蘭州火球


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2004年12月11日23時36分(現地時)、中華人民共和国蘭州市及びその近郊で昼間のごとく明るくなる火球が出現した。
数分後、衝撃波による大音響が周囲一帯に響き渡った。
直ちに紫金山天文台の王思潮らの専門家が現地調査を行い、これが隕石落下に伴う現象であると判断された。
北京天文館の寇文、中国科学院の林楊挺らは、付近7箇所の高速道路料金所の
監視TVカメラ映像に火球によって地上が明るく照らし出される映像が記録されていることを見いだした。
落下後一ヶ月ほど間に国内外の多くの調査チームや隕石ハンターが現地を訪れたが、隕石発見には至らなかった。
その後、蘭州地震局の栄代■(Rong DaiRu)らが、周辺8箇所の地震計記録とその解析結果を発表した。
張旭氏らは、その後も現地調査を続けたが、現在まで隕石発見には至っていない。

栄氏らによって公表された地震計の記録を元に、経路を再計算した結果、落下経路は下の図のようになった。
原論文における落下経路と比べると、落下仰角はほぼ同じ60°だが、方位角は大きく相違する。
この原因は、大気モデルとして、当日の風の実測データによる衝撃波面の流れと
気温の高度変化に対する衝撃波の屈折を計算の中で含めることによって生じた差である。
ただし、落下仰角が大きいため誤差が生じやすく、採用する大気モデルを少し変えると
経路位置は「西北西−東南東」方向に差が現れるため、誤差は±5km近く見積もられる。
一方、落下方位角や仰角の誤差は小さく、いずれも1°程度と見積もられる。
ところで、落下経路方向や当日の風の状況から、上空で破砕したであろう隕石破片の分布は、
狭い領域に収まる見込みで、落下楕円は、図示した楕円よりはずっと小さい面積になるだろう。
なお、この隕石が上空で多数の破片(数百もしくはそれ以上?)に分裂しているという栄氏の意見は十分支持できる。
つまり、コンパクトな領域に落下した隕石雨である。


落下予想域
赤の矢印は推定される落下経路、青の楕円内が隕石が落下した可能性が高い地域



参考資料 Meteoritics & Planetary Science
現地調査
2007年8月には張旭氏らと料金所でのフラッシュ映像の検討や目撃者からの聞き取りを行った。
2008年7月に予想落下領域の東部分の一部で捜索を行ったが、成果は得られなかった。


定遠料金所


甘草店料金所・・・中央の柱の上にカメラがある


目撃者からの聞き取り


現地・・・尾根付近だけはなだらかだが斜面は急傾斜


尾根筋から谷を見下ろす。斜面に見える筋は山羊の通り道


涸れた谷から尾根を見上げる。山羊放牧中