永遠に、繰り返す、繰り返したい、こと。
ずっと下ることのない、長い、長い、坂道を、飽きずにあたし達は上っていく。
――大丈夫、君がいるなら。
永遠回帰
「? ……どうしたの? 伊万里」
「ううん、何でもないよっ」
行けども行けども続く、長い上り坂。
本当は、すこし疲れただけ。
「ほら、行こう?」
優しく差し出された彼の手を、ぎゅっと握りしめる。
足がまだだるくて、引っ張られて歩いてる感じ。
「……沢村?」
「何?」
「……後悔、してないの?」
してたら君と此処になんかいない、と沢村は笑った。
夏の日差しが眩しくて、暑い。
ふと吹いたゆるやかな風が麦わら帽子を攫っていきそうになって、今にも飛びそうだった帽子を、沢村が押さえる。
ふたりで、笑った。
「夢みたい、だよな」
「うん、夢みたい」
夢だったら覚めないでほしいなぁ、とあたしが漏らすと、俺も、という相槌が返ってくる。
それが何だかとてつもなく嬉しくて、ちょっとだけ足の疲れも飛んだ。
スキップするみたいに、沢村の隣まで跳ねる。
ここは何もない世界。
ただ続く、長い上り坂と、あたし達以外は何も存在しない。
おなかも空かない、喉も渇かない。
君がいれば何も要らない世界。
「どこまで続くのかなぁ、この坂」
前方を見据えた。
坂はまだ続く。
ずっと、ずっと続いていく。
平坦な道もある。けれど下りはない。
――決して許されない。
「疲れたの?」
「全っ然? 沢村は?」
「俺も」
頬に軽く触れる唇の感触。
沢村の唇はいつだってすこし乾いていて、それは此処でも同じこと。
変わらず、いつも通りの彼を、あたしは此処でも愛す。
それは此処でも、此処ではなくても同じことで、そんなことは意味もなく、ただ繰り返される。
善もなければ悪もない、ただ同じように何処でだって相手を愛したいと思う、想いと想い、愛への意志。
愛はどの世界でも終わることがない。繋がり続ける、巡り続けるもの。
――永遠に。
「……まあ、あたし達が自分で選んだんだし、ね」
「それに、伊万里がいるんなら別に辛くもないし」
軽く頷くと、手首を引かれて、急かされる。
早く行こう。
うん。
この坂が下るところまで。
うん。
ずっと許されることのない坂道を、あたし達はずっと上っていく。
許されなくたっていい。下ることのない坂道だって構わない。
――大丈夫、君がいるなら。
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<あとがき。>
最近全然更新してないから、何か書かなきゃなぁと。
適当に書いたらこうなりました。(爆)
駆け落ちの話でもいいんだけど、個人的設定としては心中後。(逝ってこい)
描写するの忘れてたんですが、坂道の両サイドには一面のひまわり畑で。
伊万里ちゃんは麦わら帽子に白のノースリーブのワンピース、沢村は白Tシャツに黒い長ズボンです。(暑)
いいんだよ、日焼けしないから。(何)
あー!!! アスカガに似せたさわいまを書きたいー!!!!(は?)