(3.4KN以下:告示ろ)で対応可能です。しかし、場所によっては5KN~10KN程度の引き抜き力が想定される部分もでてきます。その場合は、込み栓を2本打つことで耐力を上げて対応しています。これも木材技術センターでの実験により耐力が証明されており、現場で採用しています。(静岡県内にて中間検査合格済み)
ナラ込み栓x2本→5.1KN以下:告示(は)に相当 ・ カシ込み栓x2本→10KN以下:告示(へ)に相当

「Dボルト」

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梁や柱の接合部分はDボルトで補強しています。
通常使われている羽子板ボルトに比べ、部材の中心部分で引き寄せることができ、ボルト自体も目立ちにくいので、梁や柱が見える部分や梁成(はりせい)が大きい場合等に使用しています。
→Dボルト販売先:コボットシステム

「パイプ羽子板」

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Dボルトは高価なので梁や柱の接合部分で隠れる部分や柱を上下引きするような部分にはパイプ羽子板を採用しています。
安価で比較的どこの金物屋さんでも手に入れることができる為、一般の羽子板金物の代用品として使うこともできます。

「追っ掛け大栓」

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梁の継ぎ手(梁同士をつなぐ部分)には「追っ掛け大栓」継ぎを標準としています。しずおか木造塾の構造実験では、この継ぎ手で4トン以上の引っ張り耐力があることがわかりました。通常使われる「鎌継ぎ手」に比べると約2倍の強度があります。

「柱」

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一般の在来木造建築で使われている柱は、サンゴ(3.5寸・10.5センチ)角のモノがほとんどですが、板倉構法で標準仕様とされている柱は、4寸(12センチ)角です。
そして、コーナー部分や通し柱部分にはさらに太い5寸(15センチ)角の柱をココロでは標準仕様としています。

「手刻み」

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ココロで行う「板倉構法」の3大原則・・それは、一.天然乾燥木材を使う。二.長ホゾや伝統的な仕口、継ぎ手を使う。そして三.プレカットは使わない。大工の手刻みで造る。・・です。機械では判断できない、クセのある、自然の木を正しく使い分け、活かすことができるのはしっかりとした技術をもった職人です。天然乾燥木材を使うココロの板倉構法では「手刻み」は絶対条件なのです。

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