#25「別れの儀式」


まずはマース・ヒューズ氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

彼がまわりの人間にとってどんなに大きな存在であったか。彼の家族にとって、マスタング大佐 にとって、そしてエルリック兄弟にとって。その喪失は物語の一つの区切りを表し、残された者た ちをいやおうなく新しい歩みへと押し出していきます。



ヒューズのことを語りたいと思ってしばらくのあいだ文章を推敲していました。

あらためて気付いたのは、「ロイにとってのヒューズ」「エドにとってのヒューズ」「家族にとってのヒューズ」…、 彼を語るときにだれかにとっての彼というポイントだけでほとんど語るべきことが終わってしまうことです。 少なくとも私にとっては。魅力的な人物だけど、魅力的な理由の大部分は彼の他人とのかかわり方にあるのです。

「苦しいことは自分以外に背負わせたくない」
と彼は微笑みます(23話)。

彼は自分の幸せのためじゃなくまわりのサポートをするために生き、そして他の者を(具体的に 言えばロイを)背中で庇うようにして死んでいきます。それが彼の生き方であり彼の幸せであっ た、と思いたいです。

そしてもうひとつしみじみ思ったのは彼は死ぬべくして死んだのだということです。物語上、ある いは関係者の成長の過程において彼はどのようにしてでも失われなければならない存在でした 。
だから私は彼を彼の関係者との関係において《1》、そして物語上の位置づけにおいて《2》語ろうと思い ます。彼自身について無理に語ろうとするよりその方が彼をよく表せるだろうからです。

ヒューズ以外のことは最後にまとめて《3》で。
では今回も長いですがお付き合いください。


《1》 庇護者マース・ヒューズ

〈1−1〉ロイとヒューズ(1)

ロイ(階位が定まらないので名前で呼んでみる)とヒューズがいつからの知り合いなのかは謎な のですが、イシュヴァール戦前からの古い付き合いのようです。そのスタンスは明確で、上を目 指すロイをヒューズは補佐するということがお互いの了解事項になっています。
素朴な疑問だったのですがではなぜヒュー ズはロイの副官(ホークアイみたいな立場)にならなかったんでしょうね?まあ、おそらく軍の人事は個人的な 希望を容れてくれるわけではないのでしょう。もしくはぴったりそばに寄り添うことよりも ロイのためになることを、ヒューズが中央にもしくは軍法会議所に見つけたのかもしれません。
今回の25話では原作よりはっきりと 彼らの生き方とその理由が説明されました。

「俺は大総統になる。この国のありかたを変える」
「お前の下について、お前を上まで押し上げる」

アニメでは、イシュヴァール戦がロイに大総統という目標を定めさせるきっかけだったようです。
ロイのことは後で語るのでおいておいて、25話ではヒューズがいかにロイを大切に思っていたか が随所に示されて切ないです。

アバンタイトル、ロイの私室の有様を見てヒューズが最初に非難したのは
「禁忌を犯したものは…!」
禁忌に触れる罪そのものではなく、そうやって無防備に禁忌に近づいて自分を大切にしない振 る舞いについてでした。
その行為について
「たくさん殺したからな」
と自嘲的に理由をつぶやくロイに「戦争だ…!」と返すヒューズ。
「戦争に行って敵を殺すのがイヤなら、俺のように後方の任務を選ぶべきだった」
と言いますが本心でしょうか。
後方にいた自分には罪がないと思い、ロイもそうすべきだったと考えているのでしょうか。
そうではないだろうと思います。自棄の淵にいる(ように見える)ロイをすくい上げるために彼はあ えて欺瞞を並べているように見えます。
もっといえば、ヒューズ自身も人を殺傷するのに慣れているように見えます。5話の列車の中し かり、今回のラストや偽ロス少尉への攻撃もしかり。実戦経験は少なくないのではないでしょうか 。だとしたら「後方の任務」とはいえ彼の手もまた清くはないのは明らかで、だからロイへの言葉 は彼を立ち直らせるためにあえて言った欺瞞です。

「救われたかったのか」「死にたかったのか」とヒューズはロイに詰め寄り、殴りつけて目を覚まさ せようとします。
「結局、自分の命惜しさに試すこともできなかった」
「当たり前だ…」
「俺は、そういう人間だ」
「誰でもそうだ!」

罪を持ちながらその罪に押しつぶされないこと。そうやって誰もが生き延びていること。
ヒューズ自身もそうして自分の罪を消化しているのだと思います。
お前は罪を持っているが、お前は死ぬな、と、ヒューズは何度も繰り返しています。
贖罪がひとつのテーマになっているこの作品で、彼のような存在は貴重です。

そうして諭されたロイは、おもむろに決意を語ります。

「だが、この命でも少しはマシな使い道がある」
「おれは大総統になる。この国のあり方を変える。それがおれにできる唯一のことだ」


無精ひげを晒して幽鬼さながらにドアを開けた冒頭のロイは、とてもじゃないがこんな野望を秘 めた男には見えません。しかし殴られた後、幾分目に力が戻っています。
ロイが決意を固めたのは、ヒューズの檄が飛んだそのときなのではないでしょうか。
禁忌の研究をしながら彼がずっと自問自答していたことが、やっと形になった瞬間だったように 思えてなりません。
だとしたらヒューズはこのときロイの人生の目標を定める後押しをしました。
エドに接するようになるころにロイが自分の罪を抱えてそれでも前を向くことができる男になっている のは彼のような存在のおかげでしょう。
そしてヒューズの死はロイの人生のもうひとつの節目を定めることになります。


〈1−2〉ロイとヒューズ(2)

原作のヒューズは、エルリック兄弟が第五研究所で負傷して入院していることをロイに伝えるの をたまたま忘れたということになっています。そしてロイはこの時点で真実に深入りしなかったこ とで、たまたまウロボロス組の毒牙を逃れたことになっています。
しかしアニメでははっきりと、ロイを「余計なこと」に巻き込まないために意図的に情報を遮断しています。 そのためにいくらでも軽口をたたけるヒューズはほんとうに男前です。
嫌な予感がしていたけれどもいよいよ様子がおかしいと気がついたロイはセントラルに急行しま すが、そのことでヒューズからの最後の電話を逃すことになるのは皮肉としかいいようがありま せん。
ロイがセントラルに向かうのがもう一日早かったら彼はヒューズの口を割らせることができたでし ょうし、出立を次の朝に定めていれば、電話を取ることができたでしょう。
どちらにしてもこのことがふたりの運命を決めました。

「あいつは余計な心配をする必要はないし、くだらないことを知る必要もない」

ヒューズはそうやって、ロイに何も知らせないことで彼を守ったのでした。
その電話も、軍全体の危機をどうにかしようとする(「軍がやべえ!(原作)」)のではなく、「この情 報さえあれば一気に上を目指すチャンスなのに」と、ロイの手柄にしようとしているのが泣かせま す。アニメでの彼はあくまでロイの出世のことしか考えていません。


〈1−3〉家庭人ヒューズ

ヒューズといえば親馬鹿、親馬鹿といえばヒューズ。半ば以上はそれが彼の本性なのですが、し かしヒューズは家庭人である自分を自らのキャラとして半ば意図的に設定してた感もあります。 それは彼が何かを隠すのにかなり都合がいいのです。
グレイシアが焼くアップルパイを、イシュヴァール戦でぼろぼろになったロイを訪ねるためのエク スキューズとして使われているのなどはその典型です。
アップルパイは旅立つエドたちにも渡されていましたが、
「私たちは家族ぐるみであなた(たち)を応援しているよ」
というメッセージですよね。自分ではあえて何もせず妻(彼女)の作ったものを強調するあたり、 ほんとうにいい男だなあと思います。そしていかに妻を愛しているかと思います。

謎解きに奔走して、家族となかなか過ごせないのを彼もつらく思っていたことでしょう。
盗聴を恐れてロイからの電話に真実を言えない、と妻に告げたときのヒューズは、妻を必要以 上に怖がらせないようにしたいのと同時に、十分警戒するよう頼んでいるようでもあり、「気をつ けて…」と祈るグレイシアもそんな彼を十分理解しているのだと思わせます。
それだけに家庭人ヒューズが妻の姿をしたエンヴィに手を出せず殺害されるのは皮肉としかい いようのない「演出」です。

「パパはお仕事いっぱいなんでしゅ〜、いってきましゅ〜」
娘への最後の言葉と、エリシアが棺の前で
「パパお仕事いっぱいあるっていってたもん、お仕事できなくなっちゃうよ」
ていってたのがリンクしていてそれもまたつらいです。
娘にもよく理解されていたのだなあと。いい背中を見せていたんだなあと。
こんな良い父親の記憶が生後3年しかないなんてかわいそすぎます…!


〈1−4〉「父親」ヒューズ

エドとアルにとってもヒューズはまさにもうひとりの「父親」みたいな存在だったのではないかと思 います。
どうやら「母親」役割はロスが引き受けてるみたい(22話参照)なんですが、 どうなんだろうそれに関してはちょっと異議あり。
軍の手を借りるのをやめて独自ルート(師匠)で情報をあたるとか、やばいことには手を出さな いことにしたとか言う兄弟の真意を察して、でも好きなようにさせておくところとか。
「ガキのくせに」とつぶやくヒューズは彼らを決してガキ扱いしていない (18話は例外)のですが、少年たちをいちばん暖かく見守っているのは確かです。

あるいは23話で、第五研究所で起こったことをすべて話させるところとか。
素直に話すエドが見ようによってはヒューズにやや甘えているような、おれは悪くないよねとすが っているみたいなところが(23話感想では叩きましたが)エドにおいてのヒューズの位置を示して いるような気がします。

「あとはおれに預けろ、少し休め」

彼らにこんな言葉を言ってくれる人はもういません。
ロイなら「休んでいる暇があるのか」と言うでしょうから。

あえて言えばそのポジション(「少し休め」と諭す)にいるのはロスですが彼女は「これ以上危ない ことに巻き込まれたくないから聞きたくない」と耳をふさいでます。
アニメのロスは原作よりもずっとエドに親身になっていたのに、 母さんとまで呼ばれていたのにここは原作どおりなのがちょっと変 と言うか残念ではありますが…


父親(両親)不在の彼らにとって、この人には愛されているという実感に疑いを持たなくていい大 人ってピナコばっちゃんと師匠とヒューズくらいだったのではないかと思います。


〈補:1−5〉シェスカ

「君はクビだ! 二度とここに近づくな!」
突然気まぐれのように冷たく言い捨てたヒューズ。言わずもがなですがこれもシェスカを守るた めで。彼女はもともと民間人ですし。記憶力のよすぎる彼女はヒューズの調査してた内容を逐一 覚えているでしょうから危険なわけです。それをまた、彼女を危険から遠ざけようとするために自 分が悪者になることは露ほども迷わないヒューズのいい人っぷりに拍手。つうか涙。


《2》彼の死の意味

〈2−1〉「庇護者」の喪失

ロイにとってのヒューズはまず援護者であると言ってよかったと思いますが、アニメではとくに彼 を「守る」意味合いが強くなってます。
「お前の下について、お前を上まで押し上げる」
情報を手に入れる危険(〈2−4〉参照)は自分が引っかぶり、それをまたロイの出世の材料にす るつもりだったのですから。

そういう「庇護者」ヒューズを喪うのと前後して、ロイはセントラル異動が決まります。
これは(ロイ本人も「左遷ですか」といってましたが)モラトリアムとしての東方司令部の時間が終 わり、誰かに守られながらではなく、部下を守る者として自らの道を切り開いていかなければな らない、乱暴に言えば自立の時期を迎えたということだと思います。

今後の彼は、業務に忙殺され(異動なんかあったら特にたいへんだ)ながら、ヒューズ殺害の犯 人と、ヒューズが近づこうとした謎の両方をつきとめることによって、ヒューズの仇をうたなければ なりません。
そしてさらに上に行くチャンスも逃すわけに行かないのです(26話参照:感想はまだ)。
「さっさと偉くなって、おれたちに楽をさせてくれ〜!」
それがヒューズの遺言なのですから。

〈2−2〉「父親」の喪失

エドたち兄弟にとってもヒューズの死は大きな転換点になるはずです。
原作でも彼らはその事実を知ったばかりで、ヒューズの死の意味がはっきりしてくるのは むしろこれからですが。
ロイにとってと同じく、兄弟にとってもヒューズは庇護者。その喪失はいやおうなく自立を促します 。
もっというと、「掛け値なしに愛してくれる父親」ヒューズの喪失は、エドにとって子どもから青年に なるための最後の契機です(最初の契機はもちろん母の錬成の失敗)。
エドはこのあと「乗り越えるべき父親」であるホーエンハイムにまつわる謎に(たぶん)近づいて いくことになります。

つまりはロイにとってもエドにとっても、「庇護者」ヒューズはその成長の過程で失われるべくして 失われたのです。

〈2−3〉「別れの儀式」

今回のサブタイトル。
何がその儀式にあたるのかというと、もちろん字義通りにはヒューズの葬儀です。
もしくは愛娘の頬に落とされた「行って来ます」のキスや、
もしくは最後までロイをかばい続けた電話のメッセージが
ヒューズの彼らへの「別れの儀式」となったかもしれません。
しかしヒューズが一番心残りだったのは、おそらくエドのことだったんでしょうね、と。

だからエドだけが目にしたあれが、ヒューズの「別れの儀式」だったのではないかと思います。

彼だけが「別れの儀式」を垣間見ることができたこと。たぶんそれは、守られる者から守る者へ、子どもから青年へ、 の節目にいるのはエドでありアル(やウィンリィ)ではないからです。
(アルはまだ守られる立場におり、彼が青年への一歩を踏み出すには、どのような形にせよエドが失われる必要があり ます)

「どうしてあんなに僕たちの世話、してくれたんだろう?」

だからその答えは、そうした節目にいるエド(たち)が心配だからでもあります。
でもあります、といったのは、ヒューズがエドを気にかけてたのはロイが エド(たち)を気にかけてたからってのが一番の正解のような気が するからです。

「大佐はあの兄弟のことになると冷静さを失うところがあります」
「だからヒューズ准将は、二人のことはご自分の胸にしまい、大佐が安心して、上を目指せる ように」


だとするとやはりヒューズにとってなによりのプライオリティはロイだったのです。
エドがロイの向こう脛であることをよく知っているからこそエドのことが心残りであり、だから彼は「別れの儀式」でエドの前 途を祈ったのです。
命をかけてまで買ってもらえたロイは幸せです。
ロイもまた命がけでそれに応えなければならないでしょう。

ところでこのシーン、きっちり二階級特進後の階位でヒューズを呼ぶのが中尉らしいです。
階位を正確に呼ぶのはもちろん軍人としての礼儀なのでしょうが、それだけではなく、
「ヒューズ氏はあなたを守って死んでそして准将になったのだ」
という現実をしっかりとロイにたたきつけるためでもあるように思います。


〈2−4〉ヒューズ総評

一見お調子者の親馬鹿で、実際とても世話焼きで、目をかけた人物の「苦しいこと」はどこまでも自分が 代わりに負ってやろうとする庇護者ヒューズ。高い戦闘能力と回転の速い頭脳で、8話でバリーに殺されかけたときには 文字通りエドの命を救っています。
その頭脳が彼を死地に負いやるわけですが。結果論ではありますが、秘書官に呼び出されてホテルに出向く あたりからのヒューズの行動はちょっと走りすぎでした。だって敵は秘書官だけじゃないことは分かって いそうなものだ。丸腰でないとは言え一人で敵だと分かってるひとのところへ出向き、あまつさえ正体を 問い詰め。危険といってもこれほど危険とは認識していなかったのもあるでしょうが、自分の戦闘能力にそれなりに 自信があったからだろうとも思います。そういうところも好きだー。

「イヤだよイヤ、埋めないでよ!」
愛娘エリシアの叫びは彼を知るすべての人の代弁です

死ぬべくして死んだとかいろいろいってますが、彼だって無念の死だったでしょう。やりのこしたことが山ほどあるのです。
しかし倒れる瞬間、そしてエドに別れを告げる瞬間の彼は穏やかな表情で、 志半ばで倒れる悔いはあっても、やってきたことに悔いはないのだろうなと思わせました。

「良いやつほど早く死ぬ」
なんて言葉嫌いなんですが。ヒューズはまさにそのケースで。
彼が死ぬことでしかはじまらない物語があります。
彼が抱えたまま死んでいった謎を暴くことがこの後の物語の鍵になります。
そして庇護者マース・ヒューズの死がロイをエドを人生の次のステージにいやおうなく追いやります。


《3》25話

あとはヒューズ以外の語りたいことを。

〈3−1〉ロイと人体錬成

真新しいヒューズの墓の前で「私より上にいってどうするんだ、馬鹿者が」とヒューズをなじるロイ。
自分をおいていってしまったヒューズへの怒り、それをどうしようもなかった自分への怒りが現れています。

「かつてわたしは人体錬成の理論を組み立ててみたことがある。今必死でそれを組み立てていたよ。
――錬金術師というのは嫌な生き物だ」

原作にある「あの子たちが母親を錬成しようとした気持ちが分かる」というのは省かれていますが、 この自嘲の台詞とこれまでの流れで、それはもう語られていると見ていいでしょう。

ヒューズがロイにエルリック兄弟のことを言わなかった真意をホークアイはさとっています。
立場は違い方法は違ってもヒューズと同様ロイを支える人であるからこそ察した事でしょう。

「雨が降ってきた」とうそぶきながら上を向いて涙するロイに
「ええ」と優しい嘘をつくホークアイ。

大人って悲しいなと思う一シーンでした。



ところでアバンタイトルですが、ロイの私室内にはバケツにいっぱいの赤黒い液体が大量に見受けられます。
血液のようにも見えますが何なんでしょうこれ。彼は人体錬成の理論を組みたてていた、としか 言っていませんが、だとしたら賢者の石を研究の視野に入れていてもおかしくありません。
これ賢者の石の前段階の紅い液体、その試作品ではないか?
彼はこの時点でイシュヴァールでマルコー氏作の「錬成増幅剤」=賢者の石試作品を使っており 、その威力のすさまじさを知っていますから。
しかしまさか人間を材料にして作ったものではあるまいし(死人を呼び戻すために別の命を犠牲 にするなんて、少なくともいまの彼においてはいくらなんでも)、人体に有害だというマグワールの 「赤い水」(11−12話)とも違いますよね。

やっぱりいわずにおられない。ここだけ萌え感想。ドア開けた瞬間のロイの死人みたいな顔色に無精ヒゲ。 そしてヒゲのない顔で「アップルパイほしいか」と あえて微笑む独身ヒューズのやさしさ、オープニング10秒でもう私やられました。
あるいはドアをノックする中佐の指のカット、指が、袖が美しすぎます。コンコンって叩いたときの指の形、指 の動きに連れて振られる袖口の動き。今回(も)ほんと絵がきれいだった…


〈3−2〉スカー

スカーの右腕は「お前の兄の腕か…?」と師父。
うおうなるほどねー! で、この時点では、じゃあ兄の腕をちょん切ってつないだんだ、ひょっとし たら兄は死んでるのかもしれないーとか思ったんですが、31話見た現在やっぱ人体錬成がら みの事情があるのだと確信。しかしスカーがラースと同じような存在であるとも思えないので謎。

師父の言葉、
「復讐は新たな復讐の芽を育てるだけだ」
「痛みを受けても眠ることはできるが、痛みを与えれば眠ることはできない」

は、錬金術を厭い、神に従順なイシュヴァールらしい言葉です。(なんかどこかで聞いたことがあ る格言のような気がしますが思い出せません)

しかしそれでおさまらないのがスカーです。彼にとってはいちばん痛い台詞を尊敬する人から言われて も表情一つ変えずに、禁じられた錬金術で暴漢を殺傷します。
彼の生き方ちょっとやそっとでは変わりません。




次回予告:「彼女の理由」
今回めろめろにほめまくった分また辛口になる予感。見所は一点だけ。

(2004.05.13記)

すごい期限遅れの宿題ではありますが、お読みくださってありがとうございました。
いつもヒントや叱咤激励を下さる方々のおかげで書きあげました。ほんとにありがとうございました。


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素材提供:BEKAR