であるために。

   であるために。

 

 

 彼はいつでも笑みを浮かべる。

 困ったような、悲しいような、嬉しそうな、笑顔を。

 実際年齢よりもずっと幼く見える顔つきをしているくせに、いつも、見下されているような感じに襲われるのは何故?

 私が彼よりも確実に勝っているものがあるのなら、そんな“被害妄想”も消えるのかもしれない、と思ったけれど、ないから今こうしているのだ。

 

 

「……変な顔」

「貴方に言われたくないわ、童顔さん?」

「うわ。気にしてるのに」

 ほら、また笑った。

 不安になる、心が疼く。

 どうして貴方はそんな風に笑うのかしら。

「……貴方にとっての笑顔は何なの?」

「へ? コレ?」

 自分の顔を指差して、彼は不思議そうな顔をする。

 貴方にとっての笑顔は何? 

 自然なもの?

 自分の一部?

 無意識的なもの?

 それとも、それ以外のものなの?

「……さあ、何でしょう?」

「解らないから聞いているんだけど?」

「……知ったら、雨苗はきっと驚くから」

「それでも知りたいと言ったら?」

 んー、と彼は困ったような表情をする。

 ……世間一般的にはそれを“苦笑”と呼ぶ。

 それくらい、彼の行動には笑顔があふれていて、それがなければ、まるで彼ではないかのよう。

「……俺が俺であるために、雨苗を殺すかもしれない」

「っ……!?」

 絶対零度の瞳に鋭く見つめられて、突然のことに息もできない、視線も逸らせない。

 私の知らない彼、絶対零度の瞳に吸い込まれて行く。

「……なんてね。冗談だよ、冗談」

 ほっとする。

 彼にいつもの笑顔が戻って、本当によかったと、今初めて思った。

 彼にはこの顔が一番良く似合う。

 なのに、先刻のあの瞳が焼きついて離れないのは何故なのだろう。

 あまりに意外で似合わなかったからなのか。

 ――似合いすぎていたのか。

「冗談だから早めに忘れな?」

「……忘れないわよ」

「え。忘れろって!」

 必死で弁解しようとする彼の表情はやはり“苦笑”で。

 彼にとっての笑顔の存在がわかった気がした。

 

 彼が彼であるために造られたもの。

 他人に創られてしまった彼の定義。

 

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 <あとがき。>

雨苗さん一人称は訳わかりません。(だな)

そんなこんなで、脳内沢村×雨苗化計画第2弾。

雨苗さん、絶対根は優しいと思うんですよ。

沢村くんは根はめさめさクールで冷ややかってか無関心てか。

だから、互いに自分を嘘で覆うことでうまくやってんです。

沢村くんは雨苗さんを見て「本当の自分に似てる」って惹かれて。

雨苗さんも同様。

けど結局は自分に嘘ついてるから、嘘がバレたら……ねえ。(何)

あああ、言ってること意味わからんちんでゴメンナサイ。(爆死)

タイトル、カラフルに攻めてみました。(は!?)

 

 

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