ゴミ箱の中の知らない誰か。

 



 月が、眩しかった。

 明かりも点けずに2人して窓の前に座り込んで、お揃いのリングをかざす。

「……こーすけ?」

「……何だ?」

「……ううん、何でもない」

 空気を繋ぐ、馬鹿らしい会話。

 たった一言、二言だけど。それすら愛しい。

 この、だらけたような生温かい感じが心地よくて。

 彼の肩に寄りかかる。

 月の光の、優しい、包むような暖かさと、彼の体温を、肌に感じる。

「……伊万里」

 優しい声と瞳が大好き。

 そうやって呼んでくれることも、すごく嬉しい。

「……何?」

 応えると、彼は、あたしのリングのついた右手にそっと口付けをした。

「後悔、してないのか? 好きな奴いたんだろ?」

「……知らない」

 微笑んで、あたしは彼の頬にキスする。

 少し驚いたような顔をして、彼は聞いた。

「……“知らない”って?」

「そんな気持ちも想い出も、みんな捨てたよ。こーすけと一緒に居るって決めたときに」

 そうか、と彼は笑った。

 至極、嬉しそうに。

 

 ゴミ箱の中の昔のあたしは、今泣いてるのかもしれない。

 でも、そんな人もう知らない。

 

 今、彼の隣で幸せを感じているあたしが、本当のあたしなのだと断言できるから。

 

 

++++++++あとがき。++++++++

 

 香介×伊万里、略してこーいまー。(何)

 いやぁ、もう。何ていうか。

 大好き?(疑問か)

 そろそろ愛の領域デス。

 ギャグもよし、ラブラブもよし、シリアスもよしな2人だと。(思い込みだ)

 あぁもう大好きじゃーvvvv

 

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