バイザー越しにもバンパーがめくれ上がっているのがわかる。
君は冷静さをよそおい、ゆっくりとドアを開ける。
スタンドの観衆の目は、君に釘づけ!!
6割は、「ウオォー!!スゲェー、今の見たー?、やっちゃっているよー!!」
3割は、「アァー!!かわいそう!!大丈夫かしら?あの人!!」
残りは、「・・・あと少しだったな・・・」
もう君に出来ることはひとつしかない。
君はまるで王者”ミヒャエル・○ューマッハ”のウイニング・ランのように、観衆に向けてゆっくりと両手を振る。
観衆はスタンディング・オベーションで応えてくれる。
しかし、決してヘルメットは脱げない。目に光る粒を見られてしまうから・・・
ゆっくりと愛車から離れる瞬間、横目でチラリとダメージチェックする。
フロントバンパーは、無残に破壊され、インタークーラーにもジャリが食い込んでいる。
なんか液体も漏れている。ウオッシャー液であることを願わずにはいられない。
「まっ、まぁ、こういうこともあるよ!プロのレーサーだってこの場所は飛び出すことがあるんだから・・・」なんて自分に
言い聞かせている。
だめである!!それでは同じことを繰り返すぞ!!Kyasuiは言いたい。サーキットであってもコースコンディションの
把握は大切だ!!特に今日みたいに「荒れている」ときは・・・
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