貴方にもう一度会えたなら、と何度願ったでしょうか。
Nostalgia
「何年ぶり、かな?」
「3,4年は軽く会ってないと思いますよ?」
「そっか。じゃあ、久し振り」
「お久し振りです」
変わりましたね、喉元まで出てきた言葉を無理矢理飲み込む。
4年前、最後に彼を見かけた時は、確か目に映える金髪だったのに。
今は黒髪。さらさらとした細い髪は、昔と変わらないままで。
「何か御用ですか? わざわざ私の家の前で待ち伏せなんて」
「待ち伏せなんて聞こえが悪いよ。たまたま通りかかってさ、懐かしいなぁと」
「……なら私には用事ないですね? 寒いんですけど」
彼は卑怯だ。いつも、そうだった。
昔と変わらない幼い顔立ち、大きな瞳。
誰にでも首を縦に振らせる力を持っている。
「行こうか」
「……我が侭ですね」
「今欲しいものは今手に入れる主義だから」
薄く微笑むその顔から、昔の覇気は、見えなかった。
キィ、とブランコが揺れる。
その後びゅう、とつめたい風が吹いて、ひよのはマフラーを口許にまでかけて寒さを凌いだ。
彼は彼で、ひよのの座るブランコの隣に立ち尽くす。
ただ、寒い。空は灰色。
「今までどこに行ってたんですか。ご両親はアマゾンに行ったとか行ってないとか聞きましたし、妹さんは
日本にいるとかそうじゃないとか」
「……梓はこっちにいるよ。君の2つ上。どっかの大学行ってるって」
「……あなたは、どうするつもりなんですか?」
口にしてから、言わなければよかったと思った。けれど遅い。
彼がどうしようと、自分には関係のないこと。
だからあの時姿を消してからも追いかけなかった。
「名前忘れたわけじゃないだろ? “あなた”とか呼ばれるの微妙」
忘れたわけではない。
なのに口にできないのは、彼が昔と変わってしまったからだと思った。
忘れない。忘れられない。
4年前抱いていた、淡い恋心。
「……沢村、さん」
「……俺は何て呼べばいいんだろう、君のこと」
「名前を覚えてくださっているならご自由にどうぞ」
沢村史郎、彼が息を吸うのとほぼ同じく、ひよのも息を吸う。
何だか緊張する。ただでさえ乾いていた喉が、乾燥した冬の空気で更に渇いてしまった。
「ひよの」
「……年頃の女の子を呼び捨てですか」
「やっぱ嫌か」
「……いいですよ。ご自由にって言いましたし」
キィ。
また音をたてるブランコから立ち上がり、軽くスカートをはたく。
ただ、空気を保たせたかった。
「本当は、それだけじゃなくて。……沢村さんだから、いいんです」
「? 俺だから?」
「……4年前までは、魅力的な人に見えたんですよ」
「ふうん……。今は?」
「私の方が魅力的です」
「ははっ、そうかもね。ずいぶん可愛くなった」
彼の言葉は何だか年月を感じさせて、何だか寂しくなる。
それでも、この頬は恥ずかしさに赤みが差してきて。
「お、お世辞はよしてくださいっ」
「お世辞じゃないよ」
それから史郎は、ゆっくりと白い息を吐き出しながら、行こうか、と口にした。
送っていってくれるのか、それとも違うところへいくのか、それはひよのにはわからない。
たまにはいい、流されてみよう。
静かに頷くと、彼の時間に身を委ねた。
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<あとがき。>
な、なななな何てアホなことを……!!
こんなの書いちゃうなんて……!!!(←現在期末試験前日夜)
オリジナル設定満載ですな。
綾瀬個人的には、沢村には姉一人と妹一人いるんですよ。で、妹が梓。
何気に萌え追求なのです、「沢村 梓」。(解る人だけ笑ってください。ヒントは「沢村」→「澤村」)
これ書かないとクリスマス書けないんだYO☆(書くつもりか)
もちろん種も書きますよー。(ぇ)
あ゛、勉強せにゃ……!!!