プラグの焼けと交換(Part1)

●みなさまは、どのタイミングでプラグを交換していますか?距離ですか?磨耗度ですか?それともショップまかせですか?

ここでは、ロータリー乗りの基本メンテナンスである、「プラグ交換とその状態」について話したいと思います。

結論から言ってしまえば、一般に交換の目安とされている「距離」というものは、交換のひとつの要素でしかありません。
クルマの仕様やオーナーの使用状況、それらと密接するプラグの熱価と劣化具合によってかなり左右されると思われます。
それらについて実際に使用したプラグの画像をもとに話しを進めていきたいと思います。

プラグはNGKのレーシング10.5番を使用しています。
全ての画像は、左側が進行方向(フロント)で、上段がトレーリング側、下段がリーディング側に統一してあります。
本来、プラグの焼け具合を把握するなら、全開走行した直後に抜いて見るべきだと思いますが、さすがに熱くて触ることも出来ません ので、下道を10キロ位走り、自宅駐車場に着いて、冷ましてから実施しています。
その間に、表面にスラッジが付いてしまうようで、そのままでは焼け具合は把握しにくいみたいです。
唯一、上段画像のリア・トレーリング側のプラグだけは、実際の燃焼状態を確認するために、一部をウエスで拭いた後の状態です。
愛車の仕様として、補機類は、RE雨宮製の「ホットワイヤー」プラグコードと「New Volt」で補強しています。
それぞれの性能についてはご存知の方が多いと思われるので、簡略して説明すると、「ホットワイヤー」とはアースをバッテリー から直接とり、電気抵抗を減らすことで点火火花を強くするコードです。
もう一方の「New Volt」とは、「点火エネルギーは電圧の強さに比例する」という性質を利用して、ノーマルの電圧を高める ことを目的にしたパーツです。
プラグ4500走行 ●上段画像について
・ 使用状況(110300〜114734キロ)
プラグ(クルマ)の使用状況ですが、ほとんど「走り」にしか使用せず、高速の入り口まで下道を使うくらいでした。
それとサーキット走行はしませんでした。
走行距離は諸般の事情で4500キロも走りました。
・ 状態解説
リア・トレーリング側のプラグだけは、実際の燃焼状態を確認するために、ウエスでスラッジをかるく拭いた状態ですので 特に気にしないで下さい。「焼け」はほぼ、良好な燃焼状態のようです。
Kyasuiはこれまでは約3〜4000キロ毎に無条件で交換してきましたが、みなさんは、どれくらいの距離で交換 していますか?
この画像は「New Volt」を装着してから、初めて4000キロを超えて交換したプラグです。
判りづらいですが、プラグの「芯」の部分を見て下さい。
かなり磨耗しており、初めて見た時は「ゾッ」としました。
未使用のプラグと比べて1/3位に磨耗しています。
通常、プラグのギャップ調整はコンマ何ミリの世界であることを考えれば、これでは火花が正常に飛んでいたかどうかは疑わしいです。
これまでの「New Volt」を装着する前に、数回4000キロくらいで交換したときには、これほどの磨耗は 見られませんでした。
このことから、強い点火を起こすことにより、「芯」が磨耗したことが プラグ3100走行 予想されます。
しかし、ここで私は疑問が湧きました。みなさんの中にも、疑問をもったヒトがいませんか?
それは、強いスパークが発生しているなら、燃焼効率が高まるはずであり、その結果もっと焼けるはずである!
スラッジが付着しているとはいえ、もっとプラグの電極が白くなっても良いのでないのか?
そこで、Kyasuiは仮説を立てました。
それは強力な点火により、燃焼効率が高かったが、同時にプラグの「芯」も磨耗していくため、次第に点火機能が低下して しまったのではないか!
それでは次回の交換は、これまで通りに3000キロで実施して、仮説の検証してみようと思います。


●中段画像について
・ 使用状況(114734〜117880キロ)
使用状況は上記と同様であるが、サーキット走行は1回でした。
走行距離は3000キロ走りました。
・ 状態解説
プラグの「芯」を見ると上画像ほど磨耗していません。
燃焼効率も高かったのか、上段よりも焼けているようです。
スラッジを取ると、いい焼け具合でした。
これらのことから、前述の仮説は正しかったようです。
プラグ1900走行 上段のプラグは、使用限界に近づいていたため、正常な点火がなされていなかったようです。
もしも知らずにあのまま使い続けていたら、最後にはエンジン始動もままならなかったでしょう。いや、最悪ブローしたかもしれ ません。
それと気になった点がいくつかあります。
ひとつは「芯」の部分を見て気になったのが、3000キロ走行した割には磨耗が少ないことです。
これは、ある時期から減り始めると急激に磨耗が進むことが予想されます。(まるでクラッチみたいですね!)
このことは、注意が必要です。それは街乗りしていたヒトが、回すような走りに転向した場合、熱価と距離だけで交換サイクルを 決めると、プラグの寿命が先にくる可能性があるからです。
もうひとつは、フロントよりもリア側の方が、(2本とも)若干良く焼けていることです。これは、セッティングの問題なのか、 他の問題があるのか現在でもわかりません。
●下段画像について
・ 使用状況(117880〜119680キロ)
普段の使用状況は、工場に入っていることが多かったです。
サーキット走行は2回でした。
走行距離は2000キロ走りました。
・ 状態解説
プラグの「芯」を見ると、ほとんど磨耗してないのでまだまだ使用出来ました。
※しかし用心深い私は、決してスラッジを落としてまた装着することはしません。もしも、取り残した欠片がエンジン内に落ち込ん だりしたら、精密なロータリーエンジンが台無しになってしまうからです。なので、みなさまにもお勧めしません!
話しを戻して、距離が短い割りにスラッジがいつもより付着していることから、適正な温度まで上がっていないことが判ります。
もしも、上がっていれば、燃焼爆発の際に、一緒に燃えて飛んでしまうからです。
このことは、スラッジにより火花が飛びにくくなり、さらにスラッジが溜まってしまう、悪循環をあらわしているようです。
以上のことから、過酷と言われるサーキットを走ったとしても、普段あまり回さない使い方ならば、プラグの「芯」の磨耗は あまり進まないようです。
しかし、一方では、スラッジがエンジン内に蓄積してしまい、カーボンとなってシール類に悪影響を及ぼすことが考えられるので、 プラグの熱価を落とした方が良いことが判ります。

●まとめ
  1. プラグの「芯」が磨耗していくような使い方は、プラグに厳しいが、エンジンには優しい
  2. 上記のためには、走りに合わせた「熱価」のプラグにするか、プラグに合わせた「走り」に変更する(ちょっと困難?)
  3. プラグの「芯」は、あるところから急激に磨耗していく
  4. プラグの交換時期とは、「芯」の磨耗を重視したほうが良い
  5. プラグの「芯」の磨耗進行は、補機類に左右されることがある
  6. プラグの「芯」のスラッジは、蓄積させると相乗効果でさらに蓄積する
以上のことから、プラグの交換サイクルは、「芯」の磨耗度、「スラッジ」の蓄積度、最後に経年劣化として「時間と距離」 を考慮して決めた方が良い ようです。

これにてプラグの消耗と交換時期についての考察は終わりますが、次ページにもっと一般的に使用されたプラグについて、考察したいと 思い追加しました。

プラグの状態(Part2)


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