不安な毎日
 先生でも、覚えてるわよね。まさか、忘れてるなんてないわよね?
 それより、先生、バレンタインディって、知ってるのかしら?
 だって、だって、学生の頃から付き合ってるって、おっしゃったのよ?
 ねぇ?基本、よね?

 ホグワーツ中が、ピンクのオーラに包まれ始めて、わたし、自分のことより、先生の心配ばかりしてる。
 以前ホグワーツで教職をされていた姿は、それもひとつの事実ではあるけれど、実は、結構うっかり屋さんでもあるってことを知っているから。『バレンタインディ』を忘れてる危険性も否定できないでいるのよぉ。
 でもね、先生はそういう人だけど、シリウスさんは、ロマンティストっていうか、イベントを大事にするっていうか。多分、凄くマメな人。誕生日はもとより、結婚記念日から、婚約記念日、挙げ句に、付き合い始めた日だって、お祝いするような、でもって、14年ぶりなのよ?名付け子に12年分の誕生日の贈り物として、ファイアボルトを贈っちゃう人なんだから・・・・・・
 どんな計画を立ててるのか、コワクテ想像できないわ。
 なのに、その相手が、ちょっと浮世離れしてるところがある、あの先生。
 だから。
 年下の友人と呼んでくださった先生の幸福を願うっていうのは、こういう、転ばぬ先の杖になるってことでも、あるわよね。

 バレンタインディの日。ハリーとロンを巻き込んで、だって、わたしひとりが先生にカードを贈るのって、なんかヘンじゃあない?ヘドウィクに運んで貰うバレンタインカードの中に、ふたりには内緒で、今日が何の日か、手短にメモして紛れ込ませておいたけど。
 できるなら、先生に、余計な心配だって、呆れて欲しい。
 いくらなんでも、呆れてくれるわよね?

 ウァレンティヌスさま、おねがいっ。
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