夢の後先





 ― 注意書き ―
 この物語はフィクションであり、登場人物、ゲーム、場所等全く関係はありません。
 これについて「ないじゃないか!」等の苦情は一切お受け出来ませんのでご了承下さい。  また、私はドリームキャスト版ギルティ・ギアは触った事がないのも付け加えておきます。



 2月某日(詳しく言うならば16日の未明)の事。

 その日、私はゲーム機であるドリームキャストで、どうやら「ギルティ・ギア」と言う格闘ゲームをしていた。
 私にしては珍しく、技も決まり、楽勝モードで進んでいた。
 エンディング間近と言う頃であろうか。
 いつもとは違う画面に切り替わった。
 その画面に映ったのは・・・。
 「一昔前のファミコンの様な映像のアクセルが主人公の物語」
 具体的に言うならば、可愛いいミニアクセル(モチロン両手には鎌を装備)が、波乱万丈なソル探しの冒険へと旅立つお話であります。

 一昔前のファミコンの様な画面にもかかわらず、かなり精密に描かれたアクセル君が見知らぬ街角に立っています。
 そして気付く。
 格闘ゲーム用のコントローラーだったのにいつの間にか小さなコントローラーに変わっております!まさにRPGであります!
 いつもは戦うしか出来ないアクセル君も、今日ばかりは町でお買い物も出来ます。
 しかし・・・普通の街中で鎖鎌を構えて走り回るのはどうかと・・・。
 しばらく町のメインストリートらしき道を歩いていると、見覚えのある人物の背中が見えてまいりました。
 おお、あれはまさしく「旦那」の背中!!
 これは後を追うしかありませぬ。
 駆け寄ろうとすると、旦那は細い路地に入ってしまわれました。
 慌てて我がアクセル君も路地へと足を向けます。
 しかし曲がった先には旦那の姿は見えず、代わりにイノの姿が。
 町をスクロールしている間はドット絵(にしてはよく描かれているのですが)なのに、人物の一枚絵はかなり美麗です。
 妖艶に微笑むイノの姿に、驚きつつも話は先に進むようです。
 そこで現れる選択肢。
 え?このゲームは恋愛シミュレーションですか?(汗)
 アクセル君は悩みます。
 「黒髪の綺麗なお姉さんと仲良くなるか、あくまでも旦那を追うか」
 制限時間が付いています。
 まぁ、悩むまでもなく、我がアクセル君は旦那を選びました。
 イノの誘惑を乗り越えて、微かに見える旦那の後姿をひたすら追い掛けます。
 すると、ジョニーとメイが仲良さそうに歩いています。
 「今日の夕飯は何が食べたい?」
 そんな会話をしているようです。
 その会話に何かを思い出したアクセル君。
 「ああ、俺夕飯の買い物しに出て来たんだった」
 今日の旦那はお肉が食べたいと言っていたようです。
 旦那の為のお肉をゲットしてからでないと、旦那に声を掛けても一緒に夕飯出来ません。
 慌てて元来た道を戻り、お肉屋さんへ行き松坂牛を購入。
 おや?この世界は日本の牛が食べられてしまうのですか!?
 そんなプレイヤーの驚きも知らずに、アクセル君はお肉を抱えて旦那探しの旅を続けます。
 「キーアイテム(マツザカギュウ)ゲット」
 ぴんぴろり〜ん♪

 街中を走り回りながら、旦那を探して右へ左へ。
 そこに通りかかったカイ君。
 「そんなに慌ててどちらへ行かれるのですか?」
 あくまでも物腰も柔らかく、優しく微笑むカイ君です。
 風をはらんで揺れる金髪も煌びやかに、柔らかく微笑むカイ君の絵は超絶に素敵です!
 ああ・・・写真に撮りたひ・・・。
 アクセル君は優しい人だなぁ、と思っているようで、心情が括弧書きで現れておりますが、またしても選択肢が。
 「カイと一緒に散歩をする、ソルの居場所を尋ねる」
 少し悩んだものの、お肉が腐ってしまうといけないので後ろ髪をひかれながらも旦那を追う事に決めたアクセル君。
 「ソルならば公園を抜けた辺りで不貞腐れていましたが・・・」
 そんな事を言うカイ君の顔には何やら痣が見えますが、そんな事は気にしないで先を急ぐ事に。
 足早に公園を抜けて、旦那を探すアクセル君。
 「ガンフレイム!!」
 公園を抜けた先に人だかりが。
 そして、旦那の声が聞こえます。
 思わず鎖鎌を持った手が、だらりと下がってしまうアクセル君。
 旦那の今度の戦いの相手は闇慈さんのようです。
 しかし、戦いの勝敗は既に決しているようで・・・。
 「ヴォルカニックヴァイパー!!」
 最後の技が決まり、悔しそうに膝を着いている闇慈にさっさと背を向け歩き出してしまうソル。
 不覚にも旦那の戦う姿に見惚れて、反応が鈍ってしまったアクセル君ですが、ここで旦那を見失う訳には行きません。
 お肉を抱えて走り出そうとしたアクセルに、膝を着いていた闇慈さんが声を掛けてきました。
 「おい、アクセル。これを持って行きな。役に立つ」
 と、袋に入った物をくれました。
 「ありがと〜」
 素直にお礼を言い、旦那を求めて走り出すアクセル君。
 もう、ソルしか見えません。
 「キーアイテム(袋に入ったアイテム)をゲット」
 ぴんぴろり〜ん♪

 「だ〜んなぁ〜!待ってよ!」
 駆け寄って行くアクセル。
 「あぁん?」
 何やら物騒なほど不機嫌な旦那であります。
 「俺を止めたければ、力ずくで止めてみな」
 いきなり戦闘ですか!?
 敵に出会った時の様に画面が揺れて・・・現れた画面は普段のもの。
 いきなり格闘モードなのですね!?
 しかし、アクセル君のセリフはいつもとは違います。
 「んーもぅ、旦那ったら素直じゃないんだから」
 そんなセリフあったっけ?アクセル君??
 「ガンフレイム!ガンフレイム!ガンフレイム!」
 いきなり連続で技を放ってきた旦那ではありますが、お肉をゲットしているアクセル君には勝てる筈もありません。
 何と言っても勢いが違います。
 ほとんど楽勝で戦いに勝ちました。
 項垂れてしまう旦那の姿。
 ドット絵で精妙に描かれていても、かなり可愛いです。
 旦那の呟きが聞こえてきます。
 「腹・・・減ったな・・・」
 そこで現れる選択肢。
 「声をかける、声をかけない」
 ここは無論、優しく声をかけようではありませんか!
 「うまい肉手に入れたからさ、一緒に食べない??」
 にこやかにソルを誘うアクセル君。
 話す姿は麗しい絵なのに、ちょこまかと動く姿は手乗りサイズの可愛いお姿。
 何とも不思議な感覚が襲って来ます。
 「・・・うぜぇ」
 そんな事を言いつつも、言葉に元気がありません。
 そこで最後の一手!おいしそうなお肉を提示。
 「どうよ、このお肉!おいしそうでしょ〜?」
 目をキラキラと輝かせて旦那を見つめるアクセル君。
 しかし予想に反して見向きもしない旦那。
 「俺はエバラヤキニクノタレ甘口じゃないと食わないゼ!」
 何とも我が儘なソル=バッドガイであります。
 しかし、ソンナモノモッテナイヨ!?
 慌てて荷物袋を探ってみても、入ってはおりません。
 そこで手に当たった闇慈さんから貰った紙袋。
 使うコマンドが出ております。
 ポチっとな。
 「エバラヤキニクノタレならあるよ。これの事でしょ?」
 満面の微笑を旦那に向けるアクセル君。
 アクセルの手の中のアイテムを気乗りしなさそうに見やったソルの目が輝きます。
 「何だ、持ってやがるのか」
 重い腰を持ち上げるソルの旦那。
 「一緒に食べてくれるんでしょ?」
 腰を曲げ、下から覗き込むようにしてソルを見上げるアクセル君。
 腰に手を当て、アクセルに目線を向けて呆れたような顔をするソル。
 そんな二人の一枚絵も、美麗です。
 カイと散歩をしていたら、こんな二人の絵が拝めたのでしょうか?
 ちょっと残念ではありますが、話は先に進みます。
 「お前は俺以外のヤツと肉を食うつもりだったのか?」
 「そんな訳ないジャン。さ、二人でおいしく食べようネ」
 そうして二人は仲良く街の中へと消えて行ったのでありました。





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